【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
1) 経営成績の状況
当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の段階的な緩和が進んだことにより経済・社会活動が正常化に向かい、景気は持ち直しの傾向が続きました。
しかしながら、原料穀物相場は、2022年度前半の急騰、その後の激しい値動きの状況からは徐々に落ち着きを取り戻しているものの、依然として高値圏で推移しております。またウクライナ情勢の長期化に加え、為替相場の急激な変動やエネルギーコストの上昇など、経営環境は厳しい状況が続きました。
このような状況の中、当社は創立90周年を迎える2025年度のありたい姿(長期ビジョン)「SHOWA Next Stage for 2025」の実現に向けた2nd Stage「中期経営計画20-22」の最終年度を迎え、5つの基本戦略「①基盤事業の強化」「②事業領域の拡大」「③社会的課題解決への貢献」「④プラットフォームの再構築」「⑤ステークホルダーエンゲージメントの強化」の各施策を着実に推進してまいりました。
当連結会計年度では、「①基盤事業の強化」において、プレミックス事業を発展・進化させるための基幹工場として船橋工場内に「船橋プレミックス第2工場」を新設し、昨年6月より操業を開始いたしました。また、昨年8月には油脂食品・糖質事業において、より一層の製品供給の安定化、コスト低減、付加価値向上を目的に、辻製油株式会社と業務提携を発表し、両社の持つ経営資源を有効活用することで、競争力を強化してまいりました。
「③社会的課題解決への貢献」では、「昭和産業グループ 環境目標」を設定いたしました。CO2排出量46%以上削減(グループ全体2030年度目標、対2013年度)、食品ロス30%以上削減(昭和産業および食品ロス発生量が100t/年以上のグループ会社6社2025年度目標、対2018年度)、水使用量原単位12%以上削減(グループ全体2030年度目標、対2019年度)の実現を目指してまいりました。
当連結会計年度の経営成績は、連結売上高が335,053百万円と前年同期に比べ47,418百万円(16.5%)の増収となりました。営業利益は4,184百万円と前年同期に比べ1,380百万円(24.8%)の減益、経常利益は6,525百万円と前年同期に比べ50百万円(0.8%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は7,776百万円と前年同期に比べ3,769百万円(94.1%)の増益となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
<製粉事業>
製粉事業は、行動制限の緩和から外食や土産品などの需要が回復基調となった一方で、コンビニエンスストア向けの日配品等において厳しい状況が続きました。マーケット分析力を生かし、ターゲット業態別での提案型営業の強化を行ったことにより、業務用小麦粉の販売数量については、前年同期を上回りました。業務用プレミックスの販売数量については、惣菜、デザート等中食市場への取り組みを強化してまいりましたが、前年同期を下回りました。ふすまの販売数量については、前年同期を上回りました。販売価格については、輸入小麦の政府売渡価格が昨年4月に平均17.3%(税込価格)引き上げられたことを受け、小麦粉製品の価格改定を実施いたしました。なお、昨年10月には輸入小麦の政府売渡価格は緊急措置として昨年4月の政府売渡価格が適用された(実質、据え置き)ことにより、小麦粉製品価格を据え置きといたしました。
営業利益については、業務用小麦粉の販売数量増加や焼成パン事業の収益改善などにより前年同期を上回りました。
これらの結果、製粉事業の売上高は87,373百万円と前年同期に比べ9,219百万円(11.8%)の増収、営業利益は3,840百万円と前年同期に比べ285百万円(8.0%)の増益となりました。
<油脂食品事業>
油脂食品事業は、原料穀物相場が依然として高値圏で推移したことに加え、LNGをはじめとするエネルギーコストの上昇や、依然円安水準である為替相場の影響を受け、大変厳しい状況が続きました。製造コストの上昇に伴い、油脂製品については一昨年から本年にかけて7度にわたる価格改定を発表し、販売価格の改定を最優先に取り組んでまいりました。
業務用については、油脂とプレミックス、パスタのシナジー効果を生かし、提案型の営業活動を強化してまいりました。製粉・糖質事業等との連携に加え、グループ会社であるボーソー油脂株式会社との共同提案等による新たな販路開拓に取り組みました。しかしながら、業務用油脂の販売数量については、製品価格の大幅な上昇に伴う需要減退等により、前年同期を下回りました。一方、業務用食材の販売数量は、主要販売先である外食向けの売り上げが回復したこと等により、前年同期を上回りました。
家庭用では、内食需要を喚起するために食用油とプレミックス、パスタとを関連させた販売の強化に取り組んでまいりました。家庭用食用油、小麦粉、プレミックス、パスタについては適正価格での販売を優先したため、販売数量は前年同期を下回りました。
これらの結果、油脂食品事業の売上高は119,926百万円と前年同期に比べ19,500百万円(19.4%)の増収、営業利益は1,064百万円と前年同期に比べ44百万円(4.4%)の増益となりました。
<糖質事業>
糖質事業は、行動制限の緩和による経済活動の回復や夏場の記録的猛暑の影響等により、飲料等の業態において需要の増加が見られた一方、原料穀物相場が依然として高値圏で推移したことに加え、エネルギーコストの更なる上昇により、引き続き大変厳しい状況が続きました。製造コストの上昇に伴い、昨年は複数回にわたる価格改定を発表し、適正価格での販売に取り組むとともに、当社子会社である敷島スターチ株式会社やサンエイ糖化株式会社との連携を図り、提案型営業の強化による低分解水あめ、粉あめなどの独自性のある商品群の拡販に努めてまいりました。糖化品の販売数量については、飲料用途等の需要が増加し前年同期を上回りました。コーンスターチおよび加工でん粉の販売数量については、工業用途等の需要が減少し前年同期を下回りました。
営業利益については、適正価格での販売に努めてまいりましたが、原料穀物相場の高騰や円安ドル高進行、エネルギーコスト上昇等、急激な製造コストの上昇を吸収することができず前年同期を大幅に下回りました。
これらの結果、糖質事業の売上高は63,253百万円と前年同期に比べ11,904百万円(23.2%)の増収、営業損失は1,012百万円と前年同期に比べ1,563百万円の減益となりました。
<飼料事業>
飼料事業は、顧客のニーズに対する提案型営業や畜産物の販売支援による畜産生産者との取り組み強化、高付加価値商材の拡販に努めてまいりました。昨年10月に感染が確認された鳥インフルエンザの感染拡大が配合飼料の販売に影響を及ぼし、配合飼料の販売数量については、前年同期を下回りました。鶏卵の販売数量については、前年同期を上回りました。売上高は、配合飼料の価格改定により前年同期を上回りました。また、配合飼料価格安定基金の負担増により販売費及び一般管理費が増加となりました。
これらの結果、飼料事業の売上高は59,426百万円と前年同期に比べ6,607百万円(12.5%)の増収、営業利益は382百万円と前年同期に比べ102百万円(21.1%)の減益となりました。
<その他>
倉庫業は、貨物獲得競争が激化する中、商社や主要顧客との取り組みを強化し荷役量の増加に努めたことにより、貨物取扱量は前年同期を上回りました。
これらの結果、不動産業、保険代理業、自動車等リース業、運輸業、植物工場等もあわせたその他の売上高は5,072百万円と前年同期に比べ186百万円(3.8%)の増収、営業利益は1,500百万円と前年同期に比べ42百万円(2.8%)の減益となりました。
2) 財政状態の状況
総資産は、247,770百万円と前連結会計年度に比べ16,463百万円増加しております。主な増加要因は、棚卸資産が12,019百万円増加したこと、売上債権が5,805百万円増加したことであります。
負債は、131,407百万円と前連結会計年度に比べ9,190百万円増加しております。主な増加要因は、有利子負債が8,515百万円増加したこと、未払法人税等が1,441百万円増加したことであります。一方、主な減少要因は、設備関係債務が1,168百万円減少したことであります。
純資産は、116,362百万円と前連結会計年度に比べ7,272百万円増加しております。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益7,776百万円の計上により増加したこと、その他有価証券評価差額金が1,255百万円増加したことであります。一方、主な減少要因は、配当金の支払による2,006百万円の減少であります。
これらの結果、自己資本比率は45.7%から45.6%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益10,908百万円及び減価償却費9,906百万円等による資金の増加がありましたが、法人税等の支払1,637百万円、売上債権の増加、棚卸資産の増加及び仕入債務の減少等があった結果、合計では2,930百万円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得9,899百万円及び投資有価証券の取得による支出1,260百万円等で資金を使用した一方、有形固定資産の売却6,151百万円等があった結果、合計では6,155百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ5,574百万円(47.5%)支出が減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払2,006百万円及び長期借入金の返済803百万円等がありましたが、コマーシャル・ペーパーの発行11,000百万円等により6,136百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ2,268百万円(26.7%)収入が減少しました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は6,221百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,949百万円(32.2%)の減少となりました。
③生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
製粉事業
81,001
15.3%
油脂食品事業
92,840
25.2%
糖質事業
55,798
29.2%
飼料事業
37,650
11.3%
その他
167
△8.5%
合計
267,458
20.7%
(注)1 金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2 当該内容は、製品ベースの生産実績によっております。
2) 受注実績
当社グループは、受注生産を行っておりません。
3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
製粉事業
87,373
11.8%
油脂食品事業
119,926
19.4%
糖質事業
63,253
23.2%
飼料事業
59,426
12.5%
その他
5,072
3.8%
合計
335,053
16.5%
(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 総販売実績に対する主要な取引先の販売実績の割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表等は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。この連結財務諸表等の作成にあたっては、期末日における資産および負債、会計期間における収益および費用に影響を与えるような仮定や見積りを必要とします。過去の経験および状況下において妥当と考えられた見積りであっても、仮定あるいは条件の変化等の不確実性により、実際の結果と異なる場合があります。
また、連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当社グループはこの仮定のもと、会計上の見積り(固定資産の減損、棚卸資産の評価、繰延税金資産の見積り等の検討)を行っておりますが、翌連結会計年度の経営成績および財政状態に与える影響については、現時点において重要な影響はありません。
②財政状態及び経営成績の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性の分析
1) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
2) 財務政策 当社グループは、経済環境や金利動向を考慮しながら、「金利優位性の高い資金を、必要な金額だけ、安定的に調達すること」を基本方針とし、事業運営上必要な資金の確保及び経済環境の急激な変化に耐えうる流動性の維持に努めております。 当連結会計年度末における自己資本比率は45.6%ですが、この水準を維持するとともに、㈱日本格付研究所における格付(A-、安定的)の維持、向上を目指してまいります。
3) 資金需要 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための原材料の購入等の製造費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び発送配達費です。 投資資金需要のうち主なものは、製造工場の設備新設、維持、更新等、基盤事業における生産効率向上のための設備投資です。 また、長期ビジョン実現のための資金需要として、将来の企業価値の源泉となる投資については、財務健全性の維持と資本効率性の向上を考慮しながら積極的且つ継続的に実施していく方針です。
4) 資金調達 当社グループの調達手段として、長期運転資金及び設備投資資金については、原則営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入を基本とし、必要に応じて社債等による資金調達も実施してまいります。短期資金調達については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー、コマーシャル・ペーパーの発行及び金融機関からの短期借入を基本としております。 また、当社グループは、当社及び国内連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金を一元管理しております。グループ内の余剰資金を集中、配分することで、コスト低減に努めつつ資金の流動性確保、資金効率の向上及び金融負債の極小化を図っております。さらに、緊急時の流動性確保への備えとして、複数年のコミットメントライン契約を締結しております。