【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営成績の分析当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化に起因するインフレなどにより景気の先行きに不安感があるなか、新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことや全国旅行支援の延長などにより人流やインバウンド需要の回復が進み経済環境に改善傾向が見られました。世界経済(連結対象期間1-3月)につきましては、米国で雇用環境の改善や個人消費の増加が続き、欧州ではインバウンド需要の回復を含む人流の増加によりサービス業が堅調に推移しましたが、欧米とも高インフレや政策金利の引き上げが続く難しい状況でした。足元でも、国内は社会経済活動の回復に期待がある一方、国内外で人件費などコストアップが続いていることから、海外では景気減速が意識されるなど益々不透明な状況となっています。当社および当社グループにつきましては、水産事業は国内養殖が堅調に推移し、市況も想定より緩やかな下落にとどまったことから増益となりました。また、一昨年よりコストアップで苦戦していた食品事業も国内外とも値上げ効果が出始め増益となりました。順調なスタートとなりましたが、水産事業は主力の鮭鱒・すりみ市況が軟調であること、食品事業では値上げ後に販売数量の減少が見られる商品も出始めるなど舵取りが難しい状況です。このような状況下で当第1四半期連結累計期間の営業成績は、売上高は1,998億44百万円(前年同期比155億88百万円増)、営業利益は97億20百万円(前年同期比30億43百万円増)、経常利益は97億18百万円(前年同期比23億37百万円増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は59億81百万円(前年同期比17億48百万円増)となりました。
(単位:百万円)
売上高
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属する四半期純利益
2024年3月期第1四半期
199,844
9,720
9,718
5,981
2023年3月期第1四半期
184,255
6,676
7,381
4,233
前年同期増減
15,588
3,043
2,337
1,748
前年同期比
108.5%
145.6%
131.7%
141.3%
セグメント別の概況は次の通りであります。 (単位:百万円)
売上高
前年同期増減
前年同期比
営業利益又は
営業損失(△)
前年同期増減
前年同期比
水産事業
78,982
3,277
104.3
%
4,216
105
102.6
%
食品事業
109,043
16,091
117.3
%
7,219
3,557
197.2
%
ファイン事業
3,876
△4,321
47.3
%
△76
△969
-
%
物流事業
3,796
△137
96.5
%
401
△41
90.6
%
その他(注)
4,145
678
119.6
%
186
12
107.4
%
全社経費
-
-
-
%
△2,226
379
85.4
%
合計
199,844
15,588
108.5
%
9,720
3,043
145.6
%
(注)「その他」:エンジニアリング(工場・設備機器の企画・設計・施工等)事業、船舶運航事業等。
事業の概況は次の通りであります。①水産事業 水産事業につきましては、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。<当第1四半期連結累計期間の概況> 水産事業では売上高は789億82百万円(前年同期比32億77百万円増)となり、営業利益は42億16百万円(前年同期比1億5百万円増)となりました。
漁撈事業:前年同期比で増収、増益<日本>・いわし、かつおなどの漁獲が堅調に推移し増収・増益となりました。
養殖事業:前年同期比で増収、増益<日本>・秋口から養殖ぶりの供給増が見込まれることから、春・夏でも高品質なぶりを供給できる完全養殖の強みを活かし前倒し販売を行いました。また、銀鮭で養殖オペレーションの改善により斃死・成長遅れもなく水揚げ数量が増加したことに加え、養殖まぐろの販売価格が堅調に推移したことにより増収・増益となりました。<南米>・生育環境改良による生残率の改善やトラウトの販売価格上昇などにより販売数量の減少をカバーし増収となりました。
加工・商事事業:前年同期比で増収、減益<日本>・外食・産業給食向けの食材化商品で値上げ効果が出始めたうえ、ぶり・ミールなどの販売が好調に推移しましたが、主力の鮭鱒・すりみの市況が調整局面に入り、買い控えも見られたこともあり減収・減益となりました。<北米>・すけそうだらの漁獲枠増加により生産数量が増加したうえ、助子の販売タイミングが昨年より早く、価格も高値で推移したことにより増収・増益となりました。<欧州>・デンマーク・イタリアでの販売が堅調に推移し増収となりましたが、すけそうだらの在庫評価減があり減益となりました。
②食品事業 食品事業につきましては、加工事業およびチルド事業を営んでおります。<当第1四半期連結累計期間の概況> 食品事業では売上高は1,090億43百万円(前年同期比160億91百万円増)となり、営業利益は72億19百万円(前年同期比35億57百万円増)となりました。
加工事業:前年同期比で増収、増益<日本>・家庭用・業務用とも値上げにより収益構造が改善し増収・増益となりました。業務用は人流回復の効果で外食・量販店惣菜向け冷凍食品の販売が総じて順調に推移したものの、家庭用は米飯・弁当向け冷凍食品の販売が堅調な一方、麺類・鶏製品が減少するなどカテゴリーにより跛行性が見られます。<北米>・高値疲れと思われる販売数量の減少が見られるものの、家庭用・業務用ともに値上げ効果により全体をカバーし増収・増益となりました。<欧州>・英国の改善に加え、スペイン・イタリアなどへエリア拡大を進めたことにより販売が順調に推移したうえ、値上げ効果もあり増収・増益となりました。
チルド事業:前年同期比で増収、増益・人流回復でコンビニエンスストア向けおにぎり・サラダの販売が増加するなどベンダー事業が好調に推移し増収・増益となりました。
③ファイン事業 ファイン事業につきましては、医薬原料、機能性原料(注1)および機能性食品(注2)などの生産・販売を行っております。<当第1四半期連結累計期間の概況> ファイン事業では売上高は38億76百万円(前年同期比43億21百万円減)となり、営業損失は76百万円(前年同期比9億69百万円減)となりました。・2022年9月に連結子会社の日水製薬株式会社(現・島津ダイアグノスティクス株式会社)の全株式を売却したことに加え、医薬原料の米国向け輸出の中断、巣ごもり需要の減速による通信販売の減少などがあり減収・減益となりました。
④物流事業 物流事業につきましては、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。<当第1四半期連結累計期間の概況> 物流事業では売上高は37億96百万円(前年同期比1億37百万円減)となり、営業利益は4億1百万円(前年同期比41百万円減)となりました。・電力料などのコストアップに対して保管料の値上げを進めたものの、冷蔵倉庫事業・通関事業において取扱い数量の減少があり減収・減益となりました。
(注1) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。(注2) 主に通信販売している機能性表示食品「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」、特定保健用食品「イマークS」などの健康食品。
(2)財政状態の分析
(単位:百万円)
2023年3月期
2024年3月期第1四半期
増減
流動資産
304,349
323,534
19,184
(うち 棚卸資産)
175,884
183,197
7,313
固定資産
244,664
249,393
4,729
資産合計
549,013
572,927
23,914
流動負債
198,771
215,613
16,842
固定負債
129,606
129,363
△243
負債合計
328,377
344,976
16,598
純資産合計
220,635
227,951
7,315
(資産) 資産合計は前連結会計年度末に比べて239億14百万円増の5,729億27百万円(4.4%増)となりました。 流動資産は191億84百万円増の3,235億34百万円(6.3%増)となりました。売上増加などにより受取手形及び売掛金が71億42百万円増加したこと、棚卸資産が73億13百万円増加したことが主な要因です。
固定資産は47億29百万円増の2,493億93百万円(1.9%増)となりました。設備投資などにより有形固定資産が28億2百万円増加したことが主な要因です。
(負債) 負債合計は前連結会計年度末に比べて165億98百万円増の3,449億76百万円(5.1%増)となりました。 流動負債は168億42百万円増の2,156億13百万円(8.5%増)となりました。運転資金需要増などにより短期借入金が174億21百万円増加したことが主な要因です。 固定負債は2億43百万円減の1,293億63百万円(0.2%減)となりました。返済により長期借入金が9億53百万円減少したことが主な要因です。
(純資産) 純資産合計は前連結会計年度末に比べて73億15百万円増加し、2,279億51百万円(3.3%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益を59億81百万円計上したこと、剰余金の配当を31億15百万円行ったこと、円安の影響により為替換算調整勘定が17億33百万円増加したことが主な要因です。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題 当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
(4)研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は10億49百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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