【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 財政状態の状況当事業年度末における資産合計は14,528百万円で、前事業年度末に対し29百万円減少いたしました。流動資産は4,568百万円で主に現金及び預金が494百万円増加、売掛金が381百万円減少した結果、前事業年度末に対し60百万円増加いたしました。固定資産は9,960百万円で主に有形固定資産が57百万円、投資その他の資産のうち投資有価証券が64百万円減少した結果、前事業年度末に対し89百万円の減少となりました。負債合計は9,930百万円で、主に長期借入金(1年内返済予定含む)が111百万円減少した結果、前事業年度末に対し124百万円減少いたしました。純資産合計は4,597百万円で主に利益剰余金が87百万円増加したことにより、前事業年度末に対し95百万円増加いたしました。この結果、当事業年度末における自己資本比率は31.6%、1株当たりの純資産額は2,195円88銭となりました。
(2) 経営成績の状況
① 事業全体及び事業部門等別ごとの状況当期における北海道の経済環境は、上期は民間設備投資の増加などで景気の持ち直しの動きがみられたものの、下期は10月の消費増税の影響に加えて、2月の新型コロナウイルス感染拡大に伴い北海道知事から緊急事態宣言が出された影響もあり、経済は下押し圧力の強い状態となりました。当業界におきましては、お客様の節約志向が続き販売競争が激化するなかで、人手不足に伴う人件費や物流コストの上昇により厳しい経営環境となりました。このような情勢下におきまして、当社は、「おいしく、北海道らしく。」の方針のもと、「日糧ベスト70」を中心に主力製品の品質向上を継続し、多様化するお客様のニーズに即した安全・安心でお客様に喜ばれる高品質な製品の提供に努めました。また、生産、販売、管理の各部門における業務の見直しや効率化を推し進め、継続して経営基盤の強化に取り組んでまいりました。当期の業績につきましては、売上高は17,554百万円(対前期比100.9%)となりましたが、主力の菓子パンや和菓子の伸び悩みに加え、人件費や物流費の増加により、営業利益は85百万円(対前期比84.4%)、経常利益は91百万円(対前期比86.6%)となりました。また、札幌市からデリカ新工場新設等(2018年度)に伴う札幌圏設備投資促進補助金を受け特別利益に計上したことにより、当期純利益は119百万円(対前期比678.3%)となりました。
事業部門等別の売上状況は次のとおりであります。
○食パン(売上高2,701百万円、対前期比99.9%)「プレミアデニッシュ」シリーズは伸び悩みましたが、主力の「絹艶」シリーズが試食販売やレシピ動画の活用などにより堅調に推移するとともに、新製品「The Takasui」が寄与し、前期並みの売上となりました。
○菓子パン(売上高6,209百万円、対前期比99.8%)発売20周年を迎え品質を向上し消費期限を延長した主力の「北の国のベーカリー」、フィリングたっぷりのこっぺぱん「ずっしりこっぺ」シリーズや、ふんわりとした食感が特徴の「牛乳入りパン」シリーズが寄与しましたが、「ずっしり」シリーズなどぺストリーが伸び悩み、前期実績をやや下回りました。
○和菓子(売上高3,223百万円、対前期比99.1%)彼岸や盆期間の季節商品が伸び悩み前期実績を下回りましたが、ロングライフ製品「べこ餅」などの和生類や北海道産原料を使用した製品が伸長し、また消費期限を延長した串団子や発売30周年となる「チーズ蒸しパン」が順調に推移し、11月以降の売上は回復傾向となりました。
○洋菓子(売上高1,008百万円、対前期比101.8%)ロングライフ製品や、「りんごのケーキ」などのスナックケーキ類が好調に推移したほか、コンビニエンスストア向け製品の拡販により、前期実績を上回りました。
○調理パン・米飯類(売上高3,893百万円、対前期比106.5%)中食需要の拡大に応じて量販店向けの弁当や寿司、業務用の舎利玉や酢飯、コンビニエンスストア向けのサンドイッチを積極的に拡販し、順調な売上となりました。
当社は中長期的に目指すべき経営指標として、売上高経常利益率2%以上を継続して達成できるよう努めてまいりたいと考えておりますが、当期においては、前期に続き相対的に利益率の高い、菓子パン・和菓子の売上減少に加え、人手不足に伴う人件費、物流コストなどが当初の想定以上に上昇したため、経常利益率は0.5%の実績にとどまったものであります。主力ブランド製品の継続的な品質向上に加え、お客様のさまざまなニーズに対応し、かつ北海道企業としての特色を生かした製品開発に注力し、パン・菓子部門、特に菓子パンと和菓子の売上回復を図る一方、適切な人員配置などによる人件費のコントロールと、諸経費の効率的な使用・管理を実施し、収益改善につなげてまいります。なお、北海道における新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言の発出以降、商品構成の変化(食パンの増加、デリカの減少等)や販売先の変化(施設関連売店の休業や来店客数の減少等)が生じましたが、2020年3月期業績への影響は軽微でした。
② 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当事業年度における生産実績は、17,589,604千円(前期比101.3%)であります。 (注) 1.金額は、販売基準価格(販売店に対する実質卸価格)によっております。 2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績当社の製品は、特に鮮度が重要視されますので、製品ストックは持たず、販売店からの日々の注文に基づいて生産しております。また生産開始は見込数で行い、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、受注残はありません。
c.販売実績当事業年度における販売実績を事業部門等別に示すと、次のとおりであります。
事業部門等の名称
金額(千円)
前期比(%)
食パン
2,701,115
99.96
菓子パン
6,209,323
99.82
和菓子
3,223,530
99.05
洋菓子
1,008,277
101.78
調理パン・米飯類
3,893,583
106.54
その他(仕入商品)
519,061
89.27
合計
17,554,893
100.87
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先
前事業年度
当事業年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
生活協同組合コープさっぽろ
2,220,655
12.8
2,132,875
12.1
㈱セイコーフレッシュフーズ
1,842,084
10.6
1,871,270
10.7
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物は、2,217百万円(前事業年度末1,723百万円)となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益167百万円に減価償却費553百万円、売掛金の減少額381百万円などを加減算した結果、1,054百万円の増加(前事業年度439百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、417百万円の減少(前事業年度1,297百万円の減少)となりました。主に設備投資による支出であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、142百万円の減少(前事業年度1,122百万円の増加)となりました。主に借入金の借入及び返済によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当社の運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原料費、労務費、経費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備新設、改修等によるものであります。当社は事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当事業年度末における借入金の残高は3,812百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,217百万円となっております。新型コロナウイルス感染症がもたらす資金面への影響は、軽微であると認識しております。当社では今後も感染予防に十分配慮して事業を継続することにより、当面の資金調達について、取引金融機関との既存取引契約の範囲で適時適切な対応を行ってまいります。 当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
2016年3月期
2017年3月期
2018年3月期
2019年3月期
2020年3月期
自己資本比率
33.1%
35.1%
33.9%
30.9%
31.6%
時価ベースの自己資本比率
28.1%
31.6%
32.2%
28.4%
26.1%
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
425.6%
327.9%
933.6%
893.6%
361.6%
インタレスト・カバレッジ・レシオ
15.9倍
24.8倍
12.0倍
13.2倍
32.4倍
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い ※株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。 ※キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。 ※有利子負債は金融機関等からの借入金を対象としております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。当社は会計上の見積りについては、財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。なお、2021年3月期の業績見通しが新型コロナウイルスによる影響を現段階において合理的に算定することが困難な中、特に、将来キャッシュ・フローの予測が困難であることから、2020年3月期においては当社が期末日時点で把握できる最善の方法により行っております。
① 繰延税金資産当社は、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、既に計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行っておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩又は追加計上により当期純利益が変動する可能性があります。
② 退職給付費用及び債務退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいた死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社の年金制度においては、割引率は日本の長期国債の利回りに基づき、長期期待運用収益率については年金資産の過去の運用実績等に基づいて決定しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
③ 減損損失主として当社は、収益性の低下や時価の下落といった兆候の見られる固定資産につきましては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。将来の収益性の低下や時価の下落等により、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。