【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。当社グループでは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較はしておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済状況は、新型コロナウイルスの収束と景気の緩やかな持ち直しの動きが見られた一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や国内外のマクロ経済におけるインフレ・金融引締めの傾向が見られる等、先行きが不透明な状況が続きました。当社グループを取り巻く環境としましては、企業の競争力強化や人材不足への対応から、DX(デジタルトランスフォーメーション)への急速な注目の高まりや、国内企業のIT投資の拡大局面が続いていること、「Chat GPT」をはじめとするLLM(大規模言語モデル)による技術革新が進展し生成AIの利活用に対する注目が高まっていることなどが追い風となっております。また、政府の成長戦略において、産業競争力強化の観点からスタートアップ企業の支援及びスタートアップエコシステム強化の重要性が提唱されており、2022年は「スタートアップ創出元年」と定められ約1兆円の補正予算が閣議決定されました。2022年11月末には『スタートアップ育成5か年計画』が公表され、5年後の2027年度にスタートアップへの投資額を10倍超の10兆円規模にする目標が掲げられました。
そのような環境の中で、当社は従来のDX活用/AI導入の支援などの労働集約的なビジネスに加えて、自社AIソリューションを中心とした非労働集約的な収益の獲得も目指しており、AIソリューション開発プロジェクト獲得や研究開発、先行投資としての積極的な人材採用に注力いたしました。生成AIへの注目度の高まりを背景に、「Chat GPT」をはじめとするLLM(大規模言語モデル)の活用をテーマとするプロジェクトも増加しており、AIの利活用に対する需要の高まりに機動的に対応する形で事業運営を行っております。また、グループ会社の株式会社ファイナンス・プロデュースでは、スタートアップの資金調達やM&Aを助言する案件を多数獲得・執行いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。
売上高については、大型案件の継続及び新規獲得、並びにソリューションの本格導入や前期から引続きソリューション開発のための積極的な新規営業活動を行った結果、1,939,668千円と前期から順調な成長を実現しております。
売上総利益については、案件の増加等により996,351千円となり売上高と同様に増加しました。
販売費及び一般管理費について、人材関連費用に関して人材採用を積極的に実施したことにより給料手当は282,844千円、採用費は41,747千円となり、販売費及び一般管理費は927,723千円となりました。
上記のとおり、先行投資や人材への投資等を引続き積極的に行った結果、営業利益は68,627千円、経常利益は24,391千円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,292千円となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。
(単位:千円)
AIソリューション事業
フィナンシャル・アドバイザリー事業
合計
売上高
外部顧客への売上高
1,866,969
72,699
1,939,668
セグメント間の内部売上高又は振替高
-
-
-
計
1,866,969
72,699
1,939,668
セグメント利益又は損失(△)
78,710
△10,082
68,627
その他の項目
減価償却費
30,846
40
30,887
のれん償却額
-
12,645
12,645
第2四半期連結会計期間に、株式会社ファイナンス・プロデュースの株式を取得し連結子会社化したことに伴い、第3四半期連結会計期間より報告セグメントを変更いたしました。報告セグメントは、各グループ会社の事業内容及びビジネスモデルに鑑み、従来の「AIソリューション事業」から、「AIソリューション事業」と「フィナンシャル・アドバイザリー事業」の2区分へ変更しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は4,221,108千円となりました。主な内訳は、現金及び預金が3,146,414千円、売掛金及び契約資産が198,810千円、のれんが164,397千円、投資有価証券が411,050千円であります。なお、のれんは株式会社ファイナンス・プロデュースの株式を取得し連結子会社化したことに伴い発生したものであります。投資有価証券は主に持分法適用会社であるseawise株式会社に出資を行ったことに伴い発生したものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は601,398千円となりました。主な内訳は、賞与引当金が157,412千円、未払法人税等が107,174千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は3,619,709千円となりました。主な内訳は、資本剰余金が3,652,896千円であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,146,414千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は341,587千円となりました。これは主に、賞与引当金の増加額が157,412千円、契約負債の増加額が76,618千円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により支出した資金は517,943千円となりました。これは主に、持分法適用会社のseawise株式会社への出資実行及び事業提携先であるD Capital株式会社が組成したファンドへの投資実行に伴う投資有価証券の取得による支出が444,798千円、株式会社ファイナンス・プロデュースの株式を取得し連結子会社化したことに伴い発生した連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が108,423千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により支出した資金は31,102千円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当社グループが提供するサービスには生産に該当する事項がないため、記載を省略しております。
(b) 受注実績
当社グループが提供するサービスは、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
(c) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
AIソリューション事業
1,866,969
―
フィナンシャル・アドバイザリー事業
72,699
―
合計
1,939,668
―
(注)1.当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。
2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
学校法人駿河台学園
315,900
16.3
株式会社JERA
207,582
10.7
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表を作成するにあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの主な資金需要は、労務費(製造活動に関与するものに係る人件費)及び人件費(労務費以外の人件費)といった人材に関するもの及び経費等の販売費及び一般管理費等となっております。これらについては、自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。なお、今後事業拡大に向けて急激な資金需要が生じる場合に備え、一部の金融機関と当座貸越の契約をしております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、共同研究開発や初期導入フェーズにおけるコンサルティングや課題特定や全社戦略策定の支援、PoCの実施、AIアルゴリズムの構築及びシステム実装等の準委任型の役務提供を通じたフロー型(非継続)の収益と、AIソリューション導入後のフェーズにおける運用保守料やサービス利用料、ライセンス利用料、コンソーシアム会費等のストック型(継続)の収益を得ております。そのため、売上高、売上総利益、営業利益、売上高総利益率及び売上高営業利益率といった基礎的な指標に加えて、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、年間顧客数、顧客ごとの年間売上単価及び継続顧客による売上比率を重要な指標としております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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