【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行が進められる中で、政府による各種政策の効果もあって景気は緩やかに持ち直す動きがみられました。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰や日米金融政策の違いによる急激な円安が企業コストを押し上げたことで、価格転嫁の動きが強まり物価は上昇しました。ただし、物価上昇率に賃金上昇が追いついておらず実質賃金が減少することで個人消費の減速リスクは高まっており、持続的な成長軌道を描けるまでには至っていない状況です。また、世界的な金融引締めが続く中、海外景気の下振れによるわが国経済への下押し圧力も懸念され、依然として先行きは不透明な状況が続いています。
FX市場におきましては、ボラティリティの高い相場展開が続きました。2022年4月に1米ドル=121円65銭で始まった米ドル/円相場は、米国の長期金利上昇や米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め長期化に対する懸念の高まり、さらに、日銀による金融緩和方針継続姿勢の明確化などにより、日米金利差拡大を意識した円安ドル高の流れが続き、10月下旬には151円台後半と32年ぶりの水準まで円安が進行しました。その後、日銀による為替介入、11月の米国連邦公開市場委員会(FOMC)声明文による利上げペース減速の可能性の示唆、日銀による金融緩和政策修正の兆候の表れなどの影響により円は買い戻され、1月中旬には1米ドル=127円台前半となりました。しかしながら、FRBが金融引き締めを継続するとの見方が広がると、大規模な金融緩和を維持する日銀との方向性の違いから円売りが加速し、3月上旬には137円台後半まで円安に転じました。一方、3月10日に発生した米銀破綻をきっかけに米欧の金融システム不安が高まったことから、低リスク通貨とされる円の買いが膨らみ、当連結会計年度末は1米ドル=132円79銭で取引を終了しました。
このような市場環境のもと、当社グループの主力事業であるFX取引事業を中核とする金融商品取引事業は、子会社であるトレイダーズ証券において、『みんなのFX』(FX証拠金取引)、『LIGHT FX』(FX証拠金取引)、『みんなのシストレ』(自動売買ツールを利用したFX証拠金取引)、『みんなのオプション』(FXオプション取引)、『みんなのコイン』(暗号資産証拠金取引)及び『LIGHT FXコイン』(暗号資産証拠金取引)のサービスを提供し収益確保を図ってまいりました。収益を確保する上で重要な指標となる顧客からの預り資産は、前期に引き続き好調な伸びを示し、当連結会計年度末において803億66百万円(前連結会計年度末比112億37百万円増、16.3%増)まで増加しました。当連結会計年度のトレーディング損益は、上記の預り資産の増加により87億57百万円(前年同期比21億72百万円増、33.0%増)と前期に記録した過去最高収益を更新しました。
また、子会社であるNextop.Asiaが営むシステム開発・システムコンサルティング事業は、トレイダーズ証券向けにFX取引システムの開発及び保守・運用を行うとともに、外部顧客向けにFX取引及び暗号資産証拠金取引に関連したシステムの開発及び保守・運用を行い収益の確保を図ってまいりました。当連結会計年度のシステム開発・システムコンサルティング事業における外部顧客に対する営業収益は、3億43百万円(前年同期比84百万円減、19.6%減)と前年同期を下回りました。なお、Nextop.Asiaは、2023年4月24日をもって商号を株式会社FleGrowthに変更しております。
以上の結果、営業収益合計は、91億94百万円(前年同期比21億12百万円増、29.8%増)となり、金融費用、原価等を差し引いた純営業収益合計は、84億52百万円(前年同期比18億79百万円増、28.6%増)となりました。
一方、販売費及び一般管理費は47億10百万円(前年同期比5億8百万円増、12.1%増)と前年より増加となりましたが、要因は以下のとおりです。金融商品取引事業において広告宣伝費が増加したことにより取引関係費が22億9百万円(前年同期比3億76百万円増、20.5%増)に増加したこと及び営業収益増加に伴うシステムコスト増と本社移転により不動産関係費が5億88百万円(前年同期比1億17百万円増、25.0%増)に増加したこと等によります。
その結果、営業利益は、37億42百万円(前年同期比13億70百万円増、57.8%増)となりました。
営業外収益は、助成金収入7百万円等により11百万円(前年同期比5百万円減、33.1%減)となり、営業外費用は、支払利息13百万円及び為替差損5百万円等により23百万円(前年同期比5百万円減、19.5%減)となりました。
その結果、経常利益は、37億30百万円(前年同期比13億70百万円増、58.1%増)となりました。
特別利益は、子会社であるトレイダーズインベストメント株式会社が計上した投資有価証券売却益27百万円(前年同期は計上なし)により27百万円(前年同期比49百万円減、64.9%減)、特別損失は、スリランカの小水力発電所を所有するファンドへの投資から撤退したことによる事業整理損61百万円及び本社移転費用52百万円の計上等により1億27百万円(前年同期比67百万円増、113.9%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は32億17百万円(前年同期比10億28百万円増、47.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりです。
(金融商品取引事業)
トレイダーズ証券が営む当セグメントの営業収益は88億44百万円(前年同期比21億99百万円増、33.1%増)、セグメント利益は29億76百万円(前年同期比10億61百万円増、55.4%増)となりました。
なお、FX取引事業・暗号資産証拠金取引事業の当連結会計年度末における顧客口座数、預り資産は以下のとおりとなりました。
顧客口座数
500,763口座(前連結会計年度末比 37,005口座増)
預り資産
803億66百万円(前連結会計年度末比
112億37百万円増)
(システム開発・システムコンサルティング事業)
Nextop.Asiaが営む当セグメントの営業収益は25億8百万円(前年同期比3億25百万円増、14.9%増)となりました。同収益の内訳は、グループ会社であるトレイダーズ証券に対するFX取引システムの開発・保守運用等の内部売上が21億64百万円(前年同期比4億9百万円増、23.3%増)、外部顧客に対する売上が3億43百万円(前年同期比84百万円減、19.6%減)であります。セグメント利益は7億62百万円(前年同期比1億66百万円増、28.0%増)となりました。
② 当期の財政状態の概況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して142億18百万円増加し、883億17百万円となりました。これは主に、FX取引にかかる顧客分別金信託が112億93百万円増加したこと及び外国為替差入証拠金が24億30百万円増加したこと等によるものです。
負債合計は、前連結会計年度末と比較して114億93百万円増加し、763億42百万円となりました。これは主に、外国為替受入証拠金が115億93百万円増加したこと等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較して27億24百万円増加し、119億75百万円となりました。これは主に、剰余金の配当3億20百万円及び自己株式の取得3億2百万円の実行により減少したものの、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益が32億17百万円となり増加したこと及び譲渡制限付株式の発行により1億23百万円増加したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、営業活動により13億22百万円増加、投資活動により7億29百万円減少、財務活動により5億90百万円減少しました。この結果、資金は、前連結会計年度末と比較して8百万円増加し、52億35百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び当該増減の要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、13億22百万円の収入超過(前年同期は8億49百万円の収入超過)となりました。これは主に、顧客分別金信託の増加による112億93百万円の支出、FX証拠金取引等にかかる短期差入保証金の増加による25億61百万円の支出、といった資金減少要因があったものの、受入保証金の増加による117億3百万円の収入及び税金等調整前当期純利益36億30百万円等の資金増加要因により資金が増加したものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、7億29百万円の支出超過(前年同期は1億46百万円の支出超過)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による82百万円の収入があったものの、Nextop.Asiaのシステム投資としての無形固定資産の取得による3億54百万円の支出、本社移転にかかる有形固定資産取得による2億76百万円の支出及び本社敷金の差入1億57百万円の支出等により資金が減少したものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、5億90百万円の支出超過(前年同期は73百万円の収入超過)となりました。これは主に、配当金の支払による3億20百万円の支出及び自己株式の取得による3億2百万円の支出等により資金が減少したものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
システム開発・システムコンサルティング事業(百万円)
343
△19.6
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「金融商品取引事業」及び「その他」につきましては、生産活動を行っていないため記載を省略しております。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
システム開発・システムコンサルティング事業
544
△22.3
201
△26.4
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「金融商品取引事業」及び「その他」につきましては、受注生産形態をとっていないため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
システム開発・システムコンサルティング事業(百万円)
343
△19.6
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
⑤ 金融商品取引事業の業務の状況
a. FX取引の売買等の状況
区 分
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比
(%)
米ドル
(百万ドル)
1,139,425
2,459,491
115.9
メキシコペソ
(百万ペソ)
542,905
709,399
30.7
豪ドル
(百万ドル)
366,085
343,647
△6.1
英ポンド
(百万ポンド)
287,618
293,875
2.2
ユーロ
(百万ユーロ)
285,518
280,891
△1.6
南アフリカランド
(百万ランド)
161,427
94,020
△41.8
ニュージーランドドル
(百万ドル)
36,681
28,030
△23.6
トルコリラ
(百万リラ)
139,803
12,984
△90.7
ハンガリーフォリント
(百万フォリント)
-
8,193
-
人民元
(百万元)
5,264
5,713
8.5
その他
(百万通貨単位)
28,662
15,904
△44.5
合計
(百万通貨単位)
2,993,392
4,252,152
42.1
(注)「その他」には、FXオプション取引並びに暗号資産証拠金取引を含めております。
b. 自己資本規制比率
(単位:百万円)
前連結会計年度
2022年3月31日
当連結会計年度
2023年3月31日
基本的項目
(A)
6,687
8,717
補完的項目
その他有価証券評価差額金等
-
-
金融商品取引責任準備金等
-
-
一般貸倒引当金
22
10
長期劣後債務
-
-
短期劣後債務
100
100
計
(B)
122
110
控除資産計
(C)
525
734
固定化されていない自己資本の額
(A)+(B)-(C)
(D)
6,284
8,093
リスク相当額
市場リスク相当額
2
6
取引先リスク相当額
181
223
基礎的リスク相当額
1,163
1,452
控除前リスク相当額
(F)
1,348
1,682
暗号資産等による控除額
(第17条関係)
(G)
-
-
計 (F)-(G)
(E)
1,348
1,682
自己資本規制比率 (D) / (E) × 100
466.1%
481.1%
(注)1.金融商品取引業を営む子会社であるトレイダーズ証券の自己資本規制比率を記載しております。
2.上記は金融商品取引法第46条の6第1項の規定に基づき、「金融商品取引業等に関する内閣府令」で定められた計算方法により算出しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績や状況等を勘案して合理的と考えられる様々な要因に基づき判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
a. 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金について繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得の見積り及び繰延税金資産の回収可能性の判断等に当たっては、連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、課税所得の見積りは将来の経営環境の変化や当社グループの事業活動の推移、その他の要因により変化します。なお、将来、課税所得の予測に影響を与える諸要因に変化があり、当社が繰延税金資産の回収可能性がないと判断した場合には繰延税金資産を取り崩す処理を行うため、連結損益計算書の法人税等調整額が増加し、親会社株主に帰属する当期純利益が減少する可能性があります。
b. 貸倒引当金の計上基準
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討して回収不能見込額を計上しております。なお、将来、相手先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
c. 固定資産の減損処理
当社グループは、主にインターネットを通じた金融商品取引事業を営んでおり、これらの事業に関する取引システム等については当社グループで開発しているため、多くの固定資産を保有しております。これらの保有する固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の兆候があり、減損損失を認識すべきであると判断した場合には、固定資産の減損処理を行っております。なお、将来、営む事業の収益性の悪化や経営環境の変化等により、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりです。
a. 営業収益
当連結会計年度の営業収益は、過去最高収益を計上した前連結会計年度を大きく更新しました。好調を維持した主な理由は、金融商品取引事業において顧客預り資産金額が引き続き増加を遂げた中で、FX相場の変動率が高い状況において大きくトレーディング損益を計上できる態勢を整備できたことが最大の要因であると認識しております。当連結会計年度のFX市場は、第1四半期は米国の利上げ等を背景として記録的な円安となり活況な相場環境となったため営業収益が大きく増加しました。第2四半期前半は第1四半期の反動で相場の変動率が低かったものの後半に政府・日銀による円買い為替介入が実施されるなど非常に強いトレンドが形成され収益を稼ぐことができ、四半期ベースで見て今期の中では最も不調だったものの過年度と比較すると大きく営業収益を計上しました。第3四半期は日銀の金融政策決定会合で長期金利の変動幅拡大が許容されたことにより相場が活況となり営業収益は増加しました。第4四半期後半は米国での相次ぐ金融破綻の影響によりドル安円高に相場が変動しFX市場が大きく変動したことでより一層の営業収益の増加を達成し、3期連続で最高営業収益を更新することができました。営業収益の好調を維持できたことは、顧客預り資産の増加を第一の目標にかかげ、様々な施策を実行してきた当社の成果が実ったものと認識しております。
金融商品取引事業においては、戦略的なマーケティングによる費用対効果の向上を図るとともに、お客様目線に立った魅力ある施策の実行及びお客様に継続して取引を行っていただけるサービスの提供を心掛け事業を推進してまいりました。今後も、お客様に安全で快適な取引を行っていただけるよう最新のシステム環境の整備充実を図るとともに、継続して当社でお取引いただけるようカスタマーサービス体制のさらなる充実及び魅力ある商品の提供を実現するよう同事業を営むトレイダーズ証券に求めていくことが重要であると認識しております。
システム開発・システムコンサルティング事業においては、外部からの大型システム開発案件の受注が無かったことから、外部への売上は前連結会計年度以前に納品した暗号資産システム等にかかる運用・保守に関する収益が中心となり前連結会計年度に比べ減少しました。当連結会計年度における外部売上減少の要因は、Nextop.Asiaがトレイダーズ証券向けのオンラインFX取引システムの追加開発を行い機能・安全性の強化に努めるとともに、トレイダーズ証券向けの暗号資産CFDアプリケーションの開発に注力したことに起因するものと考えております。
今後も品質の高いシステムをお客様に提供できるように、Nextop.Asiaには、同社の海外子会社を含めてシステム開発・運用管理体制のより一層の整備・強化に努めるよう求めていくとともに、トレイダーズ証券向けのデリバティブ商品の多様化を早期に実現するため商品開発のスピード向上に向けた対応を求めていくことが重要であると認識しております。
b. 純営業収益
当連結会計年度の純営業収益は、前連結会計年度に比べ増加しました。増加の主な理由は、上記 a.と同様の理由により営業収益が増加したことによるものです。
c. 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ大きく増益となりました。販売費及び一般管理費が増加したものの、上記 b.純営業収益が大きく増加したことによります。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費が増加した第1の理由は取引関係費の増加です。取引関係費増加の主な理由は、『LIGHT FX』の営業収益が大きく増加し、収益に料率を乗じて支払う広告宣伝費が大きく増加となったためです。第2の理由は不動産関係費の増加です。不動産関係費増加の主な理由は、本社移転による不動産費の増加と営業収益増加に伴うシステムコストの増加です。
その結果、販売費及び一般管理費合計は前連結会計年度と比較しますと約12%増加しました。
販売費及び一般管理費については、費用が適正に配分されているか、支出金額は適正な水準となっているか等を継続して注視してまいります。
d. 経常利益
当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ大きく増益となりました。増益の主な理由は、上記 c. 営業利益までの利益が大きく増加したことによります。
e. 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ大きく増益となりました。増益の主な理由は、特別利益が減少したこと、特別損失が増加したこと及び法人税等が増加したものの、上記d.経常利益までの利益が大きく増加したことによります。
特別利益減少の主な理由は、前連結会計年度に計上したトレイダーズインベストメントが保有していた海外発行の転換社債型新株予約権付社債の償還益が当連結会計年度では発生しなかったことによります。特別損失が増加した理由は、当連結会計年度はトレイダーズインベストメントの海外投資案件を整理したこと及び本社移転費用を計上したことです。
法人税等が増加した主な理由は、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 重要な会計方針及び見積り a. 繰延税金資産の回収可能性」に基づき算出した当連結会計年度における繰延税金資産が前連結会計年度末に比べ増加したものの、当連結会計年度の連結税務所得が前連結会計年度の税務所得を上回り法人税、住民税及び事業税が増加したことによります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
(金融商品取引事業)
トレイダーズ証券が営む当セグメントの営業収益は、「② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a. 営業収益」に記載したとおりです。営業収益が前連結会計年度に比べ21億99百万円増加しましたが、販売費及び一般管理費が、レベニューシェア型の広告宣伝費及びNextop.Asiaへのレベニューシェア型のシステム利用料等の増加で前連結会計年度に比べ11億33百万円増加したことで、セグメント利益は前連結会計年度を10億61百万円上回りました。
トレーディング損益増加の源泉となる顧客預り資産の当連結会計年度末残高は、803億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ112億37百万円増加しました。
証券会社の財務指標となる自己資本規制比率は当連結会計年度末 481.1%(前連結会計年度末 466.1%)となり、財務の健全性を維持しております。
(システム開発・システムコンサルティング事業)
Nextop.Asiaが営む当セグメントの営業収益は、トレイダーズ証券からのFX取引システムの利用料及び外部へのシステム等に係る保守運用収入及び販売収入からなります。当連結会計年度における外部売上は、システム開発等の販売収入が減少し、前連結会計年度を84百万円下回りました。一方、内部売上はトレイダーズ証券のトレーディング損益が増加したことから、レベニューシェア型である同システム利用料収入が前連結会計年度に比べ4億9百万円増加しました。その結果、当セグメントの営業収益は、前連結会計年度を3億25百万円上回りました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ、取引関係費及び人件費)等の減少により72百万円減少しました。その結果、セグメント利益は、前連結会計年度を1億66百万円上回りました。
Nextop.AsiaではFX取引システム及び暗号資産CFDアプリケーション等の金融商品取引システムの開発を中心に行っており、優秀な開発人員の確保を含め、システム開発・運用管理体制を整備・強化し、当グループ内外へのシステムの安定的な提供を可能とする体制構築を図っております。
翌連結会計年度においては、「第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ③ 地政学的リスクへの対応」に記載しましたとおり、国内拠点における中長期的に安定したシステム開発体制の整備・拡充と専門要員の確保によるシステム品質の向上に向けて取り組むことで、中国・ベトナム・日本の3拠点における金融取引システムの開発・運用監視業務のバランスを重視した相互補完体制の構築を推進するために一定の投資を行ってまいります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、当社グループを取り巻く経営環境・事業環境・システム環境等の面から業績に影響を及ぼす事項について「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。
a. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 財務政策
当社グループが注力するFX取引事業は、カバー先金融機関に預託する証拠金や日々の取引損益の値洗いに伴う決済金、顧客区分管理信託の受払に伴う立替資金等多額の運転資金が必要となるため、事業を安定化させるためには多額の長期安定資金の確保が必要となります。資金繰りにおいては顧客の取引損益の増減により生じる日々のカバー先金融機関との決済、顧客区分管理信託の受払に関する必要額が予見しづらく、時として多額に上ることも想定されるため、手許の待機資金を十分厚く保持することが必要になります。とりわけ、海外カバー先金融機関からの資金の受取は1~2営業日の日数を要するため、トレイダーズ証券が一時的に多額の資金を立替えなくてはならない可能性があります。
当社グループの財務基盤は、業績の回復とともに改善してきており、利益の積み上げで資金が増加するとともに、金融機関からの融資の取り組みも徐々に増えてきております。しかしながら、当社の資金は、上記の資金需要をまだ十分に満たすには至っていないため、今後も金融機関に対する融資の交渉を続けるとともに、事業運営上の安定化を促進させるための取り組みを行ってまいります。また、万が一、将来において業績が悪化する等の状況に陥り、資金調達が必要と判断した場合には、金融機関等からの借入だけにとどまらず、第三者割当増資又は新株予約権等のエクイティ・ファイナンス及び社債等のデット・ファイナンス等、可能な限りの資金調達方法を検討し、実行することを考えております。
#C8704JP #トレイダーズHD #証券商品先物取引業セクター