【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大と沈静化を繰り返していたものの、足元では沈静化の状況が続いており、また、資源価格の上昇に伴うエネルギー・食料品の価格上昇を背景とした消費者の節約志向の高まりや購買力低下により、個人消費への悪影響が懸念される一方、政府の物価高対策により個人消費の回復基調が見込まれるなど、先行きは依然として不透明な状態が続いております。
当社が属する食事宅配市場は、共働き世帯の増加やライフスタイルの多様化、女性の社会進出、食料品の購入や飲食に不便を感じる高齢者を中心とする買物弱者の増加といった社会的背景や、新型コロナウイルスの感染拡大による生活様式の変化に伴って、宅配や冷凍食品への需要が増加しているため堅調に推移しております。
当社が主な顧客としている生活習慣病患者は年々増加傾向にあり、また、少子高齢化が進むことにより65歳以上の高齢者のみの世帯が増加するなど市場の成長が見込める経営環境となっております。そのため、食事宅配市場を今後の更なる成長が見込める有望市場と捉えて、新規参入する企業が増加しており、引き続き競争の激化が進んでおります。また、食品業界におきましては、食の安心・安全に対する消費者の関心が一層高まる中、企業の管理体制の徹底が求められております。
このような環境の中、当社では「一人でも多くのお客様に健康で楽しい食生活を提案し、豊かな未来社会に貢献します」という企業理念を念頭に、当社の強みである管理栄養士・栄養士によるきめ細かい栄養相談を活かして、お客様にとって価値の高い商品及びサービスを提供し、品質向上に努めてまいりました。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
当事業年度における財政状態は、総資産は4,935,839千円(前事業年度末比526,788千円減)となりました。負債は4,586,183千円(前事業年度末比233,271千円減)となりました。純資産は349,656千円(前事業年度末比293,516千円減)となりました。
ロ.経営成績
当事業年度における経営成績は、売上高は2,810,524千円(前期比10.0%減)、営業損失は285,016千円(前期は営業損失177,466千円)、経常損失は284,039千円(前期は経常損失158,916千円)、当期純損失は284,288千円(前期は当期純損失1,948,817千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
MFD事業
当セグメントにおきましては、季節ごとの商品入れ替えや、たんぱく質と特定栄養素を補給可能な新たな商品分類「パワーアップ食」の販売、当社の管理栄養士・栄養士による食事相談サポート付き「私のおせち」の販売、紹介ネットワークの管理栄養士・栄養士に向けた「ミールタイム栄養士スキルアップセミナー」の実施により、認知度の向上及び新規顧客の獲得に努めました。
また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で休止していた医療機関への営業活動を再開し、医療機関への営業拠点として神奈川支社を2022年5月2日付で開設し、本社・大阪支社・神奈川支社の3拠点体制といたしました。当社サービスの認知度向上に向けて、紹介ネットワークの拡大と深耕を通じて新規顧客の獲得に努めるとともに、当社の管理栄養士・栄養士が顧客の疾病、制限数値、嗜好に合わせて食事を選び定期購入できるサービス「栄養士おまかせ定期便」への積極的な移行を中心として販売に注力しました。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染再拡大などの影響により医療機関からの新規顧客が減少したことから、前期比で収益が悪化しました。
この結果、MFD事業における売上高は2,256,169千円(前期比7.8%減)、セグメント利益(営業利益)は480,291千円(同7.2%減)となりました。
CID事業
当セグメントにおきましては、より品質が高く、販売価格の高い製品の販売を開始しました。また、JAとのコラボレーションにより日本各地の特産野菜を使用したメニューを発売し、新規顧客の獲得及び販売数の拡大に努めました。
また、『旬をすぐに』を幅広い方々にご利用いただけるよう、親しみやすいブランドを目指してロゴ・パッケージ等を一新するとともに、TVCMの放送を2023年2月27日より開始し、サービス認知度の向上及び新規顧客の獲得に注力いたしました。
しかしながら、依然として損益分岐点に達しておらず、SNSプロモーション等により増加していた前期の販売数を下回ったことから、収益が悪化しました。
この結果、CID事業における売上高は141,637千円(前期比39.1%減)、セグメント損失(営業損失)は758,057千円(前期は営業損失750,732千円)となりました。
マーケティング事業
当セグメントにおきましては、健康食通販カタログ『ミールタイム』及び『ミールタイム ファーマ』の2誌による広告枠の販売、また、紹介ネットワークを活用した業務受託において複数の案件を獲得しました。
この結果、マーケティング事業における売上高は412,717千円(前期比7.3%減)、セグメント利益(営業利益)は290,274千円(同12.4%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物の残高は期首残高より91,056千円減少し、975,782千円(前期比8.5%減)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは189,153千円の収入(前期比74.4%減)となりました。この主な要因は、税引前当期純損失が282,806千円、減価償却費が244,166千円、売上債権の減少額が55,771千円、棚卸資産の減少額が151,935千円、仕入債務の減少額が14,570千円、未払金の増加額が113,207千円、未払又は未収消費税等の増減額が72,865千円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは694千円の支出(前期比98.6%減)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が502千円、無形固定資産の取得による支出が210千円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは279,515千円の支出(前期比3.4%減)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出が270,360千円、自己株式取得による支出が9,155千円となったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前期比(%)
CID事業
579,815
△33.2
(注)金額は、製造原価によっております。
ロ.仕入実績
当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前期比(%)
MFD事業
890,613
△22.1
マーケティング事業
76,035
+3.2
合計
966,649
△20.6
(注)金額は、仕入価格によっております。
ハ.受注実績
当社は、受注から販売までの期間が短期間のため、記載を省略しております。
ニ.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
MFD事業
2,256,169
△7.8
CID事業
141,637
△39.1
マーケティング事業
412,717
△7.3
合計
2,810,524
△10.0
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。財務諸表の作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績は、MFD事業において、季節ごとの商品入れ替え、新たな商品分類の販売開始、紹介ネットワークの管理栄養士・栄養士に向けたスキルアップセミナーの実施、医療機関への訪問営業の再開による紹介ネットワークの拡大と深耕を通じた新規顧客の獲得、及び「栄養士おまかせ定期便」利用者獲得の推進、また、CID事業において、高価格帯の製品の販売開始、JAとのコラボレーションの実施、TVCMの放送開始によるサービス認知度の向上及び新規顧客の獲得、さらに、マーケティング事業において、紹介ネットワークを活用した業務受託の案件獲得に向けた提案営業に注力した結果、売上高が2,810,524千円(前期比10.0%減)、売上総利益が1,196,343千円(前期比1.3%増)となりました。当社では、下記の2点が減収・増益の要因であると認識しております。
イ.MFD事業において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、当社の紹介ネットワークである医療機関からの新規顧客の流入が低調に推移し、定期購入サービスへの移行が当初の想定を下回った。また、MFD事業のチャネル別売上比率の約6割を占める定期購入サービスの利用会員数が4四半期連続で減少した。
ロ.CID事業の損益分岐点の未達及び翌事業年度の販売見通しに基づいた当事業年度末時点での販売不能見込みを製品評価損として織り込んだことにより、多額の売上原価が発生したものの、前事業年度に多額の減損損失を計上したため、当事業年度の減価償却費が減少し、売上原価が改善した。
販売費及び一般管理費は、TVCMの実施に伴う広告宣伝費の増加、従業員の中途採用に伴う採用費の増加及び監査報酬の増加等に伴う支払手数料の増加により1,481,359千円(前期比9.0%増)となり、営業損失は285,016千円(前期は営業損失177,466千円)となりました。
営業外収益は49,194千円(前期比16.4%減)となりました。主な内訳は、受取手数料595千円、受取奨励金47,436千円、雑収入1,162千円であります。また、営業外費用は、48,217千円(前期比19.6%増)となりました。主な内訳は、支払利息47,486千円、雑損失730千円であります。その結果、経常損失は284,039千円(前期は経常損失158,916千円)となりました。
特別利益は1,232千円(前期比54.6%減)となりました。内訳は、新株予約権戻入益1,232千円であります。
税引前当期純損失は282,806千円(前期は税引前当期純損失1,964,777千円)と利益の減少により法人税、住民税及び事業税など法人税等合計が1,481千円となり、当期純損失は284,288千円(前期は当期純損失1,948,817千円)となりました。
当事業年度末の財政状態は、主に固定資産の減少(前事業年度末比242,918千円減)があったことなどから、総資産が4,935,839千円(前事業年度末比526,788千円減)となりました。
当事業年度末の流動資産は1,434,395千円(前事業年度末比283,869千円減)となりました。これは主に、前払費用の増加5,299千円、未収消費税等を含むその他の流動資産の増加9,601千円があった一方、現金及び預金の減少91,056千円、売掛金の減少55,771千円、商品及び製品の減少120,009千円、原材料及び貯蔵品の減少32,296千円によるものであります。
当事業年度末の固定資産は3,501,444千円(前事業年度末比242,918千円減)となりました。これは主に、減価償却累計額の増加243,520千円によるものであります。
当事業年度末の流動負債は594,546千円(前事業年度末比37,081千円増)となりました。これは主に、未払金の増加113,206千円、未払費用の増加3,541千円があった一方、買掛金の減少14,570千円、未払消費税等を含むその他の流動負債の減少61,735千円、未払法人税等の減少4,886千円によるものであります。
当事業年度末の固定負債は3,991,637千円(前事業年度末比270,352千円減)となりました。これは主に、長期借入金の減少270,360千円によるものであります。
当事業年度末の純資産は349,656千円(前事業年度末比293,516千円減)となりました。これは主に、当期純損失の計上による利益剰余金の減少284,288千円、自己株式取得に伴う株主資本の減少9,155千円によるものであります。
当事業年度のキャッシュ・フローの状況とそれらの原因については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、食品の安全性への信頼を揺るがす事故・事件の発生等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は、定期的な第三者機関による品質・安全性の検査の実施等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響について、MFD事業においては、当社の紹介ネットワークである医療機関における外来患者の減少に伴い、医療機関からの新規顧客の流入が低調に推移しており、定期購入サービスの利用会員数も減少傾向にあるため、業績は悪化傾向にあります。WEBによるコミュニケーションを検討するなど、業績回復に向けて継続的に商品・サービスの見直しを検討してまいります。CID事業及びマーケティング事業においては、特段大きな影響を受けておらず、業績への影響は軽微であると見込んでおります。
当社の資本の財源及び資金の流動性は次のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入、運賃、広告宣伝費、保管料、人件費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社は、2019年3月期から2021年3月期にかけて埼玉工場に係る設備投資を実行しており、自己資金及び金融機関からの借入等による資金調達を行いました。翌事業年度においては、重要な設備投資等を予定していないため、事業運営上必要な自己資金の安定的な確保に努めてまいります。
なお、当事業年度末における有利子負債の残高は4,256,510千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は975,782千円となっております。