【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の行動規制が大きく緩和され、社会、経済活動が復旧しております。一方でウクライナ情勢の長期化、世界的な物価の高騰など、景気の先行きは依然不透明な状況となっております。当社の属する医療・介護業界においては、オンライン診療の規制緩和措置が拡大し、調剤報酬改定による薬価の下落、在宅分野の点数が強化されるなど、薬局経営においても本格的に在宅医療への参入が求められている状況となっております。
このような経営環境のなか、当社は、企業理念である「患者さん(利用者さん)が24時間365日、自宅で「安心」して療養できる社会インフラを創る」を実現するため、在宅訪問薬局事業、きらりプライム事業、プライマリケアホーム事業を3本の柱とし、当社の目指す「プライマリーケアのプラットフォーム企業」に向け活動しております。当第2四半期会計期間では、在宅訪問薬局事業、きらりプライム事業が伸長し、第3の柱としてプライマリケアホーム事業の売上が大きく増加しており、第1四半期会計期間と比較し、収益面で大幅な回復となりました。
この結果、当第2四半期累計期間の売上高は3,899百万円(前年同期比23.0%増)となり、利益面では営業利益が201百万円(前年同期比21.1%減)、経常利益が199百万円(前年同期比24.2%減)、四半期純利益が134百万円(前年同期比24.7%減)となり、概ね当初の業績予想通りの着地となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当社は2023年1月13日に「プライマリケアホームひゅうが 春日ちくし台」を開設し、新たな事業を開始したことにより、2023年4月1日に社内組織及び事業管理区分を見直し、第1四半期会計期間から「プライマリケアホーム事業」を報告セグメントとし、「ケアプラン事業」を同セグメントに移管いたしました。また、「タイサポ事業」については、セグメント開示情報としての重要性が乏しくなっていると考えられるため「その他事業」セグメントに移管いたしました。
なお、当該変更に伴い、報告セグメントごとの経営成績の管理手法を変更しており、営業費用の一部について計上されるセグメント区分を変更しております。前第2四半期累計期間のセグメント情報については、変更後の報告セグメントの区分方法及び配賦方法に基づき作成しており、以下の前年同四半期比については、変更後のセグメント区分方法及び配賦方法に組み替えた数値で比較しております。
(在宅訪問薬局事業)
在宅訪問薬局事業では、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されるなか、コロナ治療薬の流通量は拡大傾向にある一方で、後発医薬品の供給問題は依然として継続しております。調剤報酬改定の影響としては、薬価が下落する一方で在宅分野(地域体制加算等)は増加しており、従来の外来型薬局の経営においては厳しさが増すなかで、当社のような在宅患者対応に強みがある企業には追い風となっております。
このような状況のなか、当第2四半期累計期間においては、2023年4月に「きらり薬局南風台店」(福岡県糸島市)及び2023年7月に「きらりプライム加盟店」から「アイ薬局」(東京都品川区)を事業承継により開局しました。
在宅患者数は、新たな高齢者施設との連携が進捗したことにより、9,178人(前年同四半期末比11.8%増)と好調に推移しております。また、自社開発した在宅訪問支援情報システム(ファムケア)を刷新し2023年4月より導入、オンライン服薬指導資格システムを導入するなど、システム投資を実施し導入費用が先行しております。さらに、前期から本格的にコロナウイルス治療薬の供給が拡大し、5類感染症移行にもかかわらず、当社では重症化リスクの高い高齢の患者様が多いこともあり、当第2四半期累計期間も引き続き薬価差益の低いコロナウイルス治療薬の増加及び後発医薬品の供給制限が発生しております。その結果、薬価差益の低い医薬品の売上構成が高まり、当第2四半期累計期間は引き続き医薬品の仕入原価率が高止まりし、前年同期比で3%程度高く推移しました。2023年10月よりコロナウイルス治療薬が自己負担となることから、処方量も減少する見込みで原価率の改善を予想しております。
以上の結果、売上高は3,218百万円(前年同期比14.9%増)、セグメント利益は297百万円(前年同期比12.3%減)となりました。
(きらりプライム事業)
きらりプライム事業は、中小規模の薬局と提携し、効率的な在宅型薬局の運営ノウハウの提供、人材研修、24時間対応のためのオンコール体制の支援、在宅型薬局特化型の在宅訪問支援情報システム(ファムケア)の貸与及び医薬品購入の支援などのサービスを行っております。
中小規模の薬局において在宅型薬局へのシフトチェンジが求められるなか、当事業では営業人員の増員、教育による体制の強化及びWeb広告の出稿拡大による加盟店増加施策を実施してまいりました。当第2四半期累計期間で加盟法人数は660社(前年同四半期末は514社)、加盟店舗数は1,855店舗(前年同四半期末は1,439店舗)となり、加盟薬局数は引き続き大幅に増加いたしました。しかし、当第2四半期会計期間では91店舗(28法人)が加盟する一方で、57店舗(15法人)が離脱しております。加盟店舗数の鈍化に関しては、加盟までのリードタイムが長いパッケージプランの営業に注力したことにより、加盟店数の獲得ペースに影響が出ましたが、一方でARPU(※)が増加しております。また、離脱理由は主に閉局などであり、第1四半期会計期間に続き基本料金のみで加盟していた法人が「サービス活用ができない」という理由で離脱しております。この売上減少のインパクトは小さいものの、既存加盟店をフォローする体制の強化が課題と考え、当社の在宅訪問薬局事業から経験豊富な人材を異動させることで対応しようとしております。
2023年4月からは、基本料金のみの加盟(セミナーの受講、在宅薬局運営に関する問合わせサービス)に始まり、徐々にサービスを追加するというスタイルから、基本料金・ファムケアの貸与・医薬品購入支援・在宅患者獲得支援などをセットにした年間100万円~400万円程度のサービスパッケージプランを開始しており、当第2四半期累計期間において22法人の受注を獲得しARPUの増加に寄与しました。
また、「在宅薬剤師マインドセット研修」となる「きらり塾」の開講、緩和ケア、技術料算定支援など、加盟店のニーズに対しカスタマイズしたコンサルティングサービスを展開しており、当第2四半期累計期間における新規加盟店のARPUが前年同期比の7.4万円から16.4万円となり、2倍以上増加しております。さらに、既存加盟店の当第2四半期会計期間のARPUは10.9万円となっており、第1四半期会計期間のARPU9.7万円に対して12.2%増加しました。
今後も新サービスの利用拡大に向けて営業活動を展開し、離脱防止や在宅訪問薬局参入にハードルを感じる潜在顧客に対するアプローチを強化してまいります。
以上の結果、売上高は377百万円(前年同期比37.0%増)、セグメント利益は205百万円(前年同期比43.1%増)となりました。
(※)ARPU:1店舗当たりの平均売上
(プライマリケアホーム事業)
プライマリケアホーム事業では、2023年1月13日に開設した「プライマリケアホームひゅうが 春日ちくし台」(定員102名)は、2023年5月に入居者及び施設従業員にコロナウイルス感染者が発生し、感染拡大防止のため一時的に入居者獲得活動が停止し、医療サービスの提供を制限し単月の売上が伸び悩むこともありましたが、2023年11月10日時点で88名(入居率86.2%)と順調に入居が進んでおり、施設単体では開設から約半年で月次損益が黒字転換しております。
また、2023年8月1日には福岡市博多区に2棟目となる「プライマリケアホームひゅうが 博多麦野」(定員162名)を開設し、2023年11月10日時点で入居者(入居予約・申込を含む)は83名となっており、想定以上の立ち上がりとなっております。
当第2四半期累計期間においては、「プライマリケアホームひゅうが 春日ちくし台」及び「プライマリケアホームひゅうが 博多麦野」の入居者獲得活動、介護・看護人材の採用活動を前倒ししたこと及び本格的な開設準備などにより、引き続きコストが先行する形となりました。
以上の結果、売上高は287百万円(前年同期比341.2%増)、セグメント損失は67百万円(前年同期はセグメント損失40百万円)となりました。
(その他事業)
当社のその他事業には、タイサポ事業及びICT事業を含めております。
タイサポ事業は、高齢者の施設等への入居サポートサービスでありますが、当第2四半期累計期間においては、医療・介護ネットワーク(医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー及び介護施設との連携網)を強化し、在宅訪問薬局事業及びきらりプライム加盟店へのシナジーを上げることや、プライマリケアホーム事業の入居推進活動に注力しました。
ICT事業においては、前事業年度に販売したICTディバイスについて高齢者施設の使用に関するフィードバックを得て、入居者のバイタル情報だけでなく、ベッドの離床センサー開発及びウェアラブル端末との統合や、より高齢者施設の運営効率化につながる改良を続けております。
ベッド離床センサーについては、介護保険の適用商品として認証を受け、自社施設で入居者に対して貸与サービスを開始しております。また、当第2四半期累計期間ではオムツセンサー(排せつ管理システム)を開発し、現在、当社施設にて実装テストを開始しております。今後は、当社が開発したICTディバイスを組み込み、実際の高齢者施設での運用方法を確立し、拡販を目指してまいります。
以上の結果、売上高は16百万円(前年同期比43.5%減)、セグメント損失は5百万円(前年同期はセグメント利益4百万円)となりました。
②財政状態
(資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産は2,552百万円となり、前事業年度末に比べ592百万円増加いたしました。これは主に、自己株式の買付資金として借入れた現金及び預金の増加286百万円、第1四半期会計期間から続く新型コロナウイルス感染症の増加に伴う処方箋枚数の増加等による売掛金の増加257百万円及び新店舗の開局等による商品の増加61百万円によるものであります。
固定資産は1,419百万円となり、前事業年度末に比べ464百万円増加いたしました。これは主に、新規案件の建物オーナーへの長期貸付金の増加260百万円及び新店舗開局のため土地の購入及び2023年8月1日に開設した「プライマリケアホームひゅうが博多麦野」のリース資産の増加等による有形固定資産の増加195百万円によるものであります。
その結果、総資産は3,971百万円となり、前事業年度末に比べ1,056百万円増加いたしました。
(負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債は1,917百万円となり、前事業年度末に比べ663百万円増加いたしました。これは主に、売上増加に伴う仕入増加等による買掛金の増加216百万円及び運転資金の調達を目的とした短期借入金の増加300百万円によるものであります。
固定負債は476百万円となり、前事業年度末に比べ299百万円増加いたしました。これは主に、自己株式の買付及び新店舗の出店費用調達を目的とした長期借入金の増加200百万円によるものであります。
その結果、負債合計は2,394百万円となり、前事業年度末に比べ963百万円増加いたしました。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産は1,576百万円となり、前事業年度末に比べ93百万円増加いたしました。これは主に、自己株式の買付により43百万円減少したものの、四半期純利益の計上に伴い利益剰余金が134百万円増加したことによるものであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は853百万円となり、前事業年度末に比べ286百万円増加いたしました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における営業活動の結果として増加した資金は、230百万円となり、前年同四半期に比べ133百万円収入の増加となりました。これは主に、税引前四半期純利益199百万円の計上及び新店舗開局により仕入債務の増減額が216百万円増加したものの、プライマリケアホーム事業の本格稼働等に伴う売上債権の増減額が257百万円増加したこと及び法人税等の支払額70百万円が計上されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における投資活動の結果として減少した資金は、436百万円となり、前年同四半期に比べ243百万円支出の増加となりました。これは主に、新店舗開局に伴う土地の購入等による有形固定資産の取得による支出115百万円の計上及び新規案件の建物オーナーに対する長期貸付けによる支出260百万円の計上によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における財務活動の結果として増加した資金は、491百万円となり、前年同四半期に比べ435百万円収入の増加となりました。これは主に、一時的な資金の流出に対応するため短期借入金の増加額300百万円の計上及び自己株式の買付及び新店舗の出店費用調達等を目的とした長期借入れによる収入300百万円の計上によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
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