【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、供給制約や原材料価格の高騰などによる下振れリスクが懸念され、製造業においては景況感が引続き後退、コロナ収束後のサービス消費回復を受け非製造業では改善と二極化の傾向となりました。
世界経済については、欧米を中心にインフレの急速な進行と金融引締めによる金利上昇により経済成長が停滞し、インフレ下での景気後退リスクへの懸念が続いております。
このような状況の下、当社は前年度の好調な売上高を継続することに注力し、当第3四半期連結累計期間の売上高は6,176百万円と前年同四半期に比べ37百万円(0.6%)の増加となりました。
また、精密機器事業をはじめ各事業で生産効率化等により、計画を上回る原価低減を実現しましたが、医療機器事業の一部品目にかかる生産調整による採算低下や、部材高騰の影響が一部顕在化したことにより全体の原価率が上昇し、営業利益は、571百万円と前年同四半期比で75百万円(△11.7%)の減益、経常利益は営業外収支の改善もあり、553百万円と前年同四半期比で63百万円(△10.3%)の減益となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は390百万円と前年同四半期比で37百万円(10.6%)の増益となりました。
各セグメントの業績は次に示すとおりであります。なお、セグメント損益は、営業利益または営業損失に基づいております。
① 医療機器事業
主力のコンドーム事業は生産調整等により減収となりましたが、新素材コンドームSKYNや検査薬等の商品群の好調な売上により補完しました。また、メディカル製品は欧州向けの販売が好調で事業売上を牽引しました。
利益面では不採算製品の見直し、販売費節減へ継続的に取り組み一定の成果がみられました。また、メディカル製品につきましては、生産部門・販売部門一体となった効率化、費用削減、生産歩留まり向上策により、前期比増益となりました。
この結果、売上高は1,804百万円と前年同四半期に比べ44百万円(2.5%)の増加となりました。
セグメント損益は、主にコンドームの生産調整等実施に伴う原価増要因により、73百万円の損失(前年同四半期は15百万円の損失)となりました。
② 精密機器事業
精密機器事業は業績が非常に好調であった前期実績と比べて減収減益となりましたが、幅広い業種の取引顧客基盤を活かして、部材不足等による一般産業機械市場の需要減をその他の市場向けで補完することにより、社内業績計画は順調に進捗しております。
物価高による消費低迷や金融引締め策による景気後退懸念などが国内外からの受注動向に影響を及ぼしておりますが、製販一体となって納期遅延解消に取組むなど、売上の下押し要因を抑える活動に注力いたしました。
利益面では売上減少に伴う減益に加えて、原材料費高騰による製造費用の上昇や、生産品目の構成変化に伴う生産効率の差異が要因となり、原価率は前期実績対比で上昇しましたが、生産効率化やコスト削減への取組み等により原価上昇圧力の吸収に努めました。
この結果、売上高は3,861百万円と前年同四半期に比べ133百万円(△3.3%)の減少となりました。
セグメント利益は、912百万円と前年同四半期に比べ93百万円(△9.3%)の減益となりました。
③ SP事業
新型コロナウイルス感染症の売上への影響は第2四半期で概ね収束しました。海外からの部材調達の遅れや屋外利用を想定した販促市場向けの需要の回復が弱含んでいるなどの下押し要因を、主力取引先での需要回復や新商品の投入効果が上回り、主力品のゴム風船及びフィルムバルーンの売上は概ね計画通りに推移し、前年比増収増益となりました。
この結果、売上高は321百万円と前年同四半期に比べ85百万円(36.5%)の増加となりました。
セグメント利益は、11百万円の利益(前年同四半期は8百万円の損失)となりました。
④ 食品容器事業
主力取引先における季節商品やネット販売が好調に推移したことにより、売上高は188百万円と前年同四半期に比べ40百万円(27.6%)の増加となりました。
セグメント利益は、前期発生した設備投資・修繕等の一時的要因が今期は解消したことや販売単価の一部引上げ効果もあり、62百万円と前年同四半期に比べ48百万円(369.2%)の増益となりました。
当第3四半期連結会計期間の総資産は、11,779百万円となり、前連結会計年度末と比べ28百万円減少しました。
主な増加要因は、現金及び預金167百万円、原材料及び貯蔵品160百万円などであり、主な減少要因は、受取手形及び売掛金171百万円、仕掛品78百万円、建物及び構築物(純額)117百万円などであります。 負債総額は8,317百万円となり、前連結会計年度末と比べ391百万円減少しました。主な減少要因は、未払法人税等147百万円、賞与引当金92百万円などであります。 純資産総額は3,461百万円となり、前連結会計年度末と比べ363百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金327百万円の増加などであります。この結果、自己資本比率は29.4%となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、148百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間の食品容器事業におきまして、生産実績が著しく増加しました。
これは、前年同期に発生した原材料の入荷遅延や品質不良による製品不具合が解消し、適正在庫確保のための安定生産の体制を構築できているためであります。
また、当第3四半期連結累計期間の医療機器事業及びSP事業におきまして、仕入実績が著しく増加しました。
医療機器事業については、新素材コンドームSKYN及び冷却枕を中心とした冷却商材の売上が好調に推移したこと、及び円安の影響によるものであります。SP事業については、新型コロナウイルス感染症の影響で制約を受けていたマレーシアの生産が一時的に回復し、今後の動向に鑑みて戦略的に在庫を確保したことによるものであります。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。