【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績①営業の全般的状況 当期における経済情勢は、新型コロナウイルス感染症対策が緩和される一方、中国でのロックダウンやウクライナ情勢の長期化により、サプライチェーンの混乱やエネルギー価格の高騰など先行きに不透明感が増しました。また、米国では景気は回復基調が続きましたが、インフレ抑制のための金融引き締めが行われ、欧州では高インフレが続き、欧米の景気回復のペースは鈍化しました。中国ではゼロコロナ政策の影響や不動産市場の停滞で景気は減速しました。日本では資源価格の上昇と円安による物価高の影響はあったものの、行動制限の緩和を受け個人消費は持ち直しの動きがみられました。 当社の主力製品である電子写真用キャリアの需要は、経済活動やオフィス稼働率の回復はあったものの、半導体等の不足や物流の混乱の影響もあり、前期並みとなりました。 食品の品質保持に使用される脱酸素剤の需要は、行動制限の緩和を受け、前期を上回りました。 この様な市場環境下、当期の連結売上高は鉄粉関連製品の販売終了はあったものの、8,834百万円(前期比0.03%減)となりました。 損益面におきましては、エネルギーおよび原材料価格の値上がりと減価償却費の増加により、連結営業利益は700百万円(前期比37.2%減)となり、営業外損益を加えた連結経常利益は741百万円(前期比34.7%減)となりました。 特別損益では、利益として鉄粉販売先の紹介手数料40百万円、損失として固定資産処分損49百万円を計上いたしました。 この結果、連結税金等調整前当期純利益は731百万円(前期比33.7%減)となり、法人税、住民税及び事業税、ならびに法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は544百万円(前期比33.5%減)となりました。
②セグメントごとの状況 機能性材料事業 当セグメントにおきましては、電子写真用キャリアの需要は前期並みでしたが、エネルギーおよび原材料価格の値上がりによる販売価格の適正化を進めた結果、売上高は7,456百万円(前期比1.3%増)となりました。セグメント利益は、主にエネルギーおよび原材料価格の上昇に対し販売価格の適正化が遅れたことと減価償却費の増加により1,034百万円(前期比28.4%減)となりました。
鉄粉事業 当セグメントにおきましては、脱酸素剤関連製品は増販となりましたが、鉄粉関連製品の販売を、2022年9月末をもって終了したため、売上高は1,378百万円(前期比6.8%減)となりました。セグメント利益は、原材料価格の値上がりを増販益と販売価格の適正化により相殺し113百万円(前期比0.7%減)となりました。 なお、当セグメントの名称を2023年4月1日より「品質保持剤事業」に変更いたしました。
③経営成績の分析当連結会計年度は、年度当初においては新型コロナウイルス感染症に対する各国での対策と行動制限の緩和や廃止により経済活動の正常化が進む一方、ウクライナ危機の長期化や中国のゼロコロナ政策による、サプライチェーンの混乱やインフレおよび金利の上昇などで景気が下振れする可能性があることを前提に業績予想を発表いたしました。経営成績としましては、主力の電子写真用キャリアは、中国でのロックダウンの影響や半導体不足による複合機等の生産抑制で当初予想した売上高を下回りました。また、新規機能性材料は、世界的なIT関連の景気減速の影響を受け、本格的な量産移行が遅れました。脱酸素剤関連製品は、新型コロナ禍が長引き、需要の回復が遅れました。損益としましては、エネルギーおよび原材料価格の上昇が想定を上回り、販売価格の適正化を進めましたが、当初予想した経常利益を下回りました。その結果、通期の業績としましては、売上高は当初予想の9,510百万円に対し7.1%減の8,834百万円となり、経常利益は当初予想の1,000百万円に対し25.9%減の741百万円となりました。前連結会計年度と比較しますと、鉄粉関連製品の販売終了はあったものの、全体の売上高は前年度並みとなりました。損益面では、エネルギーおよび原材料価格の値上がりと減価償却費の増加により、営業利益は37.2%減、経常利益は34.7%減、税金等調整前当期純利益は33.7%減、当期純利益は33.5%減となりました。
④生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
機能性材料事業
7,689,119
5.2
鉄粉事業
1,316,424
△8.8
合計
9,005,543
2.9
(注) 1.金額は販売価格(消費税等抜き)によっております。
(b) 受注状況当社グループの主要製品については、見込み生産が主で受注生産はほとんど行っておりません。
(c) 販売実績
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
機能性材料事業
7,456,073
1.3
鉄粉事業
1,378,200
△6.8
合計
8,834,274
△0.0
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
富士フイルムマニュファクチャリング㈱
1,369,199
15.5
1,384,372
15.7
㈱コニカミノルタサプライズ
1,003,138
11.4
1,220,855
13.8
京セラドキュメントソリューションズ㈱
1,327,157
15.0
1,207,897
13.7
㈱リコー
1,143,941
12.9
1,102,437
12.5
上野キヤノンマテリアル㈱
987,485
11.2
1,093,418
12.4
(2) 財政状態当期末は前期末に比べて、流動資産は預け金が減少したことにより、452百万円減少いたしました。固定資産は有形固定資産の減価償却発生金額が設備投資金額を上回ったことなどにより、237百万円減少いたしました。以上により、総資産は689百万円減少いたしました。負債は未払金及び未払法人税等が減少しましたので、1,013百万円減少いたしました。純資産は主に利益剰余金の増加により、324百万円増加いたしました。自己資本比率は、負債の減少により85.8%と前期末比5.9%増加いたしました。
(3)キャッシュ・フロー
前連結会計年度(自 2021年4月1日至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
1,992百万円
648百万円
△1,344百万円
投資活動によるキャッシュ・フロー
△1,035百万円
△1,262百万円
△227百万円
財務活動によるキャッシュ・フロー
△234百万円
△234百万円
△0百万円
現金及び現金同等物の期末残高
3,988百万円
3,150百万円
△838百万円
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が1,344百万円減少し、648百万円の収入となりました。主に税金等調整前当期純利益の減少、棚卸資産の増加、法人税等の支払が増加したことによります。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が227百万円増加し、1,262百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出が増加したことによります。財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度並みの234百万円の支出となりました。以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ838百万円減少し3,150百万円となりました。
また、当社は流動性をさらに確保するため、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結し、全額未使用のまま10億円の融資枠を維持しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準により作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。当社の連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び新型コロナウイルス感染症の影響を含む重要な会計上の見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。上記のような仮定を考慮して見積り及び予測を行っておりますが、現時点で全ての影響について合理的に見積り及び予測を行うことは困難であり、また、収束時期等によっても変動する可能性があります。