【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
[国内外経済等の背景について]
当第2四半期連結累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、行動制限の緩和等により経済社会活動が正常化に向かう一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、急速な円安に伴う物価上昇が個人消費や消費行動へ与える影響懸念などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。
家電小売業界では、新型コロナウイルス感染症の影響によって生じた巣ごもり需要の反動減及び従業員の感染による勤務時間減少に伴う販売機会ロス、消費者の節約志向に伴う競争環境の変化、一部製品の供給不足、エネルギー価格や原材料価格の高騰により各種コスト増加があった一方、夏期商戦における猛暑や酷暑日が続いたことによりエアコンを中心とした季節商品が好調に推移いたしました。また、省エネ性能の高い高単価冷蔵庫が好調に推移しました。
[当社の取り組みについて]
このような市況を背景に、当社グループは、「YAMADA HD 2025 中期経営計画」スタートの年として、目標達成に向け以下の4つの重点施策、①店舗開発の積極的推進 ②Eコマースの強化推進 ③SPA商品の積極的開発 ④各事業会社別 課題の目標設定で目標達成を図る を実行することにより、継続した増収増益体制を構築して参ります。
重点施策である店舗開発の積極的推進については、新規出店及び店舗増改築や業態変更を積極的に進める中、「暮らしまるごと」戦略の強化として、「たのしい。くらしをシアワセにする、ぜんぶ。」をストアコンセプトにした体験型店舗「LIFE SELECT(家電、家具・インテリア、生活雑貨、リフォーム、おもちゃ等、くらしのあらゆるモノがそろう、地域最大級品揃えのお店)」を2021年6月18日の熊本春日店を皮切りに合計27店舗オープン致しました(LABI LIFE SELECT 6店舗、TECC LIFE SELECT 21店舗 うち新規出店4店舗)。また、インターネット販売と店舗が融合したYAMADA Web.com店やアウトレット・リユース商品を豊富に揃えたアウトレット店舗等、さまざまな業態店舗の開発を行い既存の家電専門店と合わせ、家電製品を中心とした住まいに関連する製品の販売拡大により、売場面積の拡充とシェアの向上は堅調に推移しています。Eコマースについては、自社ECサイトの刷新やテレビショッピング、LIVEコマース販売等の販路拡大による強化を図っております。SPA商品については、新たに折り畳み式リビング扇風機や換気機能付きエアコン等、お客様の声をダイレクトに活かした商品を投入し発売以来、好調に推移しています。
当第2四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高が前年同期比3.2%減の7,746億34百万円、営業利益が前年同期比43.6%減の197億76百万円、経常利益が前年同期比40.5%減の233億85百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が前年同期比41.2%減の176億34百万円となりました。減収減益の主な要因は、デンキ事業に於いては、①前年度より継続している一過性の巣ごもり需要反動減 ②耐久消費財を中心とした販売価格上昇による需要減退 ③大型台風や大雨の影響に伴う店舗の休業や営業時短 ④従業員の新型コロナウイルス感染による勤務時間減少に伴う販売機会ロス ⑤半導体不足やサプライチェーン混乱による入荷遅れに伴う未配達品の増加等が影響したことに加えて、政策的な貸借対照表の改革取り組みによる仕入抑制が影響したことによる粗利高減少、売り場面積5%拡大に向けた人員採用の増加、DX推進への先行投資費用、エネルギー価格の上昇等によって販売管理費が増加したことです。また、住建事業における新築注文住宅の完成引き渡し物件に対する、円安や建築資材の高騰による原価上昇が影響しました。
[セグメント別の業績状況]
第1四半期連結会計期間より、従来、「その他」に含めていた家具販売事業を「デンキ」に含めており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
1) デンキ事業
デンキ事業における売上高は6,452億75百万円(前年同期比4.4%減)、営業利益は188億68百万円(前年同期比42.4%減)となりました。
デンキ事業の売上高および営業利益につきましては、リフォーム、家具・インテリア、Eコマース事業は順調に売上を伸ばしたものの、前述の要因により減収・減益となりました。
なお、店舗開発の積極的推進、Eコマースの強化推進、SPA商品の積極的開発は順調に推移しており、この成果は第3四半期以降に堅調に表れてきます。
2) 住建事業
住建事業における売上高は1,202億62百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は△6億81百万円(前年同期営業利益3億64百万円)と、前年から10億46百万円の減益となりました。
住宅業界につきましては、売上高は前年の受注増加分が完成引渡しを迎え、好調に推移しましたが、営業利益につきましては、ウッドショック及び円安に伴う住宅資材高騰の影響により、前年を下回りました。
住建事業の会社別実績(内部取引相殺前)は、①ヤマダホームズは売上高353億88百万円(前年同期比10.1%減)、営業利益△18億10百万円(前年同期営業利益△8億80百万円)の減収・減益 ②ヒノキヤグループは売上高564億61百万円(前年同期比9.8%増)、営業利益10億92百万円(前年同期比21.3%減)の増収・減益 ③バスやキッチン等の開発、製造を担う株式会社ハウステックは、ウッドショックに伴う住宅資材不足や上海ロックダウンに伴う納期遅延がありましたが、当社グループのシナジー効果、リフォーム案件の増加等により売上高285億3百万円(前年同期比3.8%増)営業利益7億44百万円(前年同期比6.4%増)の増収・増益となりました。
なお、昨今のウッドショック及び円安に伴う住宅資材高騰影響は、付加価値提案による販売単価向上及びコスト削減等の経営改革、ナイス株式会社との包括的取り組みによるシナジー効果により改善方向で推移しております。
3) 金融事業
金融事業における売上高は12億46百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は2億18百万円(前年同期比23.5%増)となり、住建事業と関連の深い住宅ローンが好調に推移したことにより増収・増益となりました。
ヤマダNEOBANKサービスの利便性向上による新たな金融サービスを提供することによる「暮らしまるごと」戦略の深化を図ってまいります。
4) 環境事業
環境事業における売上高は160億90百万円(前年同期比22.6%増)、営業利益は7億22百万円(前年同期比30.4%増)となり、当社グループ完結型で進める「環境資源開発」への取り組みの成果により増収・増益となりました。
なお、2022年5月20日にヤマダ東日本リユースセンター群馬工場を増設し、リユース製品の生産台数を従来の年間7万台から年間30万台に向けた体制の構築を行いました。
5) その他事業
その他事業における売上高は162億52百万円(前年同期比10.5%減)、営業利益は5億88百万円(前年同期比9.4%減)となりました。
デンキ事業と同様の要因により、家電販売を中心としたFCの売上高および営業利益が減少しました。
[店舗数について]
当第2四半期連結会計期間末の店舗数(海外含む)は、11店舗の新規出店により、直営店舗数1,026店舗(ヤマダデンキ直営998店舗、その他連結子会社28店舗)となり、FCを含むグループ店舗数総計は12,010店舗となっております。
[業績のまとめ]
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高774,634百万円(前年同期比3.2%減)、営業利益19,776百万円(前年同期比43.6%減)、経常利益23,385百万円(前年同期比40.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益17,634百万円(前年同期比41.2%減)となりました。
[財政状態]
当第2四半期連結会計期間末の総資産額は、前連結会計年度末に比べ13,501百万円減少(前期比1.1%減)して1,258,166百万円となりました。主な要因は、税金等の還付に伴う流動資産のその他の減少によるものであります。
負債は、24,308百万円増加(前期比4.1%増)して619,699百万円となりました。主な要因は、自己株式の買付等に備えた運転資金の借入に伴う短期借入金の増加によるものであります。
純資産は、37,810百万円減少(前期比5.6%減)して638,467百万円となりました。主な要因は、自己株式の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は50.2%(前期末は51.6%)となりました。
[経営成績]
①売上高・売上総利益
当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年度より継続している巣ごもり需要の反動減、夏期商戦における従業員の新型コロナウイルス感染に伴う営業力低下、自然災害発生による休業および時短営業、円安等に伴う物価高騰による消費者心理の変化等の影響があり、厳しい状況で推移いたしました。商品別には、原油高騰等による省エネ意識の向上に伴い、省エネ・高機能・高単価商品を中心にエアコン、冷蔵庫、洗濯機等の大型家電製品が堅調に推移しました。一方、テレビやDVD等のデジタル商品やパソコン等につきましては、前年のオリンピックやテレワーク需要等の反動減等により、前年を下回りました。その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は774,634百万円(前年同期比3.2%減)となりました。売上総利益は、政策的な貸借対照表改革実施による仕入抑制影響及びEC売上構成比増加に伴う粗利高(率)の減少、建築資材高騰に伴う住建事業の粗利率減少により当第2四半期連結累計期間の売上総利益は222,356百万円(前年同期比5.3%減)となりました。
②販売費及び一般管理費・営業利益・経常利益・税金等調整前四半期純利益
当第2四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、売場面積拡大に伴う採用人員強化、エネルギー価格の上昇による水道光熱費を中心とした各種販売管理費の増加、DX推進への先行投資により202,580百万円(前年同期比1.4%増)となり、営業利益は、19,776百万円(前年同期比43.6%減)となりました。
営業外収益及び費用は、営業外収益5,570百万円(前年同期比6.0%減)、営業外費用は1,961百万円(前年同期比13.0%増)となり、その結果、経常利益は23,385百万円(前年同期比40.5%減)となりました。
特別利益は1,107百万円、特別損失は3,408百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前四半期純利益は21,084百万円(前年同期比41.7%減)となりました。
③法人税等合計・非支配株主に帰属する四半期純利益・親会社株主に帰属する四半期純利益・四半期包括利益
当第2四半期連結累計期間の法人税等合計は3,430百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益は20百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は17,634百万円(前年同期比41.2%減)、四半期包括利益は17,177百万円となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,144百万円減少して54,326百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,712百万円の収入(前年同期は24,740百万円の支出)となりました。
これは主に、法人税等の支払額が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,643百万円の支出(前年同期は14,134百万円の支出)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、718百万円の収入(前年同期は11,631百万円の収入)となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出が増加したものの、自己株式の買付等に備えた運転資金の借入に伴い短期借入金が増加したことによるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は155百万円であります。これは、主に子会社である株式会社ハウステックの住宅関連事業における研究開発活動によるものであります。
なお、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。