【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
[国内外経済等の背景について]
当第1四半期連結累計期間における我が国の経済は、コロナ禍から社会経済活動の正常化が本格化し、人流の活発化や、個人消費及び企業の設備投資の一層の回復がみられ、景気は緩やかに持ち直す傾向にあります。一方で、ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギー資源や原材料価格の高騰に伴う物価上昇、日米金融施策等の影響による円安の進行などにより、先行き不透明な状況が続いております。
家電小売業界では、新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が2023年5月に五類へ変更され、人流の回復と経済の正常化が一層高まる一方、消費支出はレジャー・サービス等が中心となり、当業界では総じて来店客数が減少傾向にありました。その中にあって、インバウンド需要や省エネ・節水・タイパを意識した冷蔵庫・洗濯機の高付加価値商品、自動調理器具や理美容器具、デジカメ・ムービー等が好調に推移しました。
[当社の取り組みについて]
このような市況を背景に、当社グループは、「YAMADA HD 2025 中期経営計画」2年目として、目標達成に向け以下の4つの重点施策、①店舗開発の積極的推進 ②Eコマースの強化推進 ③SPA商品の積極的開発 ④各事業会社別 課題の目標設定 で目標達成を図る を実行することにより、継続した増収増益体制を構築しています。
重点施策である店舗開発の積極的推進については、新規出店及び店舗増改築や業態変更を積極的に進める中、「暮らしまるごと」戦略の強化として、「たのしい。くらしをシアワセにする、ぜんぶ。」をストアコンセプトにした体験型店舗「LIFE SELECT(家電、家具・インテリア、生活雑貨、リフォーム、玩具、電動自転車等、くらしのあらゆるモノがそろう、地域最大級品揃えのお店)」を2021年6月18日の熊本春日店を皮切りに合計33店舗オープン致しました(LABI LIFE SELECT 6店舗、TECC LIFE SELECT 27店舗 うち新規出店6店舗)。また、インターネット販売と店舗が融合したYAMADA Web.com店や家電のアウトレット・リユース商品を豊富に揃えたアウトレット店舗等、さまざまな業態店舗の開発を行い既存の家電専門店と合わせ、家電製品と親和性の高い住まいに関連する製品の販売拡大により、売場面積の拡充とシェアの向上は堅調に推移しています。Eコマースについては、自社ECサイトのMicrosoft Azure導入等を行い、お客様の利便性の向上を図っております。また、店舗DXと社員の働き方や生産性向上のためにDXイノベーション推進室を発足し、さらにSPA商品については、FUNAI Fire TV搭載スマートテレビ新機種や5つのクリーン機能を搭載した換気機能付きエアコン等、お客様の声をダイレクトに活かした多様な商品、また工事不要で時短・節水を意識した超音波食洗器やお風呂上りにバスマットに乗るだけで体重測定ができるスマートバスマット等、時代に求められた機能を搭載した商品を展開し発売以来、好調に推移しています。
尚、当社グループは6月29日に三菱自動車の電気自動車(EV)の販売協業開始を発表しました。これは、単純にEV単体の販売に限らず、EVも「住」に関連する商材として、スマートハウスの蓄電池代わりになる上、保険や住宅ローンなど多様な金融商品、充電設備や太陽光付カーポート等のリフォームといったさらに進化・発展した「暮らしまるごと」提案を可能にし、当社の持続的成長に向けた重要な取り組みになります。
当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は前年同期比3.2%減の3,637億9百万円、営業利益は前年同期比9.7%減の110億72百万円、経常利益は前年同期比9.9%減の130億11百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比28.5%減の104億91百万円となりました。減収減益の主な要因は、①デンキ事業における消費支出のレジャー・サービスへの移行による家電需要の減少 ②住建事業における新築注文住宅の完工遅れに伴う収益減少 ③前年度におけるグループ通算制度適用による繰延税金資産の計上及び子会社グループ再編に伴う欠損金の引継等による法人税等が減少していたことに伴う影響 によるものです。
なお、販売管理費につきましては、売り場面積5%拡大に向けた人員採用の増加、DX推進への先行投資費用、エネルギー価格の上昇等の影響はありましたが、きめ細かい経費コントロールにより、ほぼ前年水準で推移致しました。
[セグメント別の業績状況]
当第1四半期連結会計期間より、従来、「その他」に含めていた医薬品・日用品等販売事業を「デンキ」に含めており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
①デンキ事業
デンキ事業における売上高は3,036億18百万円(前年同期比3.7%減)、営業利益は120億87百万円(前年同期比4.3%減)となりました。
デンキ事業の売上高および営業利益につきましては、Eコマースやリフォーム、家具・インテリアは順調に売上を伸ばしたものの、前述した要因により減少しました。
なお、売場面積の拡大は順調に推移しており、売上高は業界水準を上回って推移しております。
②住建事業
住建事業における売上高は545億42百万円(前年同期比3.4%減)、営業利益は△17億10百万円(前年同期営業利益△11億60百万円)と、前年から5億49百万円の減益となりました。
住建事業の会社別実績(内部取引相殺前)は、①ヤマダホームズは売上高158億57百万円(前年同期比10.8%減)、営業利益△11億76百万円(前年同期の営業利益△8億57百万円)となり、完工遅れに伴う売上高の減少により、減収・減益となりました。尚、現在の完工遅れは解消され、新築注文住宅の完成引き渡しは計画どおり、また中古再販事業も順調に推移しています。②ヒノキヤグループは売上高237億5百万円(前年同期比4.2%減)、営業利益△6億63百万円(前年同期の営業利益△2億98百万円)となりました。売上・利益共に計画どおりに推移したものの、前期比は完工遅れにより減収・減益となりました。尚、現在の完工遅れは解消され、通期での増収・増益に向けては順調に推移しています。③バスやキッチン等の開発、製造を担う株式会社ハウステックは、商品価格戦略の見直し、当社グループのシナジー効果、リフォーム案件の増加等により売上高148億78百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益3億87百万円(前年同期比25.7%増)の増収・増益となりました。
なお、円安や建築資材の高騰による原価影響は、付加価値提案による販売単価向上及びコスト削減等の経営改革、ナイス株式会社との包括的取り組みによるシナジー効果により改善しております。
③金融事業
金融事業における売上高は9億71百万円(前年同期比58.1%増)、営業利益は58百万円(前年同期比42.8%減)となり、株式会社ハウス・デポ・パートナーズの子会社化により増収となりましたが、フラット35の市場の市場縮小及び物価高等に伴うコスト増加により減益となりました。フラット35の市場縮小に対しましては、ヤマダNEOBANK住宅ローンの強化を行い、売上高・利益の向上を図ってまいります。
④環境事業
環境事業における売上高は82億33百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は3億76百万円(前年同期比8.6%増)となり、当社グループ完結型で進める「環境資源開発」への取り組みの成果により増収・増益となりました。
なお、資源循環型インフラ事業への成長投資を積極化させるため、2023年7月17日に株式会社ミダックホールディングスとの合弁会社設立に向けた基本合意書の締結を行っており、循環型経済圏の構築と利益の最大化を目指してまいります。
⑤その他事業
その他事業における売上高は63億49百万円(前年同期比9.1%減)、営業利益は2億20百万円(前年同期比33.1%減)となりました。デンキ事業と同様の理由で主にFC事業における売上高の減少によるものです。
[店舗数について]
当第1四半期連結会計期間末の店舗数(海外含む)は、14店舗の新規出店、12店舗の退店により、直営店舗数1,030店舗(ヤマダデンキ直営1,001店舗、その他連結子会社29店舗)となり、FCを含むグループ店舗数総計は11,378店舗となっております。
[業績のまとめ]
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高363,709百万円(前年同期比3.2%減)、営業利益11,072百万円(前年同期比9.7%減)、経常利益13,011百万円(前年同期比9.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益10,491百万円(前年同期比28.5%減)となりました。
[財政状態]
当第1四半期連結会計期間末の総資産額は、2023年3月末に比べ67,489百万円増加(前期比5.3%増)して1,338,671百万円となりました。主な要因は、季節商品の仕入等による商品及び製品の増加によるものであります。
負債は、73,019百万円増加(前期比11.1%増)して732,425百万円となりました。主な要因は、季節商品の仕入等に備えた運転資金の借入に伴う短期借入金の増加によるものであります。
純資産は、5,529百万円減少(前期比0.9%減)して606,245百万円となりました。主な要因は、取締役会決議に基づく新規取得による自己株式の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は44.8%(前期末は47.6%)となりました。
①売上高・売上総利益
当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年度より継続しているウクライナ情勢や、物価高での生活防衛意識の高まりによる耐久消費財の買い控えの影響があり、厳しい状況で推移いたしました。商品別には、携帯電話はiPhoneを中心に新製品が好調に推移しました。一方、エアコン等の季節商品につきましては、前年と比べ6月の気温が低かったことの影響により、低調に推移しました。その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は363,709百万円(前年同期比3.2%減)となりました。売上総利益は、市場と連動したDX戦略(売上と利益の最適化)の改革途上に伴う粗利高(率)の減少により当第1四半期連結累計期間の売上総利益は111,212百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
②販売費及び一般管理費・営業利益・経常利益・税金等調整前四半期純利益
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、徹底した経費の削減及びコントロールを行った事により100,139百万円(前年同期比1.0%減)となり、営業利益は、11,072百万円(前年同期比9.7%減)となりました。
営業外収益及び費用は、営業外収益は2,894百万円(前年同期比9.3%減)、営業外費用は955百万円(前年同期比5.7%減)となり、その結果、経常利益は13,011百万円(前年同期比9.9%減)となりました。
特別利益は3,124百万円、特別損失は100百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前四半期純利益は16,035百万円(前年同期比10.8%増)となりました。
③法人税等合計・非支配株主に帰属する四半期純利益・親会社株主に帰属する四半期純利益・四半期包括利益
当第1四半期連結累計期間の法人税等合計は5,345百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益は198百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は10,491百万円(前年同期比28.5%減)、四半期包括利益は11,566百万円となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は88百万円であります。これは、主に子会社の株式会社ハウステックの住宅関連事業における研究開発活動によるものであります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。