【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の概況
(金融経済環境)
当第1四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日)の経済環境は、新型コロナウイルス感染症にかかる行動制限が撤廃され経済活動の正常化が進み、持ち直しの動きが続いたものの、物価上昇や欧米各国の金融引き締め政策の影響による景気下振れリスクなど先行き不透明な状況が続いております。
株式市場についてみますと、期初28,188円で始まった日経平均株価(終値)は、景気減速懸念による米株安につれて4月6日に当期間の最安値となる27,472円まで下落したものの、その後は日銀の金融緩和政策継続に対する安心感と資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた上場企業の各種取組みへの期待感などから買いが優勢となって上昇基調で推移し、6月16日には当期間の最高値となる33,706円を付け、6月末は33,189円で取引を終えました。
この期間における東京市場等(東証、名証およびPTS)の制度信用取引買い残高をみますと、期初2兆1,700億円台から株価の上昇につれて漸減し、5月19日には当期間のボトムとなる1兆9,600億円台まで減少しましたが、その後は株価の先高期待から増加傾向となり、6月末には2兆1,800億円台となりました。一方、制度信用取引売り残高は、期初5,300億円台から増加基調で推移し、5月19日には当期間のピークとなる7,800億円台まで増加し、6月末は7,300億円台となりました。
(2024年3月期第1四半期決算)
このような市場環境の下、当第1四半期連結累計期間の当社グループの業績は、貸借取引残高が融資、貸株ともに増加したこと、また債券レポ・現先取引および株券レポ取引を中心にセキュリティ・ファイナンス業務が前期に引き続き好調であったことなどから、連結営業収益は13,682百万円(前年同期比23.3%増)、連結営業利益は3,068百万円(同72.0%増)、連結経常利益は3,364百万円(同53.0%増)といずれも増益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に計上した退職金制度変更に伴う特別利益が剥落しましたが2,453百万円(同18.9%増)と増益となりました。
当第1四半期連結累計期間における各セグメントの営業概況は以下のとおりです。
○証券金融業
証券金融業務における営業収益は12,795百万円(前年同期比25.8%増)となりました。
業務別の営業収益をみますと、貸借取引業務における営業収益は4,687百万円(同216.7%増)となりました。貸借取引融資残高が期中平均で2,798億円と前年同期比313億円増加、同貸株残高が期中平均で3,012億円と前年同期比1,451億円増加といずれも増加したことにより、貸付金利息、貸株料ともに増収となりました。
セキュリティ・ファイナンス業務における営業収益は6,630百万円(同37.7%増)となりました。
このうち、債券レポ・現先取引(5,737百万円、同39.7%増)は日銀の金融緩和政策を背景に引き続き国債需給が逼迫したことから取引ニーズが旺盛となり増収となりました。金融商品取引業者向けの資金貸付(422百万円、同14.3%増)は株券レポ取引が好調であったことにより増収となりました。一般貸株(266百万円、同51.5%増)および一般信用ファイナンス(58百万円、同85.4%増)は株式市況の活況を受けて残高が増加したことにより増収となりました。リテール向け貸付(146百万円、同13.0%増)は株式市況が活況であったことに加え、商品性の改善が奏功して残高が増加したことにより増収となりました。
その他の収益は1,477百万円(同61.9%減)となりました。貸借取引をはじめとするセキュリティ・ファイナンス業務のための流動性の確保と収益基盤の強化の観点から行っている有価証券運用業務において、前期に実施したポートフォリオの入替に伴う保有国債等の売却益が剥落したことにより減収となりましたが、あわせて保有外国債の売却損も剥落したため営業費用も減少しております。
○信託銀行業
信託銀行業務における営業収益は683百万円(同3.8%減)となりました。管理型信託サービスなどの信託報酬が引き続き好調なものの、資金運用における金利収入が減少しました。
○不動産賃貸業
不動産賃貸業務における営業収益は203百万円(同2.4%減)となりました。
(2) 財政状態に関する分析
(資産、負債および純資産の状況)
当第1四半期連結会計期間末(2023年6月30日)の資産合計額は、13兆9,813億円(前連結会計年度末比749億円減)、負債合計額は13兆8,420億円(同784億円減)、純資産合計額は1,392億円(同35億円増)となりました。
この主な要因は以下のとおりです。
○資産
現金及び預金…日銀当座預金への預け金の減少により、前連結会計年度末に比べて6,203億円減少しました。
営業貸付金…一般信用ファイナンスの期末残高の減少などにより、前連結会計年度末に比べて556億円減少しました。
買現先勘定…債券現先取引の増加により、前連結会計年度末に比べて2,722億円増加しました。
借入有価証券代り金…債券レポ取引の増加により、前連結会計年度末に比べて2,783億円増加しました。
○負債
コールマネーおよびコマーシャル・ペーパー…資産サイドの貸付金等の変動に合わせ機動的な資金調達を行った結果、前連結会計年度末に比べてそれぞれ1兆742億円の減少、361億円の増加となりました。
売現先勘定…債券現先取引の増加により、前連結会計年度末に比べて1兆4,368億円増加しました。
貸付有価証券代り金…債券レポ取引の減少により、前連結会計年度末に比べて7,096億円減少しました。
信託勘定借…日証金信託銀行の信託勘定における待機資金の増加に伴い、前連結会計年度末に比べて3,162億円増加しました。
○純資産
株主資本…四半期純利益の計上による増加と剰余金の配当による減少により、前連結会計年度末に比べて11億円増加しました。なお、自己株式の消却により資本剰余金および控除項目(△)である自己株式がいずれも65億円減少しましたが、合計への影響はありません。
その他の包括利益累計額…保有する有価証券等の価格変動に伴い繰延ヘッジ損益が悪化した一方、その他有価証券評価差額金が増加した結果、前連結会計年度末に比べて23億円増加しました。
(3) 当社グループ業務別営業収益の状況
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
前連結会計年度(通期)
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
証券金融業
10,174
91.7
12,795
93.5
38,594
90.8
貸借取引業務
1,480
13.3
4,687
34.3
8,003
18.8
貸借取引貸付金利息
393
3.5
442
3.2
1,619
3.8
借入有価証券代り金利息
103
0.9
264
1.9
565
1.3
有価証券貸付料(品貸料)
757
6.8
3,565
26.1
4,711
11.1
有価証券貸付料(貸株料)
167
1.5
318
2.3
808
1.9
セキュリティ・ファイナンス業務
4,814
43.4
6,630
48.5
21,952
51.6
一般信用ファイナンス
31
0.3
58
0.4
149
0.4
金融商品取引業者向け
369
3.3
422
3.1
1,529
3.6
リテール向け
129
1.2
146
1.1
544
1.3
一般貸株
175
1.6
266
1.9
799
1.9
債券レポ・現先取引
4,107
37.0
5,737
41.9
18,929
44.5
その他
3,880
35.0
1,477
10.8
8,638
20.3
信託銀行業
710
6.4
683
5.0
3,115
7.3
貸付金利息
10
0.1
10
0.1
32
0.1
信託報酬
324
2.9
364
2.7
1,347
3.2
その他
375
3.4
308
2.3
1,734
4.1
不動産賃貸業
208
1.9
203
1.5
808
1.9
合計
11,092
100.0
13,682
100.0
42,518
100.0
(4) 当社グループ業務別取引残高の状況(平均残高)
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
前連結会計年度(通期)
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
(億円)
(億円)
(億円)
貸借取引貸付金(融資)
2,485
2,798
2,547
貸借取引貸付有価証券(貸株)
1,561
3,012
1,889
セキュリティ・ファイナンス
113,185
115,409
114,739
一般信用ファイナンス
182
330
188
金融商品取引業者向け
6,826
7,963
6,977
リテール向け
155
185
167
一般貸株
362
1,256
633
債券レポ・現先取引
105,657
105,673
106,772
信託銀行貸付金
5,521
5,031
5,399
(5) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、対処すべき課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
該当事項はありません。
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