【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況当社グループを取り巻く事業環境は、国土強靱化対策やインフラ老朽化対策等の関連事業が推進されるほか、労働人口の減少や働き方改革の影響により、将来を見据えたICTの活用による情報の管理や活用の高度化が推進されております。一方、前期末から顕在化した新型コロナウイルス感染拡大に伴うさまざまな対策の影響を受け経済活動が低迷している状況にあります。このような事業環境下において当社グループは、「地球をはかり、未来を創る ~人と自然の共生にむけて~」を経営ビジョンに掲げ、事業を通じて未来社会の構築に貢献する企業を目指しております。2018年5月には、「パスコグループ中期経営計画2018-2022」を策定、「持続的な企業成長に向けた利益体質への変革」をテーマに、将来への投資と事業戦略の転換に取り組んでおります。中期経営計画の3年目となる当期は、親会社であるセコムとの共想、衛星活用事業戦略の創出、未来人材の育成を目指す「事業戦略の形成」、受注戦略による既存事業の拡大と利益率向上を目指す「既存事業の深化」、IoT時代の管理プロセスの省力化とサイバーセキュリティの強化を目指す「IoT基盤の強化」の3つの方針を掲げ、持続的な企業成長に向けた利益体質への変革に取り組んでおります。
(具体的な活動) 当第1四半期連結累計期間(以下「当累計期間」)は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うさまざまな対策の影響を受け経済活動が低迷するなか、当社の事業活動に与える影響も顕在化してきております。当社においては、リモート環境での事業継続を前提とした体制・環境整備を加速するほか、お客様向けの営業・提案活動の手法を大幅に見直し、事業の継続と、将来に向けた事業拡大に取り組んでおります。国内部門の事業活動においては、防災・減災、国土強靱化対策、インフラ老朽化対策等に向けた各種関連業務の受注拡大に努めました。具体的には、河川管理や道路管理の高度化、自然災害リスク抑制のための、レーザー計測技術による3次元地形測量や計測成果に基づくリスク評価、計画策定業務等の拡大に努めました。また、不動産業界向けソリューション提供も堅調に推移しておりますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、地方公共団体からの発注時期の遅延、製造業関連における物流拠点での事業活動の停滞による影響を受けております。一方、生産活動の状況につきましては、前期に受注した業務の生産が進捗したほか、期間契約型のビジネスモデルの下支えにより、業績に与える影響は軽微な状況となっております。また、営業活動においては、リモート環境での提案活動や客先との協議を率先して行うほか、Webを活用した展示会やセミナーの開催を推進することにより、今後に向けた受注活動を強化しております。海外部門においては、2019年7月に株式譲渡した米国子会社の連結除外の影響を受けた一方で、中期経営計画に沿って、不振・減益が続いていた欧州子会社の株式を譲渡する等、海外事業の最適化の取り組みによって、利益改善につながりました。また、開発途上国や新興国向けのODA事業に関しても、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けるなか、新たな空間情報事業の創出のため、海外パートナーの開拓、人工衛星の新たな活用に向けた取り組みを推進しております。
(経営成績)受注高および売上高、営業利益等の損益の状況を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。当社グループは、主要顧客である官公庁からの受注が第1四半期に集中し、収益は年度末の納期に向けて増加する傾向にあります。
当累計期間(2020年4月1日~2020年6月30日)
(単位:百万円)
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
当累計期間
(4月~6月)
(7月~9月)
(10月~12月)
(1月~3月)
(4月~6月)
受注高
22,659
22,659
売上高
10,125
10,125
営業利益
21
21
経常利益
△40
△40
親会社株主に帰属する当期純利益
△148
△148
前連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)
(単位:百万円)
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
前年同期間
前連結会計年度
(4月~6月)
(7月~9月)
(10月~12月)
(1月~3月)
(4月~6月)
(4月~3月)
受注高
26,328
15,083
8,928
6,888
26,328
57,229
売上高
9,868
13,119
14,053
17,240
9,868
54,282
営業利益
△849
586
1,653
2,219
△849
3,610
経常利益
△863
513
1,706
2,213
△863
3,569
親会社株主に帰属する当期純利益
△514
1,111
1,377
1,537
△514
3,511
受注高、売上高の状況をセグメントごとに示すと下記のとおりであります。
当累計期間(2020年4月1日~2020年6月30日)
(単位:百万円/前年同期比:%)
前連結会計年度末受注残高
受注高
前年同期比
売上高
前年同期比
当四半期連結会計期間末受注残高
前年同期比
1 国内部門
(21,387)21,387
22,185
△11.3
9,919
11.5
33,654
△3.6
(1) 公共部門
(15,031)15,031
21,046
△6.0
8,549
14.6
27,529
△3.0
(2) 民間部門
(6,355)6,355
1,139
△56.6
1,370
△4.7
6,124
△6.2
2 海外部門
(1,523)1,515
473
△64.0
205
△78.8
1,783
△24.4
合計
(22,911)22,903
22,659
△13.9
10,125
2.6
35,437
△4.9
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。2 前連結会計年度末受注残高の上段( )内表示額は、前連結会計年度における年度末受注残高であり、下段は当累計期間の外国為替相場の変動を反映させたものであります。
<国内部門>(公共部門・民間部門)国内公共部門の受注高は、前期において航空レーザーや車両搭載型レーザーによる測量業務の受注が好調だったため、当期は堅調に推移するものの前年同期比1,340百万円減少(前年同期比6.0%減)の21,046百万円となりました。売上高は、航空レーザーによる測量業務等が増加したことにより前年同期比1,090百万円増加(同14.6%増)の8,549百万円となりました。受注残高は前年同期比861百万円減少(同3.0%減)の27,529百万円となりました。国内民間部門の受注高は、前期において一部ソリューションのリプレース等もあり受注が好調であったこと、また、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、予定されていた案件の一時中断、予算縮小等の影響も生じており、前年同期比1,486百万円減少(同56.6%減)の1,139百万円となりました。売上高は前年同期比68百万円減少(同4.7%減)の1,370百万円となりました。受注残高は前年同期比403百万円減少(同6.2%減)の6,124百万円となりました。
この結果、国内部門(公共部門・民間部門)合計では、受注高が前年同期比2,827百万円減少(同11.3%減)の22,185百万円、売上高は前年同期比1,022百万円増加(同11.5%増)の9,919百万円、受注残高は前年同期比1,264百万円減少(同3.6%減)の33,654百万円となりました。
<海外部門>海外部門の受注高は、米国の子会社Keystone Aerial Surveys,Inc.の連結除外に伴う減少等により前年同期比842百万円減少(同64.0%減)の473百万円となりました。売上高は、米国の子会社の連結除外による減少等により前年同期比765百万円減少(78.8%減)の205百万円、受注残高は前年同期比575百万円減少(同24.4%減)の1,783百万円となりました。
この結果、受注高合計は前年同期比3,669百万円減少(同13.9%減)の22,659百万円、売上高は前年同期比256百万円増加(同2.6%増)の10,125百万円、受注残高は前年同期比1,839百万円減少(同4.9%減)の35,437百万円となりました。
利益面につきましては、売上総利益は、国内公共部門の売上高の増加のほか、海外部門の事業最適化の取り組みにより前年同期比708百万円増益(同41.8%増)の2,406百万円となりました。営業損益は、米国の子会社の連結除外等により販売費及び一般管理費が前年同期比161百万円減少(同6.3%減)したことや売上総利益の増加により前年同期比870百万円改善し、21百万円の営業利益となりました。経常損益は、為替差損益が前年同期比52百万円の損失となりましたが、営業利益の増加により前年同期比822百万円改善し、40百万円の経常損失となりました。税金等調整前四半期純損益は、前年同期に投資有価証券売却益を300百万円計上し、当累計期間に関係会社株式売却損を199百万円計上しましたが、経常利益の増加により前年同期比280百万円改善し、240百万円の税金等調整前四半期純損失となりました。親会社株主に帰属する四半期純損益は、法人税等調整額を利益方向に136百万円計上したこと等により前年同期比366百万円改善し、148百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失となりました。
(財政状態の状況)当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」)より20,518百万円減少し43,811百万円となりました。また、負債合計は前期末より20,028百万円減少し26,244百万円となりました。その主な要因は、当累計期間に前期末営業債権の多くが回収され、回収資金で借入金を返済したことによるもので、「受取手形及び売掛金」が22,774百万円減少、「短期借入金」が17,400百万円減少となりました。
純資産合計は、前期末より490百万円減少し17,566百万円となりました。その主な要因は、剰余金の配当360百万円や、親会社株主に帰属する四半期純損失148百万円等により「利益剰余金」が508百万円減少したことによります。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題当累計期間において事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3)研究開発活動当累計期間における研究開発費の実績額は86百万円であります。