【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。
また、海外経済においては、企業業績は回復傾向にあるものの、欧米各国の金融引き締め長期化への懸念から、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。
こうした経済環境のもと、国内株式市場は、米国著名投資家が日本株への追加投資を表明したことに加え、日本銀行が金融緩和策の維持を決定したことが好感され、上昇基調で推移し、4月末の日経平均株価(終値)は2022年8月以来8ヶ月ぶりに高値を更新しました。さらに、インバウンド需要の回復や好調な企業業績などを背景に、海外投資家による日本株買いが相場を押し上げ、6月中旬の日経平均株価(終値)は約33年ぶりに33,000円台を回復するなど高値圏で推移しました。なお、6月末の日経平均株価(終値)は、前期末を18.4%上回る33,189円04銭で取引を終えました。
一方、米国株式市場は、企業の堅調な決算発表が好感され、期初より上昇基調で始まりました。5月に入り、米国政府債務の上限引き上げを巡る交渉が難航し株価が弱含む局面もありましたが、6月に米国連邦議会で債務上限引き上げ法案が可決され、債務不履行が回避されたことから株価は上昇に転じました。その後、FRB(米国連邦準備制度理事会)が年内にあと2回の利上げを示唆したものの、景気の大幅な減速は避けられる「ソフトランディング」の可能性が高まったことを背景に、投資家のリスクオン姿勢が強まったことでダウ工業株30種平均は上昇し、6月末の終値は、前期末を3.4%上回る34,407ドル60セントで取引を終了しました。
(当社グループの経営成績)
当社グループの営業収益は57億11百万円(対前年同期比23.5%増加)、純営業収益は56億30百万円(同23.1%増加)となりました。また、販売費・一般管理費は、39億45百万円(同9.6%増加)、経常利益は18億82百万円(同56.3%増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は13億28百万円(同59.6%増加)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
岩井コスモホールディングス株式会社
岩井コスモホールディングス株式会社は、グループの経営戦略の策定及びその推進に取り組んでおります。営業収益は、子会社からの配当収入を主として、前年同期と同額の14億20百万円となりました。一方、販売費・一般管理費は、前年同期比1.9%減少の44百万円となりました。営業外損益は、投資有価証券の配当金の減少を主因として同16.8%減少の1億55百万円の利益となり、以上の結果、経常利益は同2.0%減少の15億30百万円となりました。
岩井コスモ証券株式会社
岩井コスモ証券株式会社は、生前贈与や新NISA制度などをテーマとしたWebセミナーの開催に加え、SNSやYouTubeを活用した情報配信など、引き続き、デジタルを駆使した金融サービスの提供に注力しました。
このような取り組みに加え、一定期間お取引がない顧客へのフォローアップを目的に、顧客とのアポイントを取得するための専門チームを設け、顧客との接点を強化することで、顧客満足度の向上及び口座の再稼働化に注力しました。また、投資信託の営業活動においては、成長・配当・割安に注目し持続的成長が期待できる優良企業に投資する「インベスコ・世界厳選株式オープン」や、“人生100年時代”など高齢化社会における資産形成を後押しするために、中長期に安定した収益が期待できる債券型ファンド「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド」の販売に継続的に取り組みました。加えて、東京証券取引所が上場企業に対し資本コストや株価を意識した経営を要請していることから、成長戦略や積極的な株主還元策の期待を背景に、日本の好配当株式へ投資を行う「日本好配当リバランスオープン」の販売にも注力するなど、投資信託残高の増加に努めました。
このように、顧客サービスの向上と収益拡大に向けた施策に注力したことに加え、国内外の株価上昇など良好な市場環境も後押しして、営業収益は前年同期比23.5%増加の57億13百万円、純営業収益は同23.1%増加の56億32百万円となりました。また、販売費・一般管理費は、賞与等の変動費の増加を主因として同9.6%増加の39億36百万円、投資有価証券の配当金などによる営業外損益42百万円の利益(対前年同期比6.6%減少)を加えた経常利益は、前年同期比68.9%増加の17億38百万円となりました。
(財政状態の状況)
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は2,023億18百万円となり、前連結会計年度末に比べて188億8百万円増加しました。主な要因としては、信用取引資産が63億54百万円減少したものの、現金・預金が11億52百万円、顧客分別金信託などの預託金が232億13百万円、それぞれ増加したことが挙げられます。
一方、負債合計は1,436億51百万円となり、前連結会計年度末に比べて176億98百万円増加しました。主な要因としては、信用取引負債が29億55百万円減少したものの、預り金が146億55百万円、受入保証金が66億91百万円、それぞれ増加したことが挙げられます。
純資産合計は586億66百万円となり、前連結会計年度末に比べて11億9百万円の増加となりました。
なお、当第1四半期末における岩井コスモ証券株式会社の自己資本規制比率の状況は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前第1四半期末
(2022年6月30日)
当第1四半期末
(2023年6月30日)
前事業年度末
(2023年3月31日)
基本的項目
(A)
46,924
48,920
47,705
補完的項目
(B)
864
897
889
その他有価証券評価差額金(評価益)
420
472
443
金融商品取引責任準備金
438
419
439
一般貸倒引当金
5
5
6
控除資産
(C)
6,642
5,719
7,855
固定化されていない自己資本 (A)+(B)-(C)
(D)
41,146
44,098
40,738
リスク相当額
(E)
5,296
5,206
5,499
市 場リスク相当額
412
388
562
取引先リスク相当額
1,264
1,314
1,438
基礎的リスク相当額
3,619
3,504
3,498
自己資本規制比率 (%)
(D)/(E)×100
776.8
846.9
740.8
(経営成績の状況)
(受入手数料)
受入手数料は29億51百万円(対前年同期比11.1%増加)となりました。主な内容は次のとおりです。
前第1四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年6月30日)
単位:百万円
区分
株券
債券
受益証券
その他
合計
委託手数料
1,625
0
217
1
1,844
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
7
3
-
-
10
募集・売出し・特定投資家向け
売付け勧誘等の取扱手数料
-
0
187
-
187
その他の受入手数料
20
1
558
33
613
合計
1,653
4
963
35
2,656
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)
単位:百万円
区分
株券
債券
受益証券
その他
合計
委託手数料
2,097
-
30
0
2,128
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
5
2
-
-
8
募集・売出し・特定投資家向け
売付け勧誘等の取扱手数料
-
0
211
-
211
その他の受入手数料
21
0
559
20
602
合計
2,125
3
801
20
2,951
①委託手数料
委託手数料は、前年同期比15.4%増加の21億28百万円となりました。同要因としては、国内外の株価上昇など良好な市場環境を背景に、株式委託手数料が前年同期を上回った(対前年同期比29.0%増加)ことが挙げられます。
②引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
株券の手数料は前年同期比19.9%減少の5百万円となりました。また、債券の手数料は同23.5%減少の2百万円となり、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料全体では同21.0%減少の8百万円となりました。
③募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、前年同期比12.9%増加の2億11百万円となりました。投資信託の主な販売動向では、成長・配当・割安に注目し持続的成長が期待できる優良企業に投資する「インベスコ・世界厳選株式オープン」や、中長期に安定した収益が期待できる債券型ファンド「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド」のほか、日本の好配当株式へ投資を行う「日本好配当リバランスオープン」の販売が上位となりました。
④その他の受入手数料
その他の受入手数料は、投資信託の信託報酬手数料は増加したものの、取引所からのFX取引振興料の減少を主因として、前年同期比1.9%減少の6億2百万円となりました。
(トレーディング損益)
単位:百万円
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
株券等
983
2,038
債券等
501
80
その他
△16
△32
合計
1,467
2,085
米国株式の国内店頭取引を中心とする株券等トレーディング損益は、景気の大幅な減速は避けられる「ソフトランディング」の可能性が高まったことや堅調な企業業績が好感して取引が活発化し、前年同期比107.3%増加の20億38百万円の利益となりました。一方、債券等トレーディング損益は、同84.0%減少の80百万円の利益となり、その他のトレーディング損益32百万円の損失(前年同期は16百万円の損失)を含めたトレーディング損益の合計では、前年同期比42.1%増加の20億85百万円の利益となりました。
(金融収支)
金融収益は、受取利息や信用取引収益の増加を主因として、前年同期比34.8%増加の6億74百万円となりました。一方、金融費用は同56.0%増加の81百万円となり、差し引き金融収支は同32.4%増加の5億93百万円となりました。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、業績に連動する賞与等の変動費の増加を主因として前年同期比9.6%増加の39億45百万円となりました。
(営業外損益)
営業外損益は、受取配当金を中心に前年同期比14.9%減少の1億97百万円の利益となりました。
(特別損益)
特別損益は、金融商品取引責任準備金戻入の計上により19百万円の利益となりました(前年同期は0百万円の利益)。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
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