【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第1四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の行動規制が大きく緩和され、社会、経済活動が復旧しております。一方でウクライナ情勢の長期化、世界的な物価の高騰など、景気の先行きは依然不透明な状況となっております。当社の属する医療・介護業界においては、オンライン診療の規制緩和措置が拡大し、調剤報酬改定による薬価の下落、在宅分野の点数が強化されるなど、薬局経営においても本格的に在宅医療への参入が求められている状況となっております。
このような経営環境のなか、当社は、企業理念である「患者さん(利用者さん)が24時間365日、自宅で「安心」して療養できる社会インフラを創る」を実現するため、在宅訪問薬局事業、きらりプライム事業、プライマリケアホーム事業を3本の柱とし、当社の目指す「プライマリーケアのプラットフォーム企業」に向け活動しております。当第1四半期累計期間では、在宅訪問薬局事業、きらりプライム事業が伸長し、第3の柱としてプライマリケアホーム事業を展開し売上が大きく増加しております。現段階ではそれぞれの事業拡大に向けた営業、運営体制を強化することに注力しており費用も先行して増加しております。
この結果、当第1四半期累計期間の売上高は1,795百万円(前年同期比17.0%増)となり、利益面では営業利益が55百万円(前年同期比56.7%減)、経常利益が55百万円(前年同期比59.8%減)、四半期純利益が36百万円(前年同期比60.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当社は2023年1月13日に「プライマリケアホームひゅうが 春日ちくし台」を開設し、新たな事業を開始したことにより、2023年4月1日に社内組織及び事業管理区分を見直し、当第1四半期会計期間から「プライマリケアホーム事業」を報告セグメントとし、「ケアプラン事業」を同セグメントに移管いたしました。また、「タイサポ事業」については、セグメント開示情報としての重要性が乏しくなっていると考えられるため「その他事業」セグメントに移管いたしました。
なお、当該変更に伴い、報告セグメントごとの経営成績の管理手法を変更しており、営業費用の一部について計上されるセグメント区分を変更しております。前第1四半期累計期間のセグメント情報については、変更後の報告セグメントの区分方法及び配賦方法に基づき作成しており、以下の前年同四半期比については、変更後のセグメント区分方法及び配賦方法に組み替えた数値で比較しております。
(在宅訪問薬局事業)
在宅訪問薬局事業では、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されるなか、コロナ治療薬の流通量は拡大傾向にある一方で、後発医薬品の供給問題は依然として継続しております。調剤報酬改定の影響としては、薬価が下落する一方で在宅分野(地域体制加算等)は増加しており、従来の外来型薬局の経営においては厳しさが増すなかで、当社のような在宅患者対応に強みがある企業には追い風となっております。
このような状況のなか、当第1四半期累計期間においては、2023年4月に「きらり薬局南風台店」(福岡県糸島市)を開局しました。今後、関東地域への出店も計画しており、従来の2事業部(東日本・西日本在宅訪問薬局事業部)7エリア制から、3事業部(東日本・西日本第1・第2在宅訪問薬局事業部)12エリア制に再編し、増加する店舗及び在宅患者の増加に対応する体制にしております。
在宅患者数は、新たな高齢者施設との連携が進捗したことにより、8,927人(前年同四半期末比11.3%増)と好調に推移しております。また、自社開発した在宅訪問支援情報システム(ファムケア)を刷新し2023年4月より導入、オンライン服薬指導資格システムを導入するなど、システム投資を実施し導入費用が先行しております。さらに、前期から本格的にコロナウイルス治療薬の供給が拡大し、5類感染症移行にもかかわらず、当社では重症化リスクの高い高齢の患者様が多いこともあり、当第1四半期累計期間も引き続き薬価差益の低いコロナウイルス治療薬が増加しております。また、後発医薬品の供給制限が発生し、薬価差益の高い商品の取り扱いが一部困難な状況が続いております。その結果、薬価差益の低い医薬品の売上構成が高まり、当第1四半期累計期間は引き続き医薬品の仕入原価率が高止まりし、前年同期比で3%程度高く推移しました。
以上の結果、売上高は1,505百万円(前年同期比11.4%増)、セグメント利益は124百万円(前年同期比19.1%減)となりました。
(きらりプライム事業)
きらりプライム事業は、中小規模の薬局と提携し、効率的な在宅型薬局の運営ノウハウの提供、人材研修、24時間対応のためのオンコール体制の支援、在宅型薬局特化型の在宅訪問支援情報システム(ファムケア)の貸与及び医薬品購入の支援などのサービスを行っております。
中小規模の薬局における在宅型薬局へのシフトチェンジが求められるなか、当事業では営業人員の増員、教育による体制の強化及びWeb広告の出稿拡大による加盟店増加施策を実施しておりました。当第1四半期累計期間で加盟法人数は647社(前年同四半期末は459社)、加盟店舗数は1,821店舗(前年同四半期末は1,275店舗)となり、加盟薬局数は引き続き大幅に増加いたしました。しかし、当第1四半期累計期間では87店舗(51法人)が加盟する一方で、99店舗(23法人)が離脱となっております。離脱理由は主に閉局などとなっておりますが、基本料金のみで他の主力サービスの利用がない10~40店舗を運営する法人が「サービス活用ができない」という理由で離脱しております。この売上減少のインパクトは小さいものの、既存加盟店をフォローする体制の強化が課題と考え、当社の在宅訪問薬局事業から経験豊富な人材を異動させることで対応しようとしております。
2023年4月からは、基本料金のみの加盟(セミナーの受講、在宅薬局運営に関する問合わせサービス)に始まり、徐々にサービスを追加するというスタイルから、基本料金・ファムケアの貸与・医薬品購入支援・在宅患者獲得支援などをセットにした年間100万円~400万円程度のサービスパッケージプランの営業活動を開始し、主に新規加盟先10法人以上の受注を獲得して2023年5月よりサービス提供を開始しております。また、「在宅薬剤師マインドセット研修」となる「きらり塾」の開講、緩和ケア、技術料算定支援など、加盟店のニーズに対しカスタマイズしたコンサルティングサービスを展開しており、当第1四半期累計期間における新規加盟店のARPU(※)が前年同期の4.0万円から10.5万円となり、2.5倍以上増加しております。さらに、既存加盟店の当第1四半期累計期間のARPUは9.7万円となっておりますが、パッケージプランへ変更した加盟店のARPUは15.4万円であり、今までのサービススタイルと比べ59%高い結果となっております。
今後も新サービスの利用拡大に向けて営業活動を展開し、離脱防止や在宅訪問薬局参入にハードルを感じる潜在顧客に対するアプローチを強化してまいります。
以上の結果、売上高は177百万円(前年同期比32.4%増)、セグメント利益は90百万円(前年同期比27.8%増)となりました。
(※)ARPU:当第1四半期累計期間の1店舗当たりの平均売上
(プライマリケアホーム事業)
プライマリケアホーム事業では、2023年1月13日に開設した「プライマリケアホームひゅうが春日ちくし台」は、2023年5月に入居者及び施設従業員にコロナウイルス感染者が発生し、感染拡大防止のため一時的に入居推進活動の停止、医療サービスの提供を制限し単月の売上が伸び悩むこともありましたが、2023年8月9日時点で83名(入居率81.7%)と順調に入居が進んでおり、施設単体では月次損益が黒字転換しております。
また、2023年8月1日には福岡市博多区に2棟目となる「プライマリケアホームひゅうが博多麦野」を開設し、2023年8月9日時点で入居者(入居予約・申込を含む)は41名となっており、順調な立ち上がりとなっております。当第1四半期累計期間においては、「プライマリケアホームひゅうが春日ちくし台」の入居獲得活動、「プライマリケアホームひゅうが博多麦野」の介護、看護人材の採用活動を推進したことや本格的な開設準備等により、引き続きコストが先行する形となりました。
以上の結果、売上高は106百万円(前年同期比226.5%増)、セグメント損失は38百万円(前年同期はセグメント損失14百万円)となりました。
(その他事業)
当社のその他事業には、タイサポ事業及びICT事業を含めております。
タイサポ事業は、高齢者の施設等への入居サポートサービスでありますが、当第1四半期累計期間においては、医療・介護ネットワーク(医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー及び介護施設との連携網)を強化し、在宅訪問薬局事業及びきらりプライム加盟店へのシナジーを上げることや、プライマリケアホーム事業の入居推進活動に注力しました。
ICT事業においては、前事業年度に販売したICTディバイスについて高齢者施設の使用に関するフィードバックを得て、入居者のバイタル情報だけでなく、ベッドの離床センサー開発及びウェアラブル端末との統合など、新たな機能を追加開発しており、より高齢者施設の運営効率化につながる改良を続けております。プライマリケアホーム事業と連携し、当社が開発したICTディバイスを組み込み、実際の高齢者施設での運用方法を確立し、営業に生かすことで拡販を目指してまいります。
以上の結果、売上高は6百万円(前年同期比59.6%減)、セグメント損失は3百万円(前年同期はセグメント利益4百万円)となりました。
②財政状態
(資産)
当第1四半期会計期間末における流動資産は1,977百万円となり、前事業年度末に比べ18百万円増加いたしました。これは主に、当第1四半期会計期間において新型コロナウイルス感染症の増加に伴う処方箋枚数の増加等による売掛金の増加54百万円及び新店舗の開局等による商品の増加32百万円によるものであります。
固定資産は1,074百万円となり、前事業年度末に比べ119百万円増加いたしました。これは主に、新店舗開局のため土地の購入及び建物の建築に係る建設仮勘定の増加等による有形固定資産の増加84百万円によるものであります。
その結果、総資産は3,052百万円となり、前事業年度末に比べ137百万円増加いたしました。
(負債)
当第1四半期会計期間末における流動負債は1,366百万円となり、前事業年度末に比べ112百万円増加いたしました。これは主に、売上増加に伴う仕入増加等により買掛金が113百万円増加したことによるものであります。
固定負債は163百万円となり、前事業年度末に比べ13百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が約定返済等により20百万円減少したことによるものであります。
その結果、負債合計は1,530百万円となり、前事業年度末に比べ98百万円増加いたしました。
(純資産)
当第1四半期会計期間末における純資産は1,522百万円となり、前事業年度末に比べ38百万円増加いたしました。これは主に、四半期純利益の計上に伴い利益剰余金が36百万円増加したことによるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
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