【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年9月30日)における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが変更され、経済活動の正常化が進んでおります。一方、終息の見えないロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の不安定化やエネルギー価格の高騰、円安による調達価格の上昇、人材不足による労務費の増加を背景に、食品や日用品の値上げは収まらず、日常の消費活動に対する消費者の節約志向は、継続している状況であります。
このような経済環境の中、当社グループにおいても、原材料の値上げやユーティリティ費も依然として高い水準での継続がみられること等により、各種コストの増加が利益を圧迫している状況にありますが、各部門が連携し、原材料や包装資材の調達最適化や生産効率向上に向けた取り組み等にてコスト増加影響の緩和を推進いたしました。また、販売面においては、地域や店舗に合わせた最適な商品を提案し、複数の商品ラインアップ展開を効果的に活用することで、前年同期を上回る販売単価水準を維持いたしました。その他、白まいたけを中心としてコンビニエンスストアや小売店の総菜メニューに加え、高級料理店での採用実績をアピールし、プレミアムきのことしての認知度アップに努めております。
引き続き、当社グループは、中期経営計画に基づき、これまで長年培ってきた当社の生産技術・ノウハウ、販売力を活かし、プレミアムきのこ総合メーカーとしての基盤の確立を推進し、まいたけを中心としたきのこが持つ機能性の開発と訴求により、安全・安心な製品を提供することを通じて消費者の健康に寄与し、健やかな社会の実現に貢献すべく事業展開を図ってまいります。
また、2023年6月20日付「新規事業(代替肉)の開発に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社は、きのこを主原料とした代替肉の開発に成功いたしました。
現在の代替肉市場は大豆由来の成分を主原料としたものが主流となっておりますが、当社の開発した製品は、自然な美味しさを追求しつつ、原料であるきのこの低カロリー、低脂質、食物繊維といった特性を活かしたヘルシー志向の新しいプロダクトとなります。また、厳格な品質管理のもと生産された当社きのこを主原料としているため、食の安全面からも広く支持いただけるものと考えております。当社は、今後もきのこメーカーならではの強みを生かし、様々な種類の新規事業に取り組んでまいります。
当第2四半期連結累計期間の収益は、18,806百万円(前年同期比7.4%増)、このうち、売上収益は、13,457百万円(同5.5%増)となりました。また、売上総利益は、4,953百万円(同9.9%増)となりました。販売費及び一般管理費は、3,871百万円(同5.5%増)となりました。
以上の結果、営業利益は、1,069百万円(同31.3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、559百万円(同29.6%増)となりました。なお、当第2四半期連結累計期間においては、IAS第41号「農業」の適用に関する公正価値変動による利得が、収益に5,349百万円(同12.5%増)、売上原価に3,885百万円(同1.9%減)、それぞれ含まれております。
当第2四半期連結累計期間における事業セグメント別の売上収益の状況は、以下のとおりであります。
〔茸事業〕
① まいたけ
まいたけの更なる需要拡大を目指し、当社の強みである豊富な商品ラインアップを活かした販売施策に取り組んでおります。中でも昨秋販売を開始した「雪国まいたけ極 白」は、その見た目の美しさやフレッシュさを活用したカプレーゼ等のサラダメニュー提案による食べ方紹介等、認知度向上に取り組み、好評をいただきました。これにより、前年同期に比べ販売量は減少いたしましたが、販売単価は好調に推移いたしました。この結果、当第2四半期連結累計期間においては、まいたけ事業の売上収益は、7,257百万円(前年同期比2.9%増)となりました。
② エリンギ
安定した生産品質により供給量を維持し、定番の各種量目トレー製品や利便性の高い大量目スライス製品等、多様な商品提案を実施しております。これにより、前年同期に比べ販売量と販売単価はいずれも大幅に上回りました。この結果、当第2四半期連結累計期間においては、エリンギ事業の売上収益は、1,700百万円(同20.3%増)となりました。
③ ぶなしめじ
青果市況と市場の動向を注視しながら、需給バランスに応じて量目の異なる製品の販売構成を柔軟に切り替え、安定した供給を実施しております。これにより、前年同期に比べ販売量はほぼ同様となりましたが、販売単価は好調に推移いたしました。この結果、当第2四半期連結累計期間においては、ぶなしめじ事業の売上収益は、2,832百万円(同12.1%増)となりました。
④ その他の茸
マッシュルームは、吸収合併による事業シナジー強化に努め、生産状況の安定化及び品質向上に取り組んでおり、販売は前年同期と同様に推移いたしました。また、はたけしめじの販売は堅調に推移いたしました。一方、本しめじは、一時的な生産不安定化により需要にお応えしきれず、前年同期に比べ販売量が低調に推移いたしました。この結果、当第2四半期連結累計期間においては、その他の茸事業の売上収益は、1,519百万円(同3.4%減)となりました。
〔その他〕
その他の売上収益は、主に健康食品の販売及び瑞穂農林株式会社が取り扱う培地活性剤によるものであります。当第2四半期連結累計期間においては、健康食品の販売量、培地活性剤の製造及び販売量がいずれも減少いたしました。この結果、その他の売上収益は、146百万円(同23.5%減)となりました。
各事業セグメント別売上収益は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
(自2022年4月1日
至2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自2023年4月1日
至2023年9月30日)
増減率
(%)
茸事業
12,566
13,310
5.9
まいたけ
7,051
7,257
2.9
エリンギ
1,413
1,700
20.3
ぶなしめじ
2,526
2,832
12.1
その他の茸
1,573
1,519
△3.4
その他
191
146
△23.5
売上収益
12,757
13,457
5.5
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末(2023年9月30日時点)の資産合計は、36,845百万円(前連結会計年度末比3,540百万円増)となりました。流動資産は、10,614百万円(同3,434百万円増)となりました。これは主に、現金及び現金同等物が704百万円、営業債権及びその他の債権が1,124百万円、公正価値変動による利得により生物資産が1,558百万円、それぞれ増加したこと等によるものであります。非流動資産は、26,230百万円(同106百万円増)となりました。これは主に、有形固定資産が119百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、26,104百万円(同3,208百万円増)となりました。流動負債は、25,872百万円(同19,279百万円増)となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が15,440百万円、短期借入金が2,300百万円、営業債務及びその他の債務が2,132百万円、それぞれ増加した一方、未払法人所得税が386百万円、未払費用や未払消費税を含むその他の負債が336百万円、それぞれ減少したこと等によるものであります。非流動負債は、231百万円(同16,070百万円減)となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金への振替等により借入金が16,070百万円減少したこと等によるものであります。
(資本)
当第2四半期連結会計期間末の資本合計は、10,741百万円(同331百万円増)となりました。これは主に、四半期利益の計上等により利益剰余金が320百万円増加したこと等によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ704百万円増加し、1,764百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、139百万円(前年同期は1,383百万円の使用)となりました。これは主に、税引前四半期利益864百万円、減価償却費及び償却費1,089百万円並びに営業債務及びその他の債務の増加額1,207百万円の計上があった一方、営業債権及びその他の債権の増加額1,124百万円、生物資産の増加額1,558百万円の計上及び法人所得税の支払い691百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、341百万円(前年同期は1,715百万円の使用)となりました。これは主に、茸事業に係る設備更新等に伴う有形固定資産の取得による支出329百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、1,185百万円(前年同期は75百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の借入による収入2,300百万円、約定返済の実施により長期借入金の返済による支出770百万円、配当金の支払い239百万円等があったことによるものであります。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、171百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究活動は、生産技術開発に係る研究活動として、各キノコの高効率で高安定な生産方法について研究開発を継続しております。また、菌株の開発として、各キノコの高品質で高生産性な新品種の開発を継続しております。その他、前記「(1) 経営成績の状況」に記載いたしましたとおり、キノコの健康機能性の研究及び健康機能性を活かした食品素材の開発として、キノコを主原料とした代替肉の開発を実施しております。引き続きキノコの特徴を活かした加工食品や組成物の研究開発を推進してまいります。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社は、2023年5月11日に公表いたしました2024年3月期業績予想を修正しております。詳細につきましては、2023年11月9日公表の「通期業績予想の修正に関するお知らせ」をご参照ください。
当連結会計年度の業績予想につきましては、収益44,467百万円(前年同期比5.4%増)、営業利益1,624百万円(同25.8%減)、当期利益780百万円(同34.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益780百万円(同33.9%減)を予想しております。
(8) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載については、重要な変更はありません。
(参考情報)
当社グループは、2021年11月に公表いたしました中期経営計画の策定に伴い、経営成績の推移を把握するための重要な経営指標の見直しを実施し、以下の算式により算定されたコア営業利益、コアEBITDA及びコアEBITDAマージンを、重要な経営指標として位置づけております。コア営業利益、コアEBITDA及びコアEBITDAマージンは、次のとおりであります。
(単位:百万円)
回次
第6期
第2四半期
連結累計期間
第7期
第2四半期
連結累計期間
第6期
会計期間
自2022年4月1日
至2022年9月30日
自2023年4月1日
至2023年9月30日
自2022年4月1日
至2023年3月31日
営業利益
814
1,069
2,191
(調整額)
- IAS第41号「農業」適用による影響額 (注) 4
△642
△1,261
305
- その他の収益及び費用 (注) 5
24
12
66
- 一時的な収益及び費用 (注) 6
–
–
–
調整額小計
△617
△1,249
371
コア営業利益 (注) 1、7
197
△179
2,562
(調整額)
+ 減価償却費及び償却費
1,021
1,083
2,100
コアEBITDA (注) 2、7
1,218
904
4,663
コアEBITDAマージン(%) (注) 3、7
9.6
6.7
15.0
(注) 1.コア営業利益=営業利益 - IAS第41号「農業」適用による影響額 - その他の収益及び費用 - 一時的な収益及び費用
2.コアEBITDA=コア営業利益 + 減価償却費及び償却費
3.コアEBITDAマージン=コアEBITDA ÷ 売上収益
4.IAS第41号「農業」適用による影響額とは、IAS第41号「農業」を適用し、きのこの生産工程である仕込みから収穫時までのきのこを生物資産として、売却費用控除後の公正価値で測定するものであり、当該公正価値の変動による利得及び損失を影響額としております。
5.その他の収益及び費用とは、主に減損損失、固定資産除却損等となります。
6.一時的な収益及び費用とは、通常の営業活動では発生しない一過性の収益及び費用となります。なお、第6期及び当第2四半期連結累計期間において、一時的な収益及び費用の発生はありません。
7.コア営業利益、コアEBITDA及びコアEBITDAマージンは国際会計基準により規定された指標ではなく、投資家が当社グループの業績を評価する上で、当社グループが有用であると考える財務指標であります。当該財務指標は、非経常的損益項目及び競合他社に対する当社グループの業績を適切に示さない項目の影響を除外しております。なお、コア営業利益、コアEBITDA及びコアEBITDAマージンは、国際会計基準に準拠して表示された他の指標の代替的指標として考慮されるべきではありません。当社グループにおけるコア営業利益、コアEBITDA及びコアEBITDAマージンは、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が低下する可能性があります。
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