【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響を受けながらも徐々に社会経済活動の制限が緩和され、景気は緩やかに持ち直しの動きが見受けられました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化、資源価格や原材料価格の高騰、世界的な金融引き締めによる急激な為替変動等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
建築塗料業界におきましては、都市部や首都圏を中心とした大規模再開発案件の需要や物流施設・公共物件が堅調に推移致しました。しかし一方、戸建住宅等はインフレの影響を受け、消費者マインドにブレーキがかかりました。また、慢性的な人材不足による現場技術者及び現場作業員の確保と育成が大きな課題であり、建築費・人件費の高騰、人材の高齢化等厳しい市場環境が続いております。
このような状況下、当社グループは、原価の低減と経費削減に努めるとともに、販売価格の見直しを行い、引き続き新築市場だけではなく膨大なストックを有するリニューアル市場において、当社の技術革新による製品、超耐久・超低汚染塗料、地球温暖化現象に対応した省エネタイプの遮熱塗料、新型省力化建材、オリジナルの高意匠性塗材や耐火被覆材・断熱材等の拡販に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ115億75百万円増加し、1,690億43百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ22億50百万円増加し、280億75百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ93億24百万円増加し、1,409億67百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高955億80百万円(前年同期比8.3%増)、営業利益99億41百万円(同4.4%減)、経常利益128億3百万円(同1.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益90億34百万円(同2.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
建築仕上塗材事業は、売上高855億82百万円(同7.2%増)、セグメント利益111億31百万円(同5.9%減)となりました。
耐火断熱材事業は、売上高77億10百万円(同18.1%増)、セグメント利益8億92百万円(同38.7%増)となりました。
その他の事業は、売上高22億86百万円(同17.8%増)、セグメント利益1億7百万円(同71.2%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ138億59百万円減少(前年同期比19.1%減)し、587億78百万円となりました。
営業活動により得られた資金は71億54百万円(同7.5%減)、投資活動の結果使用した資金は205億45百万円(同107.1%増)、財務活動の結果使用した資金は、13億45百万円(同23.2%増)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
建築仕上塗材(百万円)
85,621
107.0
耐火断熱材(百万円)
7,775
119.5
報告セグメント計(百万円)
93,396
107.9
その他(百万円)
2,256
115.2
合計(百万円)
95,653
108.1
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、特殊仕上工事及び耐火断熱工事の施工実績を含めております。
b.受注実績
当社グループの製品は受注から納品までの期間が短いため、受注残高はほとんどなく、受注高も販売実績と大きな差異はないので、受注高並びに受注残高については記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
建築仕上塗材(百万円)
85,582
107.2
耐火断熱材(百万円)
7,710
118.1
報告セグメント計(百万円)
93,293
108.1
その他(百万円)
2,286
117.8
合計(百万円)
95,580
108.3
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総売上の10%以上を占める販売先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ115億75百万円増加し、1,690億43百万円(前年同期比7.4%増)となりました。増加した主なものは、受取手形及び売掛金10億65百万円(同6.3%増)、投資有価証券45億98百万円(同152.4%増)、長期預金150億68百万円(前連結会計年度末は36百万円)、減少した主なものは、現金及び預金72億22百万円(前年同期比6.8%減)、有価証券36億71百万円(同100.0%減)であります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ22億50百万円増加し、280億75百万円(同8.7%増)となりました。増加した主なものは、支払手形及び買掛金21億76百万円(同29.5%増)、未払金4億46百万円(同8.1%増)、減少した主なものは、未払法人税等4億73百万円(同18.8%減)であります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ93億24百万円増加し、1,409億67百万円(同7.1%増)となり自己資本比率は83.4%となりました。増加した主なものは、親会社株主に帰属する当期純利益90億34百万円(同2.3%増)を含む利益剰余金79億56百万円(同5.9%増)であります。
b.経営成績
当連結会計年度における当社グループの経営成績は、建築仕上塗材事業におきましては、戸建住宅等の民間の需要はインフレ等の影響を受けてブレーキがかかりましたが、大規模再開発案件や物流施設、公共物件の需要は堅調に推移しました。
このような状況下、建物の長寿命化、環境負荷低減に対応した主力の超耐久・超低汚染のエスケープレミアムシリーズ及びセラタイトシリーズ、装飾・意匠性に優れたベルアートシリーズ、エレガンシリーズが貢献しております。
耐火断熱材事業におきましては、巣篭もり効果による物流センター、データセンター等の需要が継続しており、売上高が増加しました。
都市部や首都圏を中心とした大規模再開発物件には、仕上がりが薄く意匠性に優れるセラタイカ2号及びSKタイカコート等が多く採用されております。
この結果、売上高は、955億80百万円(前年同期比8.3%増)となりました。利益面におきましては、原材料の高騰を受けて製品価格の値上げを行いましたが、営業利益は、99億41百万円(同4.4%減)、経常利益は、為替変動の影響等により、128億3百万円(同1.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、90億34百万円(同2.3%増)となりました。
当社グループは、売上高、営業利益率を目標の達成状況を判断するための重要な指標と考えております。当連結会計年度の売上高の目標910億円に対して実績955億80百万円、営業利益率の目標10.7%に対して実績10.4%となりました。また、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の判断する指標として、自己資本利益率及び株価純資産倍率を安定的に維持することも重要と考えております。当連結会計年度における自己資本利益率は6.6%、株価純資産倍率は0.8倍となりました。引き続き当該指標が改善されるよう取り組んでまいります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
建築仕上塗材事業
建築仕上塗材事業におきましては、特にリニューアル市場において超耐久性塗料や超低汚染機能で差別化した省エネタイプの遮熱塗料等の販売を行ったことにより、売上高は855億82百万円(同7.2%増)と前連結会計年度に比べて57億72百万円の増収となりました。セグメント利益は111億31百万円(同5.9%減)と前連結会計年度に比べて6億96百万円の減益となりました。セグメント資産は前連結会計年度末に比べて105億円減少し、1,027億48百万円となりました。
耐火断熱材事業
耐火断熱材事業におきましては、都市部の再開発事業における受注は続いており、売上高は77億10百万円(同18.1%増)と前連結会計年度に比べて11億79百万円の増収となりました。セグメント利益は、8億92百万円(同38.7%増)と前連結会計年度に比べて2億48百万円の増益となりました。セグメント資産は前連結会計年度末に比べて82百万円減少し、86億26百万円となりました。
その他の事業
その他の事業におきましては、売上高は22億86百万円(同17.8%増)と前連結会計年度に比べて3億45百万円の増収となりました。セグメント利益は1億7百万円(同71.2%増)と前連結会計年度に比べて44百万円の増益となりました。セグメント資産は前連結会計年度末に比べて1億30百万円減少し、24億68百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、次のとおりであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ138億59百万円減少(前年同期比19.1%減)し587億78百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、71億54百万円(同7.5%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益128億3百万円(同1.0%減)、売上債権の増加額15億37百万円(同54.1%増)、仕入債務の増加額19億82百万円(同30.4%増)、法人税等の支払額43億9百万円(同29.1%増)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、205億45百万円(同107.1%増)となりました。これは主に定期預金の預入による支出567億27百万円(同59.8%増)、定期預金の払戻による収入368億18百万円(同15.0%増)、有価証券及び投資有価証券の取得による支出46億円(同28.3%減)、有価証券の償還による収入41億66百万円(前連結会計年度は0円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、13億45百万円(前年同期比23.2%増)となりました。これは主に配当金の支払額10億77百万円(同0.0%減)によるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
事業運営上必要な資金は、自己資金より充当することを基本としております。
運転資金需要のうち主なものは、製品を製造するための材料仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要は、生産設備の購入等によるものであります。
資金の流動性について、当連結会計年度末の資金の残高は587億78百万円となっておりますが、これは主に普通預金、預入期間が3ヶ月以下の定期預金であり、当社グループの事業活動に必要な流動性を十分に満たしていると認識しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、この見積りや判断における前提や状況が変化した場合には、最終的な結果が異なるものとなる可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響について、当該影響はないものと仮定し、会計上の見積りを行っております。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、その他の重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。