【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響縮小により回復が続いていますが、原材料やエネルギー価格の高騰の影響から消費者物価は上昇しており、消費に力強さはうかがえない状況が続いております。海外においては、中国ではゼロコロナ政策の解除で景気回復が期待されますが、欧米ではインフレや利上げにより景気が減速しています。この様な経済情勢の中で当社グループは、海運事業において北海道定期航路では、太宗貨物であった紙製品は減となったものの本州間の中短距離輸送におけるシャーシ貨物や商品車両の持ち直しが見られました。更に運航の合理化、効率化を行ったことから、増収、増益となりました。近海航路では、三国間定期航路は堅調でしたが、燃料油価格の上昇や近海船の傭船市況の変動から増収、減益となりました。ホテル事業においては、全国旅行支援制度や訪日旅行再開を背景に国内外の旅行客を取り込めたことにより、宿泊客数が増加したことから増収となり、収益状況は改善しております。不動産事業においては概ね順調に推移いたしました。以上の結果、売上高が前年度に比べて45億9千9百万円増(10.2%増)の498億5千4百万円、営業利益が前年度に比べて19億5千6百万円増(1,877.6%増)の20億6千万円、経常利益が前年度に比べて18億円増(285.6%増)の24億3千1百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が前年度に比べて17億4千4百万円増(1,919.3%増)の18億3千5百万円となりました。
なお、事業セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(海運事業)新型コロナウイルス感染症の影響縮小により経済は回復基調にあり、北海道定期航路では、鋼材や雑貨など一部貨物の動きが後半にかけて緩やかになったものの、減少基調にある紙製品を除き本州間の中短距離輸送におけるシャーシ貨物、商品車両は前年を上回る輸送実績となりました。更に運航の合理化、効率化が功を奏し、増収、増益となりました。近海航路では、三国間定期航路は堅調でしたが、不定期船部門は燃料油価格の上昇や近海船の傭船市況の変動により、増収、減益となりました。これらの結果、売上高は前年度に比べて33億1千4百万円増(7.6%増)の467億1千6百万円、営業費用が前年度に比べて、19億9千2百万円増(4.6%増)の450億3千2百万円、営業利益は前年度に比べて13億2千1百万円増(365.5%増)の16億8千3百万円となりました。
(ホテル事業)ホテル事業においては、期中に新型コロナウイルス感染症第7波の影響を受けたものの、全国旅行支援制度や訪日旅行再開を背景に国内外の旅行客を取り込めたこと、サウナ施設改修による集客増等から、宿泊客数は増加し、業績は改善しております。これらの結果、売上高は前年度に比べて10億3千1百万円増(153.7%増)の17億3百万円、営業費用が前年度に比べて4億8千2百万円増(39.2%増)の17億1千4百万円、営業損失は前年度に比べて5億4千8百万円減の1千1百万円となりました。
(不動産事業)前年度並みに推移し、売上高は前年度に比べて6百万円減(0.9%減)の6億7千万円、営業費用が前年度に比べて5千1百万円減(12.4%減)の3億6千3百万円、営業利益は前年度に比べて4千5百万円増(17.2%増)の3億7百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による収入が、投資活動及び財務活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べて9億5千6百万円増加して、115億2千1百万円となりました。各キャッシュ・フロー状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少などにより、前期に比べて1千7百万円減少し、49億1百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出の増加などにより、前期に比べて19億7千4百万円減少し、36億1千2百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入および長期未払金の増加による収入の増加などにより、前期に比べて15億1千7百万円増加し、3億2千1百万円の支出となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
平成31年3月期
令和2年3月期
令和3年3月期
令和4年3月期
令和5年3月期
自己資本比率(%)
32.0
27.4
28.2
29.1
30.4
時価ベースの自己資本比率(%)
9.5
6.1
7.0
8.4
10.1
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
4.8
15.9
9.2
6.4
6.4
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
17.1
8.1
12.6
16.9
19.6
(注)1.上記指標の計算式は次のとおりです。自己資本比率:自己資本÷総資本時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業キャッシュ・フローインタレスト・ガバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー÷利払い2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③ 財政状態の状況当連結会計年度末における財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(資産)当連結会計年度末の資産の残高は、前期末に比べて13億1千1百万円増加の707億4千2百万円となりました。これは主に、船舶などの固定資産の増加、および現金預金などの流動資産の増加によるものであります。 (負債)負債の残高は、前期末に比べて1億7千6百万円減少の461億9千9百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金や短期借入金の減少によるものであります。(純資産)純資産の残高は、前期末に比べて14億8千7百万円増加の245億4千3百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当社グループは、主に国内貨物輸送サービスの提供をしております。従って、サービスの性格上、生産実績を定義することが困難であるため生産実績の記載は省略しております。b.受注実績生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
前連結会計年度
当連結会計年度
増減(千円)
増減比(%)
営業収益金額(千円)
割合(%)
営業収益金額(千円)
割合(%)
海運事業
43,393,735
95.9
46,426,051
93.1
3,032,316
7.0
ホテル事業
661,062
1.4
1,691,278
3.4
1,030,215
155.8
不動産事業
579,610
1.3
578,096
1.2
△1,513
△0.3
その他事業
621,091
1.4
1,159,445
2.3
538,354
86.7
合計
45,255,500
100.0
49,854,873
100.0
4,599,372
10.2
(注)1.金額は、セグメント間の内部売上高又は振替高を除いた外部顧客に対する売上高によっております。2.その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、農産物卸売事業を含んでおります。3.主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の損益に関する分析当期における売上高は、45億9千9百万円増(10.2%増)の498億5千4百万円となりました。各セグメントの売上高の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載の通りであります。営業利益は、前年度に比べて19億5千6百万円増(1,877.6%増)の20億6千万円となりました。各セグメントの営業利益の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載の通りであります。経常利益は、営業外収益で主に受取配当金が増加したこと、営業外費用で支払利息が減少したこと等から前年度に比べて18億円増(285.6%増)の24億3千1百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、主に船舶の処分に伴い計上した固定資産売却益により、前期前年度に比べて17億4千4百万円増(1,919.3%増)の18億3千5百万円となりました。
② 当連結会計年度の財政状態の分析に関する分析当連結会計年度末の資産の残高は、前期末に比べて13億1千1百万円増加の707億4千2百万円となりました。これは主に、船舶などの固定資産の増加、および現金預金などの流動資産の増加によるものであります。 負債の残高は、前期末に比べて1億7千6百万円減少の461億9千9百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金や短期借入金の減少によるものであります。純資産の残高は、前期末に比べて14億8千7百万円増加の245億4千3百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
以上の結果、当期末の連結自己資本比率は30.4%(前期末は29.1%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの主な資金需要につきましては、運転資金需要として海運事業の運用に関わる貨物費・燃料費・港費・船員費等の海運業費用や労務費等の役務原価、商品、材料等の仕入原価、人件費、その他物件費等の一般管理費があり、設備資金需要としては船舶や物流設備等への投資があります。その他の需要として借入金の返済、社債の償還等があります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達にて対応してまいります。なお、キャッシュ・フローの状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金や賞与引当金等の各引当金や退職給付に係る負債の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法等により見積りを実施しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況」の(重要な会計上の見積り)に記載しております。