【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)業績の状況
当社は、2021年4月1日付で、アクセリード株式会社と共同で株式会社PrimRNAを設立し、核酸医薬の研究開発を実施してまいりましたが、研究開発の進捗により当社の医薬品事業における同社の重要性が高まったことに伴い、第2四半期連結会計期間から四半期連結財務諸表を作成しております。これにより、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の前年同四半期比較の記載は行っておりません。
なお、当社は当第3四半期連結会計期間後の2023年1月26日開催の取締役会において、ビジネスモデルの変更を決定しております。当社はミセル化ナノ粒子技術を活用し、ナノ粒子内に低分子などの医薬品を封入した抗がん剤を中心に、革新的な医薬品の開発を進めてまいりました。しかしながら、2022年、シスプラチンミセル(NC-6004)の第Ⅱb相臨床試験及び、Vasucular Biogenics Ltd.(NASDAQ: VBLT)から国内開発・販売権を取得した遺伝子治療等製品「VB-111」の国際共同第Ⅲ相臨床試験において、主要評価項目未達のため、相次いで開発を中止いたしました。これを受けて当社は、ビジネスモデルの見直しを行い、当社の核酸医薬開発及びDDS技術の知見を活かしつつ、アクセリード株式会社及び傘下企業との協業等を活用することで効率的に複数のmRNA医薬の創薬及び知財獲得を進め、後期臨床開発ステージに入る時点までに、製薬企業にライセンスアウトを行うことを事業の柱とすることといたしました。mRNA医薬の研究開発に6年以上取り組んできた経験と実績及びこの間に築いた豊富なネットワークを生かして、多数のパイプラインを同時並行でインキュベートしmRNA治療薬のIPを創出するIP Generator企業へと変貌してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の当四半期連結累計期間における業績への影響につきましては、当社は医薬品等の研究開発段階にあるため、軽微であったと判断しております。
(mRNA医薬パイプライン)
急激に市場が開いたmRNA創薬分野ですが、感染症ワクチン以外の治療薬等の領域はこれから医薬品としての開発競争が始まります。当社は、国内企業に先駆けて、mRNA創薬ビジネスモデルのFlagshipプロジェクトとして、変形性膝関節症に対する再生医薬の開発を推進しています。今後、製薬企業や非製薬企業、アカデミア等との共同研究を推進し、新規パイプラインの拡充を推進してまいります。
RUNX1:
アクセリード株式会社と共同で株式会社PrimRNAを設立し、医師主導第Ⅰ相臨床試験開始に向けた研究開発を行っております。非臨床薬効試験において良好な成績が得られましたので、非臨床安全性試験および原薬・製剤などの準備を現在進めております。
RUNX1(mRNA)は、軟骨の増殖・分化に関わる転写因子RUNX1のmRNA医薬です。軟骨組織の修復を促進することにより、変形性膝関節症の進行を抑制するとともに疼痛の軽減も実現する革新的な疾患修飾型治療薬を目指し、局組織再生mRNA医薬として研究を推進しています。本プロジェクトは、AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業に採択されております。
(mRNA医薬以外のパイプライン)
これまで実施してまいりましたパイプラインの開発も継続して行っております。
ENT103:
国内における中耳炎を対象とした第Ⅲ相臨床試験において、主要評価項目達成し、2022年4月、セオリアファーマ株式会社(以下「セオリアファーマ」といいます。)が外耳炎及び中耳炎を対象に製造販売承認申請を行いました。
ENT103はセオリアファーマと共同開発中の耳鼻咽喉科領域におけるパイプラインです。今後、薬事承認、薬価収載というステップを経て、2023年度前半の販売開始を見込んでおります。
NC-6100:
公益財団法人がん研究会有明病院において、再発・進行HER2陰性乳がんを対象に医師主導第Ⅰ相臨床試験を実施しております。
NC-6100は、慶應義塾大学との共同開発プロジェクトによる転写因子PRDM14に対するsiRNA DDS製剤です。
TUG1:
脳腫瘍の中でも悪性度が高い膠芽腫を対象とした医師主導第Ⅰ相臨床試験開始に向け、鍵となる非臨床安全性試験を終え現在治験薬の準備などを進めております。
TUG1 ASO(ASO:アンチセンスオリゴ)は、長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO DDS製剤です。本プロジェクトは、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学との共同研究であり、日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業に採択されております。
<自社開発完了および開発中止のパイプライン>
NC-6300:
2021年6月にファスト・トラック指定※を受け、米国における血管肉腫対象の例数追加試験において12例中5例でPR(奏功)を確認、2022年4月に全患者への投与が完了いたしました。ライセンスアウトに向けた活動を行っております。
NC-6300は、エピルビシンのミセル化ナノ粒子製剤です。
※ファスト・トラック指定
米国における画期的な新薬について優先的に審査する、優先審査制度です。完治が難しい疾患に対して高 い治療効果が期待される新薬を優先的に審査して早期実用化を促すことを目的とした制度です。
NC-6004:
2022年4月、第Ⅱb相臨床試験の暫定的な解析において、主要評価項目達成の可能性が低いと推察され、本治験を継続しないことをOrient Europharma Co., Ltd.と合意し、本製品の開発中止に向けた手続きを進めております。
NC-6004は、シスプラチンのミセル化ナノ粒子製剤です。
VB-111:
プラチナ製剤抵抗性再発卵巣がんを対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(OVAL試験)について、2022年7月に受領したトップラインデータでは、無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)の解析において、統計的に有意な改善が認められませんでした。
VB-111はアデノウイルスベクターによる遺伝子治療用製品です。
(販売事業の状況)
株式会社アルビオンが販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシア ブライトニング イマキュレート セラム用の当社技術を応用した原材料を供給しております。なお、同社との共同開発製品であるスカルプトータルケア製品「Depth」事業は、2022年12月末をもって全品の販売を終了しましたが、引き続きアルビオン社への化粧品原料供給等を継続してまいります。
また当社は、治療法がない領域に新たな医療を届ける一環として、株式会社エイオンインターナショナルとの契約に基づき、PRP療法を用いた不妊治療をサポートしております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、化粧品材料供給収入、開発マイルストーン収入及びPRP事業に係る売上等により142,111千円、営業損失は1,092,726千円、経常損失は1,019,717千円、親会社株主に帰属する四半期純損失は999,292千円となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間におきまして、以下の営業外収益及び特別利益を計上しております。
・外国為替相場の変動による為替差益56,606千円を営業外収益に計上しております。これは主に、当社の保有する外貨建預金の評価替えにより発生したものであります。
・第15回新株予約権の権利行使期間満了のため、新株予約権戻入益27,493千円を特別利益に計上しております。
また、当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません。
財政状態につきましては、以下のとおりとなりました。
① 資産の部
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は4,839,607千円であり、主な内訳は、現金及び預金3,239,776千円、受取手形及び売掛金69,505千円、有価証券1,330,034千円であります。
当第3四半期連結会計期間末の固定資産は1,123,977千円であり、主な内訳は、投資有価証券888,368千円等であります。
② 負債の部
当第3四半期連結会計期間末における流動負債及び固定負債は合計で1,664,953千円であり、主な内訳は転換社債型新株予約権付社債1,150,000千円等であります。
③ 純資産の部
当第3四半期連結会計期間末における純資産は4,298,630千円であり、主な内訳は、資本金119,150千円、資本剰余金5,499,591千円、利益剰余金△1,059,821千円であります。
これらの結果、自己資本比率は72.0%となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は980,888千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)生産、受注及び販売の実績
当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。また当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。なお当第3四半期連結累計期間における当社の販売実績は、142,111千円であります。
(5)主要な設備
新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変動があったものはありません。
