【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況a. 事業全体の状況当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済について、新型コロナウイルス感染症に関する行動規制が緩やかになり、経済活動が本格的に再開しています。しかしながら、足元の物価上昇は消費マインドに影響を与え、生活防衛意識の高まりにつながっています。加えて、依然として円安傾向は続き、また、原材料市況においても、落ち着きを見せ始めている原材料はあるものの、エネルギー価格高騰を起因とするコスト上昇は継続しており、厳しい状況は続くものと想定しています。一方で当社グループが展開に注力するアジア地域においては、中国のゼロコロナ政策が2023年1月に終了し、個人消費が伸長するなど、経済回復が鮮明になっています。また、ASEANの一部の国ではインフレによる消費低迷懸念があるものの、新型コロナウイルス感染症からの回復以降、依然として高い経済成長が続いています。
このような経済状況のなか、当社グループは経営理念「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」のもと、「モノサシ・インフラの刷新」、「アジア収益基盤の拡大」、「ESG・オープンイノベーション」、「コストシナジーの創出」を基本方針とする中期経営計画「Act For SMILE-COMPASS 2023-」に沿って経営を進めています。外部環境の著しい変化による影響から、本計画の数値目標は一旦見直すことといたしましたが、取り組みに対する成果は着実に出始めており、掲げる方向性や戦略は変更せず、当連結会計年度も施策の遂行に取り組んでおります。当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績について、年明け以降、国内の気温が高めに推移したことによる虫ケア用品の好調な初動、価格改定の実施効果、また、契約件数や契約金額の増加に伴う総合環境衛生事業の伸長もあり、売上高は408億19百万円(前年同期比5.7%増)となりました。利益面では原材料価格高騰や物流コストの増加による影響はあるものの、増収に伴う売上総利益の増加が寄与し、営業利益55億32百万円(前年同期比3.9%増)、経常利益56億45百万円(前年同期比0.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益38億89百万円(前年同期比3.3%増)となりました。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
※セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益ベース
(家庭用品事業)家庭用品事業におきましては、高付加価値製品の投入による潜在ニーズの掘り起こし、既存製品のリニューアルなどによる製品価値の向上、製品価値に見合った適正価格での販売、SNSなどを利用した効果的なプロモーションなどを実施しました。また、製品コストや販売にかかるコストの低減を図り、収益性の改善に努めました。海外においては、タイやベトナムなどの東南アジア地域を中心に経営資源を積極的かつ有効に投入し、収益性の改善や規模を拡大する取り組みを実施しました。当第1四半期連結累計期間における当事業の業績については、年明け以降の気象条件を背景とした虫ケア用品の売上増、新製品寄与などにより、売上高は373億18百万円(前年同期比4.6%増)となりました。利益面では、前期から継続している原材料価格高騰の影響やエネルギー価格上昇に伴うインフラコストの増加、物流コストの増加などはあるものの、増収効果が寄与し、セグメント利益(営業利益)は52億76百万円(前年同期比6.4%増)となりました。
(家庭用品事業の業績)
(単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減額
増減率
虫ケア用品部門
17,684
19,503
1,819
10.3%
日用品部門
15,834
15,522
△311
△2.0%
口腔衛生用品
1,769
1,867
97
5.5%
入浴剤
6,201
6,174
△26
△0.4%
その他日用品
7,863
7,480
△382
△4.9%
ペット用品・その他部門
2,150
2,291
140
6.5%
売 上 高 合 計
35,669
37,318
1,648
4.6%
セグメント利益(営業利益)
4,960
5,276
315
6.4%
(注)
売上高にはセグメント間及びセグメント内の内部売上高又は振替高が含まれており、金額は前第1四半期連結累計期間では3,454百万円、当第1四半期連結累計期間では3,049百万円です。
部門別の主な売上高の状況は次のとおりであります。
虫ケア用品部門国内においては、年明け以降、全国的に気温が高めに推移したことを背景に、ハエ蚊用やゴキブリ用製品の売上が伸長しました。加えて、価格改定を含む適正価格での販売、「予防」をコンセプトにした新製品の投入などにより、『マモルームエッセンス虫よけスティック』、『ダニがホイホイ』シリーズなどが売上に寄与しました。また、海外においては、タイ・ベトナムを中心に売上成長が継続したことに加え、昨年度に連結したEARTH HOMECARE PRODUCTS(PHILIPPINES),INC.の売上が寄与しました。以上の結果、当部門の売上高は195億3百万円(前年同期比10.3%増)となりました。
日用品部門口腔衛生用品分野においては、オーラルケアリテラシーの向上や新型コロナウイルスをきっかけとした口腔内の衛生意識の高まりなどにより、オールインワンの洗口液『モンダミンプレミアムケア』が好調に推移し、売上高は18億67百万円(前年同期比5.5%増)となりました。入浴剤分野においては、新型コロナウイルス感染症により入浴剤の使用の定着化は進み、分包タイプの『日本の名湯』が好調に推移しました。また、事業譲受により取得した「BARTH」ブランドの中性重炭酸入浴剤の売上が加わりました。一方で、足元の市場動向は前年を下回る状況が続いており、売上高は61億74百万円(前年同期比0.4%減)となりました。その他日用品分野においては、SNSでのプロモーション効果もあり、掃除用品の新製品『くるくるバブルーンお風呂まるごと』が売上に寄与したことに加えて、消臭芳香剤『スッキーリ!』シリーズが引き続き好調に推移しました。一方で、マスク着用の考え方の見直しにより、家庭用マスク『快適ガードプロ』、『ビースタイル』は低調に推移し、売上高は74億80百万円(前年同期比4.9%減)となりました。以上の結果、当部門の売上高は155億22百万円(前年同期比2.0%減)となりました。
ペット用品・その他部門ペット用品分野においては、飼育頭数の増加に伴い、猫砂などのペットケア用品への需要が高まっていることで売上を伸ばし、売上高は22億91百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
(総合環境衛生事業)総合環境衛生事業におきましては、主要な顧客層である食品関連業界や医薬品関連業界、包材関連業界における食中毒予防対策や異物混入対策などの衛生管理対策が必須となっており、当社グループが専門的な知識や技術、ノウハウをもって提供する高品質の衛生管理サービスへのニーズが高まっている状況です。このような状況の中、人財育成、業務効率の改善を目的としたシステムの導入・開発など、お客様のニーズに対応できる社内体制構築に向けた投資を積極化するとともに、産学官連携の共同研究も含め、技術開発力の強化により差別化された衛生管理サービスを提供することで、契約の維持・拡大と適正な利益の確保を図りました。その中でも、医薬品業界・再生医療業界へ向けた種々の取り組み、食品安全マネジメントに関する監査・コンサルタント業務の強化を継続してまいりました。当第1四半期連結累計期間における当事業の売上高は65億90百万円(前年同期比2.7%増)となりました。利益面では、主な契約形態である年間契約における原価率の上昇による影響などにより、セグメント利益(営業利益)は2億62百万円(前年同期比12.4%減)となりました。
(単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減額
増減率
売 上 高
6,414
6,590
175
2.7%
セグメント利益(営業利益)
299
262
△37
△12.4%
(注)
売上高にはセグメント間及びセグメント内の内部売上高又は振替高が含まれており、金額は前第1四半期連結累計期間では27百万円、当第1四半期連結累計期間では38百万円です。
(2) 財政状態の状況(流動資産)当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて187億29百万円増加し、926億91百万円となりました。これは主に、現金及び預金が9億92百万円、売上債権が109億30百万円、棚卸資産が63億75百万円増加したことによるものです。
(固定資産)当第1四半期連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末に比べて33億1百万円増加し、538億28百万円となりました。これは主に、「BARTH」ブランドの事業譲受による無形固定資産が22億35百万円増加したことによるものです。
(流動負債)当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて214億円増加し、747億41百万円となりました。これは主に、未払金が25億79百万円減少した一方、短期借入金が170億円、仕入債務が38億28百万円増加したことによるものです。
(固定負債)当第1四半期連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末に比べて7億78百万円減少し、23億50百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が7億69百万円減少したことによるものです。
(純資産)当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べて14億9百万円増加し、694億28百万円となりました。これは主に、利益剰余金が配当金の支払いにより減少した一方、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により12億85百万円増加したことによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、記載を省略しております。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題に重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は7億11百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、営業活動から得られる自己資金、金融機関からの借入などを資金の源泉としております。また、当社及び国内連結子会社間でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中して一元管理を行うことで、資金の流動性の確保と資金効率の最適化に努めております。設備投資やM&Aなどに伴う長期的な資金需要については、資金需要が見込まれる時点で、内部留保に加え、金融機関からの長期借入及びエクイティ・ファイナンスなどを活用して対応しております。また、運転資金など短期の資金需要については、自己資金及び短期借入を充当しております。今後の中長期的な成長に向け、アジア収益基盤の拡大、ESG・オープンイノベーション、ICTインフラ刷新・DX推進などをターゲットに、資本コストを上回る選択的な投資によってキャッシュ・フローの拡大を目指してまいります。