【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。①財政状態及び経営成績の状況当事業年度における我が国経済は、6月に新型コロナウイルス感染症(以下、「本感染症」といいます)の新規感染者数が減少したことを受け、外国人観光客の受け入れ再開など感染拡大防止に伴う行動制限が緩和されたことから、社会経済活動の正常化が進みました。その後、本感染症の新たな変異株により新規感染者数が増加する局面があったものの、これまでのような行動制限策が講じられなかったことから、個人消費にも持ち直しの動きが見られました。一方で、各国の金融政策見直しに伴う為替相場の変動や、物価上昇による実質賃金の減少から消費マインドの低下が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。海外経済につきましては、世界的に本感染症の規制が緩和され、社会経済活動の正常化が進むものの、欧米の金融引き締めによる景気の下振れリスクや、長期化するロシア・ウクライナ情勢など、依然として先行き不透明な状況が続いております。当食品業界につきましては、本感染症感染拡大により落ち込んでいた外食需要やインバウンド需要に回復の動きが見られるものの、為替相場の変動などによるエネルギーコスト及び原材料コストの上昇や、物価上昇に伴う消費者の節約志向の強まりから、厳しい事業環境となりました。このような状況のもと、当社は多様化する消費者ニーズに対応すべく「茶エキス」、「天然調味料」、「植物エキス」の製品開発ならびに用途開発に注力してまいりました。 a.財政状態当事業年度末における資産合計は 20,491百万円となり、前事業年度末に比べ 173百万円増加しました。当事業年度末における負債合計は 1,450百万円となり、前事業年度末に比べ 127百万円減少しました。当事業年度末における純資産合計は 19,041百万円となり、前事業年度に比べ 301百万円増加しました。 b.経営成績当事業年度における売上高は、茶エキスにつきましては、外食・オフィス需要に回復の動きが見られたことから、緑茶エキス・ほうじ茶エキス・麦茶エキス等が増加したため、売上高は 2,511百万円(対前年同期比 8.3%増)となりました。粉末天然調味料につきましては、粉末ソース等が減少したものの、外食需要の回復傾向により粉末鰹節・粉末昆布等が増加したため、売上高は 1,822百万円(同 0.7%増)となりました。植物エキスにつきましては、外出機会の増加を受け土産などの製菓用途需要に回復の動きが見られたことから、売上高は 710百万円(同 0.7%増)となりました。液体天然調味料につきましては、家庭内調理需要の継続や外食需要の回復傾向により、昆布エキス・椎茸エキスが増加したため、売上高は 704百万円(同 3.0%増)となりました。粉末酒につきましては、ラムタイプ・ブランデータイプ等が減少したものの、インバウンド需要などに回復の動きが見られたことから、ワインタイプ等が増加したため、売上高は 126百万円(同 5.6%増)となりました。以上の結果、当事業年度の売上高は 5,881百万円(同 4.2%増)となりました。利益面につきましては、売上原価の増加により営業利益は 618百万円(同 21.0%減)、経常利益は 764百万円(同 12.9%減)となりました。また、遺留分侵害額 329百万円を計上したため、当期純利益は 384百万円(同 47.1%減)となりました。なお、当社は食品加工事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
②キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ 176百万円減少し、9,005百万円となりました。なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における営業活動による資金の増加は、553百万円(前事業年度は 844百万円の増加)となりました。これは主に、遺留分侵害分の支払額による支出 329百万円があったものの、税引前当期純利益 387百万円、減価償却費 290百万円によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における投資活動による資金の減少は、325百万円(前事業年度は 221百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出 348百万円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における財務活動による資金の減少は、404百万円(前事業年度は 187百万円の減少)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出 257百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当事業年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別
生産高(千円)
前年同期比(%)
茶エキス
2,505,586
3.4
粉末天然調味料
1,793,046
△1.9
植物エキス
734,991
7.7
液体天然調味料
703,579
3.2
粉末酒
121,727
△2.2
計
5,858,932
2.1
(注) 上記金額は、販売価格によっております。
b.受注状況当社は、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績当事業年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別
販売高(千円)
前年同期比(%)
茶エキス
2,511,199
8.3
粉末天然調味料
1,822,368
0.7
植物エキス
710,733
0.7
液体天然調味料
704,682
3.0
粉末酒
126,659
5.6
その他
6,062
5.3
計
5,881,706
4.2
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前事業年度
当事業年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
㈱伊藤園
619,117
11.0
756,550
12.9
三菱商事ライフサイエンス㈱
647,348
11.5
639,991
10.9
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当事業年度末における資産合計は 20,491百万円となり、前事業年度末に比べ 173百万円増加しました。流動資産については 11,768百万円となり、前事業年度末に比べ 126百万円減少しました。主に、棚卸資産が 68百万円増加したものの、現金及び預金が 176百万円減少したことによります。固定資産については 8,723百万円となり、前事業年度末に比べ 299百万円増加しました。主に、投資有価証券が 392百万円増加したことによります。負債合計は 1,450百万円となり、前事業年度末に比べ 127百万円減少しました。流動負債については 1,380百万円となり、前事業年度末に比べ 127百万円減少しました。主に、未払金が 111百万円減少したことによります。固定負債については 70百万円となり、前事業年度末から変動はありませんでした。純資産合計は 19,041百万円となり、前事業年度に比べ 301百万円増加しました。主に、配当金の支出により 147百万円減少したものの、その他有価証券評価差額金が 315百万円増加し、当期純利益 384百万円を計上したことによります。この結果、1株当たり純資産は、前事業年度末の 4,437円59銭から 4,685円54銭となり 247円95銭増加しております。
(売上高)当社は、創業以来取り組んでまいりました「天然風味の粉末化」において、新たな領域を創造すべく、「茶エキス」、「植物エキス」などの新製品開発を進めてまいりました。この結果、当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ 238百万円増の 5,881百万円となりました。(売上原価)当事業年度は、燃料費等の増加により、売上高に対する原価率は、前事業年度に比べ 3.2ポイント上昇して 74.2%となりました。(売上総利益)以上の結果、売上総利益は、前事業年度に比べ 7.4%減の 1,516百万円となりました。(販売費及び一般管理費)販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ 43百万円増の 898百万円となりました。主に、研究開発に係る減価償却費の増加によるものであります。販売費及び一般管理費の総額の売上高に対する負担率は 15.3%となりました。なお、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、前事業年度に比べて 27百万円増の 248百万円となり、売上高に対する負担率は 4.2%となりました。(営業利益)売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した営業利益は、前事業年度に比べ
21.0%減の 618百万円となり、売上高営業利益率は 10.5%となりました。
(営業外収益・営業外費用)当事業年度は、営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、前事業年度に比べ 51百万円増の 146百万円となりました。
これは主に、助成金収入によるものであります。(経常利益)以上の結果、営業利益に営業外収益・営業外費用を加減算した経常利益は、前事業年度に比べ 12.9%減の 764百万円となり、売上高経常利益率は 13.0%となりました。(特別利益・特別損失)特別利益は、前事業年度に比べ 2百万円減の 0百万円となりました。
特別損失は、前事業年度に比べ 376百万円増の 377百万円となりました。これは主に、遺留分侵害額を計上したことによります。(税引前当期純利益)以上の結果、経常利益から特別利益・特別損失を加減算した税引前当期純利益は、前事業年度に比べ 55.9%減の387百万円となりました。(法人税、住民税及び事業税)法人税等の税負担額は、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、法人税等調整額 △53百万円を計上したため、3百万円となりました。(当期純利益)以上の結果、当期純利益は、前事業年度に比べ 47.1%減の 384百万円となりました。なお、1株当たり当期純利益は 92円47銭、ROE(自己資本当期純利益率)は 2.0%となりました。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社は、事業上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金につきましては、自己資金又は必要に応じて金融機関からの借入の実施等により資金調達をしております。なお、当社は2023年3月期の年間売上高を上回る 9,005百万円の現金同等物を有しており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う資金需要が発生した場合についても、当社の資金繰りに大きな問題は生じないものと考えております。キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、資産効率の向上及び株主資本の有効利用がすべてのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「総資産経常利益率(ROA)」及び「株主資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。当事業年度における「総資産経常利益率(ROA)」は 3.7%(前年同期比 0.6ポイント減)であり、「株主資本利益率(ROE)」は 2.0%(前年同期比 1.9ポイント減)でした。引き続きこれらの指標が改善されるよう取り組んでまいります。