【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
①経営成績の状況2022年12月期連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)の業績は、以下のとおりです。(単位:百万円)
前連結会計年度(自
2021年1月1日 至
2021年12月31日)
当連結会計年度(自
2022年1月1日 至
2022年12月31日)
前期比
売上収益
10,004
9,086
△9.2
%
営業損失
△2,632
△3,520
-
%
税引前当期損失
△2,595
△3,529
-
%
親会社の所有者に帰属する当期損失
△2,380
△3,488
-
%
当社グループは「毎日の料理を楽しみにする」というミッションの下、日本のみならず世界中の料理のつくり手を増やすべく、料理に関する様々な課題解決に向けた積極的な投資を行っています。このミッションについて、当社グループの事業活動の目的・存在意義を明確にするため、定款に「当会社は、『毎日の料理を楽しみにする』ために存在し、これをミッションとする。」、「世界中のすべての家庭において、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する。」という記載をしています。世界中の人々の生活は資本主義体制の中で非常に豊かになり、貧困に悩む人は減り、医療技術の革新により人類の寿命は長くなりました。しかしながら、生活は豊かになりましたが、肥満や生活習慣病、バーチャルな人間関係の偏重がもたらす心の病は増加しました。また、「地球」の健康という意味でも、CO2の排出量増加、オゾン層の破壊、土壌や海洋の自浄作用を超えた汚染など、大きな犠牲を払ってきました。外食やデリバリーの普及によって、安くて美味しいものが手軽に食べられるようになりましたが、それらの食品を流通させるために、多くの森林が伐採され、ゴミも増え続けています。結局、今まであった問題を解決する中で、また新たな問題を作っているに過ぎないのではないかと当社グループは考えています。ヒトの健康に必要なものは、食事、運動、睡眠といわれ、世界でもっとも頻度高く行われている社会活動は、家族での食事です。つまり食は、ヒトにも社会にも、地球にも大きな影響を与えているといえます。この食の良し悪しがヒトと、社会と、地球のこれからの分岐点になると思っています。当社グループは、食の世界を良くするには、料理をするひとはもちろん、農家など食に関わるものをうみだす「つくり手を増やすこと」が重要だと考えています。これまでの歴史において、効率や利益の追求が優先され、結果、地球が健康を損なうシーンに遭遇することが多くなりましたが、つくり手になると様々な「気づき」が増え、自ら考え判断するようになるので、「つくり手」となったひと自ら地球の健康について判断したほうが正しい意思決定ができると思っています。「つくり手」で居続けてもらうためには、料理が楽しみに、それも、毎日楽しみになる仕組みづくりが必要だと思うのです。料理をもっとクリエイティブで楽しいものにしたい。「つくること」をわくわく楽しいことにしたい。「作業」ではなくどんどんうまくなるものにしたい。料理をとおして、他の人とのつながりが楽しみとなり増えていくようにしたい。料理を、ヒト、社会、地球の健康に貢献していると自信をもって続けていけるものにしたい。そんな風に考えています。世界中の80億人の中には、すでに料理を楽しんでいる「つくり手」がたくさんいます。そのひとたちのエネルギーや、知恵や、思いや、気持ちが人々を励まし助けになるようなコミュニティをつくりたいと思っています。今後とも当社グループはヒト、社会、地球の健康を「毎日の料理を楽しみにする」ことによって実現し、企業価値の向上と株主価値の最大化に向けて邁進していきます。
当社グループは、国内においては、料理レシピ検索・投稿サービス「クックパッド」をはじめ、買い物をもっと自由にする生鮮食品ECサービス「クックパッドマート」、海外においては、「クックパッド」のグローバルプラットフォームを、世界73カ国、31言語(日本を除く)で展開しています。当連結会計年度における売上収益は9,086百万円(前期比9.2%減)となりました。これは国内レシピサービス会員売上及び国内レシピサービス広告売上において、売上収益が減少したことによります。販売費及び一般管理費は12,232百万円(前期比0.1%減)となりました。これは主に、国内の新規事業に積極的な投資を行っていること及び、為替の変動により海外の費用が増加したことの一方で、昨年度にCookpadTV株式会社において計上した減損損失が当連結会計年度には発生しなかったこと等によります。この結果、営業損失は3,520百万円(前期は2,632百万円の損失)、税引前当期損失は3,529百万円(前期は2,595百万円の損失)となりました。親会社の所有者に帰属する当期損失は、法人税等の計上及び繰延税金資産の取り崩しに伴う法人税等調整額の計上があった一方で、CookpadTV株式会社において非支配持分に帰属する当期損失が発生したことにより、3,488百万円(前期は2,380百万円の損失)となりました。なお、当社グループは、意思決定の迅速化及び経営資源の集中を図るため、2022年7月1日付で、連結子会社であるCookpadTV株式会社の株式を同社のストア事業を対価として追加取得し、完全子会社化しました。また、同日付で同社名をクックパッドライブ株式会社に変更しています。
当社グループは、「毎日の料理を楽しみにする事業」の単一セグメントでありますが、売上収益の内訳は、以下の通りです。(単位:百万円)
前連結会計年度(自
2021年1月1日 至
2021年12月31日)
当連結会計年度(自
2022年1月1日 至
2022年12月31日)
前期比
毎日の料理を楽しみにする事業
10,004
9,086
△9.2
%
国内レシピサービス会員売上
6,943
6,408
△7.7
%
国内レシピサービス広告売上
2,080
1,542
△25.9
%
その他売上
980
1,136
15.9
%
当連結会計年度における国内レシピサービス会員売上は6,408百万円(前期比7.7%減)となりました。これは主に、前期末と比較しプレミアムサービス会員が約15万人減少したことによります。
当連結会計年度における国内レシピサービス広告売上は1,542百万円(前期比25.9%減)となりました。これは主に、原材料価格の高騰等が小売価格にも反映され、食品飲料メーカーの広告出稿意欲の低下につながったことや、広告媒体の多様化等により「クックパッド」に掲載するディスプレイ広告の売上が減少したことによります。ネットワーク広告についても、販売数、単価共に下落しました。
当連結会計年度におけるその他売上は、1,136百万円(前期比15.9%増)となりました。これは主に、クックパッドマートの売上収益が増加したこと等によります。
②財政状態の状況(資産)当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,709百万円減少し、20,154百万円となりました。このうち、流動資産は3,736百万円減少し、18,929百万円となり、非流動資産は27百万円増加し、1,224百万円となりました。この主な要因は、営業活動による支出の増加等により現金及び現金同等物が3,585百万円減少したことによるものです。
(負債)当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ170百万円増加し、2,402百万円となりました。このうち、流動負債は324百万円増加し、1,544百万円となり、非流動負債は154百万円減少し、857百万円となりました。これらの増減の主な要因は、流動負債については、国内新規事業に関わる支出により営業債務及びその他の債務が176百万円増加したことに加え、未払法人所得税等が83百万円増加したこと等によるものです。非流動負債については、主にオフィスの賃借料支出により長期リース負債が156百万円減少したことによるものです。
(資本)当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ3,879百万円減少し、17,752百万円となりました。この主な要因は、為替の円安影響等によりその他の資本の構成要素が253百万円増加した一方、利益剰余金が3,484百万円減少したこと及びクックパッドライブ株式会社を完全子会社化したことにより非支配持分が601百万円減少したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ3,585百万円減少し、16,824百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により支出した資金は、2,701百万円となりました。この主な要因は、営業債務及びその他の債務が222百万円増加した一方で、税引前当期損失3,529百万円が生じたことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により支出した資金は、261百万円となりました。この主な要因は、投資有価証券の取得による支出が159百万円生じたことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により支出した資金は、976百万円となりました。この主な要因は、クックパッドライブ株式会社の株式を追加取得する際にストア事業を譲渡したことによる支出が592百万円生じたことによるものです。
④生産、受注及び販売の状況
(生産実績)生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしていません。
(受注状況)当社グループでは概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しています。
(販売実績)当連結会計年度の販売実績については、前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①「経営成績の状況」をご参照ください。
なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先
前連結会計年度(自
2021年1月1日至
2021年12月31日)
当連結会計年度(自
2022年1月1日至
2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
Apple
Inc.
2,493,319
24.9
2,416,776
26.6
株式会社NTTドコモ
1,711,858
17.1
1,412,562
15.5
ストライプジャパン株式会社
1,394,043
13.9
1,436,793
15.8
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(以下「IFRS」という。)に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」に記載のとおりです。この連結財務諸表の作成に当たっては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、この結果は資産・負債、収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、一部過去の実績に基づく概算数値を用いるために、不確実性が伴っており実際の結果と異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 (売上収益)当連結会計年度における売上収益は9,086百万円(前期比9.2%減)となりました。これは国内レシピサービス会員売上及び国内レシピサービス広告売上において、売上収益が減少したことによります。
(営業損益)当連結会計年度における営業損失は3,520百万円(前期は2,632百万円の損失)となりました。これは主に、国内の新規事業に積極的な投資を行っていること及び、為替の変動により海外の費用が増加したことの一方で、昨年度にCookpadTV株式会社において計上した減損損失が当連結会計年度には発生しなかったこと等によります。
(親会社の所有者に帰属する当期損益)親会社の所有者に帰属する当期損失は3,488百万円(前期は2,380百万円の損失)となりました。これは主に、法人税等の計上及び繰延税金資産の取り崩しに伴う法人税等調整額の計上があった一方で、CookpadTV株式会社において非支配持分に帰属する当期損失が発生したことによります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況については、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。資金需要につきましては、当社は2017年から10年をさらなる大きな成長のための事業基盤創りに再度注力する「投資フェーズ」としており、サービス開発、ユーザーベース獲得、ブランド構築等の事業拡大のための投資を行っていく想定です。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施します。
④経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
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