【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の長期化による様々な自粛や、経済への影響に加え、ロシア・ウクライナ情勢、米中貿易摩擦によるサプライチェーンの混乱等により、製造業において電子部品の不足による納期遅延が顕著となり、例年になく厳しい状況となりました。
このような環境下、当社グループは、2022年6月に公表いたしました中期経営計画に基づき、様々な事業を通して「ESG投資」、「カーボンニュートラル」への対応、「SDGs」の課題解決を目指すとともに、「多様性」のある「人的資本」への投資や「知的財産」の保護を行うことで競争力の優位性を確保し、収益の更なる拡大を目指してまいりました。
この結果、当連結会計年度におきましては、連結売上高は102億8千5百万円(前年同期比5.3%減)となりました。損益面では、営業利益は2億1千9百万円(前年同期比11.8%減)、経常利益は2億2千万円(前年同期比7.9%増)、特別損失として主に投資有価証券評価損を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は6千6百万円(前年同期比52.1%減)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
システムソリューション
システムソリューションにおきましては、大学向けシステム案件、及び自動車開発・防災トレーニング分野向けVR案件の増加により、売上高は38億9千7百万円(前年同期比15.4%増)、営業利益は9千9百万円(前年同期は1千6百万円の営業利益)となりました。
ネットワークソリューション
ネットワークソリューションにおきましては、映像配信システム案件の減少、通信関連顧客や国、自治体等における設備投資の減少等により、売上高は9億8千万円(前年同期比19.2%減)、営業損失は1億8百万円(前年同期は5千6百万円の営業損失)となりました。
電子部品及び機器
電子部品及び機器におきましては、産業用ロボティクス、半導体製造装置市場向けの位置制御用LED製品の減少、連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおいて、前期は防衛省向け航空機部材の大型案件があったため、売上高は54億6百万円(前年同期比13.8%減)、営業利益は2億2千8百万円(前年同期比21.2%減)となりました。
なお、セグメント間取引については、相殺消去しております。
当期の財政状態の概況
(資産)
当連結会計年度末における資産は72億8千8百万円(前連結会計年度末71億2千2百万円)となり、1億6千5百万円増加しました。これは主に、流動資産では、現金及び預金6億5千7百万円が減少しましたものの、受取手形、売掛金及び契約資産が1億1千8百万円、商品及び製品2億2千8百万円、前渡金5億1千万円増加したことにより、2億8千9百万円増加しました。固定資産は、主に、のれん1千8百万円は償却を終了し、投資有価証券8千万円は当連結会計年度に評価損失を計上したために減少し、1億2千3百万円の減少となりました。
(負債)
負債は28億4千1百万円(前連結会計年度末26億8千9百万円)となり、1億5千1百万円増加しました。これは主に、流動負債では前受金1億4百万円、未払法人税等2千6百万円の減少がありましたものの、借入金2億1千万円が増加したため6千7百万円増加しました。固定負債では、役員退職慰労引当金5千万円の減少がありましたものの、長期借入金1億2千9百万円の増加により8千4百万円の増加となりました。
(純資産)
純資産は44億4千6百万円(前連結会計年度末44億3千3百万円)となり、1千3百万円の増加となりました。これは配当金の支払4千5百万円の減少がありましたものの、当期の親会社株主に帰属する当期純利益6千6百万円によるものです。この結果、自己資本比率は61.0%(前連結会計年度末は62.2%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が1億3千5百万円(前年同期は1億9千4百万円の税金等調整前当期純利益)、借入金3億3千9百万円の増加がありましたものの、売上債権の増加1億1千8百万円、棚卸資産の増加2億2千4百万円、前渡金の増加5億1千万円により前連結会計年度末に比べ6億5千7百万円減少し、当連結会計年度末には22億4千9百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は9億6千1百万円(前年同期は6千7百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1億3千5百万円があったものの、売上債権の増加1億1千8百万円、棚卸資産では、一部受注済み案件が翌期に繰越したこともあり2億2千4百万円増加、前渡金では、子会社において翌期以降の案件が増加したことにより、5億1千万円増加による支出があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は1千5百万円(前年同期は6千5百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得6百万円の支出があったものの、会員権の売却による収入1千9百万円があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2億8千3百万円(前年同期は1千6百万円の増加)となりました。これは主に、配当金の支払4千5百万円の支出、子会社の運転資金のための借入金の増加3億3千9百万円によるものです。
③受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
システムソリューション
3,941,362
110.0
1,523,579
103.0
ネットワークソリューション
1,735,858
160.3
1,229,385
259.1
電子部品及び機器
6,366,381
128.7
5,797,801
119.8
合計
12,043,602
125.3
8,550,766
125.9
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は、変更後のセグメントの区分に組み替えた数値に基づき算出しております。
b.販売状況
当連結会計年度の販売状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
システムソリューション
3,897,494
115.4
ネットワークソリューション
980,944
80.8
電子部品及び機器
5,406,569
86.2
合計
10,285,008
94.7
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は、変更後のセグメントの
区分に組み替えた数値に基づき算出しております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の
とおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
防衛省
3,224,919
29.7
2,948,782
28.7
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度は、2020年から続いている新型コロナウイルス感染症の影響に加え、ロシア・ウクライナ問題、米中貿易摩擦によるサプライチェーンの混乱など、例年以上に不確定要素が多く、業績予想も前年度を下回る厳しい見込みの下での業務執行となりました。
このような環境下、文教案件における上期の前倒しや、防衛省案件で受注残の前倒し売上もあり、上半期は好調に推移いたしましたが、下半期に入ると、サプライチェーンの混乱による電子部品の不足・納期遅延や、大型案件の売上の期ずれ、投資有価証券の特別損失等もあり、年度末ぎりぎりまで通期業績見込みが立たない状況が続きました。一方で、昨年度と同様、コロナ禍での様々な自粛が結果として経費削減につながり、最終的には売上高、営業利益、経常利益は昨年度に公表した計画を上回ることができました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、システムソリューションにおきましては中央省庁向け大型システムの案件が挙げられます。同システムの定期的な更新案件により売上高が大きく増加することがあるものの、大型案件は利益率が低いこと、また事業年度ごとに売上高の増減が激しくなり、収益基盤が安定していないことが課題です。モノを「買う」時代から「借りる」時代へと社会が大きく変化しているなかで、物販からサービス提供型のビジネスモデルへと変革を推し進め、収益の安定化を目指しております。
ネットワークソリューションにおきましては比較的利益率が高い案件が多く、競争の激化等により失注した場合や製品の納期遅延等が発生した場合には売上高及び利益の増減が大きくなり、業績が安定しないことが課題です。
また、電子部品及び機器におきましては、連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおける防衛省向け案件が挙げられます。防衛省向け案件は入札方式であるとともに、近年多年度に亘る契約案件が増えており、落札したとしても同年度中に売上に至らない場合があります。そのため同事業においても事業年度ごとの収益安定のため、民間向けの案件を増やしていくことが課題と捉えています。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
システムソリューション
システムソリューションにおきましては、西日本での大学向けシステム案件、および自動車の自動運転開発や防災トレーニング分野向けVR案件が伸び、増収増益となりました。
東日本でのビジネスにおいては、IoTヘルスケア向けクラウド基盤構築や、引き続き自動車やドローン等の自動運転開発や、各種訓練用途でのVRシミュレーション、画像認識を活用した介護施設などでの誤薬防止システムや、再生エネルギー関連事業に取り組んでまいります。
西日本でのビジネスにおいては、従来の大学向けシステム案件や3次元機械CADソフトウェアに加えて、製造業向け新規ビジネスモデルの創出に注力しております。
ネットワークソリューション
ネットワークソリューションにおきましては、映像配信システム案件の減少、通信関連顧客や国、自治体等における設備投資予算の凍結や延期等により、減収減益となりました。
伝送・配信システムのビジネスにおいては、低軌道衛星分野での衛星通信データ受信アンテナ設備ビジネスに注力するとともに、デジタルビデオ配信分野でのSaaSビジネスを強化し、大型案件に依存しない体質に変革することが課題と捉えています。
FWA(固定無線アクセス)システムのビジネスにおいては、民間大手ゼネコン向け無人化施工システムや鉄道向けIoT無線インフラの拡販など、当社独自のソリューションで高収益化の実現を目指すことが重要だと考えます。
電子部品及び機器
電子部品及び機器におきましては、産業用ロボティクス、半導体製造装置市場向けの位置制御用LED製品が減少、また、前期は連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおいて防衛省向け航空機部材の大型案件があったため、当期は減収減益となりました。
電子部品および材料のビジネスにおいては、長期化するコロナ禍の影響で非接触カードの需要が増え、導電性接着剤が順調に推移いたしました。今後は、Afterコロナを見据えて、新たな市場開拓と商材の拡大に注力することが重要と考えます。
中国・香港でのビジネスにおいては、当社の販売子会社リケイ・コーポレーション(H.K.)リミテッドを通じて主に日本からの電子部品の輸入販売事業を行っておりましたが、基盤事業である香港エレクトロニクス産業の低迷に伴い、収益環境につき先行き不透明な状況が続いておりました。加えて、コロナ禍における様々な制約等により、今後につきましても業績の回復が困難であると見込まれるため、同社を解散し清算することにいたしました。
一方、新規事業では、光ファイバー関連ビジネスの受託生産の拠点として千歳・恵庭営業所を開設いたしました。特殊光ファイバー加工などフォトニクス系ビジネスに取り組み、成長分野の事業拡大を目指します。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。
a.契約債務
2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(千円)
契約債務
合計
1年以内
1年超3年以内
3年超5年以内
5年超
短期借入金
530,000
530,000
-
-
-
長期借入金
169,580
40,560
81,120
47,900
-
リース債務
27,461
7,765
15,530
4,166
-
b.財政政策
当社グループの資金需要は、主に運転資金需要です。
運転資金需要のうち主なものは、当社グループにおいて商品の仕入の他、販売費及び一般管理費の営業費用に係るものです。商品の仕入については、当社グループは主に顧客からの受注後、個々の商品を発注する受注販売を原則としておりますので、顧客よりの債権の回収と仕入先への支払の時期の差や、個々の受注取引の額の大きさ、取引の集中度により資金需要の時期、量に変動が生じております。また、連結子会社である株式会社エアロパートナーズの主要仕入先は海外仕入先であり、支払が先行する場合が多く、資金需要を増加させる要因となっています。
当社グループは、堅固なバランスシートの維持、事業活動のための適切な流動性資産の維持と資金調達の安定性を財務方針とし、主たる資金需要である運転資金については、内部資金を活用しておりますとともに、増加運転資金の安定かつ効率的な調達を行うため、提出会社におきまして金融機関との間に当座貸越契約及び貸出コミットメント契約10億円を締結しております(借入未実行残高10億円)。また、グループ会社の資金需要については提出会社からの資金の貸出とグループ会社が独自に銀行借入を併用しております。そのために運転資金需要が減少した際には手持ち流動性が増加する場合がありますが、流動性資産の維持・安全性を優先しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。