【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の分析当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、オミクロン変異株の感染拡大(第7波・第8波)が繰り返されたものの、行動制限の解除や全国旅行支援などにより人流が回復し、外食などサービス業を中心に改善傾向がみられました。一方で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に起因する資源価格の高騰など、インフレ圧力の高まりや急激な円安が企業活動の重しとなりました。世界経済(連結対象期間1-9月)につきましては、1月に欧米でオミクロン変異株の感染が急拡大したものの、行動制限の解除に伴って人流が回復し個人消費は堅調に推移しました。一方で、2月末からのロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け資源の供給不安、エネルギーコストや人件費の上昇などの影響がありました。足元では、欧米で高インフレや利上げによる景気減速が懸念され、日本ではインバウンド需要に期待がかかるものの、インフレに加え為替の急変動など先行き不透明な状況が続いております。当社および当社グループにつきましては、水産事業は前期に引き続き国内外の販売が堅調に推移するとともに、国内養殖事業の改善が一部の魚種を除き継続、北米加工事業のコスト削減も進んだことから大幅増益となりました。一方、食品事業では国内外とも販売は概ね堅調ながら、原材料や円安を始めとしたコストアップの影響を大きく受けました。このような状況下で当第3四半期連結累計期間の営業成績は、売上高は5,783億37百万円(前年同期比530億57百万円増)、営業利益は233億65百万円(前年同期比12億87百万円減)、経常利益は259億59百万円(前年同期比33億70百万円減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は日水製薬株式会社の株式売却益24億2百万円がある一方、Empresa de Desarrollo Pesquero de Chile S.A.(EMDEPES)の固定資産について減損損失18億10百万円を特別損失として計上しましたので185億89百万円(前年同期比19億88百万円増)となりました。
(単位:百万円)
売上高
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属する四半期純利益
2023年3月期第3四半期
578,337
23,365
25,959
18,589
2022年3月期第3四半期
525,279
24,652
29,330
16,601
前年同期増減
53,057
△1,287
△3,370
1,988
前年同期比
110.1%
94.8%
88.5%
112.0%
セグメント別の概況は次の通りであります。 (単位:百万円)
売上高
前年同期増減
前年同期比
営業利益
前年同期増減
前年同期比
水産事業
248,840
30,905
114.2%
17,360
6,079
153.9%
食品事業
285,566
35,423
114.2%
9,386
△4,053
69.8%
ファイン事業
21,234
△3,144
87.1%
1,813
△1,225
59.7%
物流事業
11,635
△525
95.7%
1,384
△413
77.0%
その他(注)
11,060
△9,601
53.5%
507
△303
62.6%
全社経費
-
-
-
△7,086
△1,370
124.0%
合計
578,337
53,057
110.1%
23,365
△1,287
94.8%
(注)「その他」:エンジニアリング(工場・設備機器の企画・設計・施工等)事業、船舶運航事業等。
事業の概況は次の通りであります。①水産事業 水産事業につきましては、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。<当第3四半期連結累計期間の概況> 水産事業では売上高は2,488億40百万円(前年同期比309億5百万円増)となり、営業利益は173億60百万円(前年同期比60億79百万円増)となりました。
漁撈事業:前年同期比で増収、増益<日本>・燃油価格上昇があったものの、かつお、ぶりなどの漁獲や販売価格が堅調に推移し増収・増益となりました。<南米>・メルルーサ、ほきの漁獲が低調に推移したことや燃油価格上昇などもあり減益となりました。
養殖事業:前年同期比で増収、増益<日本>・昨年の稚魚(もじゃこ)不漁により市場全体の養殖ぶりの供給が少ない中、完全養殖ぶりの強みを活かし安定供給を行いました。銀鮭の養殖場拡大による販売数量増に加え、各魚種とも販売価格が堅調に推移したこともあり増収・増益となりました。<南米>・銀鮭の生残率改善に加え販売価格上昇もあり、生簀繰りによる生産数量の減少や飼料などのコスト上昇をカバーし増収・増益となりました。
加工・商事事業:前年同期比で増収、増益<日本>・主力の鮭鱒のみならず、各魚種も総じて販売価格が堅調に推移したことから、外食・産業給食向けの一部食材化商品において値上げが遅れているものの、増収・増益となりました。<北米>・すけそうだらの漁獲枠減少の影響はあるものの、販売価格の上昇により増収、前期の固定資産減損による償却費負担やコロナ対策費用の減少があり人件費の上昇などのコスト上昇をカバーし増益となりました。<欧州>・一部地域を除き外食やクルーズ船向けの販売が好調に推移し増収・増益となりました。
②食品事業 食品事業につきましては、加工事業およびチルド事業を営んでおります。<当第3四半期連結累計期間の概況> 食品事業では売上高は2,855億66百万円(前年同期比354億23百万円増)となり、営業利益は93億86百万円(前年同期比40億53百万円減)となりました。
加工事業:前年同期比で増収、減益<日本>・健康意識の高まりに対応し、良質なたんぱく質が含まれる「速筋タンパク」商品の拡売に努めました。行動制限解除による人流回復の効果で業務用食品の外食・量販店総菜向け商品の販売が堅調に推移したうえ、家庭用食品・業務用食品ともに値上げしたこともあり増収となりました。一方で、原材料やエネルギーコストに加え急激な円安などコスト上昇に値上げが追いつかず減益となりました。<北米>・家庭用食品は値上げ後も販売数量を維持し堅調に推移しました。業務用食品は値上げしたものの、クイックサービスレストラン向けの販売が苦戦したうえ、原材料や人件費などのコスト上昇もあり減益となりました。<欧州>・ドイツ、スペイン向けの販売が堅調に推移しましたが、電気・ガス代などエネルギーコストの急激な上昇に値上げが追いつかず減益となりました。
チルド事業:前年同期比で増収、減益・行動制限が無くなり人流に回復傾向がみられたことから、コンビニエンスストア向けおにぎりの販売が増加するなどベンダー事業は好調に推移しましたが、今年度からスタートしたキューディッシュ事業(注1)が償却費負担に加え、立ち上げ時のトラブルもあり減益となりました。
③ファイン事業 ファイン事業につきましては、医薬原料、機能性原料(注2)および機能性食品(注3)などの生産・販売を行っております。<当第3四半期連結累計期間の概況> ファイン事業では売上高は212億34百万円(前年同期比31億44百万円減)となり、営業利益は18億13百万円(前年同期比12億25百万円減)となりました。・9月に連結子会社の日水製薬株式会社の全株式を売却したことに加え、医薬原料の米国向け輸出が中断したこともあり減収・減益となりました。
④物流事業 物流事業につきましては、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。
<当第3四半期連結累計期間の概況> 物流事業では売上高は116億35百万円(前年同期比5億25百万円減)となり、営業利益は13億84百万円(前年同期比4億13百万円減)となりました。・輸出入の増加により通関事業は堅調に推移したものの、国内貨物の荷動きが低調に推移し入出庫料収入が減少しました。また、電力料の増加などのコストアップもあり減収・減益となりました。
(注1) 冷凍とチルドのノウハウを活かしたフローズンチルド惣菜、煮魚やエビチリなど和洋中さまざまなメニューを食べ切りの個食パックで提供。電子レンジで温めるだけの手軽な調理で内食需要に対応、通常のチルド品に比べて添加物を削減しおいしさを向上、賞味期限も長く設定できフードロスも削減。(注2) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。(注3) 主に通信販売している機能性表示食品「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」、特定保健用食品「イマークS」などの健康食品。
(2)財政状態の分析
(単位:百万円)
2022年3月期
2023年3月期
第3四半期
増減
流動資産
265,090
325,313
60,222
(うち 棚卸資産)
144,083
178,727
34,643
固定資産
240,640
246,444
5,804
資産合計
505,731
571,758
66,027
流動負債
177,828
226,976
49,147
固定負債
119,304
121,560
2,256
負債合計
297,133
348,537
51,404
純資産合計
208,598
223,221
14,623
資産資産合計は前連結会計年度末に比べて660億27百万円増の5,717億58百万円(13.1%増)となりました。流動資産は602億22百万円増の3,253億13百万円(22.7%増)となりました。売上増加などにより受取手形及び売掛金が251億18百万円増加したこと、棚卸資産が346億43百万円増加したことが主な要因です。固定資産は58億4百万円増の2,464億44百万円(2.4%増)となりました。海外における工場の設備投資などにより有形固定資産が44億66百万円増加しました。
負債負債合計は前連結会計年度末に比べて514億4百万円増の3,485億37百万円(17.3%増)となりました。流動負債は491億47百万円増の2,269億76百万円(27.6%増)となりました。運転資金需要増などにより短期借入金が418億82百万円増加したことが主な要因です。 固定負債は22億56百万円増の1,215億60百万円(1.9%増)となりました。 純資産純資産合計は前連結会計年度末に比べて146億23百万円増の2,232億21百万円(7.0%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益を185億89百万円計上したこと、剰余金の配当を49億85百万円行ったこと、円安の影響により為替換算調整勘定が186億30百万円増加したこと、連結子会社の売却などにより非支配株主持分が149億22百万円減少したことなどによります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
(4)研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は35億90百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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