【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社グループは、資本市場における財務諸表の国際的な比較可能性の向上及びグループ内での会計処理の統一等を目的とし、2016年3月期から従来の日本基準に替えて国際会計基準(IFRS)を任意適用し、連結財務諸表を作成し開示しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
(2021年12月31日)
当連結会計年度
(2022年12月31日)
対前連結会計年度
増減率(%)
資産合計
264,141
307,257
16.3
流動資産
77,972
128,539
64.9
非流動資産
186,168
178,717
△4.0
負債合計
137,404
114,388
△16.8
流動負債
46,106
67,109
45.6
非流動負債
91,298
47,278
△48.2
資本合計
126,736
192,869
52.2
親会社の所有者に帰属する持分
111,024
192,518
73.4
非支配持分
15,711
350
△97.8
(資産、負債及び資本の状況)
当連結会計年度末の資産合計は3,072億57百万円となり、前連結会計年度末と比較して431億16百万円増加いたしました。これは主としてJMDCの株式の一部を譲渡し連結の範囲から除外したことに伴う流動化及びその他の金融資産として再評価したことによる増加であります。科目別の詳細は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度にPEAG, LLC dba JLab Audio(以下「JLab」という。)の企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行ったことにより、前連結会計年度の各数値は修正再表示しております。
流動資産は、505億67百万円の増加となりました。これは主に現金及び現金同等物が582億95百万円増加し、売上債権及びその他の債権が70億30百万円減少したことによるものであります。
非流動資産は、74億50百万円の減少となりました。これは主にその他の金融資産が325億8百万円増加し、使用権資産が57億73百万円、のれんが235億90百万円、無形資産が47億62百万円減少したことによるものであります。
負債合計は230億16百万円の減少となりました。これは主に未払法人所得税が342億25百万円、繰延税金負債が65億95百万円増加し、仕入債務及びその他の債務が69億86百万円、借入金(流動・非流動)が475億65百万円、契約負債が31億68百万円、リース負債(流動・非流動)が58億5百万円減少したことによるものであります。
資本合計は、661億33百万円の増加となりました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益1,015億48百万円等に伴って利益剰余金が943億15百万円増加し、その他の資本の構成要素が128億76百万円、非支配持分が153億60百万円減少したことによるものであります。
資本の財源及び資金の流動性に関しては以下のとおりであります。
2022年1月より開始した「中期経営計画 FY25」において、当社グループでは純有利子負債EBITDA倍率が3倍を超過しない範囲を目安として調達をコントロールしております。
2023年12月期に計画している主な設備投資はものづくり(部品・材料)セグメントにおける生産設備とものづくり(音響機器関連)セグメントにおける基幹系システムのリプレイス等であります。その他、提出日現在、大規模な投資計画については予定しておりません。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大等により、一定の影響を受ける可能性があるため、その対策として、当社グループは手元現預金を一定の水準で保っており、親子間の融資を機動的に実施できる体制にしております。さらに当社及び一部の連結子会社は取引金融機関との間で短期借入枠を設定し、外部からの資金調達も可能な状態としております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物のアロケーション及び借入枠の未使用残高は以下のとおりであります。
(国内会社保有分) 91,008百万円
(海外子会社保有分) 5,428
(借入枠の未使用残高) 19,739
2022年2月25日に「ヘルスケア」セグメントのうち医療情報に関する事業を担っていたJMDCの株式の一部を譲渡し連結の範囲から除外し、コア事業である「ものづくり」事業の収益力・組織力の強化に集中的に取り組む基盤を作ってまいりました。JMDCの連結除外を機に「ヘルスケア」セグメントを廃止し、「ものづくり」セグメントの内訳であった「部品・材料」「音響機器関連」また従来の「ヘルスケア」セグメントに属していた医療検査に関する事業はその重要性から「その他」とした、3つの報告セグメントに変更しております。
当連結会計年度における事業の状況は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度にJMDCとその子会社を非継続事業に分類したこと、JLabの企業結合に係る取得対価の配分が完了したことにより、前連結会計年度の各数値は修正再表示しております。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比
売上収益
54,481
73,515
19,034
(34.9%)
事業EBITDA(注)
10,739
11,367
628
(5.8%)
営業利益
6,068
1,262
△4,806
(△79.2%)
税引前当期利益
5,315
3,944
△1,370
(△25.8%)
親会社の所有者に帰属する当期利益
5,115
101,548
96,433
(-%)
基本的1株当たり当期利益(円)
143.58
2,848.36
2,704.78
(-%)
(注) 事業EBITDA=営業利益±その他の収益・費用+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)
(売上収益)
2021年5月に「音響機器関連」事業にJLabが加入したこと、またDJ機器については欧米の需要回復により増収となったこと、「部品・材料」事業においても引き続きMIM事業の顧客の生産調整等のマイナス影響を受けているものの、ペン先事業においては順調に販売が伸びたことにより増収となり、売上収益は735億15百万円(前年同期比34.9%増)となりました。
(事業EBITDA)
主として部材の調達コストや、原油の高騰等による光熱費が前年同期に比較し増加したこと、また欧州における関税区分の指導通知を受け、追加の関税費用を保守的に3年分見積ったため原価率が悪化しました。また、将来のための投資(研究開発、生産体制の強化等)はおおむね予定通りに実行しており、その結果事業EBITDAは113億67百万円(前年同期比5.8%増)となり、増収による影響は限定的なものにとどまりました。
(営業利益)
非金融資産の減損テストにおいて、米国金利上昇などに伴い、JLabの株式価値の計算過程に用いる割引率が大きく上昇しました。JLabは、輸送リードタイムの長期化や輸送コストの高騰などの外部要因がある中でも、米国市場において前年対比+6%*1、米国外の市場では+46%の成長をしており、コスト削減等にも取り組んでおりますが、主に割引率の上昇を受け、59億円の減損損失をその他の費用に計上し、営業利益は12億62百万円(前年同期比79.2%減)となりました。
*1 出典:NPD Group, Inc。米国におけるトゥルーワイヤレスイヤホンのカテゴリにおける販売金額の対前期成長率
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
JMDCの株式の一部を譲渡したことにより、その売却益や再評価に関連する収益と関連する税金費用を非継続事業からの当期利益に974億22百万円計上しました。また、主に外貨建ての金融資産の為替相場が大きく有利に働いたことによる金融収益を64億52百万円計上し、持分法投資の株価の市場価格の下落による減損損失相当の持分法投資損失を20億64百万円計上しました。それらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,015億48百万円(前年同期は51億15百万円)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
各セグメント別の売上収益は外部顧客への売上収益を記載しており、また、セグメント利益を表す事業EBITDAは営業利益±その他の収益・費用+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)の計算式で算出しております。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比
売上収益
事業EBITDA
事業EBITDA
マージン
(%)
売上収益
事業EBITDA
事業EBITDA
マージン
(%)
売上収益
事業EBITDA
事業EBITDA
マージン
(pt)
ものづくり
部品・材料
12,282
4,185
34.1
12,717
3,718
29.2
434
△466
△4.8
音響機器関連
41,107
7,076
17.2
59,516
8,234
13.8
18,408
1,158
△3.4
合計
53,390
11,261
21.1
72,233
11,953
16.5
18,842
691
△4.5
その他
1,090
273
25.0
1,282
272
21.3
191
△0
△3.8
全社費用
-
△795
-
-
△858
-
-
△63
-
a.ものづくり(部品・材料)
部品・材料事業においては、MIMについては販売先の在庫調整などの影響を受け前年対比が横ばいとなったものの、筆記においては堅調に販売は進捗し、増収となりました。しかし、物流コストの増加、原油高騰等に伴う電力料金及び原材料の価格上昇などの外部環境の変化を受け、一部販売価格の見直しは開始しましたが、売上収益は127億17百万円(前年同期比3.5%増)と増加したものの、事業EBITDAは37億18百万円(前年同期比11.1%減)と前年同期と比べ4億66百万円の減益となりました。
b.ものづくり(音響機器関連)
音響機器関連事業においては、2021年5月にJLabがグループに加入したこと、またAlphaTheta株式会社においても強い需要に支えられ増収となりましたが、足元回復基調ではありますが期初からの世界的な物流の混乱の影響や半導体不足等による調達難からマージンが低下していることに加え、欧州の関税区分の指導通知を受け、追加の関税費用を保守的に見積ったことなどにより、売上収益は595億16百万円(前年同期比44.8%増)、事業EBITDAは82億34百万円(前年同期比16.4%増)と前年同期と比べ11億58百万円の増益となりました。
c.その他
その他の事業は、売上収益は12億82百万円(前年同期比17.6%増)、事業EBITDAは2億72百万円(前年同期比0.1%減)と前年同期と比べほぼ横ばいとなりました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
3,907
11,738
投資活動によるキャッシュ・フロー
△40,460
93,391
財務活動によるキャッシュ・フロー
4,275
△47,586
現金及び現金同等物の為替変動による影響額
821
752
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
△31,455
58,295
現金及び現金同等物の期末残高
38,141
96,436
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ582億95百万円増加し、964億36百万円となりました。これは主としてJMDCの株式の一部を譲渡したことによる資金の増加によるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは117億38百万円の資金の増加となりました。
表示科目単位での資金の増加の主な要因は、非継続事業からの税引前当期利益1,471億75百万円、減価償却費及び償却費52億51百万円、固定資産に係る損益59億34百万円となっております。資金の減少の主な要因は、子会社株式売却益1,007億26百万円、投資有価証券評価益461億8百万円となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは933億91百万円の資金の増加となりました。
表示科目単位での資金の増加の主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入962億円となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは475億86百万円の資金の減少となりました。
表示科目単位での資金の増加の主な要因は、長期借入れによる収入350億円となっております。資金の減少の主な要因は、長期借入金の返済による支出750億44百万円となっております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
ものづくり(部品・材料)
12,280
1.4
合計
12,280
1.4
(注)1 金額は標準的販売価格にて算出しております。
2 上記には非継続事業からの実績は含んでおりません。
3 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は変更後のセグメント区分に組み替えた数値に基づき算出しております。
b.仕入実績
ものづくり(音響機器関連)セグメントにおいては、ファブレス経営を実施しております。
製造委託の仕入実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
ものづくり(音響機器関連)
30,373
71.8
合計
30,373
71.8
(注)販売増加により、仕入実績が増加しております。
c.受注実績
当社グループは、受注生産方式の該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
ものづくり(部品・材料)
12,717
3.5
ものづくり(音響機器関連)
59,516
44.8
その他
1,282
17.6
合計
73,515
34.9
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 総販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。
3 上記には非継続事業からの実績は含んでおりません。
4 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は変更後のセグメント区分に組み替えた数値に基づき算出しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、「No.1/Only1を創造し続ける事業グループ」を目指し、事業活動を行っております。当連結会計年度において従来の「ヘルスケア」セグメントのうち医療情報に関する事業を担っていたJMDCの株式の一部を譲渡し連結の範囲から除外し、コア事業である「ものづくり」事業の収益力・組織力の強化に集中的に取り組む基盤を作ってまいりました。JMDCの連結除外を機に「ヘルスケア」セグメントを廃止し、「ものづくり」セグメントの内訳であった「部品・材料」「音響機器関連」また従来の「ヘルスケア」セグメントに属していた医療検査に関する事業はその重要性から「その他」とした、3つの報告セグメントに変更し、基盤事業の収益力・キャッシュ創出力の向上を図ってまいりました。当社グループは収益力・成長分野への投資実効性の指標として、事業EBITDAを重要な管理指標として結果を分析、評価しております。その詳細は「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当連結会計年度は中期経営計画 FY25の開始の年度でありました。FY25に事業EBITDA175億円を目標に各重要施策を推進してまいります。当連結会計年度の目標に対する進捗状況は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営目標」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、当連結会計年度において保有していたJMDCの株式の一部を譲渡し連結の範囲から除外しました。詳細は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、当該売却によって得た資金により、一部金融機関からの借入金の返済と特別配当の実施を行いました。またノンリコースローンからコーポレートローンへのリファイナンスを実施し、より効率的で機動的な財務状況といたしました。これらの結果、当連結会計年度末は、前連結会計年度末と比較し582億95百万円の資金の増加となりました。
資金の流動性については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
引き続き、基盤事業の収益力を高め、成長分野に適切に投資し、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載しております。
