【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在で入手可能な情報に基づき、当社が合理的であると判断したものです。従って、実際の当社グループの連結業績は、潜在的リスクや不確定要素等により、予測された内容とは異なる結果となることがあります。
(1)経済環境
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、一部で堅調な動きもありましたが、総じて低調に推移しました。米国では、中央銀行による利上げが続いたものの、インフレ率の低下等から個人消費を中心に景気が
緩やかに改善しました。欧州では、利上げが続いた中でもインフレ率が高止まり、景気の停滞が続きました。中国では、利下げや政府の経済対策により景気悪化に歯止めがかかったものの、不動産市場の低迷等から
回復感を欠く状況が続きました。原油価格(WTIベース/1バレルあたり)は、世界経済の低調に伴い期初の80ドル台から5~6月には70ドル前後まで下落しましたが、その後は主要産油国による供給抑制を背景に上昇
傾向に転じ、9月末は90ドル台で終えました。
日本経済は、新型コロナウイルス感染症との共生を前提とした経済活動の正常化が進むもとで、賃金の上昇やインバウンド需要の拡大等を背景とした景気回復が続きました。ドル・円相場は、米国長期金利の上昇や
日銀による金融緩和継続を背景に、期初の133円台から9月末にかけて150円近くまで円安が進みました。日経平均株価は、国内景気が回復するもとで期初の28,000円台から6月には一時33,000円台まで上昇しましたが、その後は世界経済の先行き不透明感が残る中で頭打ちとなり、9月末は32,000円を下回りました。10年物国債利回りは、期初から7月にかけて概ね0.4%台で推移しましたが、7月下旬に日銀が金利操作の運用柔軟化を
決定し0.50%の上限超過を容認した後は上昇傾向をたどり、9月末は0.77%で終えました。
(2)定性的成果
当第2四半期連結累計期間の具体的成果は次のとおりです。
北米の水力タービン製造・メンテナンス会社買収
当社は、北米で水力タービンの製造及びメンテナンス事業を展開するAmerican Hydro Corporation
(以下、「アメリカンハイドロ社」という。)の全株式及びカナダの関連資産を取得しました。
水力発電所向けに水力タービン等の設計・製造・メンテナンスサービスを単独で提供することができる
アメリカンハイドロ社を通じて機器メンテナンス事業を拡大し、北米において再生可能エネルギーの
開発・投資・運転・保守メンテナンス分野での取組を強化します。
当社は、再生可能エネルギー関連インフラ向けに高品質なサービスを提供することで、持続可能な社会への
貢献を目指します。
排出権取引拡大に向けたCF PARTNERS (UK) LLPとの業務提携
当社は、欧州地域において排出権の販売を手掛ける英国企業CF PARTNERS (UK) LLP(以下、「CFP社」と
いう。)と、排出権取引拡大のため業務提携いたしました。CFP社は排出権のみならず、再生可能
エネルギーや他脱炭素商材の提供及び価格リスクマネジメントサービスを提供する環境ソリューション企業
です。
当社は、幅広い業界におけるグローバルな販売ネットワークを活かし、CFP社が調達・保有する排出権の
販売窓口として、特に日本及びアジア諸国における排出権取引を支援します。更にCFP社と共同で幅広い
業界の顧客に対してEU-ETS(欧州排出量取引制度)の実情を踏まえたセミナー開催や業界情報の発信、
客先個別のニーズに沿ったソリューションの提供を推進し、炭素国境調整メカニズムや海運における
EU-ETSに関する取組ニーズの掘起し及び排出権の販売を図ります。
蓄電所事業への取組強化
当社は、カネカソーラー販売(株)と合弁で豊岡地域エネルギーサービス合同会社を設立し、2023年度より
兵庫県豊岡市の工業団地において、蓄電所事業を軸に太陽光PPA事業、地域マイクログリッド事業を
組合せた電力サービス事業を開始します。また、大阪ガス(株)と東京センチュリー(株)と合弁で
千里蓄電所(株)を設立し、大阪府吹田市にて大型蓄電池を使用する蓄電所事業を開始する等、蓄電所事業への
取組を強化しています。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けた動きが加速し、太陽光発電等の再生可能エネルギー導入が
拡大する中、出力変動に対する「調整力」となる蓄電池の需要が高まっています。当社は、蓄電池による
「調整力」を卸電力市場、需給調整市場、容量市場といった各電力市場で運用することで、日本の
電力システムの安定化に貢献するとともに、蓄電所事業やマイクログリッド事業を通じて、国内電力市場での
効率的・安定的な電力供給モデルを推進し、災害時の高いレジリエンス体制及び分散電源を核とした
脱炭素社会の実現を目指します。
企業の業務変革や新規ビジネス開発支援を行う「生成AI研究ラボ」の設立
当社は、(株)ブレインパッドとChatGPT等の生成AIを用いて企業の業務変革や新規ビジネス開発支援を行う
「生成AI研究ラボ」を共同設立することに合意しました。
「生成AI研究ラボ」を通じて、当社の全社員が生成AIを自由に活用できる環境を整備し、日常業務の
生産性向上の検証を開始します。また、将来的には、新規事業開発や当社グループの事業における生成AIの
活用も検討し、生活消費分野における顧客属性に合わせた最適な商品やサービスのレコメンデーション機能の
提供、サービス内容の自動照会等、競争力を高めるための施策を検討していきます。
当社と(株)ブレインパッドの両社で培った各事業分野のDXに係る経験やノウハウ、蓄積されたデータを
生成AIに活用し、市場や顧客の課題解決に根差した「マーケットイン」の発想を通じて、持続可能な
デジタル社会の実現に貢献していきます。
PPIHグループとリテールメディア事業での協業を開始
当社は、(株)パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス及び同社の関係会社(以下、「PPIHグループ」という。)、(株)ファミリーマート、広告配信事業を展開する(株)データ・ワンとの
間で、リテールメディア事業での協業に関する覚書を締結しました。
(株)ファミリーマート及び(株)データ・ワンのデータとPPIHグループのデータを掛け合わせることで、
「データの量」では3千数百万の広告配信用ID、「データの幅」では10万アイテムという、国内最大級の
リテールメディアネットワークとなります。購買データを捉える範囲を広げることで、それぞれのお客様の
興味・関心により一層合致した情報提供を行うことが可能になるとともに、メーカー等の広告主にとっても、より効果的な広告配信を実現します。ディスカウントストア事業等を展開するPPIHグループとの連携を
はじめ、幅広いアイテム・カテゴリーのデータを保有する企業とのアライアンスを推進し、新たな
リテールメディア事業創出を目指します。
北米における再生可能エネルギーファンド設立
当社は、北米の再生可能エネルギー発電資産への投資ファンドであるOverland Capital Partners, L.P.
(以下、「本ファンド」という。)を設立しました。当社の100%子会社であるTyr Energy, Inc.が新たに
設立する子会社を通じてGeneral Partnerとして本ファンドを運営し、三井住友信託銀行(株)と連携して国内
を中心とする機関投資家に対して北米再エネ市場における優良な投資機会を提供します。
当社は、北米における再生可能エネルギービジネスの開発・資産管理・運転保守サービスを拡大し、共同
投資の枠組を投資家に提供していくことで、ESG先進企業として脱炭素社会・持続可能な社会の実現と
地球環境への負荷軽減に、今後も貢献していきます。
アラブ首長国連邦(UAE)での低炭素還元鉄事業及びアルミ事業に関する覚書締結
当社は、2023年7月にUAEで開催された日・UAE・ビジネスフォーラムにて岸田首相の立ち会いの下、
JFEスチール(株)、UAE鉄鋼最大手のEmirates Steel Arkan及び国営港湾管理・土地開発事業者である
AD Ports Groupとともに、低炭素還元鉄のサプライチェーン構築に向けた協業体制に関する覚書を
締結しました。更に、アルミニウム製錬の世界大手であるEmirates Global Aluminium PJSC(以下、「EGA」
という。)と、アルミニウム生産量拡大とグローバルマーケットへの安定供給の実現、脱炭素化推進等の
協業に関する覚書を締結しました。
当社は、競争力のある天然ガスの豊富なUAEにおいて、鉄鋼業界のグリーン化に貢献する低炭素還元鉄
サプライチェーン構築にコアメンバーとして参画し、事業化調査をパートナーと共同で推進中です。また、
アルミニウムに関しては、1980年代より、EGA製の高付加価値品及び地金を日本やアジア、北米、欧州の日系
を中心とする顧客に向けて販売しております。これらの覚書締結を通じて、鉄鋼・非鉄金属業界における
脱炭素化を他社に先駆けて推進し、SDGsへの貢献とマーケットのニーズに応じた高付加価値品の製造に向けた
取組を加速していきます。
「令和5年度 先進的CCS事業の実施に係る調査」の受託
当社は、日本製鉄(株)、太平洋セメント(株)、三菱重工業(株)、伊藤忠石油開発(株)、(株)INPEX及び
大成建設(株)と共同で、日本海側東北地方CCS事業(二酸化炭素の分離回収・輸送・貯留)構想を提案し、
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の公募事業である「先進的CCS事業の実施に係る調査」に採択
されました。本調査では、2030年度までに具体的なCCSバリューチェーン事業を稼働すべく、日本製鉄(株)
及び太平洋セメント(株)の特定工場から分離・回収したCO2を貯留適地候補に船舶を用いて輸送・貯留する
ことを全体構想とし、バリューチェーン全体における技術的課題の整理を行うとともに、経済性や社会的
受容性の問題等を洗い出すことも目標としております。
当社は、本調査を通じて他の6社と協働し、日本におけるCCSの早期社会実装と持続可能な社会の実現に
向けて積極的に取組んでいきます。
伊藤忠テクノソリューションズ(株)に対する公開買付
当社が100%を出資するデジタルバリューチェーンパートナーズ合同会社(以下、「DVP」という。)は、
2023年8月3日より伊藤忠テクノソリューションズ(株)に対する公開買付を実施しておりましたが、2023年
9月14日をもって終了しました。当該結果を受け、伊藤忠テクノソリューションズ(株)の株主を当社及びDVP
のみとするための一連の手続を実施することを予定しております。
伊藤忠テクノソリューションズ(株)の属する業界を取り巻く市場環境・経営環境はクラウド技術の浸透や
デジタル化ニーズの拡大等により大きく構造変化しております。変化に対応し更なる企業価値の持続的向上を
実現するため、機動的かつ着実な経営施策実行が可能な体制とすることで、既存の成長戦略に加えて、当社
グループが有する経営資源の迅速かつ柔軟な相互活用、非オーガニックな成長の実現やビジネスモデルの
変革、事業領域・ケイパビリティの大幅な拡充等を推進していきます。
(3)業績の状況
当第2四半期連結累計期間の「収益」(「商品販売等に係る収益」及び「役務提供及びロイヤルティ取引に係る収益」の合計)は、前第2四半期連結累計期間比2,181億円(3.1%)減収の6兆7,741億円となりま
した。
・エネルギー・化学品は、エネルギートレーディング取引、エネルギー関連事業及び化学品関連取引での
市況価格下落の影響により減収。
・金属は、石炭価格及び鉄鉱石価格の下落により減収。
・食料は、食品流通関連事業での人流回復及び販売価格上昇による取引拡大に加え、食糧関連取引での取扱
数量増加等により増収。
・第8は、(株)ファミリーマートでの商品力・販促強化による客数及び客単価の伸長に伴う日商増加等により
増収。
「売上総利益」は、前第2四半期連結累計期間比168億円(1.5%)減益の1兆676億円となりました。
・金属は、石炭価格及び鉄鉱石価格の下落により減益。
・エネルギー・化学品は、前第2四半期連結累計期間好調であったエネルギートレーディング取引及び化学品
関連取引の反動等により減益。
・第8は、(株)ファミリーマートでの商品力・販促強化による客数及び客単価の伸長に伴う日商増加等により
増益。
・食料は、食品流通関連事業での人流回復及び販売価格上昇による取引拡大に加え、食糧関連取引での取扱
数量増加等により増益。
「販売費及び一般管理費」は、前第4四半期連結会計期間にコネクシオ(株)を連結除外したことによる減少は
あったものの、(株)ドームの子会社化、人件費の増加及び円安による経費増加等により、前第2四半期連結
累計期間比230億円(3.3%)増加の7,150億円となりました。
「貸倒損失」は、一般債権に対する貸倒引当金の減少等により、前第2四半期連結累計期間比22億円減少の
18億円(損失)となりました。
「有価証券損益」は、リチウムイオン電池事業の再評価に係る利益はあったものの、前第2四半期連結
累計期間の北米飲料機器メンテナンス事業の売却に伴う利益の反動等により、前第2四半期連結累計
期間比149億円(29.6%)減少の354億円(利益)となりました。
「固定資産に係る損益」は、伊藤忠エネクス(株)での固定資産売却に伴う利益及び(株)ファミリーマートでの
店舗減損の改善等により、前第2四半期連結累計期間比135億円好転の63億円(利益)となりました。
「その他の損益」は、為替損益の好転等により、前第2四半期連結累計期間比93億円増加の93億円(利益)となりました。
「受取利息」、「支払利息」の合計である金利収支は、米ドル金利上昇に伴う支払利息の増加等により、
前第2四半期連結累計期間比135億円悪化の232億円(費用)となり、「受取配当金」は、前第2四半期連結
累計期間比30億円(8.9%)減少の310億円となりました。
「持分法による投資損益」は、前第2四半期連結累計期間比235億円(12.7%)減少の1,621億円(利益)と
なりました。
・その他及び修正消去(注)は、CITIC Limitedでは総合金融分野は堅調に推移したものの、米ドル金利上昇
に伴う支払利息の増加及び前第2四半期連結累計期間の証券事業の再評価に係る利益の反動による取込損益
減少に加え、豚肉市況の下落等に伴うC.P. Pokphand Co. Ltd.の取込損益悪化により減少。
・住生活は、パルプ市況下落及び販売低調等によるITOCHU FIBRE LIMITED(欧州パルプ事業)の取込損益悪化
に加え、前第2四半期連結累計期間好調であった海外不動産事業の反動等により減少。
・機械は、北米電力関連事業の取込損益増加に加え、前第3四半期連結会計期間における日立建機(株)の
持分法適用開始及び前第2四半期連結累計期間のリース関連事業でのロシア向け航空機に係る損失の反動等
により増加。
・食料は、北米穀物関連事業の堅調な推移に加え、北米油脂事業における資産売却に伴う利益等により、北米
畜産関連事業での撤退損失はあったものの、増加。
(注)「その他及び修正消去」は、各事業セグメントに帰属しない損益及びセグメント間の内部取引消去が
含まれております。詳細は「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表
注記 3 セグメント情報」をご覧ください。
以上の結果、「税引前四半期利益」は、前第2四半期連結累計期間比698億円(10.9%)減益の5,718億円
となりました。また、「法人所得税費用」は、税引前四半期利益の減少等により、前第2四半期連結累計
期間比78億円(5.7%)減少の1,292億円となり、「税引前四半期利益」5,718億円から「法人所得税費用」1,292億円を控除した「四半期純利益」は、前第2四半期連結累計期間比620億円(12.3%)減益の4,427億円となりました。このうち、「非支配持分に帰属する四半期純利益」298億円を控除した「当社株主に帰属する
四半期純利益」は、前第2四半期連結累計期間比701億円(14.5%)減益の4,129億円となりました。
(参考)
日本の会計慣行に基づく「営業利益」(「売上総利益」・「販売費及び一般管理費」・「貸倒損失」の
合計)は、前第2四半期連結累計期間比376億円(9.7%)減益の3,509億円となりました。
・金属は、石炭価格及び鉄鉱石価格の下落により減益。
・エネルギー・化学品は、前第2四半期連結累計期間好調であったエネルギートレーディング取引及び化学品
関連取引の反動等により減益。
・第8は、(株)ファミリーマートで外部環境変化や今後の事業基盤強化に向けたデジタル施策実行に伴う各種
コストの増加はあったものの、商品力・販促強化による客数及び客単価の伸長に伴う日商増加等により
増益。
・食料は、食品流通関連事業での人流回復及び販売価格上昇による取引拡大に加え、食糧関連取引での取扱
数量増加等により増益。
(4)セグメント別業績
当第2四半期連結累計期間の事業セグメント別業績は次のとおりです。当社は8つのディビジョン
カンパニーにより以下の区分にて、事業セグメント別業績を記載しております。
① 繊維カンパニー
収益(セグメント間内部収益を除く。以下同様。)は、前第2四半期連結会計期間における(株)ドームの
子会社化に加え、新型コロナウイルスの影響軽減等に伴う小売市況回復によるアパレル関連事業の堅調な推移により、前第2四半期連結累計期間比42億円(1.7%)増収の2,583億円となりました。売上総利益は、上記と同様の理由により、前第2四半期連結累計期間比77億円(14.4%)増益の611億円となりました。当社株主に帰属する四半期純利益は、海外事業の撤退に伴う取込減少はあったものの、新型コロナウイルスの影響軽減等に伴う小売市況回復によるアパレル関連事業の堅調な推移により、前第2四半期連結累計期間比ほぼ横ばいの115億円となりました。セグメント別資産は、新型コロナウイルスの影響軽減に伴う小売市況回復による取引増加での営業債権及び棚卸資産の増加、利益の積上げ及び追加投資による持分法投資の増加に加え、円安の
影響等により、前連結会計年度末比384億円(8.4%)増加の4,960億円となりました。
② 機械カンパニー
収益は、航空機関連事業での機体売却の減少はあったものの、自動車関連事業での販売好調等により、
前第2四半期連結累計期間比185億円(2.8%)増収の6,858億円となりました。売上総利益は、船舶市況下落による用船料収入の減少はあったものの、自動車関連取引・事業での販売好調等により、前第2四半期連結
累計期間比47億円(4.2%)増益の1,143億円となりました。当社株主に帰属する四半期純利益は、自動車関連取引・事業での販売好調及び前第3四半期連結会計期間における日立建機(株)の持分法適用開始はあった
ものの、前第2四半期連結累計期間の一過性損益の反動等により、前第2四半期連結累計期間比111億円(15.5%)減益の606億円となりました。セグメント別資産は、自動車関連事業や航空関連事業の棚卸資産の増加及び利益の積上げによる持分法投資の増加があったことに加え、円安の影響等により、前連結会計
年度末比1,284億円(7.7%)増加の1兆7,930億円となりました。
③ 金属カンパニー
収益は、石炭価格及び鉄鉱石価格の下落により、前第2四半期連結累計期間比1,293億円(18.7%)減収の5,626億円となりました。売上総利益は、上記と同様の理由により、前第2四半期連結累計期間比353億円(27.7%)減益の921億円となりました。当社株主に帰属する四半期純利益は、石炭価格及び鉄鉱石価格の
下落等により、前第2四半期連結累計期間比325億円(24.0%)減益の1,027億円となりました。セグメント別資産は、原料炭関連事業への投資及び利益の積上げによる持分法投資の増加に加え、円安の影響等により、
前連結会計年度末比1,170億円(9.2%)増加の1兆3,918億円となりました。
④ エネルギー・化学品カンパニー
収益は、エネルギートレーディング取引、エネルギー関連事業及び化学品関連取引での市況価格下落の影響により、前第2四半期連結累計期間比2,380億円(13.8%)減収の1兆4,827億円となりました。売上総利益は、前第2四半期連結累計期間好調であったエネルギートレーディング取引及び化学品関連取引の反動等に
より、前第2四半期連結累計期間比196億円(12.8%)減益の1,332億円となりました。当社株主に帰属する
四半期純利益は、前第2四半期連結累計期間好調であったエネルギートレーディング取引及び化学品関連取引の反動はあったものの、リチウムイオン電池事業の再評価に係る利益等により、前第2四半期連結累計期間比
38億円(7.5%)増益の538億円となりました。セグメント別資産は、エネルギー関連取引の営業債権の増加及びリチウムイオン電池事業の再評価に伴う公正価値上昇に加え、円安の影響等により、前連結会計年度末比2,163億円(13.9%)増加の1兆7,689億円となりました。
⑤ 食料カンパニー
収益は、食品流通関連事業での人流回復及び販売価格上昇による取引拡大に加え、食糧関連取引での取扱
数量増加等により、前第2四半期連結累計期間比1,289億円(5.6%)増収の2兆4,255億円となりました。
売上総利益は、上記と同様の理由により、前第2四半期連結累計期間比162億円(9.5%)増益の1,868億円となりました。当社株主に帰属する四半期純利益は、食品流通関連事業での人流回復や販売価格上昇による取引拡大に加え、食糧関連取引での取扱数量増加及び北米穀物関連事業の堅調な推移等により、北米畜産関連事業での撤退損失はあったものの、前第2四半期連結累計期間比77億円(24.5%)増益の391億円となりました。セグメント別資産は、食品流通関連事業の営業債権の増加に加え、円安の影響等により、前連結会計年度末比2,782億円(13.0%)増加の2兆4,250億円となりました。
⑥ 住生活カンパニー
収益は、前第2四半期連結累計期間好調であった建材関連事業の反動はあったものの、国内不動産取引及びEuropean Tyre Enterprise Limited(欧州タイヤ関連事業)の堅調な推移等により、前第2四半期連結
累計期間比192億円(3.0%)増収の6,571億円となりました。売上総利益は、上記と同様の理由により、
前第2四半期連結累計期間比115億円(10.0%)増益の1,269億円となりました。当社株主に帰属する四半期
純利益は、国内不動産取引の堅調な推移はあったものの、前第2四半期連結累計期間好調であった建材関連
事業及び海外不動産事業の反動、パルプ市況下落及び販売低調等によるITOCHU FIBRE LIMITEDの取込損益悪化に加え、前第2四半期連結累計期間の一過性利益の反動等もあり、前第2四半期連結累計期間比292億円(46.2%)減益の340億円となりました。セグメント別資産は、販売用不動産の引渡しによる減少はあった
ものの、新規投資及び円安の影響等により、前連結会計年度末比586億円(4.8%)増加の1兆2,819億円と
なりました。
⑦ 情報・金融カンパニー
収益は、伊藤忠テクノソリューションズ(株)の取引は堅調に推移したものの、前第4四半期連結会計期間におけるコネクシオ(株)の連結除外等により、前第2四半期連結累計期間比497億円(11.8%)減収の3,728億円となりました。売上総利益は、上記と同様の理由により、前第2四半期連結累計期間比70億円(5.0%)減益の1,319億円となりました。当社株主に帰属する四半期純利益は、伊藤忠テクノソリューションズ(株)の取引の堅調な推移に加え、ほけんの窓口グループ(株)の代理店手数料増加、ファンド保有株式の評価損益改善及び海外事業の売却に伴う一過性利益等により、前第2四半期連結累計期間比123億円(48.0%)増益の378億円となりました。セグメント別資産は、伊藤忠テクノソリューションズ(株)での棚卸資産の増加に加え、円安の
影響等により、前連結会計年度末比609億円(4.7%)増加の1兆3,690億円となりました。
⑧ 第8カンパニー
収益は、(株)ファミリーマートでの商品力・販促強化による客数及び客単価の伸長に伴う日商増加等に
より、前第2四半期連結累計期間比302億円(12.9%)増収の2,646億円となりました。売上総利益は、上記と同様の理由により、前第2四半期連結累計期間比214億円(11.0%)増益の2,161億円となりました。当社株主に帰属する四半期純利益は、(株)ファミリーマートでは外部環境変化や今後の事業基盤強化に向けたデジタル施策実行に伴う各種コストの増加はあったものの、商品力・販促強化による客数及び客単価の伸長に伴う日商増加に加え、関係会社業績や店舗減損の改善等により、前第2四半期連結累計期間比113億円(86.3%)増益の244億円となりました。セグメント別資産は、(株)ファミリーマートでの日商増加に伴う営業債権の増加に加え、固定資産の取得や投資有価証券の公正価値上昇等により、前連結会計年度末比382億円(2.0%)増加の1兆9,449億円となりました。
⑨ その他及び修正消去
当社株主に帰属する四半期純利益は、CITIC Limitedでは総合金融分野は堅調に推移したものの、
前第2四半期連結累計期間の証券事業の再評価に係る利益の反動による取込損益減少、米ドル金利上昇に
伴う支払利息の増加に加え、豚肉市況の下落等に伴うC.P. Pokphand Co. Ltd.の取込損益悪化により、
前第2四半期連結累計期間比323億円(39.8%)減益の489億円となりました。
(5)主な子会社及び持分法適用会社の業績
① 黒字・赤字会社別損益及び黒字会社比率
黒字・赤字会社別損益
(単位:億円)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減
黒字会社
赤字会社
合計
黒字会社
赤字会社
合計
黒字会社
赤字会社
合計
事業会社損益
(海外現地法人含む)
4,546
△138
4,408
3,842
△170
3,672
△704
△32
△737
黒字会社比率
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減
黒字会社
赤字会社
合計
黒字会社
赤字会社
合計
黒字会社
赤字会社
合計
連結子会社
会社数
169
20
189
165
26
191
△4
6
2
比率(%)
89.4
10.6
100.0
86.4
13.6
100.0
△3.0
3.0
持分法適用会社
会社数
64
23
87
62
17
79
△2
△6
△8
比率(%)
73.6
26.4
100.0
78.5
21.5
100.0
4.9
△4.9
合計
会社数
233
43
276
227
43
270
△6
0
△6
比率(%)
84.4
15.6
100.0
84.1
15.9
100.0
△0.3
0.3
(注)会社数には、親会社の一部と考えられる投資会社(179社)及び当社もしくは当社の海外現地法人が直接投資
している会社を除くその他の会社(487社)を含めておりません。
当第2四半期連結累計期間の事業会社損益は、前第2四半期連結累計期間比737億円減少の3,672億円の利益となりました。
黒字会社損益は、日商増加等による(株)ファミリーマートの増益はあったものの、石炭価格及び鉄鉱石価格の下落によるITOCHU Minerals & Energy of Australia Pty Ltdの減益、前第2四半期連結累計期間の証券事業の再評価に係る利益の反動によりCITIC Limitedの取込損益が減少したOrchid Alliance Holdings Limitedの減益に加え、前第2四半期連結累計期間の北米飲料機器メンテナンス事業売却及び北米油脂事業再編に伴う利益の
反動等があった伊藤忠インターナショナル会社の減益等により、前第2四半期連結累計期間比704億円減少の3,842億円の利益となりました。また、赤字会社損益は、パルプ市況下落及び販売低調等によるITOCHU FIBRE LIMITEDの取込損益悪化等により、前第2四半期連結累計期間比32億円悪化の170億円の損失となりました。
黒字会社比率(連結対象会社数に占める黒字会社数の比率)については、前第2四半期連結累計期間の84.4%から0.3ポイント低下の84.1%となりました。
② 主な関係会社損益
(単位:億円)
取込
比率(%)
取込損益(注)1
前第2四
半期連結
累計期間
当第2四
半期連結
累計期間
繊維
㈱ジョイックスコーポレーション
100.0
△1
0
㈱レリアン
100.0
0
1
㈱デサント
43.8
20
24
㈱ドーム
69.7
4
4
㈱エドウイン
100.0
3
2
㈱三景
100.0
6
9
ITOCHU Textile Prominent (ASIA) Ltd.
100.0
14
5
伊藤忠繊維貿易(中国)有限公司
100.0
11
13
機械
東京センチュリー㈱
(注)2
30.0
24
-
I-ENVIRONMENT INVESTMENTS LIMITED
100.0
23
14
伊藤忠プランテック㈱
100.0
7
7
㈱アイメックス
100.0
18
39
㈱ジャムコ
33.4
2
3
日本エアロスペース㈱
100.0
5
9
㈱ヤナセ
82.8
58
58
Auto Investment Inc.
100.0
16
14
シトラスインベストメント合同会社
(注)3
100.0
-
58
伊藤忠マシンテクノス㈱
100.0
1
2
金属
ITOCHU Minerals & Energy of Australia Pty Ltd
100.0
984
695
JAPÃO BRASIL MINÉRIO DE FERRO PARTICIPAÇÕES LTDA.
77.3
47
48
伊藤忠丸紅鉄鋼㈱
50.0
251
224
伊藤忠メタルズ㈱
100.0
17
13
エネルギー
・化学品
ITOCHU Oil Exploration (Azerbaijan) Inc.
100.0
54
55
ITOCHU PETROLEUM CO., (SINGAPORE) PTE. LTD.
100.0
16
3
伊藤忠エネクス㈱
54.0
38
48
日本南サハ石油㈱
25.0
15
19
伊藤忠ケミカルフロンティア㈱
100.0
38
41
伊藤忠プラスチックス㈱
100.0
29
28
タキロンシーアイ㈱
55.7
9
7
食料
Dole International Holdings㈱
100.0
7
11
㈱日本アクセス
100.0
96
130
不二製油グループ本社㈱
43.9
17
55
ウェルネオシュガー㈱
37.8
-
12
伊藤忠飼料㈱
100.0
6
10
プリマハム㈱
47.9
15
16
伊藤忠食品㈱
52.2
14
18
HYLIFE GROUP HOLDINGS LTD.
49.9
△41
△50
(単位:億円)
取込
比率(%)
取込損益(注)1
前第2四
半期連結
累計期間
当第2四
半期連結
累計期間
住生活
European Tyre Enterprise Limited
100.0
32
25
ITOCHU FIBRE LIMITED
100.0
122
△7
伊藤忠紙パルプ㈱
100.0
9
12
伊藤忠セラテック㈱
100.0
5
4
伊藤忠ロジスティクス㈱
100.0
36
30
伊藤忠建材㈱
100.0
32
22
大建工業㈱
(注)4
36.3
35
6
伊藤忠都市開発㈱
100.0
30
30
伊藤忠アーバンコミュニティ㈱
100.0
8
7
情報・金融
伊藤忠テクノソリューションズ㈱
85.9
73
111
㈱ベルシステム24ホールディングス
40.7
16
13
伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱
63.0
11
13
エイツーヘルスケア㈱
100.0
8
8
ほけんの窓口グループ㈱
92.0
9
22
ポケットカード㈱
(注)5
78.2
22
32
㈱オリエントコーポレーション
16.5
20
17
㈱外為どっとコム
40.2
-
8
First Response Finance Ltd.
100.0
15
12
ITOCHU FINANCE (ASIA) LTD.
100.0
20
16
GCT MANAGEMENT (THAILAND) LTD.
100.0
20
27
第8
㈱ファミリーマート
(注)6
94.7
168
273
その他及び
修正消去
Orchid Alliance Holdings Limited
(注)7
100.0
796
520
C.P. Pokphand Co. Ltd.
23.8
△42
△70
Chia Tai Enterprises International Limited
23.8
△1
1
(参考)
海外現地法人(注)8
伊藤忠インターナショナル会社
100.0
431
177
伊藤忠欧州会社
100.0
71
17
伊藤忠(中国)集団有限公司
100.0
32
33
伊藤忠香港会社
100.0
39
29
伊藤忠シンガポール会社
100.0
49
28
(注)1 取込損益には、IFRS修正後の数値を記載しておりますので、各社が公表している数値とは異なる場合が
あります。
2 当第2四半期連結累計期間の取込損益は、決算公表が未了であるため開示を控えております。
3 傘下の日立建機㈱からの取込損益を含んでおりますが、当社の融資に対するパートナーからの受取利息
等は含んでおりません。
4 2023年10月10日に当該会社に対する公開買付が成立しており、同日時点の取込比率は87.4%です。
5 ポケットカード㈱の取込損益には、㈱ファミリーマート経由の取込損益を含んでおります。
6 ㈱ファミリーマートの取込損益には、ポケットカード㈱の取込損益を含んでおります。
7 Orchid Alliance Holdings Limitedの取込損益には、付随する税効果等を含めて表示しております。
8 各セグメントに含まれている海外現地法人の損益を合算して表示しております。
(6)財政状態
当第2四半期連結会計期間末の「総資産」は、取引増加による営業債権の増加及び持分法で会計処理されて
いる投資の増加に加え、円安に伴う為替影響等により、前連結会計年度末比1兆543億円(8.0%)増加の
14兆1,697億円となりました。
現預金控除後の「ネット有利子負債」は、堅調な営業取引収入はあったものの、伊藤忠テクノソリュー
ションズ(株)の追加取得に加え、配当金の支払及び自己株式の取得並びに円安に伴う為替影響等により、
前連結会計年度末比2,388億円(10.0%)増加の2兆6,299億円となりました。
「有利子負債」は、前連結会計年度末比2,417億円(8.0%)増加の3兆2,483億円となりました。
「株主資本」は、伊藤忠テクノソリューションズ(株)の追加取得による資本剰余金の減少に加え、
配当金の支払及び自己株式の取得はあったものの、当社株主に帰属する四半期純利益の積上げ及び円安に伴う
為替影響等により、前連結会計年度末比3,886億円(8.1%)増加の5兆2,118億円となりました。
株主資本比率は36.8%、NET DER(ネット有利子負債対株主資本倍率)は0.50倍となり、いずれも前連結会計年度末比横ばいとなりました。
(7)キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、第8、住生活及び食料での堅調な営業取引収入の推移に加え、金属での持分法投資からの配当金の受取等により、4,692億円のネット入金となり
ました。
なお、前第2四半期連結累計期間は、4,691億円のネット入金でした。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、金属での持分法投資の取得に加え、
第8、食料及びエネルギー・化学品での固定資産の取得等により、907億円のネット支払となりました。
なお、前第2四半期連結累計期間は、3,068億円のネット支払でした。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、伊藤忠テクノソリューションズ(株)の追加取得に加え、リース負債の返済、配当金の支払及び自己株式の取得等により、3,980億円のネット支払となりました。
なお、前第2四半期連結累計期間は、1,760億円のネット支払でした。
「現金及び現金同等物」の当第2四半期連結会計期間末残高は、円安に伴う為替影響等もあり、前連結会計年度末比6億円(0.1%)増加の6,066億円となりました。
(8)流動性と資金の源泉
当社グループは、金融情勢の変化に対応した機動性の確保と資金コストの低減を目指すとともに、調達の
安定性を高めるために長期性の資金調達に努める等、調達構成のバランスを取りながら、調達先の分散や調達方法・手段の多様化を図っております。資金調達手段としては、銀行借入等の間接金融とコマーシャル・
ペーパー及び社債の発行による直接金融を、金融情勢の変化に応じて機動的に活用しております。
また、当第2四半期連結会計期間末にて「現金及び現金同等物」、「定期預金」(合計6,184億円)
の他、コミットメントライン契約の未使用枠(円貨5,600億円、外貨899百万米ドル)を有しており、不測の
事態にも十分な流動性準備を確保していると考えております。
(9)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第2四半期連結累計期間の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について、第99期有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(10)重要性のある会計方針
要約四半期連結財務諸表にて適用する重要性のある会計方針は、IFRS第17号「保険契約」を除いて、前連結
会計年度に係る連結財務諸表にて適用した会計方針と同一であります。
当社グループは、当第2四半期連結累計期間よりIFRS第17号「保険契約」を適用しておりますが、当社
グループの財政状態、経営成績への影響につきましては「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表
要約四半期連結財務諸表注記 2 要約四半期連結財務諸表作成の基礎」をご参照ください。
なお、ロシア・ウクライナ情勢による影響については、第99期有価証券報告書に記載した内容から重要な
変更はありません。
(11)研究開発活動
特記すべき事項はありません。