【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況当社グループを取り巻く事業環境では、政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」や「デジタル田園都市国家構想」、国土交通省主導で3次元都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を目指す「Project PLATEAU(プラトー)」などが推進されております。また、6月に発表された宇宙基本計画では、防災・減災、国土強靱化、地球規模課題への衛星開発・運用とデータ利活用促進が示されるなど、当社グループが保有する技術やノウハウなどを発揮する事業領域に対するニーズは、依然として高い水準を維持しております。このような事業環境下において当社グループは、本年6月より新経営体制での活動を開始しております。そして8月には、社会の一員として、その存在を期待され、持続可能な地球環境の創出及び社会基盤の構築に貢献するため、経営の健全化と事業を通じて社会に貢献することを主眼に、「パスコグループ中期経営計画2023-2025」を策定、発表いたしました。本計画では、新たな飛躍に向けた経営基盤の再構築を目的として、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」を基本方針とし、「経営の真価計画」「事業の進化計画」を計画構成としております。「経営の真価計画」では、社会に存在を期待され、持続可能な企業経営を維持するため、経営理念を重視した健全な経営を遂行するための計画を定め、パスコの真の価値を再構築することとしました。そして、「事業の進化計画」では、持続可能な地球環境の創出及び社会基盤の構築に貢献するため、3つの“しんか(深化・伸化・新化)”計画を策定し、空間情報事業の拡大・成長を目指すこととしております。
(具体的な活動)経営の真価については、前期に発覚した不適切な会計処理事案に対して、再発防止策を、さらに実効性の高い具体的なプランに落とし込み、全社一体となって日々推進しております。事業の進化については、人手不足などの課題に対し、インフラ管理のDX化による業務効率化などの支援をさらに拡大しております。具体的には、地方自治体と協業し、AIと3次元計測技術の活用による河川管理の目視点検ゼロを目指す実証実験、3次元データ活用で公園内における樹木の効率的な維持管理を目指す実証実験、そして、防犯灯管理情報の一元化による業務効率化を目指す実証実験を開始いたしました。いずれの取り組みも、社会の防犯や安全の維持に必要不可欠であり、今後の市場戦略の礎を築く活動となります。また、海外市場において、当社はこれまでも、東南アジア諸国連合(ASEAN) 地域における政府事業を支援しており、タイ政府事業の支援を行なっています。そして、8月にはタイ地理情報・宇宙技術開発機関(GISTDA)と、タイ国内における地理空間情報の高度化に向けた空間情報事業の開発と共同プロモーションの検討協力に関する基本合意書を締結しました。今後、タイにおける地理空間情報利用の高度化を目指した事業創出に向けて、検討を進めてまいります。各部門の活動の状況につきましては、以下の通りです。国内公共部門においては、国土強靱化に向けた調査・測量業務が落ち着き始めた一方で、政府のデジタル規制改革の追い風もあり、「デジタル田園都市国家構想」に基づく各種台帳のデジタル化業務や、その利活用のためのシステム導入が順調に拡大しております。国内民間部門においては、政府の「物流革新緊急パッケージ」への対処・貢献を含め、各分野の課題解決と当社の収益性向上に向けたビジネスモデルの改革、基盤構築に注力し、手堅く活動しております。海外部門においては、一層不安定となった社会情勢の中、開発途上国や新興国向けの政府開発援助(ODA)事業の案件獲得に向けて注力しております。
(経営成績)受注高および売上高、営業利益等の損益の状況を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。当社グループは、主要顧客である官公庁からの受注が第1四半期に集中し、収益は年度末の納期に向けて増加する季節的変動があります。
当累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)
(単位:百万円)
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
当累計期間
(4月~6月)
(7月~9月)
(10月~12月)
(1月~3月)
(4月~9月)
受注高
25,670
13,805
39,475
売上高
10,235
12,189
22,425
営業利益
△1,304
△705
△2,010
経常利益
△1,230
△700
△1,931
親会社株主に帰属する当期純利益
201
△521
△319
前連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)
(単位:百万円)
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
前年同期間
前連結会計年度
(4月~6月)
(7月~9月)
(10月~12月)
(1月~3月)
(4月~9月)
(4月~3月)
受注高
26,068
15,546
9,421
9,584
41,614
60,620
売上高
11,223
13,095
16,198
21,498
24,318
62,016
営業利益
△421
69
1,842
4,942
△351
6,432
経常利益
△378
75
1,844
4,983
△302
6,525
親会社株主に帰属する当期純利益
450
27
1,310
2,311
477
4,099
受注高、売上高の状況をセグメントごとに示すと下記のとおりであります。
当累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)
(単位:百万円/前年同期比:%)
前連結会計年度末受注残高
受注高
前年同期比
売上高
前年同期比
当四半期連結会計期間末受注残高
前年同期比
1 国内部門
23,798
38,421
△3.4
21,326
△7.2
40,893
△3.2
(1) 公共部門
18,350
36,995
△1.2
19,002
△5.7
36,343
△0.9
(2) 民間部門
5,448
1,426
△38.3
2,324
△18.3
4,550
△18.2
2 海外部門
(1,228)1,268
1,053
△42.8
1,098
△17.5
1,223
△17.9
合計
(25,027)25,067
39,475
△5.1
22,425
△7.8
42,117
△3.7
(注) 1 前連結会計年度末受注残高の上段( )内表示額は、前連結会計年度における年度末受注残高であり、下段は当累計期間の外国為替相場の変動を反映させたものであります。
<国内部門>(公共部門・民間部門)国内公共部門の受注高は、大型の航空レーザ測量業務が減少したことにより、前年同期比462百万円減少(前年同期比1.2%減)の36,995百万円となりました。売上高は、航空レーザ測量および地図データ整備測量業務が減少したことにより、前年同期比1,141百万円減少(同5.7%減)の19,002百万円となりました。受注残高は前年同期比331百万円減少(同0.9%減)の36,343百万円となりました。国内民間部門の受注高は、車両搭載型レーザー(MMS:モービル・マッピング・システム)による測量業務が減少したことにより、前年同期比886百万円減少(同38.3%減)の1,426百万円となりました。売上高は前年同期比518百万円減少(同18.3%減)の2,324百万円となりました。受注残高は前年同期比1,013百万円減少(同18.2%減)の4,550百万円となりました。この結果、国内部門(公共部門・民間部門)合計では、受注高が前年同期比1,349百万円減少(同3.4%減)の38,421百万円、売上高は前年同期比1,660百万円減少(同7.2%減)の21,326百万円、受注残高は前年同期比1,345百万円減少(同3.2%減)の40,893百万円となりました。
<海外部門>海外部門の受注高は、地形図作成業務等の受注が遅延していることにより、前年同期比789百万円減少(同42.8%減)の1,053百万円となりました。売上高は、3次元地図データ整備業務等が減少したことにより、前年同期比232百万円減少(同17.5%減)の1,098百万円、受注残高は前年同期比266百万円減少(同17.9%減)の1,223百万円となりました。
この結果、受注高合計は前年同期比2,138百万円減少(同5.1%減)の39,475百万円、売上高は前年同期比1,893百万円減少(同7.8%減)の22,425百万円、受注残高は前年同期比1,611百万円減少(同3.7%減)の42,117百万円となりました。
利益面につきましては、売上総利益は、売上高の減少および将来損失の発生を見込んだ工事損失引当金257百万円の計上により、前年同期比1,234百万円減益(同23.9%減)の3,934百万円となりました。営業損益は、人員増加および賃上げ実施に伴う人件費増加の影響で販売費及び一般管理費が前年同期比424百万円増加(同7.7%増)、および売上総利益の減益により前年同期比1,658百万円減少し、2,010百万円の営業損失となりました。経常損益は、営業損益の減益により前年同期比1,628百万円減少し、1,931百万円の経常損失となりました。税金等調整前四半期純損益は、先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の打上げ失敗による受取損害保険金1,625百万円を計上したものの、経常損益の減益、および前期の固定資産売却益1,096百万円の計上により前年同期比1,139百万円減少の345百万円の税金等調整前四半期純損失となりました。親会社株主に帰属する四半期純損益は、税金等調整前四半期純損益の減益により前年同期比796百万円減少の319百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失となりました。
(財政状態の状況)当社グループは、納品後の入金が年度明けの4、5月に集中することから、「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」が年度末にかけて増加していき、第1四半期で減少する傾向があります。「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」の推移を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当連結会計期間
(単位:百万円)
第1四半期連結会計期間
第2四半期連結会計期間
第3四半期連結会計期間
第4四半期連結会計期間
受取手形、売掛金及び契約資産
9,384
17,238
短期借入金
-
-
前連結会計年度
(単位:百万円)
第1四半期連結会計期間
第2四半期連結会計期間
第3四半期連結会計期間
第4四半期連結会計期間
受取手形、売掛金及び契約資産
10,185
18,084
28,886
36,970
短期借入金
-
3,500
11,500
18,500
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」)より22,377百万円減少し48,599百万円となりました。また、負債合計は前期末より22,218百万円減少し21,026百万円となりました。その主な要因は、当累計期間に前期末営業債権の多くが回収され、回収資金で借入金を返済したことによるもので、「受取手形、売掛金及び契約資産」が19,731百万円減少、「短期借入金」が18,500百万円減少となりました。
純資産合計は、前期末より159百万円減少し27,572百万円となりました。その主な要因は、「その他有価証券評価差額金」が611百万円増加したものの、剰余金の配当647百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失319百万円により減少となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況当四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前期末に比べ4,733百万円減少し、14,361百万円となりました。 当累計期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、16,312百万円の資金の増加(前年同期は12,787百万円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、売上債権及び契約資産の減少20,491百万円、損害保険金の受取額1,625百万円です。主な資金の減少要因は、仕入債務の減少1,858百万円、法人税等の支払額1,356百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、1,312百万円の資金の減少(前年同期は1,152百万円の資金の増加)となりました。主な資金の減少要因は、有形固定資産および無形固定資産の取得による支出1,221百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、19,965百万円の資金の減少(前年同期は18,405百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、短期借入金の返済18,500百万円です。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題当累計期間において事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動当累計期間における研究開発費の実績額は131百万円であります。