【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(経営成績等の状況の概要)
(1) 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する日常生活の制約や経済活動への制限も緩和され、持ち直しの兆しも見られました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症に対する潜在的な不安に加え、世界的な金融引き締めが進む中での日本銀行の金融緩和政策継続等による急激な円安や、ロシアのウクライナ侵攻等による原料・エネルギー価格の上昇に伴う世界的なインフレの加速等、引き続き厳しい状況が続いております。当社グループの主力取引先である飲食業界におきましては、新型コロナウイルス感染症に対する営業制限が解除されたものの、第7波及び第8波による消費者マインドの低下、円安等の影響による原材料価格・光熱費の高騰や人件費の上昇等、引き続き厳しい状況が続いております。 そのような状況下、当社グループは、国内の飲食店をはじめとするサービス業の成長をサポートすることを第一に、「夢をカタチに!和食を世界に!」という企業スローガンを掲げ、新型コロナウイルス感染症が収束したのち、日本国内の和食文化を世界の様々な地域へ輸出する架け橋となれるよう努めてまいりました。また、経営サポート事業と飲食事業の連動によって、当社独自の「プラットフォーム」を形成し、両事業を併せ持つことによるシナジー効果で収益を創出するビジネスモデルを確立し、各事業で収益が発生する「名代 宇奈とと」のライセンス展開や、飲食事業で培ったノウハウや課題解決力を活かし、時代と共に変化する飲食店経営のニーズに対応した新サービスの提供を推進してまいりました。 この結果、当連結会計年度の売上高は4,735,437千円(前連結会計年度比30.0%増)、営業利益は214,635千円(前連結会計年度は営業損失9,971千円)、経常利益は213,791千円(前連結会計年度は経常損失14,221千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は271,490千円(前連結会計年度比7.3%減)となりました。 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しておりますが、連結財務諸表に与える影響は軽微であります。 セグメントの業績は次のとおりであります。 ① 経営サポート事業 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症のまん延により続いていた飲食店出店の停滞に改善が見られ、退店希望顧客や空き物件の情報の入手と出店希望顧客のサポートが進み、新規契約数を伸ばすことができました。 その結果、当セグメントの売上高は2,400,212千円(前連結会計年度比18.2%増)、営業利益は345,918千円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。 ② 飲食事業当連結会計年度において、当社グループが展開する「名代 宇奈とと」においては、「名代 宇奈とと」のライセンス加盟店数の増加に伴い、ロイヤリティ収入及び食材卸売上が増加しました。また、営業時間の短縮等の解除後、来店客数は回復傾向にあることや、デリバリー・テイクアウトの利用客も一定数確保することができました。さらに、ベトナムにおいて「名代 宇奈とと」2号店が2021年12月、3号店が2022年5月にオープンしたことから、売上高の増加に寄与しています。 株式会社M.I.Tにおいても、営業時間の短縮等の解除や、職人形態であり高付加価値の業態がお客様の支持を得ていたことから、来店客数が伸び、売上高が増加しました。 その結果、当セグメントの売上高は2,335,225千円(前連結会計年度比44.9%増)、営業利益は246,220千円(前連結会計年度比1,101.4%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
① 資産の部当連結会計年度末の資産は前連結会計年度末より207,174千円増加して4,879,292千円となりました。これは主に、現金及び預金が112,828千円、リース投資資産が55,319千円、のれんが54,080千円減少した一方で、流動資産その他が22,997千円、建設仮勘定が127,691千円、有形固定資産その他が55,996千円、差入保証金が151,176千円、繰延税金資産が26,054千円増加したことによるものであります。
② 負債の部当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末より154,914千円減少して2,976,048千円となりました。これは主に、買掛金が60,396千円、1年内返済予定の長期借入金が43,503千円、長期預り保証金が130,977千円増加した一方で、未払法人税等が77,206千円、流動負債その他が45,317千円、長期借入金が269,959千円減少したことによるものであります。
③ 純資産の部当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末より362,089千円増加して1,903,243千円となりました。これは主に、資本金が340,993千円減少した一方で、資本剰余金が341,462千円、利益剰余金が271,547千円、為替換算調整勘定が73,937千円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ113,169千円減少し、2,124,818千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果獲得した資金は、533,448千円(前連結会計年度は543,511千円の収入)となりました。この内訳は主に、税金等調整前当期純利益424,616千円、減価償却費110,081千円、減損損失63,061千円、のれん償却額54,080千円、固定資産売却損99,868千円、経営サポート事業におけるリース投資資産の減少額57,161千円、仕入債務の増加額59,716千円、長期前受収益の減少額66,025千円、法人税等の支払額243,647千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、468,132千円(前連結会計年度は35,023千円の支出)となりました。この内訳は主に、有形固定資産の取得による支出499,414千円、差入保証金の差入による支出197,387千円、経営サポート事業における長期預り保証金の返還による支出76,989千円、長期預り保証金の受入による収入291,621千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、256,351千円(前連結会計年度は98,118千円の支出)となりました。この内訳は主に、長期借入金の返済による支出226,456千円、長期未払金の返済による支出27,080千円であります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前年同期比(%)
経営サポート事業
1,751,881
113.6
飲食事業
772,422
153.1
合計
2,524,303
123.4
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
(2) 受注実績 該当事項はありません。
(3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
経営サポート事業
2,400,212
118.2
飲食事業
2,335,225
144.9
合計
4,735,437
130.0
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容)文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、経営者より一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
(2) 財政状態の分析財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要)(2)財政状態の状況」に記載のとおりであります。
(3) 経営成績の分析① 売上高当連結会計年度における売上高は4,735,437千円(前連結会計年度比30.0%増)となりました。報告セグメント別の売上高は、経営サポート事業2,400,212千円(同18.2%増)、飲食事業2,335,225千円(同44.9%増)となっております。経営サポート事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により退店希望顧客が増加すると同時に、好立地の空き物件情報を出店希望顧客に提供することができるようになりました。また、顧客に代わり物件所有者との賃料減額交渉を行い、顧客のサポートを行いました。さらに、当社直営店「名代 宇奈とと」のゴーストレストランによるライセンス販売を進めるに当たり、経営サポート事業の顧客を中心にライセンス加盟募集を行ってまいりました。飲食事業では、2017年から宅配サービスの強化を進めており、当連結会計年度においては新型コロナウイルス感染症の影響を受けて高まった中食需要を獲得することができました。一方で、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受けて、海外及び国内の店舗において、営業自粛や海外観光客の減少に伴い来店客数が減少し、売上高が減少しました。② 売上原価当連結会計年度における売上原価は2,524,303千円(前連結会計年度比23.4%増)となりました。報告セグメント別の売上原価は、経営サポート事業1,751,881千円(同13.6%増)、飲食事業772,422千円(同53.1%増)となりました。③ 売上総利益当連結会計年度における売上総利益は2,211,134千円(前連結会計年度比38.6%増)となりました。報告セグメント別の売上総利益は、経営サポート事業648,331千円(同32.7%増)、飲食事業1,562,802千円(同41.1%増)となりました。④ 販売費及び一般管理費当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,996,498千円(前連結会計年度比24.3%増)となりました。報告セグメント別の販売費及び一般管理費は、経営サポート事業302,412千円(同49.1%増)、飲食事業1,316,582千円(同21.2%増)となりました。主な要因は、飲食事業における販売費及び一般管理費のうち固定費の一部を特別損失に振り替える処理の金額が減少したためであります。⑤ 営業利益当連結会計年度における営業利益は214,635千円(前連結会計年度は営業損失9,971千円)となりました。報告セグメント別の営業利益は、経営サポート事業345,918千円(前連結会計年度比21.2%増)、飲食事業246,220千円(同1101.4%増)となりました。なお、報告セグメント別の営業利益と当連結会計年度の営業利益との差異については全社費用であります。⑥ 営業外収益当連結会計年度における営業外収益は6,749千円となりました。主な内訳は、為替差益2,410千円、助成金収入2,140千円であります。⑦ 営業外費用当連結会計年度における営業外費用は7,593千円となりました。主な内訳は、支払利息7,173千円であります。⑧ 経常利益当連結会計年度における経常利益は213,791千円(前連結会計年度は経常損失14,221千円)となりました。⑨ 特別損益及び当期純利益当連結会計年度における特別利益は、416,037千円となりました。一方、特別損失は、205,212千円となりました。内訳は、特別利益は、違約金収入250,406千円、受取和解金30,016千円、臨時休業等助成金収入135,615千円、特別損失は、固定資産売却損99,868千円、固定資産除却損2,644千円、減損損失63,061千円、和解金16,000千円、臨時休業等関連損失23,637千円であります。このうち、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する項目は、臨時休業等助成金収入、減損損失、臨時休業等関連損失であります。この結果、税金等調整前当期純利益424,616千円(前連結会計年度比4.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益271,490千円(同7.3%減)となりました。 (4) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの経営成績は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容、法的規制、事業運営等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、優秀な人材の採用と組織体制の整備、内部統制システムの強化等により、これらのリスク要因に対応するように努めてまいります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの所要資金は、大きく新規契約に伴う敷金及び保証金の支払と店舗造作等の有形固定資産の取得のための資金、新規出店並及び店舗運営のための資金並びに納税資金等が経常の運転資金であります。当連結会計年度におきましては、物件情報サポートの案件増加、及び、新規出店の増加に伴い、国内・海外で固定資産が増加したこと、及び、コロナ禍で借り入れた資金の返済が開始したことから、現金及び預金は減少しております。なお、現状ただちに資金が不足する状況にはありませんが、今後も新規案件の獲得及び新規出店を加速させてまいりますので、事業運営に伴う売上代金等を含めて、必要な資金の流動性を確保していく所存であります。なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。なお、直近5連結会計年度におけるキャッシュ・フロー関連指標は、以下のとおりであります。
2018年12月期
2019年12月期
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
自己資本比率(%)
52.7
39.7
30.4
32.8
38.5
時価ベースの自己資本比率(%)
63.2
69.4
63.4
55.4
56.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)
442.7
237.6
627.3
285.5
242.7
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
18.6
72.1
36.0
65.7
73.2
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い (注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。 (注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。 (注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。 (注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について当社グループは、経営サポート事業と飲食事業の連動によって、当社独自の「プラットフォーム」を形成し、両事業を併せ持つことによるシナジー効果で収益を創出するビジネスモデルを確立し、各事業で収益が発生する「名代 宇奈とと」のライセンス展開や、飲食事業で培ったノウハウや課題解決力を活かし、時代とともに変化する飲食店経営のニーズに対応した新サービスの提供を推進してまいります。経営サポート事業においては、国内需要の出退店サポートを中心として飲食企業を支援することによる国内事業の営業体制基盤の充実と拡大が重要と認識しております。新型コロナウイルス感染症の影響により退店希望顧客が増加すると同時に、好立地の空き物件情報を出店希望顧客に提供することができるようになり、飽和状態にあった国内外食産業の新陳代謝が進んでいること、当社グループが対象とする物件の商圏が拡大したことなどから、今後も支援店舗数の増加によるストック収益額の拡大を見込みます。また、飲食業界の慢性的な人手不足の解消のため、特定技能制度を活用した外国人紹介ビジネスを開始しました。特定技能ビザが創設された2019年~現在まで「名代 宇奈とと」にて、特定技能外国人を採用・育成している経験から得た独自の外国人採用・ビザ取得ノウハウを活用してまいります。飲食事業においては、コロナウイルス感染症による影響から、飲食店舗支援需要や新たな店舗支援ノウハウの蓄積余地が出現しているため、宇奈とと及びM.I.Tの両ブランドの国内外での直営店及びライセンス店の出店を進めてまいります。そして、飲食店運営ノウハウの蓄積、ネットワークの拡大をすることで、経営サポート事業によるサービス提供の基盤強化と品質向上を図ってまいります。なお、問題意識に対する今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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