【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ64百万円増加し、4,284百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ73百万円減少し、1,353百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ138百万円増加し、2,931百万円となりました。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、景気に持ち直しの動きがみられ経済活動の正常化が進みました。しかしながら、ウクライナ情勢によるエネルギーコストや原材料価格の高騰、円安の影響による物価の上昇等、先行きは不透明な状況が続いております。
このような環境のもと、当社は生産コスト上昇による収益性の低下を抑制するため、営業部門では適正な価格設定に努め、生産現場では製品別及び工程別に作業を見直すと共に機械化を進め、徹底した効率化を図りました。賃貸事業においては、火薬庫の整備を行い短期的な需要にも対応いたしました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,761百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益177百万円(同2.0%減)、経常利益183百万円(同1.7%減)、当期純利益132百万円(同4.5%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期と比べ10百万円増加し1,151百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、133百万円(前事業年度は440百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益187百万円、仕入債務の減少28百万円、法人税等の支払額76百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、64百万円(前事業年度は63百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得63百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、57百万円(前事業年度は54百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払32百万円、リース債務の返済13百万円、長期借入金の返済11百万円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前期比(%)
火工品事業
1,545,407
3.7
合計
1,545,407
3.7
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 賃貸事業は、生産実績がありませんので記載しておりません。
b.受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前期比(%)
受注残高(千円)
前期比(%)
火工品事業
1,616,651
7.9
876,182
4.1
合計
1,616,651
7.9
876,182
4.1
(注)1 賃貸事業は、受注実績がありませんので記載しておりません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
火工品事業
1,582,432
△2.6
賃貸事業
178,803
5.4
合計
1,761,235
△1.8
(注)1 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前事業年度
当事業年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
防衛省
938,872
52.3
864,571
49.1
ミネベアミツミ株式会社
183,711
10.2
227,424
12.9
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,047百万円となり、前事業年度末に比べ9百万円増加いたしました。これは主に棚卸資産の減少12百万円に対し、現金及び預金の増加10百万円及び売上債権の増加6百万円によるものです。固定資産は2,237百万円となり、前事業年度末に比べ55百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券の増加55百万円によるものです。
この結果、総資産は4,284百万円となり、前事業年度末に比べ64百万円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は928百万円となり、前事業年度末に比べ24百万円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金の増加100百万円、買掛金の減少28百万円、未払消費税の減少23百万円及び未払費用の減少17百万円によるものです。固定負債は424百万円で、前事業年度末に比べ97百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少111百万円によるものです。
この結果、負債合計は1,353百万円となり、前事業年度末に比べ73百万円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は2,931百万円となり、前事業年度末に比べ138百万円増加いたしました。これは主に繰越利益剰余金の増加100百万円及びその他有価証券評価差額金の増加37百万円によるものです。この結果、当事業年度末の自己資本比率は前事業年度末と比べ2.2ポイント増加し68.4%となりました。
b.経営成績
1.経営成績
(売上高)
当事業年度の売上高は、防衛省向け火工品の受注が減少したことなどで1,761百万円となり、前期より33百万円減少いたしました。
(売上総利益)
当事業年度の売上総利益は、収益性の高い受託業務が増加したものの、労働条件向上への投資として処遇改善や環境整備を継続した結果、509百万円となり前期より14百万円減少いたしました。
(営業利益)
当事業年度の営業利益は、管理部門の人員減による人件費の減少などで販売費及び一般管理費が前期より11百万円減少した結果、177百万円となり前期より3百万円減少いたしました。
(経常利益)
当事業年度の経常利益は183百万円となり前期より3百万円減少いたしました。
(当期純利益)
営業利益、経常利益共に前期より減少したものの、税効果会計適用後の法人税等の税額負担が54百万円と前期と比べ比5百万円減少した結果、当期純利益は132百万円となり前期より5百万円増加いたしました。
2.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「3 事業等のリスク」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当社の資金状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりです。
b.資本の財源及び資金の流動性
1.資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは当社の火工品事業に関わる仕入原材料、外注加工費と賃貸事業に関わる管理費、各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては火工品の製造設備投資等があります。
2.財務政策
当社の資金運用については、短期的な流動預金に限定しており、必要な資金については銀行等金融機関からの借入により資金を調達しております。
借入金を含む当期末の有利子負債残高は669百万円であります。
(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「総資産経常利益率(ROA)」及び「株主資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置づけいずれも5%以上を目指しております。
自己資本比率 68.4%(前年同期 66.2%)
総資産経常利益率(ROA) 4.3%(前年同期 4.5%)
株主資本利益率(ROE) 4.6%(前年同期 4.6%)
引き続きこれらの指標の改善に取り組んでまいります。
(4)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(火工品事業)
当事業年度の売上高は1,582百万円(前年同期比2.6%減)となりました。主力の防衛省向け製品においては、市場の動向を踏まえ粘り強い商議を重ねましたが、前期と比べ大幅に受注が減少いたしました。その他の製品売上は概ね堅調で、景気の回復と共に評価試験や燃焼処分の受注も増加いたしましたが、防衛省向け製品の受注減を補えませんでした。
損益面では、生産現場での効率化を目的とした改善活動が定着したことで、原価高による利益率の低下を軽減いたしましたが、前期契約した防衛省向け製品においては、急激な材料費高騰が吸収できず利益を押し下げました。また、当社では労働条件向上のひとつとして従業員の処遇改善を継続しており、人件費を含む固定費の増加により減益となりました。この結果セグメント利益は93百万円(同11.0%減)となりました。
セグメント資産は、無形固定資産等の減少により、前年同期と比べ23百万円減少の1,965百万円となりました。
(賃貸事業)
当事業年度の売上高は178百万円(前期比5.4%増)となりました。火薬庫の短期契約などで賃貸収入は増加いたしましたが、火薬庫や商業施設の整備などによる支出も増加し、セグメント利益は125百万円(同3.6%増)となりました。
セグメント資産は、売掛金の増加により、前年同期と比べ8百万円増加の643百万円となりました。