【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は153,401百万円であり、前連結会計年度末に比べ5,458百万円増加しております。流動資産は93,161百万円と前連結会計年度末に比べ5,636百万円増加しました。これは主に、安定供給に向けた政策的な在庫の積み増し等に伴う棚卸資産の増加及び資金の借入れによる現金及び預金の増加によるものです。固定資産は60,240百万円と前連結会計年度末に比べ177百万円減少しました。
負債合計は63,480百万円であり、前連結会計年度末に比べ3,863百万円増加しております。これは主に、仕入債務の増加及び短期借入金の増加によるものです。
純資産合計は89,921百万円であり、前連結会計年度末に比べ1,595百万円増加しております。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益による利益剰余金の増加及び配当金の支払いによる利益剰余金の減少、並びに子会社株式の追加取得による資本剰余金の減少によるものです。
これらにより当社グループの流動比率は182.0%、自己資本比率は58.6%となり、その他の要素も含め、健全な財政状態を維持しております。
②経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策の規制緩和により社会経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢をはじめとした地政学的リスクの高まりによるサプライチェーンの混乱や急激な円安の進行等により、景気の先行きは不透明な状況が継続しています。
当社事業に関連の深い国内建設市場におきましては、新設住宅着工戸数は全体的に弱含みで推移したほか、原材料価格の高騰やエネルギーコストの上昇が顕在化するなど、経営環境は予断を許さない状況となりました。
このような状況下で、当社グループは、中期経営計画に基づく施策を着実に進め、国内におけるバリューチェーン上のポジション強化として、9月には九州エリアの有力配送企業である有限会社クロス企画をグループ会社化し、地域に根差した配送機能を拡充したほか、壁紙製造メーカーのクレアネイト株式会社の新工場建設に向けた準備を進めました。一方、原材料価格の高騰や物流コストの上昇等を背景に、2021年9月、2022年4月に実施した商品取引価格の改定に続き、2022年10月1日受注分より第三次取引価格改定を行い、インテリア事業における収益性の改善を進めました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高81,726百万円(前年同期比16.8%増)、営業利益8,998百万円(同232.6%増)、経常利益9,267百万円(同231.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,238百万円(同287.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(インテリアセグメント)
壁装事業では、住宅市場において量産壁紙見本帳「SP」の売上が堅調に推移したほか、非住宅リニューアル市場の回復傾向に伴い、粘着剤付化粧フィルム「リアテック」が好調に推移しました。また、6月に発刊したガラスフィルム見本帳「クレアス」では、商品開発部門と営業部門との連携した販促活動強化により、脱炭素社会の実現に向けた低環境負荷商品「クリエイシア90」や、高いデザイン性を持つ「Fog(フォグ)」シリーズが市場に浸透したことで、売上が伸長しました。これらの結果、壁装材の売上高は34,820百万円(前年同期比17.0%増)となりました。
床材事業では、住宅・非住宅で幅広く使用できるビニル床タイル見本帳「フロアタイル」の売上が引き続き堅調に推移しました。非住宅リニューアル市場においては、オフィス市場を中心にカーペットタイル「NT700」が好調に推移したほか、置敷き帯電防止ビニル床タイル「OT」も、ラインアップの拡充により市場から高い評価を受けました。また、医療・福祉施設分野の回復により、各種施設向けフロア見本帳「Sフロア」の売上が拡大しました。これらの結果、床材の売上高は23,991百万円(同12.0%増)となりました。
ファブリック事業では、新設住宅着工戸数における持家の減少の影響もあり、オーダーカーテン市場全体に縮小傾向が見られた中でも、カーテン見本帳「ストリングス」は好調に推移しました。また、ワンプライスによる選びやすさを追求したカーテン見本帳「シンプルオーダー」では、商品ラインアップの拡充と新たに掲載したロールスクリーンが市場から高い評価を受け、売上が伸長しました。株式会社サンゲツヴォーヌでは、B to C事業の強化策として、EC事業におけるWEBサイト専用のオリジナル商品の拡大や、ユーザビリティの向上を図りました。カーテン販売を中心としたビルダーサービスを行うJoyplus事業においては、広島・九州で事業を開始するなど、営業拠点の拡大を進めました。これらの結果、カーテンと椅子生地を合わせたファブリックの売上高は4,547百万円(同18.8%増)となりました。
インテリアセグメントにおいては、壁装事業、床材事業、ファブリック事業、各事業において4月1日受注分より実施した取引価格改定の浸透により、売上高・営業利益共に伸長しました。施工費や接着剤等を含むその他の売上3,211百万円(同13.3%増)を加え、インテリアセグメントにおける売上高は66,571百万円(同15.1%増)、営業利益は9,326百万円(同199.1%増)となりました。
(エクステリアセグメント)
エクステリアセグメントを担う株式会社サングリーンにおいては、住宅市場では新設住宅着工戸数における持家の減少や、前期末における価格改定後の反動減により、全体的に停滞する動きが見られました。一方、物置やガレージにおいては、8月の価格改定を前にした需要増加の影響もあり堅調に推移しました。また、非住宅市場では、同社のスペースクリエーション事業本部によるエクステリアの空間提案活動が奏功し、医療施設やオフィスなどの物件を獲得しました。さらに、同社ではスペースクリエーション事業の拡大に向けて、専門人材の拡充や事業体制の整備等の施策を実行しております。
これらの結果、エクステリアセグメントの売上高は2,895百万円(前年同期比2.6%増)となりましたが、人材拡充施策等による販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益は169百万円(同33.1%減)となりました。
(海外セグメント)
海外セグメントでは、海外関係会社の2022年1月から6月までの実績を、第2四半期連結累計期間の業績に算入しております。
北米市場では、経済全体の回復傾向の中で、事業と関わりの深い非住宅建設市場にも復調が見られ、主要マーケットであるホテル市場をはじめ、オフィス・医療分野での売上が伸長しました。また、原材料価格等のコスト上昇に対する販売価格転嫁の浸透、自社製造壁紙における継続的な新商品の発売による売上拡大、不採算事業の撤退により、収益性が改善しました。
東南アジア市場では、一部で人の移動や観光業の回復に課題は残るものの、全体としては経済活動の再開が見られました。こうした状況下で、主力のホテル市場をはじめ、以前より開拓市場として注力していた住宅市場や医療・福祉市場での売上が伸長しました。
中国・香港市場では、新型コロナウイルス感染症の再拡大により観光客の制限及び各地での厳格なロックダウンが実施されるなど、依然として厳しい状況が継続しました。このような状況下で、新規顧客の獲得に向けた営業活動や、人材体制の整備を行い、事業基盤の強化に努めました。
これらの結果に加え、北米市場で一部商品の撤退による在庫の評価損を計上したことにより、海外セグメントにおける売上高は9,422百万円(前年同期比27.5%増)、営業損失は600百万円(前年同期は営業損失624百万円)となりました。
(スペースクリエーションセグメント)
スペースクリエーションセグメントのうち、主に施工部門を担うフェアトーン株式会社においては、非住宅市場におけるオフィスリニューアルの需要拡大を背景に大型案件を獲得し、売上が伸長したほか、当社と連携した営業活動により、ホテル市場においても売上が拡大しました。また、成長戦略の一環として、9月にフェアトーン株式会社のグループ会社である株式会社壁装が新たに東京支店を開設するなど、施工力の地理的拡大に努めました。
主にデザイン部門を担う当社のスペースクリエーション事業部においては、幅広い分野への営業活動が奏功し、主軸であるオフィスをはじめ、レジデンシャル物件など多様な物件の改修工事の増加が売上に貢献しました。また、専門人材の獲得など事業領域の拡大を目指した施策を実行したほか、グループの総合力でスペースクリエーション企業を具現化した新オフィス「関西支社センターオフィス」が、第35回日経ニューオフィス賞「近畿ニューオフィス 奨励賞」と2022年照明施設賞「関西支部照明施設奨励賞」を受賞しました。
これらの結果、スペースクリエーションセグメントの売上高は3,580百万円(前年同期比32.5%増)、営業利益は127百万円(前年同期は営業損失34百万円)となりました。
(サステナビリティの取り組み)
当社グループは、サステナビリティを事業と一体として考え、事業活動を通じて持続可能な社会を実現するため、長期ビジョン[ DESIGN 2030 ]において「みんなで(Inclusive) いつまでも(Sustainable) 楽しさあふれる(Enjoyable)社会の実現」を掲げ、注力しています。8月には、この長期ビジョンの実現に向けた財務・非財務情報を集約し、価値創造ストーリーを軸に分かりやすくまとめた統合報告書「SANGETSU REPORT 2022」を発行しました。
また、SDGsの推進に関する取り組みとして、8月には株式会社サンゲツ沖縄が、地域に根差したさまざまな活動を評価され、「おきなわSDGsパートナー」に認定されました。
環境に関する取り組みでは、持続可能な社会の実現に向けた商品開発を進め、10月には100%リサイクル糸を使用した低環境負荷カーペットタイル「NT700 Fiber Eco」を発売しました。さらに、10月に地球環境や生活環境の向上につながる商品として、カーペットタイル「NT double eco」、壁紙「MEGUReWALL(メグリウォール)」、ガラスフィルム「クリエイシア90」、ロールスクリーン「CS(シーエス)ロールスクリーン」の4商品が「2022年度グッドデザイン賞」を受賞しました。また、現在計画中のクレアネイト株式会社の新工場においては、GHG排出量の削減を目指し、メイン燃料を従来の重油から液化天然ガス(LNG)に変更するほか、太陽光パネルの設置を行うなど、環境にも配慮した新工場建設を予定しています。
社会参画活動では、各地で継続的に実施している児童養護施設への内装改装支援に加え、新たに「こども食堂」での新築内装施工支援を行うなど、活動の幅を拡大しました。なお、当活動では当社だけではなくグループ会社である株式会社サンゲツヴォーヌの社員も参加し、グループ全体での取り組みを進めました。また、社員による海岸清掃活動を各地で実施するなど、漁網などをリサイクルしたカーペットタイル「NT double eco」との連動企画に取り組みました。
当社グループはこれからも、サステイナブルな社会の実現に向けた取り組みを強化し、全てのステークホルダーとともに、新しい価値創造のよろこびを分かち合える企業になることを目指してまいります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,715百万円増加し、19,601百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は7,067百万円(前年同期は2,535百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益による収入9,297百万円及び棚卸資産の増加額3,039百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は267百万円(前年同期は602百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入595百万円及び有形固定資産の取得による支出418百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,883百万円(前年同期は3,900百万円の使用)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出2,763百万円及び配当金の支払額2,051百万円などによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、174百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。