【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界環境は、ロシア・ウクライナ情勢等の影響によるエネルギー・原材料価格の上昇、欧米におけるインフレ加速に伴う政策金利の引き上げの継続などにより世界的に景気の減速がみられました。中国においてはゼロコロナ政策からウィズコロナへの政策転換により景気は緩やかに回復に向かうなどの地域的な変化はあるものの世界的な不況感は継続しており、また米中の貿易摩擦激化など不透明な状況が続いています。
このような環境のもと、半導体・電子デバイス・プリント基板市場においては、5Gの実用化やIoT・AIの活用進展により設備投資は好調であった一方で、下期より世界的な景気の減速に加え最終需要が減速し、一部稼働が引き下げられました。フラットパネルディスプレイ市場でもモバイルやモニター向けなどの液晶パネル需要の一巡に伴い、液晶パネルメーカー各社では在庫調整のための稼働の引き下げが続きました。一方、映像関連市場においては、コロナ政策の継続で中国の回復は遅れたものの、世界全般で映画館の営業再開や稼働の回復が進みました。
a.
財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産は、3,236億2千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億2千6百万円増加いたしました。主な増加要因は、光学装置等の受注増加による棚卸資産の増加及び米国会計基準Topic842 ASU第2016-02「リース」の適用による使用権資産の増加であります。一方、主な減少要因は、外部借入の返済、配当支払、納税及び自己株式購入等による現金及び預金の減少であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、795億1千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ63億7千6百万円減少いたしました。主な減少要因は、外部借入の返済による1年内返済予定の長期借入金の減少及び売上実現に伴う契約負債の減少であります。一方、主な増加要因は、材料等の仕入増加に伴う支払手形及び買掛金の増加及び米国会計基準Topic842 ASU第2016-02「リース」の適用によるリース債務の増加であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、2,441億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ89億2百万円増加いたしました。主な増加要因は、当連結会計年度末にかけて円安が進行したことによる為替換算調整勘定の増加及び親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加であります。一方、主な減少要因は、配当支払及び自己株式消却による利益剰余金の減少であります。
b.
経営成績
当連結会計年度は、売上高は1,750億2千5百万円(前年同期比17.6%増)、営業利益は158億6千1百万円(前年同期比21.4%増)、経常利益は201億4千4百万円(前年同期比32.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は136億9千9百万円(前年同期比8.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(光源事業)
[放電ランプ]
露光用UVランプについては、5Gの実用化やIoT・AIの活用進展などを背景とした半導体や電子デバイス向けで、稼働調整が入り、下期は販売が低調に推移しました。また、液晶パネルディスプレイ向けはパネルメーカー各社による生産調整に伴い販売が減少し、UVランプは減収となりました。シネマプロジェクター用クセノンランプについては、全世界的に映画館の営業再開や稼働の回復が進んだことから、リプレイスランプの販売が増加しました。その結果、放電ランプ全体としては、前年同期比で増収となりました。
[ハロゲンランプ]
OA用ハロゲンランプについては、足元で在庫調整の動きが見られるものの、年間を通じてセットメーカーの部材不足問題の解消が進みOA機器需要が回復したことから、販売が増加しました。また、半導体市場活況の動きに伴い、半導体製造工程で使用される熱処理用ランプの販売が増加しました。その結果、ハロゲンランプは、前年同期比で増収となりました。
一方、主に欧米市場向けに複数用途で販売していたナトリウムランプにおいて、急速な固体光源化の影響を背景にランプ需要が縮小したため、棚卸資産評価損を計上しました。
以上の結果、光源事業の売上高は618億2千5百万円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益は90億2千万円(前年同期比8.8%増)を計上いたしました。
(光学装置事業)
半導体・電子デバイス・プリント基板市場においては、5Gの実用化やIoT・AIの進展に伴うデータセンター向けサーバー需要等の高まりが継続していることから、最先端ICパッケージ基板向け投影露光装置及びパッケージ・プリント基板向け直描式露光装置の販売が増加しました。一方で、液晶パネル需要が一巡したことにより関連する設備投資が縮小し、液晶パネル向け装置の販売は減少しました。また、EUVリソグラフィマスク検査用EUV光源については、当期以前に販売した光源の稼働が好調に推移したことから保守メンテナンスサービスの販売は増加したものの、光源の販売は需要の一時的な調整局面にあり減少しました。
以上の結果、光学装置事業の売上高は578億5百万円(前年同期比19.4%増)、セグメント利益は71億6千万円(前年同期比55.0%増)を計上いたしました。
(映像装置事業)
シネマ分野では、欧米を中心に映画館の営業再開や稼働の回復が進み、設備投資需要も回復傾向にあるなかで、半導体等の部材不足の影響や部材調達コストの上昇を受け、デジタルシネマプロジェクターの販売は減少しましたが、為替の円安効果により増収となりました。一般映像分野においては、イベント等の再開の動きなどにより需要の回復が北米市場を中心に進み映像関連製品の販売が増加したことや、為替の円安効果もあり増収となりました。なお、映像装置事業における部材不足問題や部材調達コストの上昇は緩和傾向にあります。
以上の結果、映像装置事業の売上高は513億3千3百万円(前年同期比31.0%増)、セグメント損失は6億4千2百万円(前年同期はセグメント損失5千3百万円)を計上いたしました。
(その他事業)
新型コロナウイルス感染症再拡大の影響から後ろ倒しとなっていた各種成型機などを中心に投資の回復が進み、販売が増加しました。
以上の結果、売上高は41億1千3百万円(前年同期比18.0%増)、セグメント利益は1億9千1百万円(前年同期比70.3%増)を計上いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ241億3百万円減少し575億1千6百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、8億7千1百万円の収入(前連結会計年度は216億2千8百万円の収入)となりました。
この主な内訳は、税金等調整前当期純利益の計上202億2千万円、減価償却費の発生76億1千5百万円及び仕入債務の増加43億5千6百万円による収入と、棚卸資産の増加165億4千9百万円、契約負債の減少33億6千9百万円及び法人税等の支払73億4千6百万円の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、11億7千5百万円の支出(前連結会計年度は55億1千9百万円の支出)となりました。
この主な内訳は、定期預金の払戻310億7千4百万円及び有価証券の売却及び償還38億8千7百万円による収入と、定期預金の預入280億6千6百万円及び有形固定資産の取得77億6千7百万円の支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、268億1千1百万円の支出(前連結会計年度は106億2千5百万円の支出)となりました。
この主な内訳は、長期借入金の返済187億7千万円、自己株式の取得50億4百万円及び配当金の支払60億3千7百万円の支出によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.
生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
光源事業(百万円)
54,708
100.5
光学装置事業(百万円)
61,745
118.2
映像装置事業(百万円)
36,880
152.4
報告セグメント計(百万円)
153,335
117.2
その他(百万円)
-
-
合計(百万円)
153,335
117.2
(注)1.上記金額は販売価格にて算定しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.当連結会計年度において、映像装置事業の生産実績に著しい変動がありました。これは新型コロナウイルス感染症の影響から市場が回復したことによるものであります。
b.
受注実績
当社グループの生産は過去の販売実績及び市場調査による需要の予測並びに将来の予測等を考慮し、生産計画を設定し、これに基づいて勘案された見込生産であります。
c.
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
光源事業(百万円)
61,813
106.9
光学装置事業(百万円)
57,794
119.4
映像装置事業(百万円)
51,328
131.0
報告セグメント計(百万円)
170,937
117.6
その他(百万円)
4,087
118.5
合計(百万円)
175,025
117.6
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度では、映像関連事業において、中国を除く世界全般で市場の回復が進んだこと、また、半導体や液晶パネルなどのエレクトロニクス分野において拡大した需要が下期に停滞したものの半導体・電子デバイス・プリント基板市場での設備投資が好調で需要が拡大したこと、さらに、固定費の削減を着実に進めたことで前期よりも収益性が改善し、営業利益率は9.1%となり、前中期経営計画の必達目標として掲げた営業利益率8%以上を達成いたしました。
光源事業戦略
「攻める戦略」において、有望製品として環境衛生分野向け抗ウイルス・除菌用紫外線技術Care222搭載製品を立ち上げ、販売を開始したものの、各国の各種規制緩和の遅れや認知度不足、紫外線に対する理解浸透の遅れなど、これらの課題改善に時間を要し、当初の計画に対し大幅な未達となりました。このように一部で課題が継続したものの、「防ぐ戦略」による構造改革の実行による収益構造の転換及び円安による為替効果などにより、前中期経営計画で掲げた最重要KPIの営業利益率において、野心的目標を達成いたしました。
光学装置事業戦略
「攻める戦略」において、有望製品としてあり続けたEUVリソグラフィマスク検査用EUV光源は、2023年3月期において、市場からのコスト低減要求に対する課題により調整局面が継続し、想定を下回り推移しました。一方で、IoTやAI、5Gの進展を背景とした半導体パッケージ基板の需要拡大及び技術進化により、関連する露光装置の販売が拡大しました。また、以前より取り組んできた収益構造改善の取り組み成果により、収益性の大幅な改善が進んだことで、前中期経営計画で掲げた最重要KPIの営業利益率において、野心的目標を達成いたしました。
今後も、旺盛な最先端ICパッケージ基板市場での着実な需要を取り込むための生産体制の確保及び次世代機に向けた開発投資継続による競争優位性を維持する取り組みを強化するとともに、課題が継続しているEUVリソグラフィマスク検査用EUV光源については、中長期での需要拡大期を見据えた採用拡大に向けた開発投資を拡大するなどの取り組みを強化してまいります。
映像装置事業戦略
シネマ及び一般映像分野ともに、全世界の経済活動再開に伴い投資意欲は回復傾向にあり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により落ち込んだ需要も回復しつつあります。一方で、新たに部材不足の影響や部材調達コストの上昇による生産及び販売への影響から機会損失が生じ、収益率も悪化したため前中期経営計画で掲げた最重要KPIの営業利益率において、必達目標は未達となりました。なお、業績に大きな影響を与えた部材不足への対応強化や収益力改善に向けた事業範囲の選択と集中などへの取り組み及び経営効率化への取り組みを重点施策として継続し、売上高の拡大とともに、収益性の向上にも努めてまいります。
なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.
財務・資本政策の基本的な方針
当社グループは、財務の健全性・安定性、資本効率の向上、安定的・継続的な株主還元のバランスを追求するとともに、企業価値向上のために経営資源を適切に配分することを財務戦略の基本方針としております。
株主還元については、株主の皆様に対する利益還元が企業として最重要課題の一つであることを常に認識し、安定的な配当の実施に加え、資本効率、業績、キャッシュ・フローの状況等を勘案しながら自己株式の取得を行っております。なお、自己株式については、保有上限を発行済株式総数の5%を目途とし、その部分を上回る自己株式については毎期消却することを基本方針としております。
b.
資金需要及び資金調達について
当社グループの資金需要として、原材料、商品等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用に加え、設備投資、研究開発及びM&Aのための資金や配当支払、自己株式の取得等を見込んでおります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は基本的に自己資金によって賄い、設備投資やM&A等の長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入も活用しております。なお、当連結会計年度末における借入金の残高は53億3千1百万円となっております。
当社グループは当連結会計年度末において現金及び現金同等物575億1千6百万円を保有しており、また、換金性の高い金融資産も保有していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りが必要とされますが、これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的な根拠を有した仮定や基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点での見積りと異なることも考えられます。
当社グループにおける連結財務諸表作成のための重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a.
固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。
b.
繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、課税主体ごとに将来の課税所得又は税金等調整前損益を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は主に将来の課税所得又は税金等調整前損益の見積りに依存するため、これらの見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
c.
退職給付債務及び退職給付費用
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算されております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
