【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 経営成績 当連結会計年度の我が国経済は、景気の緩やかな持ち直しが見られ、先行きについては、景気が持ち直していくことが期待されているが、世界的な金融引き締め等が続くなか、海外景気の下振れや物価上昇、金融資本市場の変動の影響や中国における新型コロナウイルスの感染動向に十分注意する必要がある。エネルギー業界においては、世界的なエネルギー需給のひっ迫に加え、ウクライナ情勢の悪化が混迷を招き、LNG価格の高騰が一過性のものにとどまらない状況にある。さらに、為替が30年ぶりの円安ドル高水準で推移したことで輸入価格が上昇したことにより、国民の負担となっているばかりでなく、エネルギー事業者にとっても大変厳しい環境が続いている。 このような状況のなか、当社は「長期経営ビジョン2030」「中期経営計画2022-2024」を策定し、2030年のありたい姿である「“つぎの「うれしい!」”をご提供することで、お客さまの“期待を超える”存在となる」の実現に向け、「低炭素・脱炭素社会への貢献」「総合生活産業事業者への進化」「安全・安心の取り組みの強化」「経営基盤の強化」を四つの重点戦略として着実に取り組んできた。当期の売上高については、ガス販売量の増加や原料費調整制度による販売単価の上方調整によりガス売上高が増加したことなどから、前期に比べ 32.4%増加の118,757百万円となった。売上原価については、LNG等の原料価格の大幅な上昇の影響でガス原材料費が増加したことなどにより、前期に比べ56.6%増加した。この結果、営業利益は前期に比べ97.9%減少の39百万円、経常利益は72.2%減少の726百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は87.4%減少の219百万円となった。
セグメント別の業績は、次のとおりである。① ガス
当連結会計年度のガス販売量は、家庭用については、7月以降の気温や水温が前連結会計年度に比べ高めに推移した影響などにより、0.9%減少した。また、業務用については、お客さま設備の稼働が前連結会計年度と比べて改善し、4.5%増加した。この結果、ガス販売量合計では、前連結会計年度に比べ2.0%増加の709百万㎥となった。 ガス事業の売上高については、ガス販売量の増加や原料費調整制度による販売単価の上方調整により、前連結会計年度に比べ35.9%増加の93,570百万円となった。 費用面については、LNG価格高騰の影響で原材料費が増加した結果、営業利益は前連結会計年度に比べ29.2%減少の4,379百万円となった。
② 電力小売
電力小売事業の売上高は、販売量の増加や燃料費調整による販売単価の上方調整により、前連結会計年度に比べ42.3%増加の15,020百万円となった。一方でLNGや石油等の価格高騰の影響により購入電力料が増加したことから、1,069百万円の営業損失(前連結会計年度は1,473百万円の営業損失)となった。
③ 不動産
不動産事業の売上高は、前連結会計年度に比べ1.2%増加の1,375百万円となった。営業利益は7.5%増加の718百万円となった。
④ その他
ガス工事・ガス機器販売等その他の売上高は、前連結会計年度に比べ2.7%減少の11,014百万円となった。営業利益は前連結会計年度に比べ14.6%減少の789百万円となった。(注) 1 本報告書でのガス量はすべて1m3当たり45メガジュール(MJ)換算で表示している。
(2) 財政状態総資産は、前連結会計年度末に比べ15,697百万円増加の147,464百万円となった。これは、投資有価証券の増加などにより固定資産が8,192百万円増加したことや受取手形、売掛金及び契約資産の増加などにより流動資産が7,505百万円増加したことによるものである。負債は、前連結会計年度末に比べ11,602百万円増加の57,942百万円となった。これは、長期借入金の増加などにより固定負債が5,273百万円増加したことや支払手形及び買掛金の増加などにより流動負債が6,328百万円増加したことによるものである。純資産は、前連結会計年度末に比べ4,095百万円増加の89,521百万円となった。これは、その他有価証券評価差額金や退職給付に係る調整累計額が増加したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は58.9%となった。
(3) キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1,760百万円減少の6,914百万円の収入となった。これは、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比べ2,061百万円減少したことなどによるものである。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1,552百万円支出減少の15,631百万円の支出となった。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が前連結会計年度に比べ2,001百万円減少したことなどによるものである。財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ3,415百万円増加の10,095百万円の収入となった。これは、長期借入による収入が前連結会計年度に比べ4,500百万円増加したことなどによるものである。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,378百万円増加の13,119百万円となった。
(4) 生産、受注及び販売の実績当社グループにおいては、ガス事業が生産及び販売活動の中心となっている。
このため、以下はガス事業セグメントにおける生産及び販売の状況について記載している。
① 生産実績最近2連結会計年度におけるガスの生産実績は、次のとおりである。
製品
項目
前連結会計年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
ガス
製造ガス(千m3)
193,703
194,454
製品ガス仕入(千m3)
508,399
524,691
② 受注状況ガスについては、その性質上受注生産を行わない。
③ 販売実績ガスは、導管を通じて直接お客さまに販売している。最近2連結会計年度におけるガスの販売実績は次のとおりである。
項目
前連結会計年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
数量(千m3)
金額(百万円)
数量(千m3)
金額(百万円)
ガス販売
家庭用
330,149
46,074
327,271
55,474
その他
365,294
22,624
381,798
37,802
計
695,443
68,698
709,070
93,277
取付ガスメーター数(件)
1,030,025
1,039,263
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの販売活動の中心であるガス事業において、その販売量は気温・水温の変動により影響を受ける。家庭用ガス販売の主な用途は暖房・給湯需要であるため、暖冬の場合には販売量が減少し、減益要因となる。さらに、家庭用以外のガス販売では、商業施設やホテル向けを含む商業用や、学校や官公庁向けを含むその他用において、暖房・冷房用の需要が冬場・夏場の気温の変動の影響を受けるため、販売量が増減する。 また、当社グループが供給するガスの原料であるLNG等の価格は、原油価格や為替相場等の変動の影響を受ける。原料価格の変動は原料費調整制度によりガスの販売価格に反映され、中長期的には回収されるが、その反映までにタイムラグが生じることにより、連結会計年度末時点において経営成績等に影響を及ぼすことがある。
(6) 資本の財源及び資金の流動性当社グループの主な資金需要は、ガス導管を中心とした設備投資資金であり、そのための資金調達については、自己資金及び金融機関からの借入れを基本としている。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は32,809百万円、現預金残高は16,118百万円である。
(7) 目標とする経営指標の実績中期経営計画(2022-2024)の、当社の経営指標の実績は以下のとおりである。
中期経営計画(2022-2024)経営目標
2022年実績
①
低炭素・脱炭素社会への貢献に関する目標
事業活動に伴うCO2の削減50%
ペーパーレス化の推進、EV車両等の導入検討、カーボンクレジットの取得
カーボンニュートラルガスの導入1%
1.0%
再生可能エネルギー電源の開発55地点
59地点
R&Dの推進(脱炭素・SDGsへの貢献)
R&Dに資する国内外再エネファンドやプロジェクトへの出資検討
②
総合生活産業事業者への進化に関する目標
お客さまアカウント数の獲得136万件
131.5万件
③
安全・安心の取り組みの強化に関する目標
保安の高度化
重大事故ゼロ
スマートメーターの導入開始
実証試験実施
レジリエンスへの投資100億円
40億円
④
経営基盤の強化に関する目標
DXの推進(新たな価値の提供)
戦略策定実施
ダイバーシティ&インクルージョンの推進(個性を活かし合う組織風土の実現による 定着率向上)
入社後3年以内離職率:6.8%
⑤
経理指標に関する目標
連結経常利益180億円以上(2022-2024累計)
7億円
(8) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されている。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項については、入手可能な情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づき、会計上の見積りを行っている。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。① 退職給付債務の算定
当社及び一部の連結子会社は、確定給付型の制度として、退職一時金制度を設けている。 また、当社は確定給付企業年金制度(キャッシュバランス類似制度)及び確定拠出年金制度を、一部の連結子会社は中小企業退職金共済制度を採用している。 退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や期待運用収益などにより算定しているが、これらの前提条件が変動した場合、将来の退職給付費用に影響を与える可能性がある。 なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)2 確定給付制度 (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載している。
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