【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結会計期間の財政状態及び当第3四半期連結累計期間の経営成績は次のとおりであります。
a. 財政状態
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末と比較して194億30百万円(16.9%)増加し、1,341億円となりました。これは主に顧客の需要増加に伴う商品仕入の増加により、商品及び製品が135億95百万円増加したためであります。
固定資産につきましては、前連結会計年度末と比較して90百万円(0.5%)増加し、169億10百万円となりました。これは主に保有株式の株価上昇により、投資有価証券が1億12百万円増加したためであります。
以上のことから、当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比較して195億21百万円(14.8%)増加し、1,510億11百万円となりました。
負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末と比較して161億32百万円(29.1%)増加し、715億52百万円となりました。これは主に運転資本(商品仕入)の増加に伴い支払手形及び買掛金が9億92百万円、短期借入金が163億10百万円増加したためであります。
また、固定負債が前連結会計年度末と比較して17億67百万円(12.3%)増加し、161億69百万円となりました。これは主に運転資本の増加により長期借入金が18億23百万円増加したためであります。
以上のことから、当第3四半期連結会計期間末における負債の部全体では前連結会計年度末と比較して179億円(25.6%)増加し、877億21百万円となりました。
また、純資産は前連結会計年度末と比較して16億21百万円(2.6%)増加し、632億89百万円となりました。これは主に、利益剰余金が32億3百万円増加したためであります。
b. 経営成績
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策による行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化に向けた動きが活発化したものの、ウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰が続き、インフレリスクに対応する各国の金融政策の引き締めなど、先行き不透明な状況が続いております。
我が国の経済についても、新型コロナウイルス感染症の収束は見通せないものの、経済活動は徐々に回復しつつありますが、急激な為替の変動と資源価格の上昇や物価高、金融市場の動向など景気下振れリスクが懸念されており、不安定な状況が続いております。
当社グループが主力事業を展開するエレクトロニクス業界においては、電装化が進む自動車向け半導体電子部品の需要が引き続き堅調に推移し、製造業における生産活動や設備投資にも回復がみられ、無人化・省力化設備投資を中心とした産業機器分野における需要も高まっております。一方、スマホ・PC・タブレット端末等のモバイル分野および白物家電等の民生機器分野はコロナ禍における需要の一巡や中華圏の景気動向の影響もあり減少傾向にあります。
このような状況のもと、当社グループの電子部品事業においては、車載関連用途ICの販売が増加し、また産業機器関連等の部品販売も伸長したことにより、対前年同期比で増収となりました。
電子・電気機器事業においては、半導体製造関連の堅調な設備投資によりプリント基板製造装置や真空機器等が好調に推移し、対前年同期比で増収となりました。
工業薬品事業においては、プラント向け工業薬品の販売が減少したものの、化粧品基剤の販売増加により、対前年同期比で増収となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は1,750億39百万円(前年同期比25.5%増)となりました。
損益面につきましては、当第3四半期連結累計期間の連結売上総利益は249億55百万円(同40.8%増)となり、連結販売費及び一般管理費として139億72百万円(同20.8%増)を計上した結果、連結営業利益は109億82百万円(同78.3%増)、連結経常利益は106億19百万円(同72.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は74億70百万円(同75.9%増)となりました。
また、1株当たり四半期純利益は392円7銭となり、前年同四半期より181円2銭増加いたしました。
報告セグメント別の概況につきましては、以下のとおりです。
[電子部品事業]
電子部品事業では、半導体電子部品の供給不足は残るものの、車載関連用途のICは堅調に推移し販売は大きく伸長しました。また、無人化・省力化設備投資の拡大や複合機需要の増加等により、産業機器分野やOA機器分野の販売も増加いたしました。PC・タブレット端末等のモバイル関連やテレビ・白物家電等の民生機器関連については、全般的な需要は減少傾向にあるものの、供給制限緩和の影響等により前年同期比では伸長いたしました。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は1,474億92百万円(前年同期比28.8%増)となり、販売増加に伴う利益額の増加や半導体デバイス事業を中心とする為替の影響による外貨建て輸出取引の収益改善等の要因により、セグメント利益は86億30百万円(同184.4%増)と大幅な増加となりました。
[電子・電気機器事業]
電子・電気機器事業においては、引き続き活発な半導体関連の設備投資によりプリント基板製造装置や真空機器の販売が堅調に推移しました。工場内の環境モニタリング設備等に関連する機器の需要が好調に推移しております。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は176億89百万円(前年同期比16.4%増)となりましたが、次世代装置の開発費用の増加等により、セグメント利益は17億28百万円(同2.3%減)となりました。
[工業薬品事業]
工業薬品事業では、主に国内外の石油化学プラントの稼働低下により工程添加剤等の販売は減少しましたが、堅調に推移する化粧品基剤の販売が大きく伸長しました。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は94億79百万円(前年同期比1.1%増)となりましたが、急激な為替の変動と原材料費の高騰等による影響により、セグメント利益は9億7百万円(同25.4%減)となりました。
[その他の事業]
その他の事業では、当社の業務・物流管理全般の受託事業と太陽光発電事業を行っております。当第3四半期連結累計期間の売上高は9億35百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益は2億円(同1.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における連結キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは134億3百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローは3億98百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは116億8百万円の収入、現金及び現金同等物に係る換算差額が4億27百万円の増加となったため、現金及び現金同等物は前連結会計年度末と比較して17億65百万円減少し、当第3四半期末は168億54百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、業績動向に加えて、取引状況によって変動する売上債権、棚卸資産及び仕入債務等の運転資本にも影響を受けます。当第3四半期連結累計期間においては、税金等調整前四半期純利益106億14百万円等の収入要因がありましたが、売上債権の増加額40億36百万円、棚卸資産の増加額137億67百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは134億3百万円の支出となりました。なお、前年同四半期には、棚卸資産の増加額83億1百万円等により、16億69百万円の支出となっておりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動として、主に新規事業に係る投資や工業薬品事業における製造及び研究設備の更新等の資本的支出を行っております。当第3四半期連結累計期間においては、有形固定資産の取得による支出3億62百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは3億98百万円の支出となりました。なお、前年同四半期には有形固定資産の取得による支出3億77百万円等により、4億59百万円の支出となっておりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動として、当社グループの営業活動に必要な資金は主に金融機関からの借入による調達を行っております。また、2021年4月より開始している中期経営計画「Change & Co-Create 2024」では、株主への還元方針として、配当と自己株式の取得による「総還元性向100%」を目標としております。当第3四半期連結累計期間においては、自己株式の取得による支出24億62百万円、配当金の支払額41億5百万円等の支出要因がありましたが、短期借入れによる収入(純)149億円等の収入要因により、財務活動によるキャッシュ・フローは116億8百万円の収入となりました。なお、前年同四半期には短期借入金による収入(純)39億円等により、67百万円の収入となっておりました。
③半導体市況の当社グループへの影響
新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークや巣ごもり消費の拡大により、2020年度第4四半期(2021年1月~3月)から世界的な半導体不足が表面化しました。当第3四半期連結累計期間においては、車載用途や産業機器向けについては依然として供給不足が続いておりますが、PC、スマートフォン及び民生機器向けについては需要の減少により供給過剰状態になっていると見られます。
当社グループでは、最終製品の需要動向に注視しながら適正な在庫水準の維持に努めておりますが、半導体製品の取引価格やサプライチェーンにおける在庫水準の変動、及び顧客企業の生産計画の変更等、市場動向の変化が今後の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、161百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。