【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況当社グループを取り巻く事業環境は、2021年度からスタートした政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により、道路・海岸・ダム・森林分野などにおける3次元地形データの計測、データの加工・解析、データ活用のためのマネジメント技術の需要が高い水準を維持しております。また、政府主導の「デジタル田園都市国家構想」や、国土交通省主導の「Project PLATEAU(プラトー)」の取り組みにおいても、当社が保有するデジタル技術を発揮できる領域が拡大しております。一方、新型コロナウイルス感染症の影響は、日本をはじめ世界中で新たな社会様式への変化をもたらし、また、ウクライナ情勢の影響、円安や資源価格上昇による物価高騰など、先行き不透明な状況が続いております。このような事業環境下において当社グループは、引き続き「地球をはかり、未来を創る ~人と自然の共生にむけて~」を経営ビジョンに掲げ、企業活動の持続可能性(サステナビリティ)を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したESG(Environment:環境/Social:社会/Governance:企業統治)に配慮した経営のもと、空間情報事業を通して国際的な持続可能な開発目標(SDGs)の幅広い目標の達成を目指しております。「パスコグループ中期経営計画2018-2022」5か年計画の最後の年となる当期は、目標に掲げる「持続的な企業成長に向けた利益体質への変革」の達成に向けた取り組みと、DX(デジタル・トランスフォーメーション)と働き方改革の推進により、持続的成長を可能にするニューノーマル時代への対応を加速しております。
(具体的な活動)「パスコグループ中期経営計画2018-2022」を策定した当初より取り組んでまいりました、デジタル技術を活用した業務効率化や生産プロセスの改革などの活動が評価され、2022年11月1日、経済産業省が選定する「DX 認定事業者」に認定されました。デジタルデータの利活用は、社内外の持続可能性の維持に欠かすことのできない技術であり、社会課題の解決に向けた新たなビジネスの創出にも果敢に挑戦しております。具体的な活動として、地盤や自然災害、地理空間情報など、社会活動のリスク対策に必要不可欠な「リスク情報プラットフォーム(OPx)」ビジネスにおいて、リスク情報の充実とサービス領域の拡大に努めました。また、人手不足や高齢化などの課題を抱えるインフラ管理や森林管理分野において、月額定額制の新たなサービスの普及にも努めております。さらに、2022年12月には、当社の3次元計測技術と世界的に注目されているメタバースの親和性を活かし、第1弾として地方創生をテーマに新たなビジネスモデルの検討に着手しております。社内公募によるプロジェクトへの参画メンバーは120名を超え、職種も、立場も、感覚も、知識も異なる人材が集まり、お互いの知識や知見を刺激し合い活発な議論を開始しております。
各部門の活動の状況につきましては、以下の通りです。国内公共部門においては、国土の強靱化に向けた3次元地形の計測業務と地方創生に向けた行政情報のデジタル化と利活用、日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を推進する「Project PLATEAU」関連業務、橋梁の IoT遠隔監視サービス「Infra Eye(インフラアイ)」などの活用提案に努めました。国内民間部門においては、労働人口の減少や高齢化、生産性の低下などに対する打開策としてDX化のニーズが高まるなか、新規顧客の獲得に向けた活動の強化のほか、物流・不動産・エリアマーケティング向けなどのサービスの品質向上にも取り組んでおります。海外部門においては、引き続き、開発途上国や新興国向けの政府開発援助(ODA)事業の拡大に努めております。
(経営成績)受注高および売上高、営業利益等の損益の状況を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。当社グループは、主要顧客である官公庁からの受注が第1四半期に集中し、収益は年度末の納期に向けて増加する季節的変動があります。
当累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)
(単位:百万円)
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
当累計期間
(4月~6月)
(7月~9月)
(10月~12月)
(1月~3月)
(4月~12月)
受注高
26,068
15,546
9,421
51,036
売上高
11,223
13,095
16,198
40,517
営業利益
△421
69
1,842
1,490
経常利益
△378
75
1,844
1,542
親会社株主に帰属する当期純利益
450
27
1,310
1,787
前連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)
(単位:百万円)
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
前年同期間
前連結会計年度
(4月~6月)
(7月~9月)
(10月~12月)
(1月~3月)
(4月~12月)
(4月~3月)
受注高
27,144
16,030
8,337
10,419
51,512
61,931
売上高
10,575
11,909
15,406
18,337
37,891
56,228
営業利益
△525
△141
1,615
2,926
948
3,874
経常利益
△535
△148
1,655
2,963
971
3,935
親会社株主に帰属する当期純利益
△419
△93
1,256
1,597
742
2,340
受注高、売上高の状況をセグメントごとに示すと下記のとおりであります。
当累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)
(単位:百万円/前年同期比:%)
前連結会計年度末受注残高
受注高
前年同期比
売上高
前年同期比
当四半期連結会計期間末受注残高
前年同期比
1 国内部門
(25,455)25,455
48,906
△1.8
38,699
5.8
35,663
7.9
(1) 公共部門
(19,361)19,361
45,434
△0.7
34,503
7.2
30,291
9.9
(2) 民間部門
(6,094)6,094
3,472
△13.9
4,195
△4.5
5,371
△2.2
2 海外部門
(938)985
2,129
24.4
1,818
39.8
1,296
5.3
合計
(26,393)26,441
51,036
△0.9
40,517
6.9
36,959
7.8
(注) 1 前連結会計年度末受注残高の上段( )内表示額は、前連結会計年度における年度末受注残高であり、下段は当累計期間の外国為替相場の変動を反映させたものであります。
<国内部門>(公共部門・民間部門)国内公共部門の受注高は、当期は堅調に推移したものの、前期において航空レーザーによる測量業務等の受注が好調だったため、前年同期比333百万円減少(前年同期比0.7%減)の45,434百万円となりました。売上高は、前期に受注した大型の衛星データ受信業務等による増加により、前年同期比2,307百万円増加(同7.2%増)の34,503百万円となりました。受注残高は前年同期比2,716百万円増加(同9.9%増)の30,291百万円となりました。国内民間部門の受注高は、前期において不動産業界向けクラウドサービスで大型案件の受注があったため、前年同期比560百万円減少(同13.9%減)の3,472百万円となりました。売上高は前年同期比199百万円減少(同4.5%減)の4,195百万円となりました。受注残高は前年同期比118百万円減少(同2.2%減)の5,371百万円となりました。この結果、国内部門(公共部門・民間部門)合計では、受注高が前年同期比894百万円減少(同1.8%減)の48,906百万円、売上高は前年同期比2,108百万円増加(同5.8%増)の38,699百万円、受注残高は前年同期比2,598百万円増加(同7.9%増)の35,663百万円となりました。
<海外部門>海外部門の受注高は、当社において大型の航空測量業務の受注があったこと、インドネシアの子会社において大型案件の受注があったことにより、前年同期比418百万円増加(同24.4%増)の2,129百万円となりました。売上高は、3次元地図データ整備業務が好調であったこと等により、前年同期比517百万円増加(同39.8%増)の1,818百万円、受注残高は前年同期比64百万円増加(同5.3%増)の1,296百万円となりました。
この結果、受注高合計は前年同期比475百万円減少(同0.9%減)の51,036百万円、売上高は前年同期比2,626百万円増加(同6.9%増)の40,517百万円、受注残高は前年同期比2,663百万円増加(同7.8%増)の36,959百万円となりました。
利益面につきましては、売上総利益は、売上高の増加により、前年同期比1,054百万円増益(同12.1%増)の9,757百万円となりました。営業損益は、営業・管理人員増加に伴う人件費増加の影響で販売費及び一般管理費が前年同期比512百万円増加(同6.6%増)したものの、売上総利益の増加により前年同期比541百万円増加(同57.2%増)の1,490百万円の営業利益となりました。経常損益は、営業損益の改善により前年同期比570百万円増加(同58.7%増)の1,542百万円の経常利益となりました。税金等調整前四半期純損益は、固定資産売却益1,126百万円の計上により前年同期比1,747百万円増加(同189.8%増)の2,667百万円の税金等調整前四半期純利益となりました。親会社株主に帰属する四半期純損益は、税金等調整前四半期純利益の増加により前年同期比1,045百万円増加(同140.8%増)の1,787百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益となりました。
(財政状態の状況)当社グループは、納品後の入金が年度明けの4、5月に集中することから、「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」が年度末にかけて増加していき、第1四半期で減少する傾向があります。「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」の推移を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当連結会計期間
(単位:百万円)
第1四半期連結会計期間
第2四半期連結会計期間
第3四半期連結会計期間
第4四半期連結会計期間
受取手形、売掛金及び契約資産
10,185
18,084
28,886
短期借入金
-
3,500
11,500
前連結会計年度
(単位:百万円)
第1四半期連結会計期間
第2四半期連結会計期間
第3四半期連結会計期間
第4四半期連結会計期間
受取手形、売掛金及び契約資産
9,611
16,335
26,732
34,116
短期借入金
-
3,000
11,000
18,500
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」)より11,049百万円減少し58,833百万円となりました。また、負債合計は前期末より12,639百万円減少し33,199百万円となりました。その主な要因は、当累計期間に前期末営業債権の多くが回収され、回収資金で借入金を返済したことによるもので、「受取手形、売掛金及び契約資産」が5,230百万円減少、「短期借入金」が7,000百万円減少となりました。
純資産合計は、前期末より1,590百万円増加し25,634百万円となりました。その主な要因は、剰余金の配当576百万円により減少したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益1,787百万円、「為替換算調整勘定」が305百万円増加したことによります。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題当累計期間において事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3)研究開発活動当累計期間における研究開発費の実績額は255百万円であります。