【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。また、後述の「第5 経理の状況」についても、当該会計基準等を遡って適用した後の数値となっております。
(1) 財政状態の状況当事業年度末における資産合計は14,292百万円で、前事業年度末に対し184百万円減少いたしました。流動資産は4,689百万円で主に現金及び預金が106百万円減少し、売掛金が46百万円増加した結果、前事業年度末に対し40百万円減少いたしました。固定資産は9,602百万円で主に有形固定資産が86百万円、投資有価証券が59百万円減少した結果、前事業年度末に対し143百万円の減少となりました。負債合計は9,432百万円で主に短期借入金が100百万円、長期借入金(1年内返済予定含む)が276百万円減少し、未払金が43百万円、未払法人税等が51百万円増加した結果、前事業年度末に対し253百万円減少いたしました。純資産合計は4,860百万円で主に利益剰余金が118百万円増加し、その他有価証券評価差額金が49百万円減少したことにより、前事業年度末に対し68百万円増加いたしました。この結果、当事業年度末における自己資本比率は34.0%、1株当たりの純資産額は2,321円99銭となりました。
(2) 経営成績の状況
① 事業全体及び事業部門等別ごとの状況当期における北海道の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、物価上昇の影響もあり、個人消費は持ち直しの動きに弱さが見られました。当業界におきましては、主原料の小麦粉をはじめ、油脂や糖類など原材料価格の高騰に加えエネルギーコスト上昇の影響もあり、厳しい経営環境となりました。このような情勢下におきまして、当社は、「おいしく、北海道らしく。」の方針と、日々お客様へ安全・安心な製品を安定して供給するという使命に基づき、科学的根拠に基づく感染防止対策に全社を挙げて取り組みつつ、日常業務の着実な遂行に努めてまいりました。また、生産、販売、管理の各部門における業務の見直しや効率化を推し進め、経営基盤の強化に取り組んでまいりました。当期の業績につきましては、売上高は17,167百万円(対前期比101.1%)、営業利益は250百万円(対前期比138.0%)、経常利益は258百万円(対前期比137.6%)、当期純利益は150百万円(対前期比122.7%)となりました。
事業部門等別の売上状況は次のとおりであります。
○食パン(売上高2,721百万円、対前期比98.2%)主力の「絹艶」は、品質訴求と積極的な拡販に取り組み大きく伸長しましたが、前期の在宅需要増加の反動と低価格帯食パンの伸び悩みもあり、前期の売上を下回りました。
○菓子パン(売上高5,761百万円、対前期比99.2%)主力の「北の国のベーカリー」シリーズと「ずっしりこっぺ」シリーズが堅調に推移しましたが、ぺストリー類の伸び悩みもあり、前期実績をやや下回りました。
○和菓子(売上高3,311百万円、対前期比102.3%)主力の蒸しパン、大福、串団子の伸長と、新製品の単品ふかしシリーズやロングライフ蒸しパンの寄与もあり、前期実績を上回りました。
○洋菓子(売上高1,191百万円、対前期比103.8%)「ホイップサンドドーナツ」等のチルド製品が伸長するとともに、「シフォンケーキ」やスナックケーキ類の「クラフトベイク」シリーズが好調に推移し、前期実績を上回りました。
○調理パン・米飯類(売上高3,710百万円、対前期比101.9%)主力の「絹艶サンド」を積極的に拡販したほか、「具だくさんおにぎり」等のおにぎり類や寿司類が順調に推移し、前期の売上を上回りました。
当社は中長期的に目指すべき経営指標として、売上高経常利益率2%以上を継続して達成できるよう努めてまいりたいと考えております。当期においては、小麦粉・油脂等の原材料価格、燃料費・電力費等のエネルギーコスト、ガソリン・軽油代等を含む物流費、採用難に伴う委託人件費などの上昇がありましたが、製品価格の一部改定(和洋菓子は下期、パン関係は第4四半期)、製品の規格の見直し、廃棄ロスの低減、全社各部門における業務の見直しなど、主として内部管理の充実に努めた結果、前期に比べ経常利益率では0.4%の改善につながったものの、実績は1.5%にとどまりました。主力ブランド製品の継続的な品質向上に加え、お客様の様々なニーズに対応し、かつ北海道企業としての特色を生かした製品開発に注力し、部門ごとにバランスのよい売上伸長を図る一方、適切な人員配置などによる人件費のコントロールと、諸経費の効率的な使用・管理を実施し、収益改善につなげてまいります。また今後、海外情勢の影響等による、更なる原材料価格、エネルギーコスト等の上昇が予想されるため、引き続き内部管理の拡充をはかるとともに、状況に応じて、お客様、お取引先のご理解ご協力をいただきながら適切な対応を検討・実施してまいります。
② 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当事業年度における生産実績は、17,590,906千円(前期比100.5%)であります。 (注) 金額は、販売基準価格(販売店に対する実質卸価格)によっております。
b.受注実績当社の製品は、特に鮮度が重要視されますので、製品ストックは持たず、販売店からの日々の注文に基づいて生産しております。また生産開始は見込数で行い、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、受注残はありません。
c.販売実績当事業年度における販売実績を事業部門等別に示すと、次のとおりであります。
事業部門等の名称
金額(千円)
前期比(%)
食パン
2,721,100
98.17
菓子パン
5,761,667
99.18
和菓子
3,311,886
102.34
洋菓子
1,191,783
103.79
調理パン・米飯類
3,710,440
101.87
その他(仕入商品)
471,099
126.57
合計
17,167,977
101.11
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先
前事業年度
当事業年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
イオン北海道㈱
2,999,119
17.7
2,978,658
17.4
生活協同組合コープさっぽろ
2,267,109
13.4
2,351,984
13.7
㈱セイコーフレッシュフーズ
1,645,511
9.7
1,637,994
9.5
(3) キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物は、2,189百万円(前事業年度末2,296百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益240百万円に減価償却費515百万円、売掛金の増加額46百万円などを加減算した結果、683百万円の増加(前事業年度623百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、382百万円の減少(前事業年度262百万円の減少)となりました。主に設備投資による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、407百万円の減少(前事業年度282百万円の減少)となりました。主に借入金の借入及び返済、配当金の支払によるものです。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当社の運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原料費、労務費、経費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備新設、改修等によるものであります。当社は事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当事業年度末における借入金の残高は3,185百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,189百万円となっております。
当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
2018年3月期
2019年3月期
2020年3月期
2021年3月期
2022年3月期
自己資本比率
33.9%
30.9%
31.6%
33.1%
34.0%
時価ベースの自己資本比率
32.2%
28.4%
26.1%
30.9%
30.5%
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
933.6%
893.6%
361.6%
571.4%
466.0%
インタレスト・カバレッジ・レシオ
12.0倍
13.2倍
32.4倍
20.2倍
23.3倍
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い ※株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。 ※キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。 ※有利子負債は金融機関等からの借入金を対象としております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。