【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況の概要
①財政状態の状況
a.資産当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べて232,352千円増加し、5,400,387千円となりました。これは主に、現金及び預金が349,729千円減少、前払費用が244,010千円増加、ソフトウェア仮勘定が232,946千円増加、投資有価証券が117,167千円増加したことによるものであります。
b.負債 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて765,383千円増加し、2,530,455千円となりました。これは主に、長期借入金が398,000千円増加、契約負債が346,575千円増加したことによるものであります。
c.純資産当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて533,030千円減少し、2,869,931千円となりました。これは主に、資本金が96,413千円増加、資本剰余金が96,413千円増加、利益剰余金が687,151千円減少したことによるものであります。この結果、自己資本比率は52.4%(前連結会計年度末は64.3%)となりました。
②経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の変異株発生による感染の再拡大等、先行き不透明な状況も見られましたが、経済活動正常化の方針が政府からは発表され、徐々に規制緩和される状況となってきております。また、急激な原油高騰や円安進行などの影響により、日本の社会は大きく変容してきております。一方で、新型コロナウイルス感染症対策に伴うテレワーク需要増加を背景に、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するシステム投資が、引き続き注目を集めております。 このような環境の中、当社は「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションのもと、人生の大半を過ごすことになる「働く」という時間において、ただ生活の糧を得るためだけではなく、1人でも多くの人がより楽しく、自由な創造性を存分に発揮できる社会を実現することを目指し、仕事の効率化や新しく創造的な働き方を実現する製品やサービスの開発・提供に取り組んでおります。 当連結会計年度は、主力のChatworkセグメントの拡販に努める一方で、新たな機能のリリース等、計画に沿った開発にも注力しました。以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は4,593,178千円(前年同期比36.2%増)、営業損失は719,273千円(前年同期は688,084千円の営業損失)、経常損失は724,720千円(前年同期は705,114千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は687,151千円(前年同期は696,188千円の親会社株式に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(Chatworkセグメント)Chatworkセグメントは、主力サービスである「Chatwork」の利点を訴求し、新たな機能追加と顧客の開拓に努めました。以上の結果、売上高は4,368,844千円(前年同期比38.5%増)、セグメント損失は775,766千円(前年同期は734,479千円のセグメント損失)となりました。なお当セグメントが当社グループの主力事業であり、本社機能も含めて各間接費の全てが当セグメントの維持・拡大のために費やされていることから、間接費の全額を当セグメントにおける費用として計上しております。
(セキュリティセグメント)セキュリティセグメントについては、当社グループとしては積極的な事業拡大は行わない方針としております。その結果、売上高は224,334千円(前年同期比2.4%増)、セグメント利益は56,492千円(前年同期比21.8%増)となりました。なお、当セグメントのセグメント利益については、前述のとおり間接費を全てChatworkセグメントにて計上していることから、当セグメントの売上高より当セグメントに要した広告宣伝費、販売促進費及び業務委託費等の直接経費のみを控除した金額を計上しております。
③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて349,729千円減少し、2,850,323千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、283,675千円の支出となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失723,795千円の計上、減価償却費141,579千円の計上、契約負債が346,575千円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、517,076千円の支出となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出395,938千円、投資有価証券の取得による支出109,874千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、450,968千円の収入となりました。これは主に、長期借入れによる収入500,000千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績 当社は生産活動を行っていないため、記載を省略します。
b.受注実績 当社事業は、提供するサービスの性質上受注実績の記載になじまないため、記載を省略します。
c.販売実績 販売実績は次のとおりです。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
Chatworkセグメント
4,368,844
138.5
セキュリティセグメント
224,334
102.4
合計
4,593,178
136.2
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②経営成績の分析
a.売上高当連結会計年度における売上高は、4,593,178千円(前年同期比36.2%増)となりました。内訳としては、主力事業であるChatworkセグメントの売上高が4,368,844千円(前年同期比38.5%増)、セキュリティセグメントの売上高が224,334千円(前年同期比2.4%増)であります。これは、Chatworkセグメントにおける新規顧客開拓の強化やサービスの機能強化を行った結果、当サービスの利用企業数(登録アカウント数)が2021年12月期末34万社から当連結会計年度末に38万社超となり、課金ID数が2021年12月期末54.7万名から当連結会計年度末66.8万名と大幅に増加したことによります。なお、Chatworkセグメントにおける事業別の売上高の状況は以下のとおりです。
第19期連結会計年度(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
アカウント事業
3,809,803
136.1
プラットフォーム事業
559,041
158.1
Chatworkセグメント 合計
4,368,844
138.5
b.売上原価、売上総利益当連結会計年度における売上原価は、1,405,429千円(前年同期比41.5%増)となりました。これは、事業拡大に伴い労務費やサーバー費用が増加したことによるものであります。また、ソフトウエア開発に関わる費用のうち、資産性がある新規開発プロジェクトについて無形固定資産として362,174千円計上しております。この結果、当連結会計年度の売上総利益は3,187,749千円(前年同期比34.0%増)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業損益当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、3,907,022千円(前年同期比27.4%増)となりました。これは、事業拡大に伴い人件費や業務委託費が増加したことによるものであります。これにより、当連結会計年度の営業損失は719,273千円(前年同期は688,084千円の営業損失)となりました。
d.経常損益当連結会計年度における経常損失は、724,720千円(前年同期は705,114千円の経常損失)となりました。これは、営業外収益にて為替差益10,440千円等を計上する一方で、営業外費用にて株式交付費9,885千円、支払利息6,548千円等が計上されたことによるものであります。
e.親会社株主に帰属する当期純損益法人税等を2,014千円計上し、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、687,151千円(前年同期は696,188千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
③財政状態の分析「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照下さい。
④経営成績に重要な影響を与える要因について「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑤資本の財源及び資金の流動性について当社グループのビジネスモデルは、サブスクリプション型のユーザー課金モデルとなっており、課金対象となっている既存顧客が利用を継続する限りにおいては、安定的な収入が計上されます。従って、今後の収益獲得の予測を考慮し事業戦略も踏まえ、どのように費用充当していくかが重要であると考えております。今後の基本方針としては、営業部門の人件費や広告宣伝費といった販売促進に係る費用として充当していき、長期ビジョンであるビジネス版スーパーアプリの実現に向けたM&Aや新ビジネス開発といった成長投資資金の源泉としていきたいと考えております。なお、資金の流動性については、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,850,323千円となっており、流動性を確保しております。
⑥経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について 当社グループは、経営上の目標の達成状況をChatworkセグメントにおける「課金ID数」及び「売上高成長率」の指標で判断しております。当連結会計年度における課金ID数は66.8万名と2021年12月期末の54.7万名対比で22.1%増加しております。加えて、Chatworkセグメントにおける当連結会計年度における売上高は4,368,844千円と2021年12月期の3,153,280千円に対して38.5%増加と順調に伸長しております。また当社グループのビジネスモデルがサブスクリプション型であり足許の収入の安定化や新規の案件獲得により今後の業績以上の売上が期待できるものと認識しております。
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