【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、物価高などの懸念事項があるものの、ウィズコロナの下で景気は緩やかな回復傾向となりました。
当社グループの主要顧客である自治体の国民健康保険、後期高齢者医療広域連合などの保険者においては感染症拡大防止等を目的として、保健事業の中止・延期または事業規模縮小を選択するなどの影響がみられました。一方で、保険財政の改善のための保険者による予防・健康づくりの推進および医療費適正化に向けての取組みは継続されており、当社の主力である市町村国保のデータヘルス関連サービスの需要は堅調に推移しております。また、都道府県が実施する国保ヘルスアップ支援事業による都道府県からの需要も多様化しつつ継続しております。
このような状況下で、当社は、2022年10月3日付で㈱ディー・エヌ・エーからDeSCヘルスケア㈱(以下、DeSC)の株式を取得し、第2四半期連結会計期間より同社を連結子会社としております。今後は、引き続きデータヘルス関連サービスの安定的な成長と、新たにデータ利活用サービスの力強い立ち上げを目指しております。なお、DeSCは「kencom(ケンコム)」(健康保険組合や自治体等で導入され、利用者の健康診断結果や楽しく健康増進を促進する仕組みを取り入れたヘルスケアエンターテインメントアプリ)などの運営とデータ利活用サービスを中心としたヘルスケア事業を行っております。
新体制となった、当連結会計年度において当社グループは、従来のデータヘルス関連サービスの販売活動に加えて、データ利活用サービスの立ち上げのための活動も積極的に行いました。
データヘルス関連サービスの売上高は市町村国保向けの売上高が増加した一方で、生活保護向けの需要が減少したことおよび都道府県からの受注の一部が継続しなかった等の減少要因があったものの、DeSCにおけるデータヘルス関連サービスの売上高が加わった結果、前期比1億7百万円の増加となりました。また、前期よりDeSCと協業して立ち上げたデータ利活用サービスの売上高は7億86百万円となり、順調に伸びております。データ利活用サービスを含むDeSC子会社化の影響で売上高は14億82百万円増加となり、全体では当連結会計年度の売上高は14億20百万円増加し、44億10百万円(前年同期比47.5%増)となりました。
費用面においては売上原価ならびに販売費及び一般管理費がDeSC子会社化により17億52百万円増加したほか、DeSC取得にかかるのれんの償却費1億92百万円などにより前年同期に比べ増加しております。
この結果、売上高の増加以上に売上原価ならびに販売費及び一般管理費が増加し、営業損失は4億98百万円(前連結会計年度は3億15百万円の営業損失)となりました。
営業外損益では、第三者割当増資ならびに公開買付等に係るコンサル報酬等の支払手数料が1億27百万円発生したため、経常損失は5億99百万円(前連結会計年度は3億79百万円の経常損失)となりました。
特別損益では、DeSCが所有するソフトウエアについて減損処理を行い、1億20百万円の減損損失を計上しました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は6億64百万円(前連結会計年度は4億10百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社単体では、増収増益ならびに損益反転を目指してまいりましたが、2023年度案件の売上計上が予測より後ろ倒しとなったこと等により売上高が目標に届かず、増収増益は達成したものの、95百万円の営業損失となりました。一方で、EBITDA(注)は1億45百万円(前事業年度は90百万円のマイナス)と損益反転を達成しており、収益力は着実に改善しております。
また、連結でのEBITDAは44百万円と黒字化を達成しております。
(注)EBITDA=経常利益+金融費用+減価償却費+のれん償却費+M&Aに関連して発生した一時の費用
(イ)財政状態
(資産の状況)
資産合計の当連結会計年度末の残高は、前期末に比べて41億26百万円増加し、63億90百万円となりました。
このうち、流動資産は売掛金及び契約資産が3億10百万円増加したほか、DeSC子会社化により現金及び預金が6億98百万円増加したことで10億97百万円増加し、当連結会計年度末の残高は21億46百万円となりました。
また、固定資産はDeSC子会社化によりのれんが23億79百万円増加したほか、同社が保有するソフトウエアなどにより30億28百万円増加し、当連結会計年度末の残高は42億43百万円となりました。
(負債の状況)
負債合計の当連結会計年度末の残高は、前期末に比べて13億87百万円増加し、23億64百万円となりました。
このうち、流動負債は金融機関からの短期借入金の増加50百万円のほか、1年内返済予定の長期借入金が6億10百万円発生したことなどにより、9億76百万円増加し、当連結会計年度末の残高は19億8百万円となりました。
また、固定負債は長期借入金が4億10百万円発生したことなどにより4億11百万円増加し、当連結会計年度末の残高は4億55百万円となりました。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産の残高は、第三者割当増資の払込みにより資本金および資本準備金がそれぞれ16億99百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失6億64百万円および配当支払により利益剰余金が70百万円減少したことなどにより前期末に比べて27億39百万円増加し、40億25百万円となりました。
また、自己資本比率は60.8%となりました。
(ロ)経営成績
(売上高)
当社グループの当連結会計年度の売上高は、市町村国保向けの売上高が増加した一方で、生活保護向けの需要が減少したことおよび都道府県からの受注の一部が継続しなかった等の減少要因があったものの、DeSCにおけるデータヘルス関連サービスの売上高が加わったほか、DeSCと協業して立ち上げたデータ利活用サービスの売上高が順調に伸びております。データ利活用サービスを含むDeSC子会社化の影響で売上高は14億82百万円増加となり、全体では前期と比べて14億20百万円増加(前期比47.5%増)となり、44億10百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、DeSC子会社化などにより売上原価が増加したため、前期と比べて1億62百万円増加し、14億19百万円となりました。なお、売上高総利益率は32.2%となりました。
(営業損益)
営業損益は、販売費及び一般管理費がDeSC子会社化により増加したほか、DeSC取得にかかるのれんの償却費1億92百万円などにより、4億98百万円の営業損失(前連結会計年度は3億15百万円の営業損失)となりました。売上高営業利益率は、△11.3%となりました。
(経常損益)
経常損益は、賃貸不動産の受取家賃ならびに賃貸収入原価が発生しました。また、第三者割当増資ならびに公開買付等に係るコンサル報酬等の支払手数料が発生したため、5億99百万円の経常損失(前連結会計年度は3億79百万円の経常損失)となりました。売上高経常利益率は、△13.6%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
親会社株主に帰属する当期純損益は減収の影響に加えて、DeSCが所有するソフトウエアのうち、将来の収益獲得が見込まれなくなったものについて減損を行いました。これらの結果、6億64百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前連結会計年度は4億10百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ6億98百万円増加し、当連結会計年度末には10億78百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、1億98百万円(前連結会計年度は4億42百万円の使用)となりました。
これは、主に税金等調整前当期純損失7億29百万円、減価償却費3億3百万円、のれん償却額1億92百万円、減損損失1億20百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、35億14百万円(前連結会計年度は5億72百万円の使用)となりました。
これは、主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出27億83百万円、固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、44億11百万円(前連結会計年度は3億31百万円の獲得)となりました。
これは、主に株式の発行による収入33億99百万円、金融機関からの運転資金の借り入れによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当社グループの事業は提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
(ロ)受注実績
当連結会計年度の受注保険者数および受注保険者数残高の実績は、次のとおりであります。
サービスの名称
受注顧客数
(件)
前年同期比
(%)
受注顧客数
残高
(件)
前年同期比
(%)
データヘルス関連サービス
775
121.5
645
138.4
データ利活用サービス
47
-
11
-
合計
822
128.8
656
140.8
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をサービスの区分ごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
サービスの名称
当連結会計年度
(自
2022年7月1日
至
2023年6月30日)
前年同期比
(%)
データヘルス関連サービス
2,952,330
103.8
データ利活用サービス
786,204
5414.6
その他
671,950
513.6
合計
4,410,484
147.5
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(ロ)経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は44億10百万円(前期比47.5%増)となりました。売上高が増加した大きな要因は次のとおりと認識しております。
a.新規連結子会社(DeSC)の影響
2022年10月にDeSCの株式を取得し、当連結会計年度から同社を連結子会社としております。DeSCは「kencom(ケンコム)」などの運営とデータ利活用サービスを中心としたヘルスケア事業を行っており、当連結会計年度におけるDeSCの売上高は14憶82百万円となります。これは当連結会計年度における当社グループ売上高の33.6%を占めており、前期からの大きな増加要因となりました。
上記の通り、DeSCの子会社化によって大きく増収となりましたが、売上原価ならびに販売費及び一般管理費についてもDeSCを連結子会社としたことにより大幅に増加いたしました。DeSCは現在投資フェーズにあるため、これらのコストの増加が増収額を上回り、営業損失が増加いたしました。また、DeSC取得において多額ののれんを計上したため、のれん償却費1億92百万円が発生し、これらにより営業損失は4億98百万円(前連結会計年度は3億15百万円の営業損失)となりました。また、経常損失は第三者割当増資ならびに公開買付等に係るコンサル報酬等の支払手数料が多く発生したため、5億99百万円(前連結会計年度は3億79百万円の経常損失)となりました。売上高経常利益率は△13.6%であり、期首の予想値を下回りました。
なお、親会社株主に帰属する当期純損失は、上記の要因に加え減損損失の計上などにより6億64百万円(前連結会計年度は4億10百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(イ)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(ロ)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は事業運営上必要な人件費および業務委託費などの運転資金ならびに研究開発投資に必要な人件費および外注費などであります。
当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金は10億78百万円、有利子負債は14億70百万円であります。
当社グループは、自治体との契約が中心となるため、自治体の年度末である3月末までを契約期間とする業務が多く、営業収入の入金が第4四半期に集中いたします。このため、期中は運転資金の外部調達が必要になりますが、複数の取引銀行と当座貸越契約を締結しており、機動的な資金確保が可能であります。また、当座貸越契約の借入枠については十分な金額を確保しております。
なお、将来大規模な投資資金などの資金需要が発生した場合には、エクイティファイナンス等による調達手段を検討してまいります。
株主還元については、財務体質の強化および積極的な事業展開に備えるため必要な内部留保を確保しつつ、配当性向30%程度を目安として業績に対応した配当を行うことを基本方針としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りや仮定によることが必要になります。経営者は、過去の実績や状況および現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点でもっとも合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に採用しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループが採用しております会計方針のうち、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
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