【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけの変更や行動制限の撤廃等に伴い、経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調となりました。しかしながら世界経済においては、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や、原材料・エネルギー価格の高騰に端を発したインフレの進行、世界的な金融引き締め政策の実施による為替変動などの影響により、依然として不透明な状況が続いており、わが国経済を取り巻く世界情勢は、予断を許さない状況が続いております。このような状況下、当社グループは、特殊精密機器事業において国内需要の回復により工作機械向け耐摩工具関連分野が上昇基調に転ずるなど堅調に推移したものの、化学繊維用紡糸ノズル事業において、中国経済停滞の影響を受け、中国向け不織布関連ノズルの受注が大きく落ち込むこととなり、厳しい事業環境となりました。これらの結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は644百万円(前年同期比42.5%減)、営業損失は88百万円(前年同期は92百万円の営業利益)、経常損失は87百万円(前年同期は109百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は108百万円(前年同期は75百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 特殊精密機器事業特殊精密機器事業については、工作機械向け耐摩工具関連分野については、国内需要の回復を受け、緩やかながらも上昇基調に転じたものの、産業機械向け実装機用ノズル分野については、中国経済の停滞が長期化している影響から低調に推移いたしました。これらの結果、売上高は206百万円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益は11百万円(前年同期は6百万円のセグメント損失)となりました。
② 化学繊維用紡糸ノズル事業化学繊維用紡糸ノズル事業については、風力発電用ブレード向け炭素繊維用紡糸ノズルの受注は、前期に引き続き好調に推移いたしましたが、炭素繊維以外の化学繊維用ノズルの受注は低調に推移いたしました。特に中国経済停滞の影響により中国向け不織布関連ノズルの受注が大きく落ち込むこととなりました。これらの結果、売上高は420百万円(前年同期比49.9%減)、セグメント利益は20百万円(前年同期比87.2%減)と、不織布製造装置の収益を計上した前年同期と比較すると大幅な減収減益となりました。
③ D―Next事業(旧電子材料スライス周辺事業)当社では太陽光発電向けダイヤモンドワイヤ生産・販売事業からの撤退後、事業方針を転換し半導体向けダイヤモンドワイヤ及びダイヤモンドワイヤ製造装置の生産・販売事業を新たに立ち上げるべく取り組んでまいりました。当連結会計年度において、これら新規事業の収益事業化を達成し、構造改革を完了するべく、セグメント名称を「次世代のダイヤモンドワイヤ関連事業」を意味する「D―Next事業」に変更し、より強い決意をもって事業立ち上げに取り組んでまいります。D―Next事業については、半導体分野における在庫調整の影響による国内のウエハ受託スライス企業の稼働率低下により、ダイヤモンドワイヤの売上は低調に推移したものの、当社の半導体向けダイヤモンドワイヤを正式採用する企業が着実に増えており、当第1四半期連結累計期間において新たな国内大手顧客1社に対し量産販売を開始いたしました。また、ダイヤモンドワイヤ製造装置販売については、インド市場向けを中心に複数企業との商談を進めております。これらの結果、売上高は16百万円(前年同期比11.0%減)、セグメント損失は82百万円(前年同期は72百万円のセグメント損失)となりました。
④ マテリアルサイエンス事業新規事業として取り組んでいるナノサイズゼオライトについて、量産顧客獲得を目指したサンプルの提供や展示会出展をはじめとする認知度向上のための取り組みを継続しております。なお、前年においてはパイロットプラント立ち上げに係る山全社からの受託収入を計上したため、当期実績は前年同期を大幅に下回る結果となり、売上高は1百万円(前年同期比98.0%減)、セグメント損失は42百万円(前年同期は10百万円のセグメント損失)となりました。
(2) 財政状態の状況① 資産当社連結子会社の日本ノズル株式会社における新工場の建設及び大型メルトブローンノズル・ダイ製造設備に関する投資として、機械装置及び運搬具が1,233百万円増加、建物及び構築物が551百万円増加したこと等により、総資産は前連結会計年度末に比べ1,811百万円増加し6,499百万円となりました。
② 負債上記工場建設及び当該設備投資に係る資金として、短期借入金が1,200百万円増加、長期借入金が700百万円増加、1年以内返済予定の長期借入金が66百万円増加したこと等により、負債は前連結会計年度末に比べ1,925百万円増加し5,898百万円となりました。
③ 純資産利益剰余金が108百万円減少したこと等により、純資産は前連結会計年度末に比べ114百万円減少し600百万円となりました。この結果、自己資本比率は9.0%(前連結会計年度末は15.0%)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は56百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)重要な設備の新設等前連結会計年度末において計画中であった、当社連結子会社の日本ノズル株式会社における新工場の建設及び大型メルトブローンノズル・ダイ製造設備の新設等については、予定通り2023年6月に完了いたしました。