【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大があったものの、個人消費が底堅く推移したことや、出入国規制の緩和によるインバウンド需要の回復もあり、景気は緩やかな持ち直しの傾向が続きました。
しかしながら、原料穀物相場は、今年度前半の急騰、高値推移、その後の激しい値動きの状況からは徐々に落ち着きを取り戻しているものの、依然として歴史的高値で推移しております。為替については、昨年10月に1ドル150円を付けた円安からピークアウトしたものの、依然円安水準が続き、また、LNG価格の高騰を受けた都市ガス単価が11月に最高値となるなど、エネルギーコストが更に上昇し、経営環境は引き続き厳しい状況が続いております。
このような状況の中、当社は創立90周年を迎える2025年度のありたい姿(長期ビジョン)「SHOWA Next Stage for 2025」の実現に向けた2nd Stage「中期経営計画20-22」の最終年度を迎えました。5つの基本戦略「①基盤事業の強化」「②事業領域の拡大」「③社会的課題解決への貢献」「④プラットフォームの再構築」「⑤ステークホルダーエンゲージメントの強化」の各施策の推進に努めております。
当第3四半期連結累計期間では、「①基盤事業の強化」において、プレミックス事業を発展・進化させるための基幹工場として船橋工場内に「船橋プレミックス第2工場」を新設し、6月より操業を開始いたしました。また、8月には油脂食品・糖質事業において、より一層の製品供給の安定化、コスト低減、付加価値向上を目的に、辻製油株式会社と業務提携を発表いたしました。両社の持つ経営資源を有効活用することで、更なる競争力強化を目指してまいります。
「③社会的課題解決への貢献」では、「昭和産業グループ 環境目標」を新たに設定いたしました。CO2排出量46%以上削減(グループ全体2030年度目標、対2013年度)、食品ロス発生量30%以上削減(昭和産業及び食品ロス発生量が年間100t以上のグループ会社6社2025年度目標、対2018年度)、水使用量原単位12%以上削減(グループ全体2030年度目標、対2019年度)の実現を目指してまいります。
当第3四半期連結累計期間の経営成績は、連結売上高が253,146百万円と前年同期に比べ37,890百万円(17.6%)の増収となりました。営業利益は4,562百万円と前年同期に比べ144百万円(3.3%)の増益、経常利益は6,574百万円と前年同期に比べ1,265百万円(23.8%)の増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,043百万円と前年同期に比べ761百万円(23.2%)の増益となりました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
<製粉事業>
製粉事業は、行動制限の緩和から外食や土産品などの需要が回復基調となった一方で、コンビニエンスストア向けの日配品等において厳しい状況が継続しております。マーケット分析力を生かし、ターゲット業態別での提案型営業の強化を行ったことにより、業務用小麦粉の販売数量については、前年同期を上回りました。業務用プレミックスの販売数量については、惣菜、デザート等中食市場への取り組みを強化してまいりましたが、前年同期を下回りました。ふすまの販売数量については、前年同期を上回りました。販売価格については、輸入小麦の政府売渡価格が昨年4月に平均17.3%(税込価格)引き上げられたことを受け、小麦粉製品の価格改定を実施いたしました。なお、昨年10月には輸入小麦の政府売渡価格は緊急措置として昨年4月の政府売渡価格が適用された(実質、据え置き)ことにより、小麦粉製品価格を据え置きといたしました。
営業利益については、業務用小麦粉の販売数量増加や焼成パン事業の収益改善などにより前年同期を大幅に上回りました。
これらの結果、製粉事業の売上高は65,997百万円と前年同期に比べ7,183百万円(12.2%)の増収、営業利益は3,482百万円と前年同期に比べ1,055百万円(43.5%)の増益となりました。
<油脂食品事業>
油脂食品事業は、原料穀物相場が依然として歴史的高値で推移していることに加え、LNGをはじめとするエネルギーコストの上昇や、依然円安水準である為替相場の影響を受け、大変厳しい状況が続いております。製造コストの上昇に伴い、油脂製品については一昨年3月、6月、8月、11月、昨年3月、7月の6度にわたる価格改定を発表し、販売価格の改定を最優先に取り組んでまいりました。
業務用については、油脂とプレミックス、パスタのシナジー効果を生かし、提案型の営業活動を強化してまいりました。製粉・糖質事業等との連携に加え、グループ会社であるボーソー油脂株式会社との共同提案等による新たな販路開拓に取り組みました。しかしながら、業務用油脂の販売数量については、製品価格の大幅な上昇に伴う需要減退等により、前年同期を下回りました。一方、業務用食材の販売数量は、主要販売先である外食向けの売り上げが回復したこと等により、前年同期を上回りました。
家庭用では、内食需要を喚起するために食用油とプレミックス、パスタとを関連させた販売の強化に取り組んでまいりました。家庭用食用油、小麦粉、プレミックス、パスタについては適正価格での販売を優先したため、販売数量は前年同期を下回りました。
これらの結果、油脂食品事業の売上高は91,057百万円と前年同期に比べ15,969百万円(21.3%)の増収、営業利益は1,502百万円と前年同期に比べ842百万円(127.7%)の増益となりました。
<糖質事業>
糖質事業は、行動制限の緩和による経済活動の回復や夏場の記録的猛暑の影響等により、飲料等の業態において需要の増加が見られた一方、原料穀物相場が依然として歴史的高値で推移していることに加え、エネルギーコストの更なる上昇により、引き続き大変厳しい状況が続いております。製造コストの上昇に伴い、昨年は複数回にわたる価格改定を発表し、適正価格での販売に取り組むとともに、当社子会社である敷島スターチ株式会社やサンエイ糖化株式会社との連携を図り、提案型営業の強化による低分解水あめ、粉あめなどの独自性のある商品群の拡販に努めてまいりました。糖化品の販売数量については、飲料用途等の需要が増加し前年同期を上回りました。コーンスターチの販売数量については、ビール用途等の需要が増加し前年同期を上回りました。加工でん粉の販売数量については、工業用途の需要が減少したことから前年同期を下回りました。
営業利益については、適正価格での販売に努めてまいりましたが、原料穀物相場の高騰や円安ドル高進行、エネルギーコスト上昇等、急激な製造コストの上昇を吸収することができず前年同期を大幅に下回りました。
これらの結果、糖質事業の売上高は47,116百万円と前年同期に比べ8,916百万円(23.3%)の増収、営業損失は754百万円と前年同期に比べ1,580百万円の減益となりました。
<飼料事業>
飼料事業は、顧客のニーズに対する提案型営業や畜産物の販売支援による畜産生産者との取り組み強化、高付加価値商材の拡販に努めてまいりました。配合飼料の販売数量については、前年同期を下回りました。鶏卵の販売数量については、前年同期を上回りました。10月に感染が確認された鳥インフルエンザはかつてない規模で広がっており、今後、配合飼料の販売や鶏卵の生産に影響を与えることが懸念されます。売上高は、配合飼料の価格改定により前年同期を上回りましたが、値上げ幅を上回る原料穀物相場の高騰により売上原価が上昇しました。また、配合飼料価格安定基金の負担増により販売費及び一般管理費が増加となりました。
これらの結果、飼料事業の売上高は45,191百万円と前年同期に比べ5,612百万円(14.2%)の増収、営業利益は323百万円と前年同期に比べ201百万円(38.4%)の減益となりました。
<その他>
倉庫業は、貨物獲得競争が激化する中、商社や主要顧客との取り組みを強化し荷役量の増加に努めたことにより、貨物取扱量は前年同期を上回りました。
不動産業、保険代理業、自動車等リース業、運輸業、植物工場等もあわせたその他の売上高は3,783百万円と前年同期に比べ208百万円(5.8%)の増収、営業利益は1,176百万円と前年同期に比べ2百万円(0.2%)の増益となりました。
(2)財政状態の分析
総資産は、259,591百万円と前連結会計年度末と比較して28,284百万円増加しております。主な増加要因は、売上債権が15,084百万円増加したこと、棚卸資産が12,125百万円増加したことであります。
負債は、147,356百万円と前連結会計年度末と比較して25,140百万円増加しております。主な増加要因は、有利子負債が25,779百万円増加したことであります。
純資産は、112,234百万円と前連結会計年度末と比較して3,144百万円増加しております。主な増加要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益4,043百万円の計上により増加したこと、その他有価証券評価差額金が1,065百万円増加したことであります。一方、主な減少要因は、配当金の支払による2,006百万円の減少であります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当第3四半期連結累計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2,018百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった設備計画のうち、当第3四半期連結累計期間に完了したものは次のとおりであります。
会社名
事業所名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
設備投資総額
(当期計上額)
完了年月
当社
船橋工場
千葉県船橋市
製粉事業
油脂食品事業
二次加工
食品製造設備
百万円
6,193
(6,193)
2022年6月
~2022年10月
注)上記の設備による製品の生産については、2022年6月より開始しております。