【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に係わる政府による行動制限の緩和により、徐々に経済活動が正常化に向かい、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られたものの、ウクライナ情勢の長期化、資源価格や原材料価格の高騰、円安による物価の上昇等により、依然として先行きは不透明な状況で推移いたしました。
このような経済環境の中、当社グループは消費者の皆様及び従業員の安全を最優先に考え、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に配慮しつつ、きのこ事業を中心として、健康食材である「きのこ」の研究開発、生産、販売を通してより多くの皆様へ、おいしさと健康をお届けできるよう事業活動を行ってまいりました。また、「きのこで健康を届けることを使命に市場と消費を拡大する」及び「利益の創出と企業の社会的責任を両立する」を経営ビジョンとする新しい中期経営計画を策定し、2021年4月から取り組んでまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高538億59百万円(前年同四半期比2.5%増)、営業損失30億80百万円(前年同四半期営業利益金額14億40百万円)、経常損失20億82百万円(同経常利益金額19億65百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失17億3百万円(同親会社株主に帰属する四半期純利益金額12億53百万円)となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間の生産量は、ブナピーを含めブナシメジ37,024t(前年同四半期比5.5%増)、エリンギ14,081t(同2.0%減)、マイタケ12,346t(同19.4%増)となりました。
当第3四半期連結累計期間の各セグメントの概況は次のとおりであります。
「国内きのこ事業」
生産部門におきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大防止に配慮しつつ、衛生管理をより徹底し、品質の向上と安定栽培に努め、安全・安心なきのこを提供してまいりました。
研究部門におきましては、品質管理体制の強化、付加価値の高い新製品の開発、既存のきのこの改良及びきのこの薬理効果や機能性の追求に取り組んでまいりました。株式会社メタジェン(本社:山形県鶴岡市、代表取締役社長 CEO・CGDO 福田 真嗣)と共同研究を行い、4週間継続してきのこを食べることで、腸内の短鎖脂肪酸が増加、IgA抗体が増加傾向を示し、免疫機能向上につながることが人で明らかになったという研究成果が、科学雑誌「Frontiers in Nutrition」で採択されました。
営業部門におきましては、きのこ需要を喚起すべく、健康・美容・スポーツを3本柱とした「きのこで菌活」を提唱し、鮮度に拘った営業活動を行ってまいりました。第3四半期は、10月に気温が例年より低下したことで、果菜類は入荷が少ない状態が続き野菜相場が上昇する場面もありましたが、11月初めからは好天に恵まれ気温も高くなり果菜類の生育が順調となったことにより野菜相場が安値で推移し、きのこの価格も昨年に比べ安値で推移いたしました。一方、三重きのこセンターの稼働によりまして、販売量は増加いたしました。
以上の結果、国内きのこ事業全体の売上高は341億18百万円(前年同四半期比0.6%増)となりました。
「海外きのこ事業」
米国の現地法人「HOKTO KINOKO COMPANY」におきましては、11月末に実施した値上げの効果もありましたが一部製品の生産不良により販売量が減少したため、売上高は伸び悩みました。しかしながら、12月以降は値上げが徐々に定着してきたことにより、営業利益はほぼ計画通りとなりました。台湾の現地法人「台灣北斗生技股份有限公司」におきましては、新型コロナウイルス感染症に係る行動制限の緩和が進み、国内観光と外食産業の需要が拡大したことに伴い自炊の機会が減少し小売り市場全体の売上が低迷いたしました。10月は例年より冷え込むのが早く、きのこの販売は好調に推移したものの、11月中旬から暑い日が続いたことで苦戦いたしましたが、12月中旬以降寒波が襲来し一気に販売状況が変わりました。伝統市場も寒気の流入と共に引き合いが増加しておりますが、売上高は計画に対し若干下回りました。マレーシアの現地法人「HOKTO MALAYSIA SDN. BHD.」におきましては、インフレがASEAN各国で進んでおり、必需品の価格は高騰している一方、非必需品は買い控えや中国産の安価品が購入される傾向が強まり、当社のきのこの販売にも影響がでました。その結果、売上高、営業利益共に計画を下回ることとなりました。
以上の結果、海外きのこ事業全体の売上高は47億34百万円(同3.4%増)となりました。
「加工品事業」
加工品事業におきましては、水煮・冷凍などのきのこの加工品の販売を行うとともに、10月より新たにきのこと野菜を炒める粉末調味料「いためのこ」を全国展開する等、市場開拓に取り組んでまいりました。外食部門はデリカ向け商品や中食向け商品が好調だったほか、青果向け市販用加工商品も乾燥シイタケ・水煮・炊込みご飯の素などを中心に順調な販売となりました。一方、コンビニエンスストアでは苦戦いたしました。通販事業では、乾燥シイタケなどが好調で自社ECサイトを中心に売上は伸長いたしました。また、子会社の株式会社アーデンにおきましては、引き続きOEM事業で主要得意先からの受注が好調に推移したため、売上高は計画を上回りました。
以上の結果、加工品事業の売上高は61億83百万円(同4.9%増)となりました。
「化成品事業」
包装資材を主要事業とする第一事業部では、各種商品の値上げ効果により売上高及び利益確保に繋げたほか、お客様の課題解決に向けた提案営業を強化してまいりました。プラスチック成型品の生産・販売及び農業資材販売を中心とする第二事業部では、自社製品の品質向上と販売拡大に注力したほか、米ぬかやふすま等の生産原料が不足する中、きのこ生産農家様への原料安定供給に注力してまいりました。
以上の結果、化成品事業の売上高は88億22百万円(同8.1%増)となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における資産、負債、純資産の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は284億12百万円となり、前連結会計年度末より13億12百万円増加いたしました。これは主に、受取手形及び売掛金26億12百万円の増加及び現金及び預金16億77百万円の減少によるものであります。固定資産は746億39百万円となり、前連結会計年度末より31億92百万円減少いたしました。これは主に、有形固定資産39億59百万円の減少によるものであります。
この結果、総資産は1,030億52百万円となり、前連結会計年度末より18億80百万円減少いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は314億24百万円となり、前連結会計年度末より96億67百万円増加いたしました。これは主に、短期借入金41億37百万円及び流動負債のその他に含まれる1年内返済予定の長期借入金46億33百万円の増加によるものであります。固定負債は204億54百万円となり、前連結会計年度末より82億12百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金78億71百万円の減少によるものであります。
この結果、負債合計は518億79百万円となり、前連結会計年度末より14億55百万円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は511億73百万円となり、前連結会計年度末より33億35百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失17億3百万円を計上し配当金19億8百万円を支払ったことによる利益剰余金36億11百万円の減少によるものであります。
この結果、自己資本比率は49.7%(前連結会計年度末は51.9%)となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
研究開発活動につきましては、当社「開発研究本部」におきまして、バイオテクノロジーを駆使した新品種の開
発、既存品種の改良、栽培技術の開発やきのこの健康機能性研究等、きのこ全般に関する研究活動につとめており
ます。
なお、当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は194百万円となりました。
これまでの研究開発活動で得られた成果のうち、公表された成果は以下のとおりです。
特許登録関連
(国内)
発明の名称 ブナシメジ栽培ビンキャップ及びブナシメジの栽培方法
登録日 2022年6月2日
登録番号 7083385
発明の名称 キノコ栽培用容器の組立装置
登録日 2022年9月14日
登録番号 7141898
(海外)
台湾
発明の名称 ブナシメジ栽培ビンキャップ並びにブナシメジの栽培及び収穫方法
登録日 2022年7月11日
登録番号 1770082
米国
発明の名称 ブナシメジ栽培ビンキャップ並びにブナシメジの栽培及び収穫方法
登録日 2022年8月9日
登録番号 11,406,070
マレーシア
発明の名称 ブナシメジ栽培ビンキャップ並びにブナシメジの栽培及び収穫方法
登録日 2022年9月26日
登録番号 MY-193168-A
品種登録関連
(国内)
ブナシメジ
登録品種の名称 HKHM25
登録日 2022年8月25日
登録番号 29385
学会発表
演題 ビタミンD2高含有ブナシメジ摂取による血中25-hydroxyvitamin D濃度改善効果
発表日 2022年6月12日
学会 第76回日本栄養・食糧学会大会
大阪樟蔭女子大学との共同研究
演題 ビタミンD2高含有エリンギ摂取による血中25-hydroxyvitamin D濃度改善効果
発表日 2022年6月12日
学会 第76回日本栄養・食糧学会大会
大阪樟蔭女子大学との共同研究
演題 ヒラタケ属種間雑種(Pleurotus sp.)における自己消化時に特異的に発現するプロテアーゼの探索
発表日 2022年7月2日
学会 2022年度日本菌学会西日本支部・第5回次世代生物研究会合同大会
大阪公立大学との共同研究
演題 エルゴチオネインときのこの健康効果
発表日 2022年12月5日
学会 第3回エルゴチオネイン・セレノネイン研究会
論文掲載
タイトル Hericium erinaceus ethanol extract and ergosterol exert anti-inflammatory activities by
neutralizing lipopolysaccharide-induced pro-inflammatory cytokine production in human
monocytes
掲載雑誌 Biochemical and Biophysical Research Communications, 636(Pt 2), 1-9, 2022.
東北大学との共同研究
タイトル Novel acid trehalase belonging to glycoside hydrolase family 37 from Pleurotus sp.: cloning,
expression and characterization
掲載雑誌 Mycoscience, 63, 284-292, 2022.
大阪公立大学との共同研究
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、前事業年度有価証券報告書「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載の事項から重要な変更はありません。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当第3四半期連結累計期間において、経営者の問題認識と今後の方針について重要な変更はありません。
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