【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況 当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に変更され、行動制限が緩和されたことにより、経済活動の正常化が進み、個人消費や設備投資に持ち直しが見られるなど、緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら世界経済においては、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や、原材料・エネルギー価格の高止まりによる世界的なインフレの進行、金融引き締め政策の継続による為替変動、中国における内外需低迷による景気減速など、依然として厳しい状況が続いており、わが国経済を取り巻く世界情勢は、予断を許さない状況が続いております。このような状況下、当社グループは、特殊精密機器事業において新規顧客の開拓等により、耐摩耗工具関連分野において堅調に推移したものの、中国経済停滞の影響を受け、主力製品である実装機用ノズルの受注が大きく落ち込むこととなりました。同様に化学繊維用紡糸ノズル事業においても、中国向け不織布関連ノズルの受注が低調に推移し、厳しい事業環境となりました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は1,191百万円(前年同期比34.6%減)、営業損失は200百万円(前年同期は43百万円の営業利益)、経常損失は205百万円(前年同期は88百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は265百万円(前年同期は35百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 特殊精密機器事業特殊精密機器事業については、耐摩耗工具関連分野における自動車部品メーカーへの販売拡大や、大手ベアリングメーカーとの新規取引の開始等の成果はあったものの、中国経済停滞の影響を受け、主力製品である実装機用ノズルの売上が大きく落ち込み、前年同期実績を上回ったものの厳しい事業環境が継続しております。これらの結果、売上高は413百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益は19百万円(前年同期は7百万円のセグメント損失)となりました。
② 化学繊維用紡糸ノズル事業化学繊維用紡糸ノズル事業については、風力発電用ブレード向け及び航空機向け炭素繊維用ノズルは、旺盛な需要により好調に推移いたしました。反面、炭素繊維以外の化学繊維用紡糸ノズルについては、中国経済停滞の影響によるノズル需要の減少や、日本国内市場におけるノズル需要の低迷により低調に推移いたしました。これらの結果、売上高は727百万円(前年同期比44.3%減)、セグメント損失は6百万円(前年同期は232百万円のセグメント利益)と、不織布製造装置の収益を計上した前年同期と比較すると大幅な減収減益となりました。
③ D―Next事業(旧電子材料スライス周辺事業)D-Next事業については、当社製の半導体・難削材向けダイヤモンドワイヤを正式採用する企業が着実に増えており、当第2四半期連結累計期間においては、販売拡大の期待値が高い大手顧客計4社に対し量産販売を行っております。また、ダイヤモンドワイヤ製造装置販売については、インド市場向けを中心に複数企業との商談を継続しております。これらの結果、売上高は47百万円(前年同期比13.3%減)、セグメント損失は145百万円(前年同期は116百万円のセグメント損失)と、中国向けダイヤモンドワイヤ製造装置販売の契約対価の一部を計上した前年同期と比較すると減収減益となりました。
④ マテリアルサイエンス事業新規事業として取り組んでいるナノサイズゼオライトについては、引き続き量産顧客獲得を目指したサンプルの提供と、展示会出展をはじめとする認知度向上に取り組んでおります。なお、前年においてはパイロットプラント立ち上げに係る山全社からの受託収入を計上したため、当期実績は前年同期を大幅に下回る結果となり、売上高は3百万円(前年同期比95.9%減)、セグメント損失は81百万円(前年同期は53百万円のセグメント損失)となりました。
(2) 財政状態の状況① 資産当社連結子会社の日本ノズル株式会社における新工場の建設及び大型メルトブローンノズル・ダイ製造設備に関する投資として、機械装置及び運搬具が1,203百万円増加、建物及び構築物が543百万円増加したこと等により、総資産は前連結会計年度末に比べ1,603百万円増加し6,292百万円となりました。
② 負債上記工場建設及び当該設備投資に係る資金として、短期借入金が1,200百万円増加、長期借入金が641百万円増加、1年以内返済予定の長期借入金が91百万円増加したこと等により、負債は前連結会計年度末に比べ1,874百万円増加し5,848百万円となりました。
③ 純資産利益剰余金が265百万円減少したこと等により、純資産は前連結会計年度末に比べ271百万円減少し443百万円となりました。この結果、自己資本比率は6.9%(前連結会計年度末は15.0%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ265百万円減少し、1,733百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における連結キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動によって支出された資金は、470百万円(前年同期は89百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前四半期純損失266百万円、未収消費税等の増加209百万円、棚卸資産の増加179百万円等の減少要因が、売上債権の減少85百万円、前渡金の減少43百万円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動によって支出された資金は、1,747百万円(前年同期は276百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,746百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動によって得られた資金は、1,943百万円(前年同期は79百万円の支出)となりました。これは、短期借入金の純増減額1,200百万円、長期借入れによる収入800百万円等の増加要因が、長期借入金の返済による支出66百万円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は109百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 重要な設備の新設等前連結会計年度末において計画中であった、当社連結子会社の日本ノズル株式会社における新工場の建設及び大型メルトブローンノズル・ダイ製造設備の新設等については、予定通り2023年6月に完了いたしました。