【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況当社グループを取り巻く事業環境では、政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」や「デジタル田園都市国家構想」、国土交通省主導で3次元都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を目指す「Project PLATEAU(プラトー)」などが推進されております。また、2023年6月13日に発表された宇宙基本計画では、防災・減災、国土強靱化、地球規模課題への衛星開発・運用とデータ利活用促進が示されるなど、当社グループが保有する技術やノウハウなどを発揮する事業領域に対するニーズは、高い水準を維持しております。一方、前期に発覚した不適切な会計処理事案に関しましては、2023年4月28日に公表した再発防止策を、さらに実行性の高い発生原因ごとの是正策に落とし込み、不退転の決意で信頼回復に努めております。また、これまでに引き続き「地球をはかり、未来を創る ~人と自然の共生にむけて~」を経営ビジョンに掲げ、企業活動の持続可能性(サステナビリティ)を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したESG(Environment:環境/Social:社会/Governance:企業統治)に配慮した経営のもと、空間情報事業を通して国際的な持続可能な開発目標(SDGs)の幅広い目標の達成も目指しております。
(具体的な活動)当期は、真に信頼される企業経営への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築くことを基本方針として、活動を開始しております。2023年6月1日には発生原因ごとの是正策を徹底するために企業風土刷新本部を新設、そして、新たな事業領域の創出に関しては価値創造本部を新設し、基本方針の恒常的な取り組み強化を図っております。また、企業活動の持続可能性を維持・発展させるために、サステナビリティ推進室を新設し、6つの重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた取り組みも強化しております。2023年6月23日に開催した第75回定時株主総会の決議を受け、新経営体制での活動を開始しております。
各部門の活動の状況につきましては、以下の通りです。国内公共部門においては、国土のリスク低減に向けた盛土調査業務が拡大しております。また、「デジタル田園都市国家構想」に基づく各種台帳のデジタル化業務や、その利活用のためのシステム導入、「Project PLATEAU(プラトー)」に基づく3次元都市モデルの構築業務なども拡大いたしました。さらに、自動運転とDX技術の活用による地域公共交通の課題解決と3次元データの利活用に向けた共創活動も開始しております。国内民間部門においては、物流業界をはじめとするあらゆる分野において、DX化による業務の効率化などの取り組みが拡大しております。当社は、各分野の課題解決に向けたサービスラインナップの充実とサービスの信頼性向上に努め、産業界のニーズへの対応強化を図っております。海外部門においては、引き続き、開発途上国や新興国向けの政府開発援助(ODA)事業の調査業務や航空測量業務を中心に底堅い状況にあります。
(経営成績)受注高および売上高、営業利益等の損益の状況を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。当社グループは、主要顧客である官公庁からの受注が第1四半期に集中し、収益は年度末の納期に向けて増加する季節的変動があります。
当累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)
(単位:百万円)
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
当累計期間
(4月~6月)
(7月~9月)
(10月~12月)
(1月~3月)
(4月~6月)
受注高
25,670
25,670
売上高
10,235
10,235
営業利益
△1,304
△1,304
経常利益
△1,230
△1,230
親会社株主に帰属する当期純利益
201
201
前連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)
(単位:百万円)
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
前年同期間
前連結会計年度
(4月~6月)
(7月~9月)
(10月~12月)
(1月~3月)
(4月~6月)
(4月~3月)
受注高
26,068
15,546
9,421
9,584
26,068
60,620
売上高
11,223
13,095
16,198
21,498
11,223
62,016
営業利益
△421
69
1,842
4,942
△421
6,432
経常利益
△378
75
1,844
4,983
△378
6,525
親会社株主に帰属する当期純利益
450
27
1,310
2,311
450
4,099
受注高、売上高の状況をセグメントごとに示すと下記のとおりであります。
当累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)
(単位:百万円/前年同期比:%)
前連結会計年度末受注残高
受注高
前年同期比
売上高
前年同期比
当四半期連結会計期間末受注残高
前年同期比
1 国内部門
23,798
24,881
△1.0
9,758
△7.9
38,921
△2.6
(1) 公共部門
18,350
23,900
1.0
8,531
△7.9
33,719
△0.1
(2) 民間部門
5,448
980
△32.9
1,227
△7.9
5,201
△16.4
2 海外部門
(1,228)1,231
788
△16.6
477
△23.8
1,542
21.2
合計
(25,027)25,029
25,670
△1.5
10,235
△8.8
40,464
△1.9
(注) 1 前連結会計年度末受注残高の上段( )内表示額は、前連結会計年度における年度末受注残高であり、下段は当累計期間の外国為替相場の変動を反映させたものであります。
<国内部門>(公共部門・民間部門)国内公共部門の受注高は、当社において大規模盛土造成地の調査業務等の受注が好調だったため、前年同期比240百万円増加(前年同期比1.0%増)の23,900百万円となりました。売上高は、航空測量業務等が減少したことにより、前年同期比733百万円減少(同7.9%減)の8,531百万円となりました。受注残高は前年同期比36百万円減少(同0.1%減)の33,719百万円となりました。国内民間部門の受注高は、前期において大型の計測業務の受注があったため、前年同期比481百万円減少(同32.9%減)の980百万円となりました。売上高は前年同期比104百万円減少(同7.9%減)の1,227百万円となりました。受注残高は前年同期比1,022百万円減少(同16.4%減)の5,201百万円となりました。この結果、国内部門(公共部門・民間部門)合計では、受注高が前年同期比240百万円減少(同1.0%減)の24,881百万円、売上高は前年同期比838百万円減少(同7.9%減)の9,758百万円、受注残高は前年同期比1,059百万円減少(同2.6%減)の38,921百万円となりました。
<海外部門>海外部門の受注高は、前期において3次元地図データ整備業務の受注が好調だったため、前年同期比156百万円減少(同16.6%減)の788百万円となりました。売上高は、3次元地図データ整備業務等が減少したことにより、前年同期比149百万円減少(同23.8%減)の477百万円、受注残高は前年同期比269百万円増加(同21.2%増)の1,542百万円となりました。
この結果、受注高合計は前年同期比397百万円減少(同1.5%減)の25,670百万円、売上高は前年同期比987百万円減少(同8.8%減)の10,235百万円、受注残高は前年同期比789百万円減少(同1.9%減)の40,464百万円となりました。
利益面につきましては、売上総利益は、売上高の減少および将来損失の発生を見込んだ工事損失引当金252百万円の計上により、前年同期比626百万円減益(同27.2%減)の1,681百万円となりました。営業損益は、人員増加および賃上げ実施に伴う人件費増加の影響で販売費及び一般管理費が前年同期比256百万円増加(同9.4%増)および売上総利益の減益により前年同期比883百万円減少し、1,304百万円の営業損失となりました。経常損益は、営業損益の減益により前年同期比851百万円減少し、1,230百万円の経常損失となりました。税金等調整前四半期純損益は、先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の打上げ失敗による受取損害保険金1,625百万円を計上したものの、前期の固定資産売却益1,098百万円の計上および経常損益の減益により前年同期比364百万円減少(同50.6%減)の355百万円の税金等調整前四半期純利益となりました。親会社株主に帰属する四半期純損益は、税金等調整前四半期純利益の減益により前年同期比248百万円減少(同55.2%減)の201百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益となりました。
(財政状態の状況)当社グループは、納品後の入金が年度明けの4、5月に集中することから、「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」が年度末にかけて増加していき、第1四半期で減少する傾向があります。「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」の推移を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当連結会計期間
(単位:百万円)
第1四半期連結会計期間
第2四半期連結会計期間
第3四半期連結会計期間
第4四半期連結会計期間
受取手形、売掛金及び契約資産
9,384
短期借入金
-
前連結会計年度
(単位:百万円)
第1四半期連結会計期間
第2四半期連結会計期間
第3四半期連結会計期間
第4四半期連結会計期間
受取手形、売掛金及び契約資産
10,185
18,084
28,886
36,970
短期借入金
-
3,500
11,500
18,500
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」)より21,029百万円減少し49,947百万円となりました。また、負債合計は前期末より21,397百万円減少し21,846百万円となりました。その主な要因は、当累計期間に前期末営業債権の多くが回収され、回収資金で借入金を返済したことによるもので、「受取手形、売掛金及び契約資産」が27,586百万円減少、「短期借入金」が18,500百万円減少となりました。
純資産合計は、前期末より368百万円増加し28,100百万円となりました。その主な要因は、剰余金の配当647百万円により減少したものの、「その他有価証券評価差額金」が786百万円増加、親会社株主に帰属する四半期純利益201百万円により増加となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題当累計期間において事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3)研究開発活動当累計期間における研究開発費の実績額は59百万円であります。