【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、ウィズコロナの下で各種政策の効果もあり景気は穏やかな回復傾向が見られたものの、ウクライナ情勢の長期化や物価高騰等依然として先行き不透明な状況が続きました。
当社グループが参画しております半導体・半導体製造装置市場におきましては、原材料や部材等のサプライチェーンの混乱や供給不足に改善の兆しが見られましたが、スマートフォンやパソコン等の需要減少を背景にメモリーを中心とした在庫調整が行われたほか、米国の対中輸出規制強化の影響への懸念から半導体設備投資に先送りの動きが見られました。一方、パワー半導体は、高速通信規格(5G)関連や世界的な自動車のEV化へ向けた動き等を背景に強い需要が続きました。また、世界各地域で半導体に対する政府補助金が計画される等、将来に向けた半導体製造に係る投資を下支えする動きも見られました。
FPD製造装置市場におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大時の在宅関連需要が一巡したことや景気減速の影響を受け、縮小傾向となりました。
このような事業環境の下、当社グループは、お客様へ商品やサービスを安定供給するため、在庫の確保や代替部品への切り替え提案等を積極的に実施してまいりました。また、今後の更なる需要拡大が見込まれる半導体市場に対応する生産体制の強化、及び顧客からのより高機能・高性能の要求が高まる真空/制御技術に対応する開発力強化のため進めてまいりました子会社である内外エレクトロニクス株式会社江刺事業所の新工場が3月31日に完成しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、300億10百万円(前連結会計年度比18.9%増)となりました。流動資産は219億45百万円(前連結会計年度比10.8%増)、固定資産は80億64百万円(前連結会計年度比48.4%増)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、192億82百万円(前連結会計年度比22.4%増)となりました。流動負債は141億79百万円(前連結会計年度比10.1%増)、固定負債は51億2百万円(前連結会計年度比77.3%増)となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、107億28百万円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。
ロ.経営成績
当連結会計年度の業績は、半導体・FPD製造装置などの各種コンポーネンツ(部品)の販売及び受託製造事業における受注の減少が年度後半にみられましたが、年度を通して高水準を維持したことから、過去最高実績を更新し、売上高452億81百万円(前連結会計年度比20.6%増)、営業利益23億49百万円(前連結会計年度比10.7%増)、経常利益23億36百万円(前連結会計年度比10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益16億38百万円(前連結会計年度比6.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
販売事業
半導体・FPD製造装置などの各種コンポーネンツ(部品)及び同装置等の販売事業におきましては、上記記載の半導体製造装置市場の好調等を主因として、売上高413億88百万円(前連結会計年度比21.9%増)、セグメント利益19億51百万円(前連結会計年度比21.7%増)となりました。
受託製造事業
半導体・FPD製造装置などの組立及び保守・メンテナンス等の受託製造事業におきましては、販売事業と同様に半導体製造装置市場が好調に推移したこと等を主因として、売上高74億60百万円(前連結会計年度比15.1%増)、セグメント利益3億61百万円(前連結会計年度比23.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益、減価償却費、退職給付に係る負債の増加、仕入債務の増加、長期借入れによる収入等の増加要因に対し、売上債権の増加、棚卸資産の増加、法人税等の支払額や有形固定資産の取得による支出、配当金の支払額等の減少要因により、前連結会計年度末に比べ4億76百万円増加(前連結会計年度は9億30百万円の増加)し、当連結会計年度末には104億14百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は10億28百万円(前連結会計年度は23億45百万円の獲得)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益23億36百万円、減価償却費2億65百万円、退職給付に係る負債の増加1億88百万円、仕入債務の増加額7億16百万円の増加要因に対し、売上債権の増加額4億12百万円、棚卸資産の増加額10億91百万円や法人税等の支払額8億52百万円の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は24億58百万円(前連結会計年度は3億21百万円の使用)となりました。この主な要因は、定期預金の払戻による収入1億20百万円の増加要因に対し、定期預金の預入による支出1億39百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出24億33百万円の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は19億3百万円(前連結会計年度は10億94百万円の使用)となりました。この主な要因は、長期借入れによる収入31億98百万円の増加要因と、長期借入金の返済による支出8億42百万円、配当金の支払額3億87百万円の減少要因によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.受託製造実績
当連結会計年度における受託製造事業の受託製造実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
受託製造事業(千円)
6,411,660
116.3
合計(千円)
6,411,660
116.3
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額は受託製造原価であります。
ロ.仕入実績
当連結会計年度における販売事業の仕入実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
販売事業(千円)
35,010,036
123.8
合計(千円)
35,010,036
123.8
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額は仕入価格によっております。
ハ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
販売事業
51,953,088
106.4
28,481,018
161.4
受託製造事業
4,154,254
107.0
239,511
95.4
合計
56,107,342
106.4
28,717,194
160.5
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額は販売価格によっております。
3.当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、半導体需要の高まりによるものであります。
ニ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
販売事業(千円)
41,115,177
121.5
受託製造事業(千円)
4,165,902
112.2
合計(千円)
45,281,080
120.6
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ(株)
11,825,920
31.5
15,559,527
34.4
東京エレクトロン九州(株)
7,206,898
19.2
9,751,900
21.5
東京エレクトロン宮城(株)
8,211,830
21.9
8,585,372
19.0
3.上記金額は販売価格によっております。
4.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、半導体需要の高まりによるものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
a.財政状態
<流動資産>
流動資産は、前連結会計年度末に比べ21億34百万円(10.8%)増加し、219億45百万円となりました。この主な要因は、売上増によるものであります。主な内訳として、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が4億95百万円、売掛金が6億28百万円、商品及び製品が13億4百万円の増加、電子記録債権が1億84百万円、原材料及び貯蔵品が1億71百万円の減少があります。
<固定資産>
固定資産は、前連結会計年度末に比べ26億29百万円(48.4%)増加し、80億64百万円となりました。この主な要因は、当社子会社の設備投資によるものであります。主な内訳として、前連結会計年度に比べ、建物及び構築物(純額)が25億3百万円の増加があります。
<流動負債>
流動負債は、前連結会計年度末に比べ13億4百万円(10.1%)増加し、141億79百万円となりました。この主な要因は、売上増に伴う仕入増、新規借入、当社子会社の設備投資によるものであります。主な内訳として、前連結会計年度に比べ支払手形及び買掛金が1億67百万円、電子記録債務が4億9百万円、1年内返済予定の長期借入金が3億54百万円、未払金が5億18百万円の増加、未払法人税等が1億5百万円の減少があります。
<固定負債>
固定負債は、前連結会計年度末に比べ22億24百万円(77.3%)増加し、51億2百万円となりました。この主な要因は、前連結会計年度末に比べ長期借入金が20億1百万円、退職給付に係る負債が1億88百万円増加したことによるものであります。
<純資産>
純資産は、前連結会計年度末に比べ12億34百万円(13.0%)増加し、107億28百万円となりました。この主な要因は、売上増に伴い利益剰余金が12億51百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ37.6%から35.7%となり、期末発行済株式数に基づく1株当たりの純資産は前連結会計年度末2,722.78円に対し3,071.85円となりました。
b.経営成績の分析
<売上高・売上総利益>
当連結会計年度は、年度後半にメモリー需要バランス調整等から半導体需要の減少が見られましたが、年度を通しては高速通信規格(5G)の普及やデータ通信量の増加によるデータセンター投資や車載向けをはじめとする幅広い用途での半導体需要の高まりを背景にロジックやメモリー、パワー半導体などの積極的な設備投資が継続しましたことから、売上高は前連結会計年度に比べ77億29百万円(20.6%)増加し、452億81百万円となりました。
これにより、売上総利益は、前連結会計年度に比べ6億47百万円(14.3%)増加し、51億59百万円となりました。
<営業損益>
販売費及び一般管理費は、給与及び賞与、支払手数料等の発生により、前連結会計年度に比べ4億19百万円(17.6%)増加し、28億9百万円となりました。
以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ2億27百万円(10.7%)増加し、23億49百万円となりました。
<経常損益>
営業外収益は、受取配当金の増加等により、前連結会計年度に比べ8百万円(23.4%)増加し、43百万円となりました。また、営業外費用は、支払手数料の増加により、前連結会計年度に比べ7百万円(14.6%)増加し、56百万円となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ2億28百万円(10.8%)増加し、23億36百万円となりました。
<税金等調整前当期純損益>
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ2億28百万円(10.8%)増加し、23億36百万円となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
ロ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
ハ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
ウクライナ情勢の長期化や物価高騰等による影響から先行き不透明感が払拭できない状況ではありますが、現時点で必要十分な手許資金を確保しており、また必要に応じて金融機関等から資金調達が可能な体制を整えております。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は51億73百万円となっております。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は104億14百万円となっております。
ニ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画(2021年4月~2024年3月)の2年目である当連結会計年度の達成・進捗状況は以下のとおりであります。
売上高は計画比6,405百万円増(16.5%増)となりました。これは、幅広い用途での半導体需要の高まりを背景に半導体メーカー設備投資が継続したことによるものです。営業利益は増収により計画比251百万円増(12.0%増)となりました。
自己資本比率は、買入債務の増加及び設備投資に伴う有利子負債の増加等による総資本増加により、計画比2.9ポイント低下し35.7%となりました。自己資本利益率(ROE)は、増収により純利益が増加したことで1.9ポイント増の16.2%となりました。
2023年3月期 計画
2023年3月期 実績
2023年3月期 計画比
売上高
38,876百万円
45,281百万円
6,405百万円増(16.5%増)
営業利益
2,098百万円
2,349百万円
251百万円増(12.0%増)
自己資本比率
38.6%
35.7%
2.9ポイント減
自己資本利益率(ROE)
14.3%
16.2%
1.9ポイント増
ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績の状況については「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 ロ.経営成績」に記載しております。