【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当期は当社主事業である「細胞バンク事業」における「さい帯血」保管サービス(市場シェア約99%)及び2021年4月より開始した日本初の「さい帯(へその緒)」保管サービス(同100%)それぞれの検体数増加及び2022年12月よりのサービス価格改定が寄与し、過去最高の売上高を計上いたしました。また、2021年3月12日付で厚生労働省(関東信越厚生局)より特定細胞加工物製造許可を取得し稼働させた横浜細胞処理センターの体制強化も順調に進んでおり、中期経営目標である年間約2万検体の処理能力の確保と運用力の強化に取り組んでおります。3年に亘り社会経済活動に多大な影響を与えた新型コロナウイルス感染症については、WHOが緊急事態の終了を宣言し日本国内でも5月8日から法律上の位置付けが変更された事により、当社の主要なマーケティングチャネルである医療機関でも正常化に向けた動きが加速しております。これにより当社の目指すデジタル(オンライン広告、SNS等)とリアル(産科施設内でのスピーチやPR等)のマーケティングの相乗効果が高まり、今後の業績拡大に大きく貢献する見込みです。また、コロナ禍中一時ストップしていた海外の企業との交流も再開しつつあり、今後アジアを中心とした海外展開にも再度チャレンジして参ります。「さい帯血」を用いた再生医療分野につきましては、国内では高知大学医学部附属病院小児科において脳性麻痺児に対する臨床研究が順調に進んでおります。また大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学教室を中心としたグループでは低酸素性虚血性脳症(HIE)児に対する臨床研究も引き続き進められております。米国においては、FDA認可のもとデューク大学で進められている脳性麻痺児等へのさい帯血投与プログラムへ、当社でさい帯血を保管されている方々が参加されるケースが増加しており、その結果も良好です。「さい帯」を用いた研究開発につきましては、大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学教室と設立した「運動器スポーツバイオメカニクス学講座」において、新たな半月板治療法の開発を推進しております。また、東京大学医科学研究所セルプロセッシング・輸血部及び東京大学医学部附属病院ティッシュ・エンジニアリング部との小児形態異常等の先天性疾患に対する治療法の開発も、引き続き推進しております。そして、当社における国内全出生数に対する細胞保管率を、中期(2028年3月期)経営目標である約3%(さい帯血保管数約2万検体、当期は約1%、7,564検体)から更に高めるため、幹細胞を用いた治療機会の拡大や細胞培養時の生産物(エクソソーム等)を利用する新事業も、来期のスタートに向け積極的に推進しております。これらの活動の結果、当事業年度における売上高は、過去最高の2,091,293千円(前年同期比17.4%増)、営業利益は297,560千円(同31.1%増)、経常利益300,365千円(同41.3%増)となりました。また、今後の更なる事業拡大フェーズにおける業務効率向上及びESGの観点(働く環境の充実)から、本年5月末に本社移転を実施しており、これに伴う固定資産の減損損失等の21,407千円を当期において特別損失に計上した結果、当期純利益は、198,032千円(同48.1%増)となっております。
総資産は5,811,615千円となり、前事業年度末に比べ596,012千円(同11.4%)増加いたしました。流動資産は4,545,462千円となり、前事業年度末に比べ367,116千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が187,297千円減少した一方で、売掛金が546,350千円増加したことによるものであります。固定資産は1,266,152千円となり、前事業年度末に比べ228,896千円増加いたしました。これは主に投資有価証券が138,201千円、投資その他の資産のその他に含まれる敷金及び保証金が39,717千円増加したことによるものであります。
負債は3,513,026千円となり、前事業年度末に比べ401,407千円(同12.9%)増加いたしました。流動負債は3,431,572千円となり、前事業年度末に比べ379,767千円増加いたしました。これは主に、前受金が349,926千円増加したことによるものであります。固定負債は81,454千円となり、前事業年度末に比べ21,640千円増加いたしました。 純資産は、2,298,588千円と前事業年度末と比べ194,604千円(同9.2%)増加しております。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が198,032千円増加したことによるものであります。 また、当社は、「細胞バンク事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末と比べ186,297千円(同5.3%)減少し、3,324,021千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、99,672千円(前事業年度は469,290千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益を278,957千円計上したこと及び保管検体数の増加に伴い前受金が349,926千円増加した一方、売上債権が546,350千円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、285,100千円(前事業年度は404,170千円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出143,010千円、有形固定資産の取得による支出56,056千円、敷金及び保証金の差入による支出47,940千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、869千円(前事業年度は644,373千円の獲得)となりました。これは、主にリース債務の返済による支出777千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績当社は、生産活動を行っておりませんので該当事項はありません。
b 受注実績当社は、受注生産を行っておりませんので該当事項はありません。
c 販売実績当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は「細胞バンク事業」の単一セグメントであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
細胞バンク事業
2,091,293
117.4
合計
2,091,293
117.4
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。2.販売実績の3つの構成の「技術料」、「保管料」、「その他」別の売上は次のとおりであります。
構成
販売高(千円)
前年同期比(%)
技術料
1,651,377
120.2
保管料
361,177
112.1
その他
78,740
92.1
合計
2,091,294
117.4
(注) 1.従前より「その他」に含まれていた、さい帯に係る技術料の重要性が増したため、当事業年度から「技術料」へ変更しており、前年同期比については、区分方法の変更に伴う組替後の数値により記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、これらについては、過去の実績や現在の状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。ただし、これらには見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。 なお、当社が財務諸表を作成するにあたり採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社の目標とする経営指標は、年間保管(売上)検体数と営業利益率であります。
経営成績の分析(売上高)当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ309,349千円増加の2,091,293千円(前事業年度比17.4%増)となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により活動が制限される状況下において、さい帯血採取協力産科施設で開催される母親学級の開催中止・開催自粛が継続されましたが、Web広告をはじめとするインターネットを通じたマーケティング活動(Web広告、SEO対策、SNSの3つの柱)を深耕し、更に産科施設へはパンフレットの配布等の協力を頂くなど、当社サービスの認知度向上に努め、「細胞バンク事業」の拡大に注力したこと、そして、2021年4月より「さい帯保管サービス」を開始した影響によるものであります。この結果、今期の売上検体数実績は、さい帯血7,564検体(同9.5%増)、さい帯検体2,907検体(同92.4%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べ84,764千円増加の755,450千円(同12.6%増)となりました。これは主に、さい帯血の分離処理検体数が増加したことによるものであります。この結果、当事業年度の売上総利益は、前事業年度に比べ224,585千円増加の1,335,843千円(同20.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ153,977千円増加の1,038,282千円(同17.4%増)となりました。これは主に、正社員の新規採用の増加等により人件費が67,648千円増加、Web施策により広告宣伝費が18,513千円増加したことによるものであります。この結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べ70,608千円増加の297,560千円(同31.1%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)当事業年度の営業外収益は、前事業年度に比べ1,577千円増加の2,804千円となりました。これは主に、投資有価証券の取得により受取利息が1,280千円増加したことによるものであります。また、当事業年度において営業外費用の発生はなく、前事業年度に比べ15,625千円減少となりました。これは主に、前事業年度において発生した株式交付費6,219千円、株式公開費用9,378千円が発生しなかったことによるものであります。この結果、経常利益は、前事業年度に比べ87,810千円増加の300,365千円(同41.3%増)となりました。
(特別損失、当期純利益)当事業年度の特別損失は本社移転費用の計上により21,407千円となりました。また、法人税等を80,924千円計上した結果、当期純利益は198,032千円(同48.1%増)となりました。
キャッシュ・フローの分析当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社の資本の財源及び資金の流動性については、営業活動により得られた資金を財源として運営しており、外部からの資金調達はありません。また、主な運転資金需要は、さい帯血の分離等に使用する材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用の支払いのほか、設備投資などであります。
財政状態の分析当事業年度末の総資産は前事業年度末に比べ596,012千円増加の5,811,615千円(前事業年度末比11.4%増)、負債は前事業年度末に比べ401,407千円増加の3,513,026千円(同12.9%増)、純資産は前事業年度末に比べ194,604千円増加の2,298,588千円(同9.2%増)となりました。主な増減要因は、次のとおりであります。
(流動資産)当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ367,116千円増加の4,545,462千円(同8.8%増)となりました。これは主に、投資有価証券の取得等により現金及び預金が187,297千円減少した一方、売上の増加に伴い売掛金が546,350千円増加したことによるものであります。
(固定資産)当事業年度末における固定資産は、前事業年度末に比べ228,896千円増加の1,266,152千円(同22.1%増)となりました。これは主に、債券の新規取得により投資有価証券が138,201千円、本社移転に伴い投資その他の資産のその他に含まれる敷金及び保証金が39,717千円増加したことによるものです。
(流動負債)当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べ379,767千円増加の3,431,572千円(同12.4%増)となりました。これは主に、新規契約者数の増加により前受金が349,926千円増加したことによるものであります。
(固定負債)当事業年度末における固定負債は、前事業年度末に比べ21,640千円増加の81,454千円となりました。これは主に、役員退職慰労引当金が12,293千円増加したことによるものであります。
(純資産)当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ194,604千円増加の2,298,588千円(同9.2%増)となりました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が198,032千円増加したことによるものであります。一方で、前受金が349,926千円増加した結果、当事業年度末における当社の経営指標である自己資本比率は、前事業年度末に比べて0.8ポイント減少し、39.55%となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。
④経営者の問題意識と今後の方針について経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
