【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
[国内外経済等の背景について]
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、行動制限の緩和等により経済活動が正常化に向かう一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー価格や原材料価格の急騰を主因とした物価高が個人消費に与える影響懸念などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。
家電小売業界では、新型コロナウイルス感染症の影響によって生じた巣ごもり需要の反動減及び従業員の感染による勤務時間減少に伴う販売機会ロス、消費者の節約志向に伴う競争環境の激化、一部製品の供給不足、エネルギー価格や原材料価格の急騰を受け、製品原価や各種コスト増加があった一方、省エネ性能の高い高単価のエアコンや冷蔵庫が好調に推移しました。また、家事負担を軽減する大容量の洗濯機やタイパを意識した調理家電も好調に推移しています。
[当社の取り組みについて]
このような市況を背景に、当社グループは、「YAMADA HD 2025 中期経営計画」スタートの年として、目標達成に向け以下の4つの重点施策、①店舗開発の積極的推進 ②Eコマースの強化推進 ③SPA商品の積極的開発 ④各事業会社別 課題の目標設定で目標達成を図る を実行することにより、継続した増収増益体制を構築して参ります。
重点施策である店舗開発の積極的推進については、新規出店及び店舗増改築や業態変更を積極的に進める中、「暮らしまるごと」戦略の強化として、「たのしい。くらしをシアワセにする、ぜんぶ。」をストアコンセプトにした体験型店舗「LIFE SELECT(家電、家具・インテリア、生活雑貨、リフォーム、おもちゃ等、くらしのあらゆるモノがそろう、地域最大級品揃えのお店)」を2021年6月18日の熊本春日店を皮切りに合計28店舗オープン致しました(LABI LIFE SELECT 6店舗、TECC LIFE SELECT 22店舗 うち新規出店5店舗)。また、インターネット販売と店舗が融合したYAMADA Web.com店やアウトレット・リユース商品を豊富に揃えたアウトレット店舗等、さまざまな業態店舗の開発を行い既存の家電専門店と合わせ、家電製品を中心とした住まいに関連する製品の販売拡大により、売場面積の拡充とシェアの向上は堅調に推移しています。Eコマースについては、自社ECサイトの刷新やテレビショッピング、LIVEコマース販売等の販路拡大による強化を図っております。SPA商品については、換気機能付きエアコンや絶対湿度センサー搭載電子レンジ等の家電から、電動昇降テレビスタンドや3モーター搭載リクライニングソファ等、お客様の声をダイレクトに活かした多様な商品を投入し発売以来、好調に推移しています。
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)の業績につきましては、売上高が前年同期比1.3%減の1兆1,773億44百万円、営業利益が前年同期比32.2%減の393億28百万円、経常利益が前年同期比31.6%減の440億79百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が前年同期比35.6%減の305億83百万円となりました。減収減益の主な要因は、デンキ事業に於いては、①前年度より継続している一過性の巣ごもり需要反動減 ②前年度におけるグリーン住宅ポイント制度に伴う法人需要反動減 ③物価高及び実質賃金低下に伴う消費者の生活防衛意識の高まりによる耐久消費財の需要減退 ④大型台風や大雨の影響に伴う店舗の休業や営業時短 ⑤従業員の新型コロナウイルス感染による勤務時間減少に伴う販売機会ロス ⑥市場と連動したDX化による売上と利益の最適化に向けた改革途上に伴う粗利率の低下 ⑦政策的なバランスシート改革取り組みによる仕入抑制が影響したことによる粗利高の減少に加え、前年度における新型コロナウイルス感染症に伴う助成金収入減及び年末の急激な円高に伴う一時的な為替差損の計上に伴う営業外収支の減少によるものです。
なお、販売管理費につきましては、売り場面積5%拡大に向けた人員採用の増加、DX推進への先行投資費用、エネルギー価格の上昇等の影響はありましたが、きめ細かい経費コントロールにより、ほぼ前年水準で推移致しました。
[セグメント別の業績状況]
第1四半期連結会計期間より、従来、「その他」に含めていた家具販売事業を「デンキ」に含めており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
1) デンキ事業
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)のデンキ事業における売上高は9,779億12百万円(前年同期比2.2%減)、営業利益は350億58百万円(前年同期比34.5%減)となりました。
デンキ事業の売上高および営業利益につきましては、リフォーム、家具・インテリア、Eコマース事業は順調に売上を伸ばしたものの、前述の要因①~⑦により減収・減益となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間(2022年10月1日~2022年12月31日)につきましては、競争環境の激化や製品原価の高騰を受ける中、特に前述⑥の効果の主たる対策である「物価高に挑戦」をキーワードに消費者の家計応援に挑んだ結果、売上高(前年同期比2.3%増)は業界水準を上回る結果となり、また、営業利益の減益幅は第2四半期連結累計期間と比して小幅に留まりました。
店舗開発の積極的推進、Eコマースの強化推進、SPA商品の積極的開発は順調に推移しており、この成果は来期以降に堅調に表れてきます。
2) 住建事業
住建事業における売上高は1,866億72百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益は19億55百万円(前年同期比11.2%増)となりました。
住建事業の会社別実績(内部取引相殺前)は、①ヤマダホームズは売上高546億52百万円(前年同期比12.6%減)、営業利益△13億61百万円(前年同期の営業利益△5億10百万円)となり、お客様の囲い込み及び資材高騰のため、契約形態を請負契約から設計契約に変更したことにより一過性のキャンセルが増加したことで受注棟数が減少し減収・減益となりました。ただし現在は、請負契約に戻しております。 ②ヒノキヤグループは売上高876億25百万円(前年同期比12.0%増)、営業利益27億72百万円(前年同期比22.8%増)の増収・増益 ③バスやキッチン等の開発、製造を担うハウステックは、ウッドショックに伴う住宅資材不足や上海ロックダウンに伴う納期遅延がありましたが、当社グループのシナジー効果、リフォーム案件の増加等により売上高444億70百万円(前年同期比5.3%増)営業利益14億82百万円(前年同期比18.5%増)の増収・増益となりました。
なお、上期における住建事業の新築注文住宅完成引き渡し物件に対する、円安や建築資材の高騰による原価影響は、付加価値提案による販売単価向上及びコスト削減等の経営改革、ナイス株式会社との包括的取り組みによるシナジー効果により改善しております。
また、2022年10月1日にホクシンハウス株式会社を子会社化し、長野県エリアに於ける営業力強化を図っております。
3) 金融事業
金融事業における売上高は18億48百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は2億34百万円(前年同期比16.4%減)となり、住建事業と関連の深い住宅ローンが好調に推移したことにより増収となりましたが、ヤマダNEOBANK事業及びクレジット事業強化に伴う販売管理費増加により減益となりました。
2022年12月26日に株式会社ハウス・デポ・パートナーズの全株式を取得し子会社化する株式譲渡契約を締結し、住宅ローン事業の強化を図りました。
金融事業は、ヤマダNEOBANKサービスの利便性向上による新たな金融サービスを提供することによる「暮らしまるごと」戦略の深化を図ってまいります。
4) 環境事業
環境事業における売上高は235億98百万円(前年同期比16.8%増)、営業利益は10億82百万円(前年同期比27.1%増)となり、当社グループ完結型で進める「環境資源開発」への取り組みの成果により増収・増益となりました。
なお、2022年5月20日にヤマダ東日本リユースセンター群馬工場を増設し、リユース製品の生産台数を従来の年間7万台から年間30万台に向けた体制構築を進めております。
5) その他事業
その他事業における売上高は248億43百万円(前年同期比6.7%減)、営業利益は8億96百万円(前年同期比12.1%減)となりました。
デンキ事業と同様の要因により、家電販売を中心としたFCの売上高および営業利益が減少しました。
[店舗数について]
当第3四半期連結会計期間末の店舗数(海外含む)は、18店舗の新規出店、8店舗の閉店により、直営店舗数1,025店舗(ヤマダデンキ直営995店舗、その他連結子会社30店舗)となり、FCを含むグループ店舗数総計は11,922店舗となっております。
[業績のまとめ]
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高1,177,344百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益39,328百万円(前年同期比32.2%減)、経常利益44,079百万円(前年同期比31.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益30,583百万円(前年同期比35.6%減)となりました。
[財政状態]
当第3四半期連結会計期間末の総資産額は、前連結会計年度末に比べ64,986百万円増加(前期比5.1%増)して1,336,654百万円となりました。主な要因は、戦略的季節商品の仕入に伴う商品及び製品の増加によるものであります。
負債は、112,247百万円増加(前期比18.9%増)して707,637百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加及び自己株式の買付等に備えた運転資金の借入に伴う短期借入金の増加によるものであります。
純資産は、47,260百万円減少(前期比7.0%減)して629,017百万円となりました。主な要因は、自己株式の取得によるものであります。この結果、自己資本比率は46.5%(前期末は51.6%)となりました。
[経営成績]
①売上高・売上総利益
当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年度より継続している巣ごもり需要の反動減、従業員の新型コロナウイルス感染に伴う営業力低下、自然災害発生による休業および時短営業、円安等に伴う物価高騰による消費者心理の変化等の影響、前年度のグリーン住宅ポイント制度需要の反動減があり、厳しい状況で推移いたしました。商品別には、原油高騰等による省エネ意識の向上に伴い、省エネ・高機能・高単価商品を中心にエアコン、冷蔵庫、洗濯機等の大型家電製品が好調に推移しました。また、テレワーク需要に伴う反動減により低迷していたパソコンにつきましては、Windows8サポート終了に伴う買い替え需要もあり堅調に推移致しました。一方、テレビやDVD等のデジタル商品や調理家電等につきましては、前年のオリンピックや巣ごもり需要等の反動減等により、前年を下回りました。その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は1,177,344百万円(前年同期比1.3%減)となりました。売上総利益は、政策的な貸借対照表改革実施による仕入抑制影響及び市場と連動したDX戦略(売上と利益の最適化)の改革途上に伴う粗利高(率)の減少により当第3四半期連結累計期間の売上総利益は340,454百万円(前年同期比4.3%減)となりました。
②販売費及び一般管理費・営業利益・経常利益・税金等調整前四半期純利益
当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、売り場面積拡大に伴う採用人員強化、エネルギー価格の上昇による水道光熱費を中心とした各種販売管理費の増加、DX推進への先行投資により301,126百万円(前年同期比1.1%増)となり、営業利益は、39,328百万円(前年同期比32.2%減)となりました。
営業外収益及び費用は、新型コロナウイルス感染症に伴う助成金の減少により営業外収益7,707百万円(前年同期比12.5%減)、急激な円高に伴う一時的な為替差損の計上により営業外費用は2,956百万円(前年同期比23.4%増)となり、その結果、経常利益は44,079百万円(前年同期比31.6%減)となりました。
特別利益は1,214百万円、特別損失は3,638百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前四半期純利益は41,655百万円(前年同期比35.1%減)となりました。
③法人税等合計・非支配株主に帰属する四半期純利益・親会社株主に帰属する四半期純利益・四半期包括利益
当第3四半期連結累計期間の法人税等合計は10,843百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益は228百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は30,583百万円(前年同期比35.6%減)、四半期包括利益は30,221百万円となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は236百万円であります。これは、主に子会社である株式会社ハウステックの住宅関連事業における研究開発活動によるものであります。
なお、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。