【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 経営成績の状況当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費が新型コロナウイルスによる活動制限の緩和によりサービス業を中心に改善したこと等から緩やかな回復が続きましたが、製造業は、半導体不足による自動車の生産調整、資源、原材料価格高の長期化、更には2022年春以降の急速な円安が加わった物価高等の下押し要因があり不安定な推移となりました。このような状況の下、当社グループにおいては、商材の確保、原材料価格高騰に伴う販売価格改定、及び国内外の新たな機能性商材の取引拡大に注力いたしました。また、コロナ禍による社会活動規制からの緩和が徐々に進むなかで経費支出の効率化に努め、収益の確保を図りました。これらの結果、売上高は126億8千1百万円(前年同期比12.0%増)、営業利益は1億5千1百万円(前年同期比122.4%増)、経常利益は2億3千万円(前年同期比65.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億3千6百万円(前年同期比74.5%増)となりました。事業セグメント別の概況は次のとおりであります。
[科学事業]<土木・建材資材関連分野>土木関連分野では、地盤改良セメント用並びにコンクリート二次製品用の添加剤、及び道路舗装用改質剤も増加し大幅増収となりました。建材資材関連分野では、発泡断熱システム用及び建材ボード用薬剤のほか、塗料や接着剤用原料も増加し大幅増収となりました。<情報・輸送機器関連分野>情報関連分野では、自動車関連部材及び半導体関連材料の伸長により増収となりました。輸送機器関連分野では、自動車部品メーカーにおける仮需の反動減はあったものの、車両駆動部材や外装材料が堅調に推移し増収となりました。<日用品関連分野>日用品関連分野では、清掃用品材料及び製靴用関連材料は一部回復しましたが、化粧品関連薬剤の減少及び前年同期においてスポット受注があったため大幅な減収となりました。フィルム関連分野では、生鮮野菜、チルド食品及び冷凍食品包装フィルム製品の販売が引続き伸長し増収となりました。<化学工業関連分野>繊維関連分野では、国内繊維加工の縮小は続いているものの、工業用繊維用薬剤の増加により増収となりました。化学工業関連分野では、輸入基礎化学品及び製紙向け関連材料の受注増加などにより増収となりました。これらの結果、科学事業セグメントの売上高は105億2千3百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益は2億1千3百万円(前年同期比18.5%増)となりました。
[建装材事業]住宅用部材関連は、材料調達難と価格高騰は、依然厳しい状況ながら直近では幾分緩和しつつあり、需要はコロナ禍による低迷から回復し、造作部材、建具、キッチン関連、及びオフィス関連製品など全般的に復調しました。これらの結果、建装材事業セグメントの売上高は21億5千8百万円(前年同期比18.8%増)となり、営業利益は4千1百万円(前年同期は営業損失1千8百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況①資産の部流動資産は前連結会計年度末に比べ、1千4百万円減少し102億1千6百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が3億6千9百万円減少し、その他が1億6千8百万円、電子記録債権が1億4千1百万円増加したことによるものであります。固定資産は前連結会計年度末に比べ、1億4千4百万円増加し55億8千5百万円となりました。これは主に、投資その他の資産が1億5千1百万円増加したことによるものであります。この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べて、1億3千万円増加し158億2百万円となりました。 ②負債の部流動負債は前連結会計年度末に比べ、1億4千9百万円減少し57億5百万円となりました。これは主に、買掛金が1億2千4百万円、その他に含まれる未払金が4千2百万円、電子記録債務が3千5百万円減少し、短期借入金が8千4百万円増加したことによるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ、4千2百万円増加し8億4千9百万円となりました。これは主に、その他に含まれる繰延税金負債が4千6百万円、役員退職慰労引当金が1千万円増加し、長期借入金が1千2百万円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて、1億6百万円減少し65億5千5百万円となりました。 ③純資産の部純資産合計は前連結会計年度末に比べ、2億3千6百万円増加し92億4千7百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が8千万円、利益剰余金が7千9百万円、為替換算調整勘定が7千9百万円増加したことによるものであります。 (3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、11億1千9百万円となり、前年同四半期連結累計期間に比べ4億5千2百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、増加した資金は4千9百万円(前年同四半期連結累計期間は3千8百万円の増加)となりました。これは主に、売上債権の減少2億6千4百万円、税金等調整前四半期純利益2億3千万円などの収入に対し、仕入債務の減少1億8千4百万円、その他の資産の減少1億6千5百万円、法人税等の支払額9千7百万円などの支出によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、減少した資金は1億1千万円(前年同四半期連結累計期間は2千9百万円の減少)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による8千2百万円、投資有価証券の取得による1千4百万円、有形固定資産の取得による1千3百万円などの支出によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、減少した資金は4百万円(前年同四半期連結累計期間は9千7百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入れによる7千2百万円などの収入に対し、配当金の支払額5千6百万円、借入金の返済による1千2百万円、リース債務の返済による7百万円などの支出によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。なお、当社は「会社の支配に関する基本方針」を定めており、その内容は次のとおりであります。 ①基本方針の内容当社は、当社の支配権の移転を伴う買付提案がなされた場合、その判断は最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。従って、当社株式の大規模買付行為や買収提案がなされた場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大規模買付行為のなかには、その目的、態様等からみて企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくなく、当社の企業価値及び株主共同の利益に重大な影響を及ぼす可能性を内包しております。また、株式の大規模買付行為のなかには、当該買付行為が明らかに濫用目的によるものと認められ、その結果として当社株主全体の利益を著しく損なうものもないとはいえません。当社は、当社の経営にあたって、目先の利益追求ではなく、技術指向型の営業活動を通じて、様々な顧客のニーズを地道に汲み取り、これに応じた商品提供の実績を積み重ねるという、中長期的に企業価値向上に取り組む経営が、株主の皆様全体の利益、同時に当社のお取引先等の皆様の利益に繫がるものと考えております。従って、当社取締役会は、当社の企業価値及び株主共同の利益を最大化していくためには、中長期的な観点から、このような当社の企業価値を生み出す源泉を育て、強化していくことが最も重要であって、当社の財務及び事業の方針は、このような認識を基礎として決定される必要があると考えます。当社株式の買付を行う者がこれら当社の企業価値の源泉を理解し、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。 ②基本方針の実現に資する取り組みa.当社の企業価値の源泉当社は、1946年7月の創業以来、染料、工業薬品等の化学品商社として、業界において確たる地位を築いております。当社は、設立当初から、社内に「試験室」を設置するなど技術指向型の営業活動を展開しており、メーカーに対する顧客ニーズと技術情報の的確な提供、新商品の開発に関するメーカーとの協業、得意先に対する専門的な商品情報や商品特性のスピーディーな提供、技術サービスの実施など、単なる流通事業の一翼を担う業態とは異なる営業活動を行っております。事業範囲は、土木・建材資材関連分野、情報・輸送機器関連分野、日用品関連分野、化学工業関連分野などをターゲットとし、顧客中心の営業活動を通して、顧客とともに発展を遂げ、環境保全が人類共通の課題であることを認識し、市場における信用を培いつつ社会に貢献することを経営の基本方針としております。このように、当社は、技術指向型の営業活動を通じて、様々な顧客のニーズを汲み取り、メーカーとの協業等を通じて顧客のニーズに応じた商品を提供していく実績の積み重ねが、当社を新たなるステップへ導き、更なる成長・飛躍を可能にするものと考えており、このようなビジネスモデルの維持・発展こそが当社の企業価値の源泉であると考えております。
b.当社の企業価値向上への取り組み当社は、多様化する顧客ニーズに迅速に対応し、タイムリーで的確な商品・サービスの提供を図るため、中長期的に以下の5つの施策に取り組んでおり、これらを柱に企業競争力の強化、企業価値の向上に努めております。(ⅰ)収益の向上当社は創業以来、一貫して技術コンサルタントを主体とした技術指向型営業を行い、商社でありながらファブレスによるものづくりを行うなど、より付加価値の高い商品提供を目指しております。具体的には長年蓄積した技術・ノウハウを駆使したファインケミカル(精密化学品)商品への指向を図るなか、化学系商材に限らない幅広い取扱品目を展開し、併せて東南アジアへの営業基盤の拡大・整備等に積極的に取り組んでおります。また、建装材事業にメーカー機能を取り込み、その強化を図るため、2015年12月に各種木工製品の製造販売を主たる事業とするキョーワ株式会社を完全子会社とし、事業基盤の拡充とグループ収益の改善に持続的に取り組んでおります。(ⅱ)海外の市場拡大近年、国内経済がシュリンクするなか、営業の軸足を東南アジアを中心とした海外に移し、海外のお客様に対する販売だけでなく輸入品の取り扱いにも力を入れて取り組んでおります。これまで当社は1995年に東洋紡績株式会社(現 東洋紡株式会社)との合弁で香港に三東洋行有限公司を、2002年にはSANKYO KASEI SINGAPORE PTE.LTD.を、2007年には中国上海市に産京貿易(上海)有限公司を、また2010年にはタイ王国バンコク都にSANKYO KASEI (THAILAND) CO.,LTD.をいずれも独資で設立、更に工業用ゴム製品メーカーの山川モールディング株式会社との合弁により、工業用ゴム製品の製造販売を事業内容とする新会社“SY RUBBER (THAILAND) CO.,LTD.”を2018年8月に設立し、タイのサムットプラカーンにて、2019年2月から事業を開始しております。これらの海外5拠点と国内6拠点のグループ力を集結し、お客様に喜ばれるソリューション営業を展開しております。
(ⅲ)サステナビリティへの取組みと高品質体制の確立すべての事業目的の遂行に当たっては、環境保全、省資源、健康・労働環境への配慮と公正・適切な処遇、公正な取引、自然災害等への危機管理など、社会貢献と地球環境のサステナビリティ向上に努めております。また、先端技術分野、社会貢献ならびに地球環境に資する分野をターゲットとすることで、高付加価値経営の基盤づくりを目指しています。(ⅳ)人的資本や知的財産への投資等当社は、役職員の心身の健康に資するよう労働衛生管理の改善に努めるとともに、人材育成方針にもとづき、職務遂行能力を高めるための技能・技術・知識習得と階層別の期待役割、発揮能力及び態度を習得する機会を提供・支援し、専門性の高い人材集団となることを目指しております。 また、取引先との連携を通じて、必要に応じて知的財産への投資機会にも積極的に取り組みます。 (ⅴ)事業継続計画への取組み予想される広域災害及び重大な局所災害の発生後、人命を尊重し、会社がいち早く事業を再開し、災害に起因する従業者の経済的不安の解消や、生活行動の早期正常化を目指すとともに、感染症の流行に関しては、社会的責任と事業継続の観点から、感染を広める行為を行わないよう配慮することとしております。このように非常時において当社グループのレジリエンスを発揮し、出来る限りの社会貢献を行うことを目的として「事業継続計画(BCP)」を策定しております。この計画により、お客様への商品・製品の納入を早期に確保し、お客様所有資産(情報及び知的財産を含む。)の流出防止・保全対策に貢献すると共に、当社グループの知的財産やノウハウ流出の保護を行い、お客様のみならず利害関係者に安心を提供し、信頼と満足を得る企業となることを目指しております。
c.株主への還元について当社は、株主の皆様への利益還元を第一として、安定的な配当の維持を基本としつつ、企業体質・財務体質の強化ならびに業容拡大に備えるため、内部留保の充実などを総合的に勘案して、配当を決定する方針としております。 ③不適切な支配の防止のための取り組み当社は、企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある大規模買付行為を未然に防止するため、2020年5月11日開催の取締役会において、「当社株式の大規模買付行為に対する対応方針(買収防衛策)の継続について」を決議し、そのうえで2020年6月25日開催の第94期定時株主総会において議案としてお諮りし、株主の皆様のご承認をいただきました。なお、詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイトに掲載しております。(アドレスhttps://www.sankyokasei-corp.co.jp/)
④上記取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由当社取締役会は、これらの取り組みが、当社の支配の基本方針に沿うものであり、企業価値・株主共同の利益を損なうものではないと考えております。また、上記③の「当社株式の大規模買付行為に対する対応方針(買収防衛策)」においては、大規模買付行為があった際には、当社取締役会は独立委員会の開催を要請し、買収提案内容及び対抗措置について、同委員会による評価・勧告に原則として従うものとしていること、また対抗措置はあらかじめ定められた合理的な客観的要件に該当する場合にのみ発動されるものであることから、当社取締役会の恣意的判断を排除し、大規模買付ルールの遵守や対抗措置発動の是非に関する判断の公正性・透明性の確保を図っており、取締役の地位の維持を目的とするものではありません。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。