【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
[国内外経済等の背景について]
当第2四半期連結累計期間における我が国の経済は、コロナ禍から社会経済活動の正常化が本格化し、人流の活発化やインバウンドによる外国人観光客の増加のほか、個人消費及び企業の設備投資の一層の持ち直しがみられ、景気は緩やかに回復しております。一方で、日米金融施策等の影響による円安の進行、ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギー資源や原材料価格の高騰に伴う物価上昇などにより、先行き不透明な状況が続いております。
家電小売業界では、新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が2023年5月に5類へ変更され、人流の回復と経済の正常化が一層高まる一方、消費支出はレジャー・サービス等が中心となり、当業界では総じて来店客数が減少傾向にありました。その中にあって、7月から9月まで続いた記録的な猛暑によってエアコンをはじめとする季節家電が大きく伸長したほか、インバウンド需要の回復、省エネを意識した冷蔵庫・洗濯機などの高付加価値商品、自動調理器具や理美容器具等が好調に推移しました。
[当社の取り組みについて]
このような市況を背景に、当社グループは、「YAMADA HD 2025 中期経営計画」2年目として、目標達成に向け以下の4つの重点施策、①店舗開発の積極的推進 ②Eコマースの強化推進 ③SPA商品の積極的開発 ④各事業会社別 課題の目標設定 で目標達成を図る を実行することにより、継続した増収増益体制を構築しています。
重点施策である店舗開発の積極的推進については、新規出店及び店舗増改築や業態変更を積極的に進める中、「暮らしまるごと」戦略の強化として、「たのしい。くらしをシアワセにする、ぜんぶ。」をストアコンセプトとした体験型店舗「LIFE SELECT(家電、家具・インテリア、生活雑貨、リフォーム、玩具、電動自転車等、くらしのあらゆるモノがそろう、地域最大級品揃えのお店)」を開発、2023年4月には創業の地に前橋吉岡店をオープンし、現在33店舗を展開しています(LABI LIFE SELECT 6店舗、Tecc LIFE SELECT 27店舗 うち新規出店6店舗)。また、インターネット販売と店舗が融合したYAMADA web.com店や家電のアウトレット・リユース商品を豊富に揃えたアウトレット店舗等、さまざまな業態店舗の開発を行い既存の家電専門店と合わせ、家電製品と親和性の高い住まいに関連する製品の販売拡大により、売場面積の拡充とシェアの向上は堅調に推移しています。Eコマースについては、自社ECサイトの刷新を行い、お客様の利便性の向上を図るとともに、Eコマースの更なる強化及び店舗DXによるお客様の利便性と社員の働き方・生産性向上強化を目的としDXイノベーション推進室を発足し活動を強化しています。SPA商品については、FUNAI Fire TV搭載スマートテレビ新機種やフィルター自動お掃除機能や換気機能付きのエアコン等、お客様の声をダイレクトに活かした多様な商品を開発、時代に求められた機能を搭載した商品を展開し発売以来、好調に推移しています。
なお、当社は下期以降、「暮らしまるごと」戦略の総結集として「YAMADAスマートハウス」を展開し、この取り組みを推進して参ります。標準装備された太陽光パネルによる発電、蓄電池としてのEV・V2Hにより電力・ガソリンコストを抑えた経済的な住宅に、健康・エンタメ・セキュリティー・IoTネットワーク機能を充実させたヤマダらしい次世代スマートハウスを、当社独自の保険や住宅ローンなど多彩な金融商品と共にお客様にご提供いたします。
当第2四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は前年同期比0.1%増の7,752億3百万円、営業利益は前年同期比3.0%増の203億65百万円、経常利益は前年同期比1.1%増の236億39百万円の増収・増益となりました。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比24.9%減の132億48百万円となりましたが、これは前年度におけるグループ通算制度適用による繰延税金資産の計上及び子会社グループ再編に伴う欠損金の引継等による法人税等が減少した影響であり、この特殊要因を除くと親会社株主に帰属する四半期純利益は対前年同期で増益となります。この増収・増益の主な要因は、デンキ事業において、①積極的な店舗開発によるシェア・売上の向上、②セルアウト管理に基づく適切な在庫管理及び粗利・商談利益の確保によるものです。
なお、販売管理費につきましては、売り場面積5%拡大に向けた人員の増加、DX推進先行投資費、エネルギー価格の上昇等の影響はありましたが、きめ細かい経費コントロールにより、ほぼ前年水準で推移いたしました。
[セグメント別の業績状況]
第1四半期連結会計期間より、従来、「その他」に含めていた医薬品・日用品等販売事業を「デンキ」に含めており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
1) デンキ事業
デンキ事業における売上高は6,446億9百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益は202億60百万円(前年同期比7.8%増)となりました。
デンキ事業の売上高及び営業利益につきましては、家電小売業界が総じて厳しい状況にある中、積極的店舗開発によるシェア向上、Eコマースやリフォーム、家具・インテリアが順調に売上を伸ばしたものの、前年同期の売上高には合併による大塚家具の2ヵ月分の売上高が加算されているため(決算日が4月30日であった株式会社大塚家具は、連結決算日との差異が3ヵ月を超えないことから、連結財務諸表の作成にあたっては、同日現在の財務諸表を使用し、連結決算日との間に生じた重要な取引については、連結上必要な調整を行っておりましたが、株式会社ヤマダデンキは、2022年5月1日を効力発生日として株式会社大塚家具を吸収合併しており、前年同期の売上高には2022年2月から9月までの8ヵ月分の大塚家具の売上高が含まれております。)、減収・増益となりました。なお、売場面積の拡大は順調に推移しており、売上高は業界水準を上回って推移しております。
2) 住建事業
住建事業における売上高は1,200億19百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益は△13億82百万円(前年同期営業利益△6億81百万円)と、前年から7億円の減益となりました。
住建事業の会社別実績(内部取引相殺前)は、①ヤマダホームズは売上高339億66百万円(前年同期比4.0%減)、営業利益△22億88百万円(前年同期の営業利益△18億10百万円)となり、完工遅れに伴う売上高の減少により、減収・減益となりました。なお、直近の住宅受注は好調であり、また中古再販事業も順調に推移しています。②ヒノキヤグループは売上高587億65百万円(前年同期比4.1%増)、営業利益7億30百万円(前年同期比33.1%減)となりました。住宅事業・断熱材事業ともに順調に推移しましたが、ウッドショック等に起因する原価上昇が影響を残し、増収・減益となりました。但し、住宅事業の価格見直しによる粗利改善と着工促進は着実に進んでおり、通期での増収・増益に向けて順調に推移しています。③バスやキッチン等の開発、製造を担う株式会社ハウステックは、商品価格戦略の見直し、当社グループのシナジー効果等により売上高300億55百万円(前年同期比5.4%増)、営業利益9億円(前年同期比20.9%増)の増収・増益となりました。
なお、円安や建築資材の高騰による原価影響は、付加価値提案による販売単価向上及びコスト削減等の経営改革、ナイス株式会社との包括的取り組みによるシナジー効果により改善しております。
3) 金融事業
金融事業における売上高は19億21百万円(前年同期比54.2%増)、営業利益は1億85百万円(前年同期比15.2%減)となり、株式会社ハウス・デポ・パートナーズの子会社化により増収となりましたが、販管費増加に伴い減益となりました。フラット35市場縮小等の市場環境変化に対応し、組織再編を進めヤマダNEOBANK住宅ローンの販売体制の強化と合理化を行い、売上高・利益の向上を図って参ります。
4) 環境事業
環境事業における売上高は163億19百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は7億56百万円(前年同期比4.7%増)となり、当社グループ完結型で進める「環境資源開発」への取り組みの成果により増収・増益となりました。
なお、資源循環型インフラ事業への成長投資を積極化させるため、2023年9月1日に株式会社ミダックホールディングスとの合弁会社「株式会社グリーン・サーキュラー・ファクトリー」を設立し、引き続き循環型経済圏の構築と利益の最大化を目指して参ります。
5) その他事業
その他事業における売上高は128億7百万円(前年同期比11.5%減)、営業利益は4億68百万円(前年同期比29.4%減)となりました。減収・減益の主要因はFC・VC向け白物家電売上不振によるものです。
[店舗数について]
当第2四半期連結会計期間末の店舗数(海外含む)は、16店舗の新規出店、22店舗の退店により、直営店舗数1,022店舗(ヤマダデンキ直営993店舗、その他連結子会社29店舗)となり、FCを含むグループ店舗数総計は11,340店舗となっております。
[業績のまとめ]
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高7,752億3百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益203億65百万円(前年同期比3.0%増)、経常利益236億39百万円(前年同期比1.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益132億48百万円(前年同期比24.9%減)となりました。
[財政状態]
当第2四半期連結会計期間末の総資産額は、前連結会計年度末に比べ95億99百万円増加(前期比0.8%増)して1兆2,807億80百万円となりました。主な要因は、商品及び製品の増加によるものであります。
負債は、120億1百万円増加(前期比1.8%増)して6,714億7百万円となりました。主な要因は、運転資金の借入に伴う短期借入金の増加によるものであります。
純資産は、24億2百万円減少(前期比0.4%減)して6,093億73百万円となりました。減少主要因は、自己株式の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は47.0%(前期末は47.6%)となりました。
[経営成績]
①売上高・売上総利益
当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年度より継続しているウクライナ情勢や、物価高での生活防衛意識の高まりによる耐久消費財の買い控えの影響があり、厳しい状況で推移いたしました。商品別には、携帯電話はⅰPhoneを中心に新製品が好調に推移しました。一方、テレビやDVD等のデジタル商品やパソコン等につきましては、新型コロナウイルス禍での巣ごもり需要が一巡し、レジャー消費が増加し買い替えが低調になったことの影響により、前年を下回りました。その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は7,752億3百万円(前年同期比0.1%増)となりました。売上総利益は、市場と連動したDX戦略(売上と利益の最適化)に伴う粗利高(率)の増加により当第2四半期連結累計期間の売上総利益は2,255億70百万円(前年同期比1.4%増)となりました。
②販売費及び一般管理費・営業利益・経常利益・税金等調整前四半期純利益
当第2四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、売場面積拡大に伴う採用人員強化、エネルギー価格の上昇による物流費を中心とした各種販売管理費の増加により2,052億4百万円(前年同期比1.3%増)となり、営業利益は、203億65百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
営業外収益及び費用は、営業外収益53億86百万円(前年同期比3.3%減)、営業外費用は21億12百万円(前年同期比7.7%増)となり、その結果、経常利益は236億39百万円(前年同期比1.1%増)となりました。
特別利益は31億64百万円、特別損失は39億17百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前四半期純利益は228億85百万円(前年同期比8.5%増)となりました。
③法人税等合計・非支配株主に帰属する四半期純利益・親会社株主に帰属する四半期純利益・四半期包括利益
当第2四半期連結累計期間の法人税等合計は92億22百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益は4億15百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は132億48百万円(前年同期比24.9%減)、四半期包括利益は146億62百万円となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ30億84百万円増加して495億71百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、131億26百万円の収入(前年同期は37億12百万円の収入)となりました。
これは主に、法人税等の支払額が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、101億35百万円の支出(前年同期は76億43百万円の支出)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億99百万円の支出(前年同期は7億18百万円の収入)となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出が減少したものの、運転資金の借入に伴う短期借入金が減少したことによるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は1億69百万円であります。これは、主に子会社である株式会社ハウステックの住建事業における研究開発活動によるものであります。
なお、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。