【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は162,812百万円であり、前連結会計年度末に比べ1,642百万円減少しております。流動資産は102,219百万円と前連結会計年度末に比べ2,624百万円減少しました。これは主に、仕入価格の上昇及び新見本帳発売に向けた在庫の積み増し等に伴う棚卸資産の増加、季節変動による売上債権の減少ならびに借入金の返済等に伴う現金及び預金の減少によるものです。固定資産は60,593百万円と前連結会計年度末に比べ982百万円増加しました。これは主に、当社の連結子会社であるクレアネイト株式会社の新工場建設に伴う有形固定資産の増加によるものです。
負債合計は62,279百万円であり、前連結会計年度末に比べ6,349百万円減少しております。これは主に、法人税等の支払による未払法人税等の減少及び借入金の返済による減少によるものです。
純資産合計は100,532百万円であり、前連結会計年度末に比べ4,707百万円増加しております。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益による利益剰余金の増加及び配当金の支払いによる利益剰余金の減少によるものです。
これらにより当社グループの流動比率は204.0%、自己資本比率は61.7%となり、その他の要素も含め、健全な財政状態を維持しております。
②経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症5類移行後の経済活動の正常化による国内需要回復に加え、輸出増等の順調な動きが見られたのに対し、物価上昇が抑制要因となり、個人消費は弱含みとなりました。海外経済においては、米国ではコロナ禍期間中に蓄積された過剰貯蓄の取り崩しによる旺盛な個人消費の継続により経済に力強い動きが見られましたが、中国では広く関連産業を抱える不動産市場の低迷により経済全般は低調に推移しました。先行きの見通しも、欧米における金融政策の転換の時期・内容によっては景気がハードランディングとなるおそれも依然指摘されており、長期停滞の可能性も危惧される中国経済の状況と相まち、今後の経営環境には不透明性が継続しております。
このような不透明な経営環境下においても、当社グループは本年5月に見直した長期ビジョン[DESIGN 2030]に基づき、長期的な成長を達成するべくさまざまな積極的施策を準備・推進しています。本年5月に同時発表した中期経営計画[BX 2025](BX:ビジネストランスフォーメーション)では、2023年度から2025年度までを「次の飛躍に備える3年間」と位置づけ、商品・物流・施工・空間デザインといった各機能を活用したソリューション提案力を強化し、従来の主要商品・市場での拡張のみならず、今後成長が見込まれる商品群の拡充、エクステリア分野の事業領域・地理的拡大、海外事業の拡大・収益化を目指しております。
2023年7月には、これらの施策を着実に進めるために、従来の「商品軸」から「地域軸」へと組織の改編を実行し、国内・海外において事業を展開する地域単位での組織体制に改めて再編するとともに、機能面を支える組織として、「コーポレート部門」「ロジスティクス部門」「スペースプランニング部門(商品開発・空間デザイン・設計施工管理など)」を設置しました。
当該期間中の収益環境は、当社事業収益に直接的影響を与える国内建設市場において、住宅市場では住宅価格の上昇によって新設住宅着工戸数が低迷しました。その一方、非住宅市場では一部で回復の兆しがみられたものの、依然として力強い動きには至っておりません。さらに、業界全体における人件費や物流コストの上昇、原材料価格の高止まりの影響等は収益面での下押し圧力となっています。
このような市場環境下、主要商品である壁紙・塩ビシート・カーペット等の国内市場全体の出荷数量は前年比停滞ないし減少いたしましたが、当社は新体制発足以来注力してきた機能強化策により、ほとんどの商品において出荷数量は前年増を達成しております。しかしながら当該上半期の内訳を見ると、第1四半期は前年同期に第2次値上げ後の大幅な反動減があったことからの揺り戻し需要増があったのに対して、第2四半期は前年同期に第3次値上げ前の駆け込み需要があったことから出荷数量は前年比減少しております。価格面では2022年4月・10月に実行した値上げ効果により上期販売単価は前年比で上昇したものの、原材料価格の継続的な上昇による仕入コスト増により、値上げによる収益改善効果は限定的なものとなりました。また、中期経営計画に基づく成長戦略の施策としてキャリア採用を含めた専門人材の拡充やグループ会社と連携した室内外の空間提案力、物流・施工機能等の強化、ベースアップ等の処遇改善策を進めた結果、当社単体を中心に販売費及び一般管理費は大幅に増加いたしました。海外セグメントにおいては、中国・香港事業は不動産市場の低迷により回復が遅れているのに対して、北米事業の黒字化によりセグメント損失は大幅に改善いたしました。
これらの結果、売上高90,612百万円(前年同期比10.9%増)、営業利益10,259百万円(同14.0%増)、経常利益10,456百万円(同12.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7,121百万円(同14.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントを以下のとおり3区分に変更し、前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(国内インテリアセグメント)
国内インテリアセグメントにおいては、北日本・関東・中部・西日本・九州の各ビジネスユニットで構成する事業部門が中心となり、商品・物流・施工・空間デザイン機能を担う各部門と連携し、地域の顧客特性やニーズ、市場環境を踏まえた事業戦略の立案・実行を進めました。ロジスティクス部門においては、拠点間輸送をはじめとする在庫配送網の整備や、よりきめ細かな配送サービスを行う専任担当「サービスクルー」の拡充を行いました。スペースプランニング部門においては、企画開発ユニットにおける各地域での空間提案活動を進めたほか、商品ユニットでは、Sanderson Design Groupと共同で開発した、壁装材・床材・ファブリックのライセンスブランド見本帳「MORRIS CHRONICLES(モリスクロニクルズ)」を7月に発刊し、事業部門と連携して新ブランドの市場浸透を図りました。さらに、当社ならではのトレンド発信の場として、トレンドセミナー「Sangetsu Design Talks」をスタートするなど、スペースクリエーション企業としての新たな取り組みに着手しました。これらの活動に加え、従来から進めている各機能の強化が奏功し、成長戦略においてシェアや市場の拡大を見込む「中型商品」と位置づけた、リアテックやガラスフィルム、フロアタイル、カーペットタイル等の売上が伸長しました。また、中期経営計画の重点課題である「人的資本の拡大・高度化・活躍支援」においても、キャリア採用の拡大や社員の教育・研修制度の整備等の専門性の強化に向けた取り組みを着実に進展させました。
これらの結果、国内インテリアセグメントにおける売上高は76,346百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益は10,305百万円(同7.8%増)となりました。なお、壁装ユニットの売上高は37,527百万円(同9.1%増)、床材ユニットの売上高は26,703百万円(同12.5%増)、ファブリックユニットの売上高は4,517百万円(同0.2%増)、施工およびその他の売上高は7,597百万円(同13.1%増)となりました。
(国内エクステリアセグメント)
国内エクステリアセグメントにおいては、新設住宅着工戸数の低迷により厳しい状況が継続する中で、リフォーム物件や公共工事をはじめとする非住宅物件への営業活動に努めました。また、従来の商品販売だけでなく、外構の空間設計・施工を含めた提案や、㈱サングリーンと当社との協業によるエクステリアとインテリアの共同提案の取り組みは着実に進展しており、教育施設やマンション物件等での採用実績につながりました。一方、成長戦略に基づく人員の拡充や専門人材の採用、地理的拡大に向けた施策を進めた結果、販売費及び一般管理費は拡大しており、国内エクステリアセグメントの売上高は3,215百万円(前年同期比11.0%増)、営業利益は110百万円(同35.0%減)となりました。
(海外セグメント)
海外セグメントでは、海外関係会社の2023年1月から6月までの実績を、当第2四半期連結累計期間の業績に算入しております。
北米市場では、メイン市場であるホテル分野の回復基調が追い風となり、主力商品である自社製造壁紙の売上が伸長しました。また、自社製造壁紙の生産量増加に伴う生産効率の向上、前年に実施した不採算商品からの撤退に加えて、利益を意識した事業戦略等も奏功し、営業利益の黒字化を実現しました。
東南アジア市場においては、各国の建設需要が総じて回復基調となる中で、シンガポールやタイを中心に売上が堅調に推移しました。また、当社グループの壁紙製造メーカーであるクレアネイト社製の海外向け見本帳「goodwall SEED」の市場浸透に努めたほか、スペースクリエーション機能の整備として、各国の市場環境やニーズに応じた配送・施工・空間デザイン機能の構築を進めました。
中国・香港市場では、不動産市場の低迷や雇用環境の悪化による消費意欲の低下などを背景に、建設計画の遅れ・中止が発生するなど、依然として厳しい状況が続いています。このような状況下で、より安定的で強固な事業基盤の構築に向け、顧客・販路の拡大や「goodwall SEED」等の新商品の販促活動を行いました。
これらの結果、海外セグメントにおける売上高は11,069百万円(前年同期比16.8%増)、営業損失は157百万円(前年同期は営業損失726百万円)となりました。
(サステナビリティの取り組み)
当社グループは、サステナビリティを事業と一体として考え、事業活動を通じて持続可能な社会を実現するため、長期ビジョン[DESIGN 2030]において「みんなで(Inclusive) いつまでも(Sustainable) 楽しさあふれる(Enjoyable)社会の実現」を掲げ、活動を展開しています。
環境への取り組みとしては、6月に発刊した量産壁紙見本帳「SP」において、業界で初めて環境にやさしい非フッ素の撥水剤(PFCフリー)を使用した商品を収録したほか、壁装材・床材・ファブリックそれぞれにおいて、低環境負荷商品の開発を進めました。また、生物多様性や環境保全をテーマとした自然保護活動へ継続的に参加しました。
人的資本への取り組みでは、中期経営計画の社会価値における定量目標に基づき、健康経営の推進や女性管理職の積極登用等の施策を実行したほか、性別や年齢に関係なく安心して快適に働くことのできる職場環境の整備を進めました。また、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」の観点から、LGBTQ+に関するイベントへの参加や、性的マイノリティについての啓もう活動を行う特定非営利活動法人「ASTA」のサポーターとなるなど、多様な人材が活躍する社会づくりに向けて取り組みました。
社会資本への取り組みにおいては、2014年より実施している児童養護施設のリフォーム支援や、開発途上国の子どもたちに給食を届ける「TABLE FOR TWO」といった、社員が主体的に参加できる継続的な活動を実施しました。
当社グループは引き続き、新中期経営計画[BX 2025]に掲げる地球環境・人的資本・社会資本の目標達成に向けて、サステイナブルな社会の実現に向けた取り組みを強化し、全てのステークホルダーとともに、新しい価値創造のよろこびを分かち合える企業になることを目指してまいります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,594百万円減少し、23,171百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は4,782百万円(前年同期は7,067百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益10,495百万円、売上債権の減少額1,935百万円、法人税等の支払額5,515百万円及び棚卸資産の増加額2,127百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は32百万円(前年同期は267百万円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入2,165百万円、投資不動産の賃貸による収入215百万円、有形固定資産の取得による支出1,962百万円及び無形固定資産の取得による支出399百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は6,570百万円(前年同期は4,883百万円の使用)となりました。これは主に、資金の借入れによる収入5,342百万円及び返済による支出7,842百万円、配当金の支払額3,810百万円などによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、276百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。