【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
また、当社は、2021年8月26日開催の臨時株主総会における定款一部変更の決議により、決算期(事業年度の末日)を毎年9月30日から12月31日に変更いたしました。その経過措置として、前連結会計年度は2020年10月1日から2021年12月31日までの15ヶ月間となっております。このため、前第3四半期連結累計期間は2020年10月1日から2021年6月30日までの9ヶ月間であり、以下の前年同期比較については、当該期間との比較により記載しております。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの変異株の感染拡大が依然続いているものの、政府の対策により経済活動は徐々に正常化へ向かいつつあります。一方、米国における利上げ再開をはじめとする各国金融施策の変更、ウクライナ情勢を巡る地政学的リスク、原材料価格や資源価格の高騰などを背景に、金融市場・為替相場が不安定化するとともに、世界的なインフレ拡大や景気後退に対する懸念が広がっており、世界経済の先行きとわが国経済への影響についても不透明感が高まっております。
このような事業環境のもと、当社のヘルスケア事業においては、2019年より戦略的に取り組んできたブランドポートフォリオの拡充、デジタルマーケティングの強化、流通やECモール等のマルチチャネル展開の拡大等により直販及び流通チャネルの収益が拡大するとともに、キューサイ株式会社(以下「キューサイ」)等の前連結会計年度に新規連結した子会社からの収益貢献により、売上高は32,336百万円(前年同期比166.9%増)となりました。
また、当社は、キャッシュ・フロー重視の経営にシフトする観点から、当社のキャッシュ・フロー創出力を示す指標として調整後EBITDAを開示しております。調整後EBITDAは、EBITDA(営業利益+のれん償却費及び減価償却費)+助成金収入+株式関連報酬+棚卸資産ステップアップ影響額、として算出しております。上述のヘルスケア事業における既存事業の成長軌道への回帰やキューサイ等の連結子会社化による収益基盤の拡大に加えて、バイオ燃料事業を中心に771百万円の助成金収入を計上した結果、当第3四半期連結累計期間の調整後EBITDAは2,488百万円(前年同期は129百万円)となりました。
一方、キューサイの連結子会社化時における棚卸資産のステップアップ(注)に伴い棚卸資産に計上した含み益のうち、1,473百万円を売上原価として費用化したことを主因として、営業損失は2,297百万円(前年同期は営業損失844百万円)となりました。また、助成金収入ならびに連結子会社における投資有価証券売却益や保険解約返戻金の計上に伴い、経常損失は1,141百万円(前年同期は経常損失440百万円)となり、連結子会社における株式会社キューサイ分析研究所株式の譲渡に伴う株式売却益の計上に伴い、親会社株主に帰属する四半期純損失は873百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失296百万円)となりました。なお、棚卸資産のステップアップにより計上した含み益の費用化処理の影響は、ステップアップを適用した棚卸資産の残分の払い出しにより、当連結会計年度中に概ね解消する見込みです。
前第3四半期連結会計期間から当第3四半期連結会計期間までの各四半期の業績推移は、以下のとおりです。
前第3四半期
連結会計期間
前第4四半期
連結会計期間
前第5四半期
連結会計期間
当第1四半期
連結会計期間
当第2四半期
連結会計期間
当第3四半期
連結会計期間
売上高
(百万円)
4,376
11,178
11,128
10,822
10,761
10,752
調整後EBITDA(百万円)
△86
896
343
1,554
665
267
営業損益 (百万円)
△335
△3,118
△2,602
△727
△695
△875
経常損益 (百万円)
△312
△3,216
△2,698
81
△679
△543
(注)棚卸資産のステップアップは、連結時点の棚卸資産を、正味売却価額(売価から見積追加製造原価と見積販売直接経費を控除した金額)に評価替する会計処理となります。2021年6月30日をみなし取得日として連結子会社化したキューサイにおいて、連結子会社化時における棚卸資産のステップアップにより6,707百万円の含み益を棚卸資産に計上しており、商品販売による棚卸資産の払出しに伴って当該含み益が売上原価として費用化されます。前連結会計年度においては、当該含み益のうち4,842百万円を売上原価として費用化しました。ステップアップにより計上した含み益の費用化は当社のキャッシュ・フローへの影響を伴うものでないことから、キャッシュ・フロー創出力を示す指標である調整後EBITDAの算出にあたり、当該影響額を足し戻す調整を行っております。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更) (収益認識に関する会計基準等の適用)」ならびに、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
セグメント別の状況については、以下のとおりです。第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前第3四半期連結累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
(ヘルスケア事業)
当第3四半期連結累計期間は、前連結会計年度を通じて拡大した直販を中心とした売上基盤に加えて、キューサイ等の前連結会計年度に新規連結した子会社からの収益貢献により、売上高が前年同期比で大幅に拡大し、セグメント売上高は30,335百万円(前年同期比160.7%増)となりました。一方、四半期毎のセグメント売上高は、諸環境を踏まえた広告投資の抑制により第1四半期連結会計期間に前四半期比で減少に転じ、広告投資を再拡大した第2四半期連結会計期間は前四半期比で微減にとどまったものの、当第3四半期連結会計期間においては、広告投資の拡大が想定よりも遅れた影響で直販売上高は前四半期比で減少する一方、2022年7月1日に連結子会社化した株式会社はこの収益貢献により、セグメント売上高は前四半期比で微増となりました。グループ全体で新たに複数のブランドをローンチするとともに、既存ブランドについても商品ラインアップの拡充を進めており、第4四半期連結会計期間以降は、ブランド群の育成、デジタル化、マルチチャネル化という基本戦略を着実に推進しつつ、広告投資配分を機動的にコントロールしながら広告投資を拡大することで、売上高の再成長を目指していきます。
セグメント損益においては、上述のキューサイの連結子会社化に伴う棚卸資産のステップアップにより計上した含み益のうち1,473百万円を売上原価として費用化するとともに、キューサイの連結子会社化に伴う取得原価の配分にあたり識別した無形資産及びのれん等の償却費1,371百万円を計上しました。以上の結果、セグメント損失は277百万円(前年同期はセグメント利益886百万円)となりました。
(バイオ燃料事業)
バイオ燃料事業においては、2020年3月に本格稼働を開始したバイオジェット・ディーゼル燃料実証プラントにおけるバイオ燃料の実証研究、実証製造を継続するとともに、当社が製造・供給するバイオ燃料(ブランド名「サステオ」)の導入先の開拓や、バイオジェット・ディーゼル燃料商業プラント(以下「商業プラント」)の建設に向けた取り組みを推進しています。2021年6月に当社製造のバイオジェット燃料を使用した国土交通省飛行検査機及び民間航空機でのフライトを実現するなど、当社バイオ燃料の導入先は前連結会計年度に「陸・海・空」の全領域を網羅しながら累計40企業・団体を超え、当第3四半期連結累計期間においては、鉄道、ジェット機、ヘリコプター、大型フェリーなどへの導入を実現するとともに、ガソリンスタンドにおける次世代バイオディーゼル燃料の一般向け継続販売、ならびに成田国際空港における国産バイオジェット燃料(SAF)初となるハイドラント施設経由での給油および国際線フライトを実現するなど、導入先の裾野や導入形態が更に拡大、多様化しました。また、商業プラントの建設に向けて、2021年10月に建設想定地における予備的基本設計(実行可能性調査の後に行われる、基本設計の前段階の概念設計等)を開始する等、事業は着実に進捗しております。
研究開発活動については、2020年10月に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「バイオジェット燃料生産技術開発事業/実証を通じたサプライチェーンモデルの構築、微細藻類基盤技術開発」に、当社が進めているバイオジェット燃料製造の実証事業及び燃料用微細藻類の海外培養実証に関する研究開発が採択され、当第3四半期連結累計期間において助成金収入を計上しました。微細藻類ユーグレナの大規模培養実証に関しては、当初予定していたインドネシアにおける実証計画がコロナ禍等の影響で準備が難航したため、国内を中心とした実証計画に変更して推進しており、将来的に海外における大規模培養実証・商業化を目指していきます。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間は、セグメント売上高168百万円(前年同期比17倍)、セグメント損失は555百万円(前年同期はセグメント損失519百万円)となりました。
(その他)
当第3四半期連結累計期間は、2021年12月31日をみなし取得日として連結子会社化した大協肥糧株式会社が、連結業績へ収益貢献しました。また、バイオインフォマティクス領域、ソーシャルビジネス領域、先端技術研究領域においても、事業成長や事業開発に向けた投資を継続しております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間は、セグメント売上高1,832百万円(前年同期比293.4%増)、セグメント損失は197百万円(前年同期はセグメント損失205百万円)となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は60,124百万円となり、前連結会計年度末と比較して883百万円の減少となりました。これは主に、現金及び預金が1,745百万円増加した一方で、商品及び製品が1,130百万円、有形固定資産が793百万円、無形固定資産が1,014百万円それぞれ減少したことによるものです。
負債は39,004百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,414百万円減少となりました。これは主に、長期借入金が1,209百万円減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末から531百万円増加し、21,119百万円となりました。この結果、自己資本比率は34.4%となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、1,093百万円となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。