【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結会計期間の財政状態及び当第1四半期連結累計期間の経営成績は次のとおりであります。
a. 財政状態
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は前連結会計年度末と比較して75億48百万円(5.8%)減少して、1,219億14百万円となりました。これは主に商権移管による売上高の減少に伴い、受取手形、売掛金及び契約資産が88億2百万円減少したためであります。
固定資産につきましては、前連結会計年度末と比較して8億50百万円(5.2%)増加し、172億87百万円となりました。これは主に保有株式の株価の上昇により、投資有価証券が6億79百万円増加したためであります。
以上のことから、当第1四半期連結会計期間末における資産の部全体としては、前連結会計年度末と比較して66億98百万円(4.6%)減少し、1,392億1百万円となりました。
負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末と比較して44億92百万円(6.6%)減少して、632億81百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が13億95百万円増加したものの、売上債権の減少に伴う運転資本の減少により借入金の返済が進み、短期借入金が55億円減少したためであります。
固定負債は前連結会計年度末と比較して11億13百万円(7.8%)減少して、131億49百万円となりました。これは主に長期借入金が15億25百万円減少したためであります。
以上のことから、当第1四半期連結会計期間末における負債の部全体としては、前連結会計年度末と比較して56億6百万円(6.8%)減少し、764億30百万円となりました。
また、純資産は、前連結会計年度末と比較して10億92百万円(1.7%)減少し、627億70百万円となりました。これは主に為替の変動により為替換算調整勘定が12億37百万円、保有株式の時価の上昇によりその他有価証券評価差額金が4億72百万円増加した一方で、期末配当金の支払い等により利益剰余金が29億93百万円減少したためであります。
b. 経営成績
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、各国において行動制限の緩和が継続しましたが、ロシアによるウクライナ侵攻から来る不確実性の高まりやインフレの進行、各国の金融引締めの加速など、世界経済は停滞感が続いております。
我が国の経済については、米中間での貿易摩擦激化による地政学上の緊張や物価高など負の側面があるものの、経済活動の再開に伴う個人消費の回復や訪日外国人旅行者数の増加によるインバウンド需要など、景気回復の期待感が続いております。
当社グループが主力事業を展開するエレクトロニクス業界においては、スマートフォン・PC・民生等は需要低迷に顧客の在庫調整が加わり回復力がやや弱い一方、EV関連のパワーデバイスやカーボンニュートラルなどのグリーン関連事業は今後の市場拡大も期待されており、積極的な投資が継続しております。また生成AI分野に関する技術の進歩が続いており、これらの用途に対する新たな需要及び成長期待も高まっております。
このような状況のもと、当社グループの電子部品事業においては、車載関連用途のICは一部の製品で引き続き納期問題が継続しておりますが、供給は回復傾向となっており販売数も増加しております。一方で民生機器をはじめとする他の分野では顧客の在庫調整が進み、対前年同期比で減収となりました。
電子・電気機器事業においては、半導体製造関連の設備投資に慎重な姿勢が見え始め、プリント基板製造装置などの販売が減少し、対前年同期比で減収となりました。
工業薬品事業においては、中国の景気低迷により工業薬品・化粧品ともに需要が停滞気味となり、対前年同期比で減収となりました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は447億84百万円(前年同期比19.7%減)となりました。
損益面につきましては、当第1四半期連結累計期間の連結売上総利益は65億17百万円(同20.8%減)となり、連結販売費及び一般管理費として45億20百万円(同2.4%増)を計上した結果、連結営業利益は19億96百万円(同47.6%減)、連結経常利益は17億28百万円(同56.4%減)となり、特別損失として貸倒引当金繰入額1,165百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は6百万円(同99.8%減)となりました。
また、1株当たり四半期純利益は0円36銭となり、前年同四半期より145円90銭減少いたしました。
報告セグメント別の経営成績につきましては、次のとおりです。
[電子部品事業]
電子部品事業では、車載関連用途のICが引き続き堅調に推移しましたが、テレビ等の民生機器分野や産業機器分野を中心にコロナ禍の大幅な需要増の反動や中国の景気低迷等の影響を受けました。また、大手半導体メーカー製品の商流変更による減収及び前年度における連結売上総利益の押し上げ要因となった円安進行による為替影響も当第1四半期は軽微でありました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高359億8百万円(前年同期比22.8%減)となり、販売減少に伴う利益額の減少等の要因により、セグメント利益は14億78百万円(同45.2%減)となりました。
[電子・電気機器事業]
電子・電気機器事業では、真空関連機器は前年度の先行手配などの受注残を出荷できたことにより販売が増加しましたが、半導体製造関連の設備投資は顧客の在庫調整の影響もあり先送りの動きが見え始め、プリント基板製造装置の販売が減少しました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は56億97百万円(前年同期比4.2%減)となり、販売減少に伴う利益額の減少等の要因により、セグメント利益は4億7百万円(同49.6%減)となりました。
[工業薬品事業]
工業薬品事業では、石油精製・石油化学分野、紙・パルプ分野ともに供給過剰な状況が継続し、需給バランスの回復が遅れ、低稼働が続いております。また化粧品基剤においても中国を中心に需要が減少したことにより、対前年同期比で減収となりました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は30億40百万円(前年同期比3.8%減)となり、原材料費の高騰及び販売減少に伴う利益額の減少などにより、セグメント利益は1億84百万円(同46.9%減)となりました。
[その他の事業]
その他の事業では、当社の業務・物流管理全般の受託事業と太陽光発電事業を行っております。当第1四半期連結累計期間の売上高3億13百万円(前年同期比5.3%減)、セグメント利益は77百万円(同16.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における連結キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは120億54百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは2億4百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは99億14百万円の支出となったため、現金及び現金同等物は前連結会計年度末と比較して23億49百万円増加し、当第1四半期末は191億円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、業績動向に加えて、取引状況によって変動する売上債権、棚卸資産及び仕入債務等の運転資本にも影響を受けます。当第1四半期連結累計期間においては、棚卸資産の増加額23億59百万円等の減少要因がありましたが、売上債権の減少額121億61百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは120億54百万円の収入となりました。なお、前年同四半期には売上債権の増加額49億41百万円等により、33億11百万円の支出となっておりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動として、主に新規事業に係る投資や工業薬品事業における製造及び研究設備の更新等の資本的支出を行っております。当第1四半期連結累計期間においては、有形固定資産の取得による支出1億39百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは2億4百万円の支出となりました。なお、前年同四半期には有形固定資産の取得による支出1億51百万円等により、1億49百万円の支出となっておりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動として、当社グループの営業活動に必要な資金は主に金融機関からの借入による調達を行っております。また、2021年4月より開始している中期経営計画「Change & Co-Create 2024」では、株主への還元方針として、配当と自己株式の取得による「総還元性向100%」を目標としております。当第1四半期連結累計期間においては、配当金の支払額28億32百万円、短期借入金の返済による支出(純)55億円、長期借入金の返済による支出15億25百万円等により、財務活動によるキャッシュ・フローは99億14百万円の支出となりました。なお、前年同四半期には、短期借入による収入(純)49億円等により、40億23百万円の収入となっておりました。
③半導体市況の当社グループへの影響
新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークや巣ごもり消費の拡大により、2020年度第4四半期(2021年1月~3月)から世界的な半導体不足が表面化しました。当第1四半期連結累計期間においては、車載用途については依然として供給不足が続いておりますが、PC、スマートフォン及び民生機器向けについては需要の減少により供給過剰状態になっていると見られます。
当社グループでは、最終製品の需要動向に注視しながら適正な在庫水準の維持に努めておりますが、半導体製品の取引価格やサプライチェーンにおける在庫水準の変動、及び顧客企業の生産計画の変更等、市場動向の変化が今後の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、89百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。